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マインドマップを教室で使おう!
マインドマップを教室で使おう!
     導入をお考えの先生のための
  マインドマップ指導事例とテンプレート集




 かきにくい子のための
  コピーしてすぐ使える
   テンプレートです!!
日本の教育の将来を真剣に考えているあなた様へ


どうすれば、 子どもたちが主体的に学習に取り組めるんだろう?
どうすれば、 お互いが認め合う人間関係のクラスに成長するんだろう?
どうすれば、 時間に追われずに仕事をこなすことができるんだろう?

あなたもそんな悩みをかかえていませんか?


あなたは一生懸命教育現場に身をささげ、
毎日を子どもたちのために生きているのに
デイタイムは、 授業と子どもの相手に追われ、
放課後は雑務や教材研究、 さらには保護者対応に追われ、
真剣に、 まじめに、 情熱的に取り組めば取り組むほど
自分が疲弊しているように感じませんか?


あなたは、 一生懸命がんばっているのです。
この冊子で紹介しているマインドマップというツールは、
きっとそんな一生懸命なあなたを助けてくれるツールのひとつになるはずです。


マインドマップってなに?


そう思いませんでしたか?
私もそうでした。
黒板いっぱいにマインドマップを描いたら、 同僚に
「宇宙人の授業ですね。」
と言われてしまいました。
しかし、 その威力は想像を絶します。


子どもたちは、 目を輝かせて、 自ら学びます。
学ばせておけばいいので、 自分の手も空き仕事に余裕がでてきます。

そんな魔法のようなツールを少しだけ紹介させてもらいます。
では、 なぜこの冊子に載っているようなテンプレートを作ったのかをお話しますね。


「マインドマップは、 教育現場にこそ必要だ!」
と感じた私は、 早速に子どもたちにかかせてみました。
すると ・ ・ ・
自由闊達にペンを動かす子と白紙の用紙を見つめたままじっとする子に
クラスが二分されてしまいました。


あっちゃ~


私の予想は、 まったく当たらなかったのです。
私はクラス全員が、 のびのびと自由に描いている姿をイメージしていたのです。
よくよく見るといわゆる勉強が苦手な子の方が自由にかいており、
勉強ができる子の方の手が止まっているという感じでした。


直感的に
白紙の紙に自由に絵を描いたり、
何もない状態で1から物事を考えたりする経験が少ないんだろうなぁ
と感じました。


学校現場で、 子どもたちの取り組みとして、 マインドマップを提示した場合には、
ある程度かける状態まで、 教師がかかわる必要がでてきます。
そこで、 かけないこどもたちを観察し 「何がかけないのか?」 を調べてみました。


手が止まっている子のパターンは、 大きく分けて二通りです。
 ①セントラルイメージからかけない。
 ②セントラルイメージはかけるが、 ブランチがかけない。
どちらの場合もそうですが、 「正しく」 描こうとするあまり手がとまっている状況に陥っているようです。
「正解はないんだよ」
「自分の頭に浮かんだとおり描けばいいんだよ」
と言ってもなかなか手が進まないのが現状です。
セントラルイメージがかけない子は、 もともと絵が苦手な子が多いです。
また、 ブランチがかけない子は、 「どうかいていいのかがわからない」 という状況だったんですね。
このことがわかったので、 「それならば」 ということで、 テンプレートを作ったのです。
セントラルイメージがかけなかったり、 ブランチがかけなかったりすることがストレスになって、
本来してほしい発想やひらめきがブロックされないようにしたかったのです。
テンプレートを使うことは、 白紙の紙を使うことに比べ、 脳に規制をかけることになりますが、
かきにくい子に 「発想やアイディアが生まれる」 体験をして欲しかったのです。


そういったことを念頭に、 徐々に白紙の紙でもマインドマップをかくことができるようにということで、
初めはテンプレートを4つに分けました。
次のページから4ページにわたって 「すきなもの」 をテーマにマインドマップをかく場合のテンプレートを
示しているのでご覧ください。
  【入門編】 セントラルイメージ ・ ブランチ ・ 基本ワードあり
  【初級編】 セントラルイメージ ・ ブランチあり
  【中級編】 ブランチあり
  【上級編】 何もなし




            例:6年生がかいた【すきなもの】のマインドマップ
マインドマップをかこう!(入門編)

テーマ【好きなもの】


       植物                                     教科
                                    校          先生
      動物            生きも の          学




                                                  あ
                                                   そ
      人




                                                      び
                               組   食
                              番               おかず
                            TV         物



                                    べ
           アニメ
                    テ
                        ィ                     おか
                                                  し
               エ




                ラ
            バ
                                              麺
                                               類




