いまさら!発達について学んでみよ 
う! 
定型発達のあれこれ 
~とっても大切な1歳半の節目~ 
6月のへいあんぱん 
担当:冨樫 
1
発達するってどういうこと? 
• 発達とは;成長・成熟・学習… 
• タテの発達(能力の獲得) 
– できなかったことができるようになる 
– わからなかったことがわかるようになる 
• ヨコの発達(能力の拡大・充実・汎化) 
– 獲得した能力を使える場面や相手が増える 
– 心のバネ 
2
発達を捉えるために 
• 運動発達;身体機能の発達 柔軟性、協調運動 
• 認知発達;知的機能の発達 問題解決、遂行機能 
• 内面の発達;こころの発達 他者や環境との調整、表象 
• それぞれは連動しながら、「目に見えない発達」を 
通して、「目に見える」成長を遂げていく 
  
• 発達とは;自分で自由に選択し、生活を豊かにして 
いくための力を獲得すること 
• 「発達の3つの糸」を柱にした発達保障 
3
人間の発達の道すじ 
• 人の発達の道すじには、順序性がある 
• 発達の道すじは、なだらかな坂ではなく、階段上に 
なっている=階層的構造 
• 発達の道すじには、「発達が大きく変化する時期」 
がある=発達の質的転換期(田中 1987) 
• 発達は量的な積み重ねだけでなく、質的な転換を遂 
げる時期がある;生後6・7ヶ月、1歳半、9歳 
4
発達には節目がある 
• 発達の質的転換期をのりこえるためには、多くのエ 
ネルギーが必要=<発達の節目 発達の壁>の超えに 
くさがある 
• 節目をのりこえていく発達の原動力は、それぞれ 
4ヶ月、10ヶ月、5歳後半に生じる 
• 発達の原動力を充実させて、節目を乗り越えていく 
ことを支える=みかけの発達にとらわれない 
5
内面の発達における発達段階 
• 4ヶ月;見比べの力、正面を捉える力 
• 6、7ヶ月;選ぶ力の獲得、「モウヒトツ」 
• 10ヶ月;既知と未知との見比べ、三項関係の成立 
• 1歳;「・・・シツヅケル」 定位的操作 
• 1歳半;「・・・デハナイ・・・ダ」、自我の誕生 
• 2歳代;表象の獲得、自我拡大、対比的弁別認識 
• 3歳〜4歳半ば;自我の充実、自制心、自励心 
• 5歳半ば;「間」の形成、「理(ことわり)」を知る 
• 9歳;概念の獲得、「集団的自己」の形成 
6
乳幼児早期の飛躍的発達
4ヶ月 人知り初めし微笑み 
• 生後第1の新しい発達の力 
• 動くから動かす(随意的な動き)へ 
• 親指と人差し指の連動 
• 感覚と運動の協応の芽生え 
• 自分に働きかけてくれるものの認識 
• 正面でとらえる力 「ミツケタ!」という目の表情 
➞積極的な外界への働きかけ 
(「見たい」「触れたい」「近づきたい」・・・) 
8
6,7ヶ月の発達の質的転換期 
• 可逆操作の芽生え(連結可逆操作) 
– 寝返り、見返し、持ちかえ、見比べ…選ぶ力 
• 人見知りの出現と、立ち直り(可逆対交流) 
• 模倣と表象獲得の初期徴候の出現 
• 赤ちゃんの手とモノを結ぶ連結点(結び目) 
の出現初期 
• 初期喃語 親しい人の声に顔を向ける 
9
あそびの姿の特徴 
① 全身を使ってあそぶ;運動あそびや感覚あそび 
  保育者のはたらきかけが中心となる 
 Ex. ひざのうえでジャンプ たかいたかい ボールをころがして追いかける 
    くすぐってもらう ゆすぶり 
② いないいないばあなどのあやしあそび 
  大人からあやしかけられることを楽しむ 
  ➞他者と関わる期待、かくれんぼなどのルールあそびへの原動力 
③ ものごとへの関心を向けたり、遊具であそぶ 
  見て楽しんだり、感触を楽しむ 
10
1歳半の発達の質的転換期 
• 「・・・デハナイ・・・ダ」の獲得(一次元可逆操作) 
– 切り換え、自分で選ぶ、自分で決める 
• 立ち直り、粘り強さ、心の深まりを獲得する時期 
• 共感し合うまなざし 
– 「自分も嬉しいし、相手も嬉しい」;共感性の高まり 
