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熱傷患者の菌血症 ～受傷後時期による違い～
- 1. 熱傷患者の菌血症 ～受傷後時期による原因菌の違い～ JCHO 中京病院 救急科 黒木雄一 大西伸也 大熊正剛 松浦裕司 宮尾大樹 中島紳史 大須賀章倫 上山昌史 形成外科 浅井真太郎 飛田晶 林絵美 須藤大雅 寺嶋咲絵
- 4. 菌血症の頻度，原因菌，抗菌薬感受性は 受傷後時期により変化しうる 手 術 手 術 手 術 手 術 手 術 抗菌薬 抗菌薬 抗菌薬 抗菌薬 人工呼吸 カテーテル 院内感染（水平感染） 受傷後日数
- 5. 菌血症の頻度，原因菌，抗菌薬感受性は 受傷後時期により変化しうる 手 術 手 術 手 術 手 術 手 術 抗菌薬 抗菌薬 抗菌薬 抗菌薬 人工呼吸 カテーテル 院内感染（水平感染） 受傷後日数
- 8. 方法1_血液培養 • 血液培養実施基準の設定なし（主治医の判断 で実施） • 1回2セット • 1セット以上から菌が検出された場合を陽性 と判定
- 9. 方法２_血液培養実施時期の分類 血液培養が実施された日を，受傷後日数（d） により以下の５つのPhaseに分類 Phase 1：0-3d Phase 2：4-7d Phase 3：8-14d Phase 4：15-28d Phase 5：29d-
- 10. 患者背景 血培あり 血培なし P value 患者数 37 43 年齢 中央値（最小-最大） 70（18-91） 53（0- 89） 0.024 男/女 25/12 21/22 0.115 TBSA % 中央値（最小-最大） 26（4-85） 12（2- 95） ＜0.001 Burn Index 中央値（最小-最大） 18（2-75） 6（1-95） ＜0.001 気道熱傷 n(%) 17（46） 10（23） 0.037 受傷原因 n(%) 0.004 火炎 高温液体 電撃傷 28（75） 8（21) 1（2） 17（39） 22（51） 1（2） 死亡 n(%) 5（13） 4（9） 0.726
- 12. Phase 1（0-3d） 血培実施患者数：18/37 血培陽性患者数：2/18 0 1 2 PIPC CEZ CTM CAZ GM LVFX IPM S R 0 1 2 G+ G- B群溶連菌 MSSA
- 13. Phase 2（4-7d） 血培実施患者数：22/37 血培陽性患者数：4/22 0 1 2 3 4 G+ G- 0 1 2 3 PIPC CEZ CTM CAZ GM LVFX IPM S R ※MRSAを除く MRSA 緑膿菌 クレブシエラ エンテロバクター 大腸菌
- 14. Phase 3（8-14d） 血培実施患者数：21/37 血培陽性患者数：6/21 0 2 4 6 G+ G- 0 1 2 3 4 5 6 PIPC CEZ CTM CAZ GM LVFX IPM S R ※MRSAを除く MSSA MRSA 腸球菌 緑膿菌 大腸菌 マルトフィリア
- 15. Phase 4（15-28d） 血培実施患者数：18/37 血培陽性患者数：10/18 0 2 4 6 8 10 G+ G- 真菌 カンジダ 0 2 4 6 8 10 PIPC CEZ CTM CAZ GM LVFX IPM S R ※MRSAとカンジダを除く CNS 腸球菌 MRSA MSSA 緑膿菌 セラチア マルトフィリア エンテロバクター