                                        なまえ
マインドマップをかこう!(初級編)

テーマ【好きなもの】




                    なまえ
マインドマップをかこう!(中級編)

テーマ【好きなもの】




                    なまえ
マインドマップをかこう!(上級編)

テーマ【好きなもの】




                    なまえ
「ぞうさんの話を聞いて」という短作文の実践の紹介

では、少し授業での取り組みも紹介しますね。
4 つのメインブランチを「起承転結」として、作文の設計図のためのマインドマップをかく実践
の紹介をします。まど・みちおさんの「ぞうさん」の詩について、簡単な話をして、それについ
ての感想文を書くという投げ込み教材だと考えてください。
まど・みちおさんといえば、その作品が教科書教材にもよく使われているし、「ぞうさん」「不思
議なポケット」「一年生になったら」など、みなさんにも、子どもたちにも馴染みのある歌の作詞
者ですよね。そのまどさんの代表作ともいえる「ぞうさん」を取り上げて、意見文を書く取り組
みをさせたんです。私は、2時間の枠で実践しました。
まず、次のページにあるマインドマップの用紙を配ります。中央にはぞうの絵があり、その下に
は、作品「ぞうさん」の全文が書かれています。そして、「ぞうさん」を音読し、「この詩はどん
なことを歌ったものだと思いますか?」と発問して、右上の「聞く前」のブランチの先に感想を
書かせます。サブブランチに「感想」その先のブランチに「その理由」を書かせます。ブランチ
には色を塗り、その色で「感想」や「その理由」を書かせるとマインドマップらしくなります。
次に、教師側がこの「ぞうさん」に込められたまどさんの想いを説明します。まどさん自身は、
この歌は「からかわれているぞうの歌」だとしています。「お前!鼻が長いな!」とからかわれ
ている。しかし、ぞうは、そんなからかいにしょげたり、落ち込んだりせずに、「自分の鼻が長
いのはあたりまえ」「大好きなお母さんも鼻が長い」と堂々と答えた。まどさんの詩の世界には、
「自分が自分であることが素晴らしい」とうたったものがたくさんありますが、その集大成的な
作品なのです。と、いったことを教師側が、語るんですね。その後で、「直後」のブランチの先
に自分の「感想」と「その理由」を書かせます。先ほどのブランチとは色を変えて、同様にブラ
ンチと文字とを同じ色でかくようにするとマインドマップらしくなります。
そして、ここまでかけたら、この「からかわれたぞう」のような体験が自分にもなかったかどう
か?と自分の過去を振り返らせます。左下のブランチの「過去」へいくわけです。サブブランチ
には、「いつ」「だれに」「どんな風に」といったものを書き、「からかわれ」の過去を書き出しま
す。
そして、この詩に込められた作者の思いと自身の体験を踏まえ、「これからどうありたいのか?」
を「未来」のブランチに書かせます。私の場合は、「どんなとき」「どうありたいか」といったも
のをサブブランチにするように指示しました。
子どもたちがかいたマインドマップと作文をそのまましょうかいしているのでそれをごらんくだ
さい。
マインドマップをかこう!テーマ【ぞうさん】