• 一次元可逆操作の活動の展開を通して、自我がしっかり 
と誕生してくるさまを捉えていく 
11
あそびの姿の特徴 
① モノに接近し関わりながら、全身を使ってあそぶ 
 Ex. ボールを転がす 乗り物をこぐ すべり台 
② 大人の力を積極的に借りてモノと関わるあそび 
  他者への期待・信頼をこめた活動への意欲 
 Ex. 三輪車やブランコに乗って、保育者に押してもらう 
③ 自分から大人へ関わってあそぶ、保育者の期待を読 
み取ってあそぶ 
 Ex. 追いかけあそび(子どもが保育者を追いかける) 追いかけかく 
れあそび 
12
あそびの姿の特徴 
④ 生活の一場面の再現; 
  生活の動作を再現して楽しむようになる 
 Ex. 食べる 飲む 寝かせる… まねっこあそびも豊富に 
⑤ 「ジブンデ」を存分に発揮できるような外界への働きかけ 
  意図を持った活動=創作活動の前駆的萌芽 
 Ex. 積木を積み上げては倒す ひもとおし 小麦粉粘土… 
⑥ リズムに合わせたり、大人と動作を共有するあそび 
 「ふり」やタイミングを合わせることのおもしろみ 
13
1歳半の発達における大人の役割 
• 子どもの“発達したい”と願う気持ちを励ます存在 
• 「ほめて」のまなざしを受け止め、評価し、喜びあ 
うことが、子どもがさらに次の活動に向けてがんば 
ろうとする契機をつくる 
• 「できたね、上手だったね」と、ひとつひとつの行 
動がしめくくられ、自分が何をしていたかを子ども 
に伝えること 
• 「◯◯しようね」と誘いかけ、「おもしろいね」と楽 
しみ、「楽しかったね」としめくくることが繰り返 
されることで、子どもはその行動の主体となってい 
く 
14
一次元可逆から二次元形成へ 
• 1歳頃の、「・・・シツヅケル」という、同じ活動を繰り返す 
なかで、最後までやりきる力を充実させていく 
 ➞「・・・デハナイ・・・ダ」一次元可逆操作の力の獲得 
   ひとつの活動のなかで行動を切り替える力 
・・・往復、方向転換、双方向のかかわり 
 ➞一次元可逆の力を使いながら、いくつかの行動を組み合せた 
り、積み重ねる ➞ 大文字のⅠ次元活動の展開 
• 「・・・デハナイ・・・ダ」の力をもって、「オナジ」「マ 
タ」「モウヒトツ」の力の芽生えを支える 
  (「・・・シテ・・・スル」という2歳代の力へ) 
15
1歳後半の子どもへの関わり 
• 子どもが「・・・デハナイ・・・ダ」が行えるよう 
な、時間的・空間的「間」を大切にする 
• 対に出した2つの中から1つを「選択する」経験を 
大切にする 
• 活動の「到達」「締めくくり」を意識できるよう、 
満足感が得られるような声掛けや関わりを 
• わかりやすい活動と見通しの提示により、自発的に 
関わる経験・参加を促す 
• 「真似したい」「わかる」という気持ちに働きかけ 
ながら、繰り返しの中で喜びを高めていく 
16
1歳半の節目の大切さ 
• 対人関係の基礎が完成する時期 
• 行きつ戻りつ、の矛盾を捉える力 
  →自ら外界に働きかけ、修正していく力 
• 見比べる、立ち止まる、切り替える… 
  →自己選択・自己決定の基本 
• 共感性・全体性の発達的萌芽 
17
共感する 
• 1歳半;他者の活動を見て、模倣や見立ての 
力を使い、自分の関心や世界を広げていく 
• 違う活動への挑戦や、ひとつひとつの活動へ 
の達成感を得ること 
• 活動の最中、相手とさかんに視線を共有して 
、何度でも立て直して挑戦できる力を育むこ 
と 
• 共感が弱いと、限定されたものや場所で自分 
だけの遊びを展開する傾向に18
全体を見てから行う 
• 1歳半;一次元可逆操作の獲得 
• 部分ではなく全体を見て行う(見て・考え 
て・行う)という内面的な思考や操作を獲得 
する 
• うまくいかないとき「別の」試し方ができ 
る・失敗から学習する力を育む 