- 16. Phase 5（29d-） 血培実施患者数：11/37 血培陽性患者数：9/11 0 5 10 15 20 G+ G- 0 2 4 6 8 10 12 14 PIPC CEZ CTM CAZ GM LVFX IPM S R ※MRSAを除く MRSA CNS 緑膿菌 クレブシエラ エンテロバクター アシネトバクター 大腸菌 シトロバクター セラチア マルトフィリア
- 17. Phase 5（29d-） 血培実施患者数：11/37 血培陽性患者数：9/11 0 5 10 15 20 G+ G- 0 2 4 6 8 10 12 14 PIPC CEZ CTM CAZ GM LVFX IPM S R ※MRSAを除く MRSA CNS 緑膿菌 クレブシエラ エンテロバクター アシネトバクター 大腸菌 シトロバクター セラチア マルトフィリア
- 18. 死亡症例 No. 年齢 性 TBSA Burn index 0-3d 4-7d 8-14d 15-28d 29d- 生存 日数 1 88M 35 35 Ope ① ② 35 血培 MSSA MSSA MSSA MRSA ｴﾝﾃﾛﾊﾞｸﾀｰ 2 74M 85 75 Ope ① ② ③④ ⑤⑥ 61 血培 GBS 大腸菌 ﾏﾙﾄﾌｨﾘｱ ﾏﾙﾄﾌｨﾘｱ 緑膿菌 緑膿菌 3 81M 45 28 Ope ① ② ③④ ⑤⑥ 59 血培 ｴﾝﾃﾛﾊﾞｸﾀｰ 大腸菌 4 74M 52 49 Ope ① ② ③ ④⑤ 102 血培 ｼﾄﾛﾊﾞｸﾀｰ ｸﾚﾌﾞｼｴﾗ 5 77F 65 65 Ope ① ② ③ ④ ⑤ 50 血培 MRSA ｾﾗﾁｱ ｾﾗﾁｱ
- 19. 死亡症例 No. 年齢 性 TBSA Burn index 0-3d 4-7d 8-14d 15-28d 29d- 生存 日数 1 88M 35 35 Ope ① ② 35 血培 MSSA MSSA MSSA MRSA ｴﾝﾃﾛﾊﾞｸﾀｰ 2 74M 85 75 Ope ① ② ③④ ⑤⑥ 61 血培 GBS 大腸菌 ﾏﾙﾄﾌｨﾘｱ ﾏﾙﾄﾌｨﾘｱ 緑膿菌 緑膿菌 3 81M 45 28 Ope ① ② ③④ ⑤⑥ 59 血培 ｴﾝﾃﾛﾊﾞｸﾀｰ 大腸菌 4 74M 52 49 Ope ① ② ③ ④⑤ 102 血培 ｼﾄﾛﾊﾞｸﾀｰ ｸﾚﾌﾞｼｴﾗ 5 77F 65 65 Ope ① ② ③ ④ ⑤ 50 血培 MRSA ｾﾗﾁｱ ｾﾗﾁｱ
- 20. 死亡症例 No. 年齢 性 TBSA Burn index 0-3d 4-7d 8-14d 15-28d 29d- 生存 日数 1 88M 35 35 Ope ① ② 35 血培 MSSA MSSA MSSA MRSA ｴﾝﾃﾛﾊﾞｸﾀｰ 2 74M 85 75 Ope ① ② ③④ ⑤⑥ 61 血培 GBS 大腸菌 ﾏﾙﾄﾌｨﾘｱ ﾏﾙﾄﾌｨﾘｱ 緑膿菌 緑膿菌 3 81M 45 28 Ope ① ② ③④ ⑤⑥ 59 血培 ｴﾝﾃﾛﾊﾞｸﾀｰ 大腸菌 4 74M 52 49 Ope ① ② ③ ④⑤ 102 血培 ｼﾄﾛﾊﾞｸﾀｰ ｸﾚﾌﾞｼｴﾗ 5 77F 65 65 Ope ① ② ③ ④ ⑤ 50 血培 MRSA ｾﾗﾁｱ ｾﾗﾁｱ
- 21. まとめ • 受傷後4日以降になると，MRSA以外に，緑膿菌 をはじめとするグラム陰性菌が血液培養から検 出されるようになる • 抗MRSA薬とともに，緑膿菌を含むグラム陰性 菌をカバーする抗菌薬を投与する必要がある • 死亡症例を分析すると，受傷後4週間を過ぎて も創閉鎖できず，グラム陰性菌による菌血症に おちいり，敗血症性多臓器不全により死亡する という経過をたどっていた • 菌血症に対する適切な抗菌療法とともに，遅く とも4週間以内の創閉鎖を目指すことが治療の 鍵を握ると思われる