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小児と高齢者のヤケド予防
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Yuichi Kuroki
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当院に最近入院した熱傷患者の統計から,特に小児と高齢者がヤケドする原因を集計し,予防策について考えました.
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小児と高齢者のヤケド予防
1.
ヤケドの予防について考える 中京病院 救急科 黒木 雄一
2.
内容 1. 中京病院と熱傷 2. 子どもがヤケドする原因 3.
子どものヤケドの予防策 4. 高齢者がヤケドする原因 5. 高齢者のヤケドの予防策
3.
内容 1. 中京病院と熱傷 2. 子どもがヤケドする原因 3.
子どものヤケドの予防策 4. 高齢者がヤケドする原因 5. 高齢者のヤケドの予防策
4.
5.
6.
0 20 40 60 80 100 120 熱傷入院患者数(2016-20) 男性 女性
7.
0 20 40 60 80 100 120 熱傷入院患者数(2016-20) 男性 女性
8.
内容 1. 中京病院と熱傷 2. 子どもがヤケドする原因 3.
子どものヤケドの予防策 4. 高齢者がヤケドする原因 5. 高齢者のヤケドの予防策
9.
0 20 40 60 0歳 1歳 2歳
3歳 4歳 5歳 6歳 年齢別分布 男 女 ➢ 年齢別に見ると、1歳が最多で、0歳が続きました. ➢ 98%は高温液体が原因でした.
10.
子どもの高温液体熱傷の統計 ~受傷原因~ 年齢 0歳 1歳
2歳以上 数 32(男20女12) 48(男36女12) 22(男15女7) 受 傷 原 因 1位 電気湯沸器(11) お椀の湯(9) 鍋の湯(7) 2位 お椀のスープ(5) 電気湯沸器(8) 鍋のスープ(5) 3位 鍋のスープ(4) 鍋のスープ(6) 急須のお茶(6) 電気湯沸器(3) ※電気湯沸器とは「電気ポットまたは電気ケトル」のことです。 (電気ケトルを電気ポットと間違えてカルテに記載している可能性が高いため、 このような表記としました)
11.
子どもの高温液体熱傷の統計 ~高温液体のあった場所~ 年齢 0歳 1歳
2歳以上 数 32(男20女12) 48(男36女12) 22(男15女7) 置 い て あ っ た 場 所 1位 テーブル(21) テーブル(33) キッチン(13) 2位 キッチン(7) キッチン(12) テーブル(7) 3位 浴室(2) 床(2) 浴室(2) 浴室(2)
12.
ヤケドのメカニズム_0歳 ➢受傷原因は電気湯沸器(電気ケトルまたは電気ポット)が 最多でした。 ➢高温液体の存在場所はテーブルが最多でした。 ➢6か月を過ぎると、ハイハイやつかまり立ちができるように なり、テーブルの上の電気ケトルなどを倒して受傷するのが 典型的なパターンです。
13.
ヤケドのメカニズム_1歳 ➢受傷原因はお椀の湯が最多でした。 ➢高温液体の存在場所はテーブルが最多でした。 ➢1歳になると,歩き回ったり,上にあるものをつかもうとするようになります。 ミルクを温めるために、熱湯の入ったお椀やボウルをテーブルに放置して おくと、こどもがテーブルクロスを引っぱるなどしてお湯がこぼれてヤケド するのが典型的パターンです。
14.
ヤケドのメカニズム_2歳以上 ➢受傷原因は鍋の湯が最多でした。 ➢高温液体の存在場所はキッチンが最多でした。 ➢2歳以上になると,さらに行動が活発になります。調理中の鍋の 柄をつかもうとしたり、調理中の親に体当たりして熱湯がこぼれて 受傷するのが典型的パターンです。
15.
電気ケトル 電気ポット 加温・沸騰機能 あり
あり 保温機能 ないものがほとんど あり 電気コード 本体に固定 マグネット式プラグ JIS規格 なし あり ➢ 2000年代に入り、すぐにお湯を沸かせる製品として、電気ケトル が急速に普及してきています。 ➢ 同時に、電気ケトルの湯がこぼれて受傷するこどもが急速に増加 しており、日本小児科学会からも警告が出ています。
16.
➢電気ケトルは電気コードが本体に固定されているため倒れやすい です。 ➢電気ケトルには湯こぼれ防止機能などに関するJIS規格がなく、 とくに外国製のものはお湯がこぼれやすいです。 国民生活センター 「電気ケトルによるやけど事故に注意!」より
17.
➢ 今回の統計によると、電気ケトルまたは電気ポットの湯による熱傷は、手術が 必要な深いヤケドになる頻度が他の原因と比較して約6倍になることがわかり ました。 要手術 保存治癒 約6倍
18.
➢電気ケトルの熱湯は高温のため,手術が必要な深いヤケドになり やすいと考えられます. 電気ケトルの熱湯による 深いヤケド 植皮手術
19.