• 「間」がなく、反応的な行動を行う、同じや 
りかたに固執する、失敗した部分だけ修正す 
ることが難しい・・・19
2歳代 自我の発達 
• 1歳半:一次元可逆操作 
– 「・・・デハナイ・・・ダ」を獲得する「自我の誕生」の 
時期 
• 2歳前半:二次元形成 
– 「・・・シテ・・・スル」の獲得と「自我の拡大」の時期 
• 2歳後半:2つの世界の対比、往来 
– 二次元的認識の出現と、自我の充実の時期 
• 2歳児の基本的特徴;内面性が広がって、その広が 
りが豊かな自我をつくっていくこと 
20
表象の発達 
• 表象;こころの中に何かを思い浮かべること 
• 「・・・シテカラ・・・スル」ためには、表象の機 
能が必要  ※最初の表象の成立は1歳半頃 
                生活の中の行動の模倣、再現 
– 1歳後半になると、「見たものや聞いたものへの反応」だ 
けでなく、自分の頭の中にある表象を基にした行動がみら 
れるようになる 
– 行動目標が内面化し、「ジブンデ」の満足感、欲求がより 
明確に 
21
概念の発達 
• 1歳後半では、モノや行為についての表象をつくり 
、内面形成を行う 
• 2歳代になると、「それ自体目に捉えにくい」概念 
を理解し始める ・・・大小、長短、上下、重 
軽・・・ 
• 喜怒哀楽の感情も徐々にまとまりをもったものに 
• “先に見たものの関心を残しつつ”、“いま目の前にあ 
る事柄”に向かう力;「オンナジ」「マタ」「イッパ 
イ」「○○ミタイ」 
22
2歳の自我 
• 外の世界を確かめ関心を広げながら、自分の力を試 
していく;イメージを持って自分の体を動かす 
• 2歳代の思考様式は「あっちかこっちか」;「イ 
ヤ」「ダメ」が多いのはそのため;選択の力の原動 
力 
• 自我拡大から自我充実へ;「イヤ」「ダメ」「モッ 
ト」をばねにして、「モット・・・シタイ」という 
欲求を充実させる 
• 「憧れ」や「大好き」という気持ちを育み、受け入 
れる 
23
2歳の自我 
• 「・・・シタイ」と「・・・デキナイ」の間で揺れ 
る 
– 矛盾との葛藤;「心の杖」やくせ 
• 自分の意思で外界と関わりをもてるうれしさと、そ 
れを伝えたい、認めてもらいたい気持ち 
• 2歳の自我の育ちは単なる自己主張の育ちではなく 
、自分の領域を知り、広げていく一方で、相手の要 
求や気持ちに気づき、認めていく作業 
24
生活の主体へ 
• つもり・見立ての力をもって「大きい自分」を感じる 
• 「自分で選び自分でする」喜び、自分で重み付けする力 
• 対認識を発達的抵抗として、選択する力を身につけてい 
く過程 
• 自分の領域を大切にしてもらう経験 
• 表現活動や、「素材‐道具」の接近 
• 活動の終わりを大切に 
• 認めてもらいたいことを認めてもらうこと;他者や環境 
に気持ちを配る原動力 
25
あそびの姿の特徴 
① みたて・つもりを楽しむあそびの姿(イメージの力の充実) 
 Ex. つもりのある追いかけかくれあそび 
 ※ 模倣あそびから役割あそびへ 
 ・・・単なる生活動作の再現ではなく、印象深かった動作を再現する 
      行為から物語へ ➞ 自分への重み付けの始まり 
 ※ もてあそびから制作あそびへ 
 ・・・積木やブロックを「構成」し、できあがったものに名前をつける 
、 
    砂や土、水をつかって山や川をつくる… 
② 「・・・シナガラ・・・スル」(3歳代の力)の原動力 
 Ex. 歌いながら動作をする 動作を見ながらまねる 相手と合わせる 
26
5,6歳代 真ん中を捉える 
• 2、3歳代;対比的認識・二分的弁別思考 
• 4歳代;自制心、自励心の芽生え 
• 5歳から6歳にかけて;系列化「中くらい」の獲得 
• 筋道立てて考え、表現する力を蓄えていく時期 
• 他者に思いを託す…相手の「感情」への気づき 
• お友達と目標を共有し、みんなのためにがんばる自 