                                                                          く前
                      来




                                                      聞
                  未


                                                                          直




                                                                          後
                      去
                  過


                                                                     
                          あ            ぞ     そ            ぞ           ぞ
                          の    だ       う     う    お       う           う
                          ね   れ        さ     よ   鼻        さ           さ
                               が       ん          が       ん           ん
                          母    好             母    長                  
                          さ    き       ぞ     さ    い       ぞ          
                          ん    な       う     ん    の       う
                          が    の       さ     も    ね       さ     ま
                          好            ん     長            ん     ど
                          き                  い                  ・
                          な                  の                  み
                          の                  よ                  ち
                          よ                                     お         なまえ
児童のマインドマップと作文(その①)
児童のマインドマップと作文(その②)
児童のマインドマップと作文(その③)
児童のマインドマップと作文(その④)
作文や読書感想文への応用
子どもたちの作文はどうでしたか?
「ぞうさんの話を聞いて」という作文の設計図は、それをそっくりそのままその他の作文
や「読書感想文」の設計図に応用できます。メインブランチの 4 つのは、「起承転結」な
んですが、これを「事前・事後(最中)・過去・未来」と置き換えて、子どもたちに作文
を書かせると、すらすらと書くことができるんですね。次のページの「マインドマップを
書こう!」のテンプレートを使ってください。
どんな場合に使えるかというと、例えば「遠足」を題材に書く場合、「事前」のブランチ
のところに、「遠足に行く前」の気持ちを書き、「直後(最中)」のブランチには「遠足中
にあったこと」を書き、「過去」では、これまでの体験との比較を書き、「未来」のブラ
ンチは、「学んだこと」や「わかったこと」「感じたこと」を「これから」の学校生活(ひ
いては人生)に「どう生かすか?」を書けばよいというわけです。このことは、「運動会」
や「音楽会」など、どの行事の作文についても言えるわけです。2時間の「ぞうさん」の
作文でそのプロットを学んでしまえば、その後の作文指導に生かすことができるんです。
さらに、現場の先生たちの頭を悩ませる「読書感想文」の指導について、「入門編」「初級
編」「中級編」「上級編」と4つのテンプレートを用意しました。ある本について、「事前」
のブランチには、「読む前に感じたこと」を書くのです。タイトルやサブタイトル、表紙
の絵を見て感じたことや予想したことを書きます。「直後」のブランチには、読んだ直後
の感想や気になる登場人物や場面について書きます。「過去」のブランチには、自分の経
験の中での同じような体験のことについて書き、「未来」のブランチには、「これから」
この本で感じたことを「どう生かすか」を書けばよいわけです。わかっていただけるでし
ょうか?
このスタイルは、中学入試の「作文指導」にも使えるのは言うまでもなく、さらには、大
学入試の「小論文」にも使えます。
                    例:空をテーマにかいたマインドマップ(5年生)
マインドマップをかこう!テーマ【        】




                      来         事前
                  未




                             
                      去         直




                                後
                  過




                                なまえ
読書感想文のためのマインドマップ(入門編)
読んだ本
       【         】



            何を                             トル
                                        タイ

                              来    む前    表紙
           いつ
                          未       読         帯

           どう




                              去   直     好きな場




                                   後
                                                面
                          過

                 いつ                     好き な
                                            登
                                        思    場
                                              人




                                         っ
                  こ                            物




                                          たこと
                 ど
                     だれ




                                         名前
読書感想文のためのマインドマップ(初級編)
読んだ本
       【         】




                            来    む前
                        未       読



                            去   直




                                 後
                        過




                                      名前
読書感想文のためのマインドマップ(中級編)
読んだ本
       【         】




                        名前
読書感想文のためのマインドマップ(上級編)
読んだ本
       【         】




                        名前
さて、テンプレートをたくさん見ていただきましたがいかがですか?
現場で使えそうなイメージがわきましたか?

 もう一歩踏み込んだお話をさせてくださいね。
 実は、このテンプレート集の 4 つブランチの中には、    「PDCAサイクル」に似たものが、
 暗黙に内在していることがわかります。   「P」は Plan(計画)「D」は Do(実施・実行)
                                   、            、
「C」は Check(点検・評価)「A」、は Act(処置・改善)です。一つの行事や読書につ
 いて、毎回この「PDCA」をすることになるんですね。科学の分野でいう「仮説・実験
・検証・意見(感想)   」というのものへの伏線になっているといってもいいと思います。
 入り口は、作文指導の「起承転結」といった型なんですが、それを進めていくうちに、知
 らず知らずのうちに「PDCAサイクル」の視点を意識させることになるんですね。
 しかも、マインドマップの良いところは、一枚の紙に落とし込んでいるので、鳥瞰できる
 ところ
 です。つまり、 「部分と全体」を把握することになるんですね。一枚をぐるっと見れば、全
 体像が見え、ブランチごとに部分が見えてくるんです。さらに、マインドマップは、気が
 ついたそのたび毎に加筆ができ、ブランチごとの関係性も見えてくるんですね。
 この「部分と全体」というのが、教室でクラスをまとめる際にとても役にたちます。クラ
 スに置き換えると、  「一人と全員」ということです。学級で、マインドマップを導入した
 副産物のように、子どもたちがそのことを意識してくれるようになり、      「他人と自分の関係
 を意識するようになったなぁ」というのが私の実感です。
「作文指導」を入り口に「学級経営」を支えるツールとして使えると思っています。
 この小冊子を手にしたあなたは、冒頭にも書いたように
 日本の教育の将来を真剣に考えている人だと思っています。
 教育の現場でマインドマップを使うことで、子どもたちはマインドマップの使い方を知る
 ことができ、その後、人生のあらゆるシーンでマインドマップをかき、そのことで日本の
 将来が明るいものになることを願ってやみません。
 是非、ここにあるテンプレートをご活用いただき、子どもたちにマインドマップのすごさ
 を実感させていただきたいと思っています。

お互いがんばりましょう。



                      ブザン公認マインドマップ教育フェロー
                                  佐久間賢志
マインドマップをかこう!テーマ【        】




                            なまえ

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