先端研読書会討論
- 3. 政治学者が本書に興味を持つ理由
• 政治学は基本的に分析対象として政治エリー
トに注目する傾向.
• 草の根の保守運動などはよほど影響力を持た
ない限り無視しがち.
• しかし実際には自民党系議員の選挙などに保
守の活動家や勢力(統一教会関連団体など)
は関与.
• 本書は政治学者があまり分析の対象としてこ
なかった保守運動とフェミニズムを扱ってい
るので,情報として興味深い.
- 4. 本書のトピック
• 「男女共同参画」や「ジェンダーフ
リー」という言葉の使用に端を発する,
フェミニズムと保守系反フェミニズム運
動との係争(本書まえがきi)
- 9. 総括的なコメント
• フェミニズム側の立場からの自分たちの
運動に対する真摯な反省と分析.
• 「敵」から学ぶ姿勢.
• 思想的な立場の違いとコミュニケーショ
ンの可能性について示した力作.
• 学者と社会との関係を検討する好材料.
• 聞き取りなどのフィールド・ワークに関
心をもつ学生に読ませたい本.
- 12. 第2章
• 条例制定の政治過程:これ自体興味深い
行政主導の条例案制定
→保守側が議員を使って修正
• 「上に立つ側のフェミニスト」批判
• 「利権」化する「男女共同参画」
• 「実際誰が救済されているのか?」
• 「不毛な対立」(p.98)
• 成果なく,脅威にもならなくなったフェ
ミニズム.
- 14. 疑問点
• 保守側の分裂と議会のつながりがよく見
えない印象.
• 「千葉展正VS山口敏昭」はわかるが,そ
れと県議会および自民党県議団の動きが
どうリンクしているのかが見えない.
• 「金権千葉」の体質と条例制定の問題と
がどう絡んでいるのかが見えない.
- 18. 疑問
• なぜ男女共同参画推進センターのみが図
書館機能を備えた情報資料室を持つの
か?(同和,外国人,障害者関連施設に
ない)
• 第5章はこの問いに直接答えていないよう
に見える.
• しかし,上野千鶴子ら撤去された本の著
者の対応をもって答えているようにも読
める.
- 22. 第7章:情弱としてのフェミ
• p.291 「『ジェンダーとメディア研究』で
は,個別具体的な問題点や実態を検証する実
証的な研究よりも,理念的な議論による研究
が中心となる傾向が次第に強まっていっ
た.」
• なぜ? 業績の作りやすさ? 行政との関
係?
• p.305「学者やジャーナリストらがフェミニ
ズム運動をリードするようになり,行政やマ
スメディアへの批判に及び腰となっている現
状」