分を見つけていく…「仲間」の発見 
27
9歳の発達の質的転換期 
• 系列化操作の獲得;部分と全体の関係を捉える 
– 全体のまとまりと、関係を捉える;優先順位の出現 
– 文脈形成の広がり;「道順」から「地図」へ 
• 概念理解の深まり 
– 「保存」の力、記号化、置き換え、学習言語の獲得 
• 集団的自己の芽生えと自己客観視の力 
– 「我々」意識と、仲間からの承認欲求の高まり 
• 相互関係理解の力;どっちの気持ちもわかるよ 
– 多面的な関係理解;本音と建前 
28
学齢期という世界 
• 学校と学童と家庭と 
– 過ごす場で「顔」を変える子どもの姿 
• 広がる生活空間=ギャング・エイジ 
– 「自分の」世界から「自分たちの」世界へ 
– 大人とは違う、子どもの世界の認識 
• 内言の獲得と定着 
– 本音と建前 
– 相手の「考え」を読む力 
29
乳児期に大切にしたいこと 
• 1歳半の節目をしっかり見る 
– 見比べの力;選択する力 
– 三項関係;共感性 
• 愛着形成 
– 親子関係、基本的信頼感 
• 基本的生活習慣の獲得 
– よく食べ、よく遊び、よく眠る… 
• 安心・安全な関係のなかで、人への信頼感を育み、 
自分の力をめいっぱい発揮できる環境を 
30
幼児期に大切にしたいこと 
• 葛藤を支える 
– 「上手=下手」、「できる=できない」を超えて 
• 「がんばる」を支える 
– 自制心・自励心の芽生えを見つめる 
• 表象の力を育む 
– 経験したことを表現する力 
– 「相手」を知り、「ルール」を知る 
• 自分のことを理解してもらう経験を通して、 
相手を理解し、自分を調整する力を育む 
31
学齢期に大切にしたいこと 
• 3つの「間」を意識する 
– 時間・空間・仲間 
• 探検と冒険 
– 自分で価値を創りだすことを応援する 
• 「自分で」「仲間と」 
– 自分で決め、自分でがんばる 
– 憧れをもちながら、自分を認められるように 
• 活動に連続性を持ちながら、それを広げていく。周 
りとともに育つ自分を感じられる働きかけを 
32
発達支援の役割 
• 子どもを見立てる 
• 集団を見立てる 
• 見通しをもつ 
• 共通言語を見つける 
発達段階と発達課題に応じた子どもの 
主体的な挑戦を支え、子どもの内なる 
発達の力(願い)を信頼すること 
33
子ども理解のための発達の視点 
• 発達課題を捉える;発達要求を押さえる 
– 自我の芽生え・自我拡大・充実を意識した子ども理解 
• 発達は単独の機能ではなく、連関で捉える 
– タテとヨコの発達、それを支える内面の発達 
• 個別から集団への誘いかけを意識して 
– 閉じた楽しい経験だけでなく、他者を意識すること、活動を 
ともにすること、ぶつかりあうことの大切さを 
• 自他の意図の調整の力を育む 
– 自分を認められる力、立ち向かい、立ち直る力を 
34
仲間のなかで(白石 2011) 
(1)子どもが真に主体になるために 
 大人は「意図」や「つもり」がはっきりしている 
 子どもは、不安もあるけど、魅力的 
(2)誰もが長い時間をかけて、他者との多様で具体 
  
   的な応答関係を通して成長していく 
 友だちとの関係を通して、一人ひとりかけがえのない自分を 
 つくり、自我を育んでいく 
 子どもたちの発達に必要な「矛盾」を奪っていないだろうか、 
 答えを早く求めすぎていないだろうか 
35
仲間のなかで(白石 2011) 
(3)一人ひとりの育ちと、集団としての育ちを 
 集団も個人も行きつ戻りつ 矛盾を食べながら発達する 
(4)あそびや文化の意味 
 魅力ある文化、音楽、リズム、憧れでつながっていく子ども 
 あそびの中では、子どもの発達や能力の差が「格差」ではなく 
 「もち味」「その子らしさ」になる 
 情動的共感、共有の大切さ―共有体験そのものが希薄になっ 
 ている現在だからこそ 
36

いまさら発達

  • 1.