内容 1. 中京病院と熱傷 2. 子どもがヤケドする原因 3.
子どものヤケドの予防策 4. 高齢者がヤケドする原因 5. 高齢者のヤケドの予防策
20.
予防策1.電気ケトルに注意 ➢ 電気ケトルまたは電気ポットは0歳の受傷 原因1位、1歳の受傷原因2位でした。 ➢ 手術が必要になる深い熱傷となる頻度が他 に比較して6倍でした。 ➢
電気ケトルや電気ポットは台所の奥などに 置き、テーブルの上には決して置かないよ うにしましょう。
21.
予防策2.テーブルの上に熱湯を置かない ➢ ヤケドの原因となる高温液体の置き場所として、 0歳と1歳ではテーブルが第1位でした。 ➢ ちゃぶ台などの低いテーブルに熱湯を置かない ようにしましょう。 ➢
高いテーブルでも油断は禁物です。こどもが小 さいうちは、テーブルクロスを使わないように しましょう。
22.
予防策3.子どもをキッチンに近づけない ➢ キッチンの鍋の熱湯やスープによる受傷が2歳以上の受傷原因 第1位でした. ➢ キッチンに柵を設置するのがベストです.
23.
内容 1. 中京病院と熱傷 2. 子どもがヤケドする原因 3.
子どものヤケドの予防策 4. 高齢者がヤケドする原因 5. 高齢者のヤケドの予防策
24.
0 20 40 60 80 100 120 熱傷入院患者数(2016-20) 男性 女性
25.
後期高齢者の受傷原因(117例中) 1位 2位 3位 4位 5位 6位
26.
後期高齢者の受傷原因(117例中) 1位 2位 3位 4位 5位 6位 仏壇(6例)
27.
6位:仏壇(6例) ➢仏壇のロウソク火が着衣に着火 して起こります. ➢全例が女性でした. ➢全例で手術が必要でした. ➢3ヶ月以上の入院が必要となっ た例もありました.
28.
後期高齢者の受傷原因(117例中) 1位 2位 3位 4位 5位 野焼き(10例) 6位 仏壇(6例)
29.
5位:野焼き(10例) ➢多くの自治体で禁止されています. ➢全例が男性でした. ➢全例で手術が必要でした. ➢筋骨に達する熱傷となり,腕や脚の切断 を要した方が2例いました. ➢1例が熱傷創感染による敗血症で亡くな られました.
30.
後期高齢者の受傷原因(117例中) 1位 2位 3位 4位 風呂(17例) 5位 野焼き(10例) 6位
仏壇(6例)
31.
4位:風呂(17例) ➢ 追い焚きをしたまま熱中症で意識を失う ことが原因で起こります. ➢ 熱傷性ショックなどで8例が亡くなられ ました. ➢
ヤケドしない程度の温度でも,入浴中に 心肺停止となり搬送される方が後をたち ません.
32.
後期高齢者の受傷原因(117例中) 1位 2位 ストーブ関連(22例) 2位 家屋火災(22例) 4位
風呂(17例) 5位 野焼き(10例) 6位 仏壇(6例)
33.
2位:家屋火災(22例) ➢ 煙を吸い込むことによる吸入損傷を合併す ることが多いです. ➢ 吸入損傷に続発した一酸化炭素中毒や肺炎, 広範囲熱傷による熱傷性ショックなどで10 例が亡くなられました.
34.
2位:ストーブ関連(22例) ➢ ストーブ上のヤカンの熱湯(10例),ストーブの火(9例), ストーブへの接触(3例)が原因でした. ➢ 15例で手術が必要でした. ➢
3例が熱傷創感染による敗血症などで亡くなられました. ➢ ストーブ関連熱傷は,子どもが祖父母宅でヤケドする(い わゆる「おばあちゃんち熱傷」)原因にもなります.
35.
後期高齢者の受傷原因(117例中) 1位 調理関連(25例) 2位 ストーブ関連(22例) 2位
家屋火災(22例) 4位 風呂(17例) 5位 野焼き(10例) 6位 仏壇(6例)
36.
1位:調理関連(25例) ➢ コンロの火による着衣着火(13例),調理中の高温液体によ るもの(12例)が原因でした. ➢ 18例で手術が必要でした. ➢
原疾患の悪化などにより2例が亡くなられました.
37.
内容 1. 中京病院と熱傷 2. 子どもがヤケドする原因 3.
子どものヤケドの予防策 4. 高齢者がヤケドする原因 5. 高齢者のヤケドの予防策
38.
原因 対策 調理関連 電磁調理器の使用 ストーブ関連
エアコンの使用 家屋火災 火災予防 風呂 家族の監視・追い焚き禁止 野焼き 野焼きしない 仏壇 LEDロウソクの使用
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