    いまさら!発達について学んでみよ う! 定型発達のあれこれ ~とっても大切な1歳半の節目~ 6月のへいあんぱん 担当:冨樫 1
  • 2.
    発達するってどういうこと? • 発達とは;成長・成熟・学習… • タテの発達(能力の獲得) – できなかったことができるようになる – わからなかったことがわかるようになる • ヨコの発達(能力の拡大・充実・汎化) – 獲得した能力を使える場面や相手が増える – 心のバネ 2
  • 3.
    発達を捉えるために • 運動発達;身体機能の発達 柔軟性、協調運動 • 認知発達;知的機能の発達 問題解決、遂行機能 • 内面の発達;こころの発達 他者や環境との調整、表象 • それぞれは連動しながら、「目に見えない発達」を 通して、「目に見える」成長を遂げていく   • 発達とは;自分で自由に選択し、生活を豊かにして いくための力を獲得すること • 「発達の3つの糸」を柱にした発達保障 3
  • 4.
    人間の発達の道すじ • 人の発達の道すじには、順序性がある • 発達の道すじは、なだらかな坂ではなく、階段上に なっている=階層的構造 • 発達の道すじには、「発達が大きく変化する時期」 がある=発達の質的転換期(田中 1987) • 発達は量的な積み重ねだけでなく、質的な転換を遂 げる時期がある;生後6・7ヶ月、1歳半、9歳 4
  • 5.
    発達には節目がある • 発達の質的転換期をのりこえるためには、多くのエ ネルギーが必要=<発達の節目 発達の壁>の超えに くさがある • 節目をのりこえていく発達の原動力は、それぞれ 4ヶ月、10ヶ月、5歳後半に生じる • 発達の原動力を充実させて、節目を乗り越えていく ことを支える=みかけの発達にとらわれない 5
  • 6.
    内面の発達における発達段階 • 4ヶ月;見比べの力、正面を捉える力 • 6、7ヶ月;選ぶ力の獲得、「モウヒトツ」 • 10ヶ月;既知と未知との見比べ、三項関係の成立 • 1歳;「・・・シツヅケル」 定位的操作 • 1歳半;「・・・デハナイ・・・ダ」、自我の誕生 • 2歳代;表象の獲得、自我拡大、対比的弁別認識 • 3歳〜4歳半ば;自我の充実、自制心、自励心 • 5歳半ば;「間」の形成、「理(ことわり)」を知る • 9歳;概念の獲得、「集団的自己」の形成 6
  • 7.
  • 8.
    4ヶ月 人知り初めし微笑み • 生後第1の新しい発達の力 • 動くから動かす(随意的な動き)へ • 親指と人差し指の連動 • 感覚と運動の協応の芽生え • 自分に働きかけてくれるものの認識 • 正面でとらえる力 「ミツケタ!」という目の表情 ➞積極的な外界への働きかけ (「見たい」「触れたい」「近づきたい」・・・) 8
  • 9.
    6,7ヶ月の発達の質的転換期 • 可逆操作の芽生え(連結可逆操作) – 寝返り、見返し、持ちかえ、見比べ…選ぶ力 • 人見知りの出現と、立ち直り(可逆対交流) • 模倣と表象獲得の初期徴候の出現 • 赤ちゃんの手とモノを結ぶ連結点(結び目) の出現初期 • 初期喃語 親しい人の声に顔を向ける 9
  • 10.
    あそびの姿の特徴 ① 全身を使ってあそぶ;運動あそびや感覚あそび   保育者のはたらきかけが中心となる  Ex. ひざのうえでジャンプ たかいたかい ボールをころがして追いかける     くすぐってもらう ゆすぶり ② いないいないばあなどのあやしあそび   大人からあやしかけられることを楽しむ   ➞他者と関わる期待、かくれんぼなどのルールあそびへの原動力 ③ ものごとへの関心を向けたり、遊具であそぶ   見て楽しんだり、感触を楽しむ 10
  • 11.
    1歳半の発達の質的転換期 • 「・・・デハナイ・・・ダ」の獲得(一次元可逆操作) – 切り換え、自分で選ぶ、自分で決める • 立ち直り、粘り強さ、心の深まりを獲得する時期 • 共感し合うまなざし – 「自分も嬉しいし、相手も嬉しい」;共感性の高まり • 一次元可逆操作の活動の展開を通して、自我がしっかり と誕生してくるさまを捉えていく 11
  • 12.
    あそびの姿の特徴 ① モノに接近し関わりながら、全身を使ってあそぶ  Ex. ボールを転がす 乗り物をこぐ すべり台 ② 大人の力を積極的に借りてモノと関わるあそび   他者への期待・信頼をこめた活動への意欲  Ex. 三輪車やブランコに乗って、保育者に押してもらう ③ 自分から大人へ関わってあそぶ、保育者の期待を読 み取ってあそぶ  Ex. 追いかけあそび(子どもが保育者を追いかける) 追いかけかく れあそび 12
  • 13.
    あそびの姿の特徴 ④ 生活の一場面の再現;   生活の動作を再現して楽しむようになる  Ex. 食べる 飲む 寝かせる… まねっこあそびも豊富に ⑤ 「ジブンデ」を存分に発揮できるような外界への働きかけ   意図を持った活動=創作活動の前駆的萌芽  Ex. 積木を積み上げては倒す ひもとおし 小麦粉粘土… ⑥ リズムに合わせたり、大人と動作を共有するあそび  「ふり」やタイミングを合わせることのおもしろみ 13
  • 14.
    1歳半の発達における大人の役割 • 子どもの“発達したい”と願う気持ちを励ます存在 • 「ほめて」のまなざしを受け止め、評価し、喜びあ うことが、子どもがさらに次の活動に向けてがんば ろうとする契機をつくる • 「できたね、上手だったね」と、ひとつひとつの行 動がしめくくられ、自分が何をしていたかを子ども に伝えること • 「◯◯しようね」と誘いかけ、「おもしろいね」と楽 しみ、「楽しかったね」としめくくることが繰り返 されることで、子どもはその行動の主体となってい く 14
  • 15.
    一次元可逆から二次元形成へ • 1歳頃の、「・・・シツヅケル」という、同じ活動を繰り返す なかで、最後までやりきる力を充実させていく  ➞「・・・デハナイ・・・ダ」一次元可逆操作の力の獲得    ひとつの活動のなかで行動を切り替える力 ・・・往復、方向転換、双方向のかかわり  ➞一次元可逆の力を使いながら、いくつかの行動を組み合せた り、積み重ねる ➞ 大文字のⅠ次元活動の展開 • 「・・・デハナイ・・・ダ」の力をもって、「オナジ」「マ タ」「モウヒトツ」の力の芽生えを支える   (「・・・シテ・・・スル」という2歳代の力へ) 15
  • 16.
    1歳後半の子どもへの関わり • 子どもが「・・・デハナイ・・・ダ」が行えるよう な、時間的・空間的「間」を大切にする • 対に出した2つの中から1つを「選択する」経験を 大切にする • 活動の「到達」「締めくくり」を意識できるよう、 満足感が得られるような声掛けや関わりを • わかりやすい活動と見通しの提示により、自発的に 関わる経験・参加を促す • 「真似したい」「わかる」という気持ちに働きかけ ながら、繰り返しの中で喜びを高めていく 16
  • 17.
    1歳半の節目の大切さ • 対人関係の基礎が完成する時期 • 行きつ戻りつ、の矛盾を捉える力   →自ら外界に働きかけ、修正していく力 • 見比べる、立ち止まる、切り替える…   →自己選択・自己決定の基本 • 共感性・全体性の発達的萌芽 17
  • 18.
    共感する • 1歳半;他者の活動を見て、模倣や見立ての 力を使い、自分の関心や世界を広げていく • 違う活動への挑戦や、ひとつひとつの活動へ の達成感を得ること • 活動の最中、相手とさかんに視線を共有して 、何度でも立て直して挑戦できる力を育むこ と • 共感が弱いと、限定されたものや場所で自分 だけの遊びを展開する傾向に18
  • 19.
    全体を見てから行う • 1歳半;一次元可逆操作の獲得 • 部分ではなく全体を見て行う(見て・考え て・行う)という内面的な思考や操作を獲得 する • うまくいかないとき「別の」試し方ができ る・失敗から学習する力を育む • 「間」がなく、反応的な行動を行う、同じや りかたに固執する、失敗した部分だけ修正す ることが難しい・・・19
  • 20.
    2歳代 自我の発達 • 1歳半:一次元可逆操作 – 「・・・デハナイ・・・ダ」を獲得する「自我の誕生」の 時期 • 2歳前半:二次元形成 – 「・・・シテ・・・スル」の獲得と「自我の拡大」の時期 • 2歳後半:2つの世界の対比、往来 – 二次元的認識の出現と、自我の充実の時期 • 2歳児の基本的特徴;内面性が広がって、その広が りが豊かな自我をつくっていくこと 20
  • 21.
    表象の発達 • 表象;こころの中に何かを思い浮かべること • 「・・・シテカラ・・・スル」ためには、表象の機 能が必要  ※最初の表象の成立は1歳半頃                 生活の中の行動の模倣、再現 – 1歳後半になると、「見たものや聞いたものへの反応」だ けでなく、自分の頭の中にある表象を基にした行動がみら れるようになる – 行動目標が内面化し、「ジブンデ」の満足感、欲求がより 明確に 21
  • 22.
    概念の発達 • 1歳後半では、モノや行為についての表象をつくり 、内面形成を行う • 2歳代になると、「それ自体目に捉えにくい」概念 を理解し始める ・・・大小、長短、上下、重 軽・・・ • 喜怒哀楽の感情も徐々にまとまりをもったものに • “先に見たものの関心を残しつつ”、“いま目の前にあ る事柄”に向かう力;「オンナジ」「マタ」「イッパ イ」「○○ミタイ」 22
  • 23.
    2歳の自我 • 外の世界を確かめ関心を広げながら、自分の力を試 していく;イメージを持って自分の体を動かす • 2歳代の思考様式は「あっちかこっちか」;「イ ヤ」「ダメ」が多いのはそのため;選択の力の原動 力 • 自我拡大から自我充実へ;「イヤ」「ダメ」「モッ ト」をばねにして、「モット・・・シタイ」という 欲求を充実させる • 「憧れ」や「大好き」という気持ちを育み、受け入 れる 23
  • 24.
    2歳の自我 • 「・・・シタイ」と「・・・デキナイ」の間で揺れ る – 矛盾との葛藤;「心の杖」やくせ • 自分の意思で外界と関わりをもてるうれしさと、そ れを伝えたい、認めてもらいたい気持ち • 2歳の自我の育ちは単なる自己主張の育ちではなく 、自分の領域を知り、広げていく一方で、相手の要 求や気持ちに気づき、認めていく作業 24
  • 25.
    生活の主体へ • つもり・見立ての力をもって「大きい自分」を感じる • 「自分で選び自分でする」喜び、自分で重み付けする力 • 対認識を発達的抵抗として、選択する力を身につけてい く過程 • 自分の領域を大切にしてもらう経験 • 表現活動や、「素材‐道具」の接近 • 活動の終わりを大切に • 認めてもらいたいことを認めてもらうこと;他者や環境 に気持ちを配る原動力 25
  • 26.
    あそびの姿の特徴 ① みたて・つもりを楽しむあそびの姿(イメージの力の充実)  Ex. つもりのある追いかけかくれあそび  ※ 模倣あそびから役割あそびへ  ・・・単なる生活動作の再現ではなく、印象深かった動作を再現する       行為から物語へ ➞ 自分への重み付けの始まり  ※ もてあそびから制作あそびへ  ・・・積木やブロックを「構成」し、できあがったものに名前をつける 、     砂や土、水をつかって山や川をつくる… ② 「・・・シナガラ・・・スル」(3歳代の力)の原動力  Ex. 歌いながら動作をする 動作を見ながらまねる 相手と合わせる 26
  • 27.
    5,6歳代 真ん中を捉える • 2、3歳代;対比的認識・二分的弁別思考 • 4歳代;自制心、自励心の芽生え • 5歳から6歳にかけて;系列化「中くらい」の獲得 • 筋道立てて考え、表現する力を蓄えていく時期 • 他者に思いを託す…相手の「感情」への気づき • お友達と目標を共有し、みんなのためにがんばる自 分を見つけていく…「仲間」の発見 27
  • 28.
    9歳の発達の質的転換期 • 系列化操作の獲得;部分と全体の関係を捉える – 全体のまとまりと、関係を捉える;優先順位の出現 – 文脈形成の広がり;「道順」から「地図」へ • 概念理解の深まり – 「保存」の力、記号化、置き換え、学習言語の獲得 • 集団的自己の芽生えと自己客観視の力 – 「我々」意識と、仲間からの承認欲求の高まり • 相互関係理解の力;どっちの気持ちもわかるよ – 多面的な関係理解;本音と建前 28
  • 29.
    学齢期という世界 • 学校と学童と家庭と – 過ごす場で「顔」を変える子どもの姿 • 広がる生活空間=ギャング・エイジ – 「自分の」世界から「自分たちの」世界へ – 大人とは違う、子どもの世界の認識 • 内言の獲得と定着 – 本音と建前 – 相手の「考え」を読む力 29
  • 30.
    乳児期に大切にしたいこと • 1歳半の節目をしっかり見る – 見比べの力;選択する力 – 三項関係;共感性 • 愛着形成 – 親子関係、基本的信頼感 • 基本的生活習慣の獲得 – よく食べ、よく遊び、よく眠る… • 安心・安全な関係のなかで、人への信頼感を育み、 自分の力をめいっぱい発揮できる環境を 30
  • 31.
    幼児期に大切にしたいこと • 葛藤を支える – 「上手=下手」、「できる=できない」を超えて • 「がんばる」を支える – 自制心・自励心の芽生えを見つめる • 表象の力を育む – 経験したことを表現する力 – 「相手」を知り、「ルール」を知る • 自分のことを理解してもらう経験を通して、 相手を理解し、自分を調整する力を育む 31
  • 32.
    学齢期に大切にしたいこと • 3つの「間」を意識する – 時間・空間・仲間 • 探検と冒険 – 自分で価値を創りだすことを応援する • 「自分で」「仲間と」 – 自分で決め、自分でがんばる – 憧れをもちながら、自分を認められるように • 活動に連続性を持ちながら、それを広げていく。周 りとともに育つ自分を感じられる働きかけを 32
  • 33.
    発達支援の役割 • 子どもを見立てる • 集団を見立てる • 見通しをもつ • 共通言語を見つける 発達段階と発達課題に応じた子どもの 主体的な挑戦を支え、子どもの内なる 発達の力(願い)を信頼すること 33
  • 34.
    子ども理解のための発達の視点 • 発達課題を捉える;発達要求を押さえる – 自我の芽生え・自我拡大・充実を意識した子ども理解 • 発達は単独の機能ではなく、連関で捉える – タテとヨコの発達、それを支える内面の発達 • 個別から集団への誘いかけを意識して – 閉じた楽しい経験だけでなく、他者を意識すること、活動を ともにすること、ぶつかりあうことの大切さを • 自他の意図の調整の力を育む – 自分を認められる力、立ち向かい、立ち直る力を 34
  • 35.
    仲間のなかで(白石 2011) (1)子どもが真に主体になるために  大人は「意図」や「つもり」がはっきりしている  子どもは、不安もあるけど、魅力的 (2)誰もが長い時間をかけて、他者との多様で具体      的な応答関係を通して成長していく  友だちとの関係を通して、一人ひとりかけがえのない自分を  つくり、自我を育んでいく  子どもたちの発達に必要な「矛盾」を奪っていないだろうか、  答えを早く求めすぎていないだろうか 35
  • 36.
    仲間のなかで(白石 2011) (3)一人ひとりの育ちと、集団としての育ちを  集団も個人も行きつ戻りつ 矛盾を食べながら発達する (4)あそびや文化の意味  魅力ある文化、音楽、リズム、憧れでつながっていく子ども  あそびの中では、子どもの発達や能力の差が「格差」ではなく  「もち味」「その子らしさ」になる  情動的共感、共有の大切さ―共有体験そのものが希薄になっ  ている現在だからこそ 36