LLMとTRIZを組み合わせた
アイデア発想による便利の副作用の顕在化
関西大学
○畑 玲音 ・茂木 奈々瀬 ・松下 光範
しんせき
みなさん,予測変換に頼りすぎていませんか??
年末年始は と会う.
はじめに
1
実現してからしか気づけなかった問題点
ある観点での便利が別の観点での問題になる可能性
アイデア実現では潜在的な問題点を見落とす可能性
・予測変換や電卓での認知的な機能の低下
想定外のユースケース
・ルンバでペットの糞を踏んじゃってそのまま....
2
アイデア発想では潜在的な問題点を見落としがち
アイデアを生み出すことが重要な世の中
・新しいモノを生み出すためのアイデア創出過程では
「便利さ」や「新規さ」という指標が過度に着目
・アイデアの実現により想定外の問題が発生してしまう可能性
=便利が生み出した副作用(便利の副作用)と呼んでいる
アイデアを実現する前に便利の副作用を洗い出したい
3
見切り発車による問題発生
ex)アプリ作成の際,思っても見なかった工数
課題:手を動かさないと分からない問題もある
問題発見! けど,ここまで
作ったから..
バイアスにより
問題を軽視
問題発生
実現方法の議論が煮詰まらないまま実現に向かう
→問題が発生してしまう現状
4
見切り発車による問題発生
ex)アプリ作成の際,思っても見なかった工数
課題:手を動かさないと分からない問題もある
問題発見! けど,ここまで
作ったから..
バイアスにより
問題を軽視
問題発生
実現方法の議論が煮詰まらないまま実現に向かう
→問題が発生してしまう現状
研究課題
アイデア実現により発生する問題点を
実現する前に思考可能にすることを目指す
5
潜在的な問題を未然に洗い出すアイデア発想支援
構成要素を
「どのようにして実現するか?」という発想過程に着目
実現方法を踏まえて制作
構成要素の発想から問題点を洗い出せるように
構成要素:アイデアの目的達成に必要な要素
現状
方法未定で制作
理想
構成要素の発想支援
問題発生
・構成要素を
どのように実現する?
・問題点の洗い出し
6
潜在的な問題を未然に洗い出すアイデア発想支援
構成要素を
「どのようにして実現するか?」という発想過程に着目
構成要素の発想から問題点を洗い出せるように
構成要素:アイデアの目的達成に必要な要素
現状 理想
構成要素の発想支援
・当たり判定どうする?
・対象判断どうする?
7
提案内容
構成要素の実現
=トレードオフ解決の繰り返し
掃除機自動化したいんだよね
生産性上がるけど,融通性がなぁ...
8
TRIZ(発明的問題解決理論)とは?
・創造的な問題解決を行うための体系的なツール
・250万件の特許分析からパターン化した方法論
TRIZとは?
・旧ソ連で冷戦化の技術競争を背景に提唱された
・限られた資源で技術革新を推進しアメリカに対抗
歴史
・「Aを改善するとBが悪化する」という
技術的なトレードオフを解決する発想支援手法
・戦後も再現性から幅広い分野で応用された
9
トレードオフに着目した構成要素の洗い出し手法
例)自動で物体を検知しながら掃除ができる機能
逆転の原理:
センサとAIを活用し
吸い上げ判定をする
システムを実装
これにより障害物検
知の精度も向上
・TRIZを用いて構成要素をどのように実現するか?の発想支援
自動でゴミを吸う
ダメなモノを
吸ってしまう
×
トレードオフ発生
応力または圧力
物体が受ける
有害要因
×
TRIZ問題に変換 TRIZよる解決策
10
逆転の原理:
センサとAIを活用し吸い上げ判定をする
システムを実装
これにより障害物検知の精度も向上
自動でゴミを吸う
ダメなモノを
吸ってしまう
×
応力または圧力
物体が受ける
有害要因
×
トレードオフに着目した構成要素の洗い出し手法
Step 1
矛盾問題の選択
Step 2
発明原理の特定
Step 3
解決策の発想
Step 4
構成要素の追加
Step 0
新しい
アイデアの発想
・TRIZの発想の流れ
11
Step 1
矛盾問題の選択
・TRIZの発想の流れ
トレードオフに着目した構成要素の洗い出し手法
・構成要素の実現=トレードオフ解決の繰り返し
自動でゴミを吸う
ダメなモノを
吸ってしまう
×
吸引力が強い
バッテリーが
持たない
×
例)自動で物体を検知しながら掃除ができる機能
12
トレードオフに着目した構成要素の洗い出し手法
・トレードオフを解決する発明原理を特定
Step 2
発明原理の特定
・TRIZの発想の流れ
自動でゴミを吸う
ダメなモノを
吸ってしまう
×
トレードオフ
応力または圧力
物体が受ける
有害要因
×
問題の一般化(39種類)
逆転原理,分離原理,
熱膨張原理
発明原理(40種類)
発明原理:40種類のトレードオフを解決する解決方法
13
トレードオフに着目した構成要素の洗い出し手法
・発明原理から解決策を発想
Step 3
解決策の発想
・TRIZの発想の流れ
逆転の原理:(使い方によっていいものにする原理)
センサとAIを活用し吸い上げ判定をする
システムを実装
これにより,同時に障害物検知の精度も向上
14
TRIZを用いた発想支援
TRIZを用いた発想は難しい
・専門知識の多さ,内容の複雑さ
LLMの文章理解と文章生成によるTRIZの専門性や複雑性の解消
TRIZを用いて
主体的に構成要素の探索を可能にすることを目指す
LLMを用いてTRIZの発想支援
副題
LLMによる支援と人による発想の共創の実現を目指す
→ TRIZを用いて気軽に発想ができるように
※GPT4o-mini
15
手法説明
16
提案システムの概要
アイデア入力
トレードオフの選択
改善点・悪化点の提示
発明原理の特定
解決策の提示
解決策の選択
発明原理の特定
:
繰
り
返
し
トレードオフの選択
17
LLMとTRIZを組み合わせたアイデア発想支援手法
LLMによって構成要素の洗い出しの発想を対話的に
現状 理想
TRIZによる構成要素の発想
構成要素を探索することで問題点を洗い出せるように
1個アイデアin max64個の構成要素 必要な構成要素
18
矛
盾
を
選
択
解決策:1
解決策:2
解決策:3
解決策:4
解決策の生成
要
素
を
追
加
アイデア構成要素
要素:1 要素:2
要素:n
要素追加.....
要素:m
繰り返し(n)
LLMとTRIZを組み合わせたアイデア発想支援手法
矛盾の解決策を出力し構成要素を探索的に思考可能に
・ユーザとシステムの対話の流れ
入
力
改善点:1
改善点:2
悪化点:1
悪化点:2
矛盾を推定
19
LLMとTRIZを組み合わせたアイデア発想支援手法
20
評価実験
21
評価実験
評価項目
1:LLMがTRIZの項目を出力可能か?
2:ユーザがアイデアの構成要素を洗い出せていたか?
3:ユーザが構成要素の探索により問題点を洗い出せていたか?
LLMとTRIZを組み合わせた支援が発想に与える影響を調査
アイディア発想 システムを使用
差分を観察
問題発見
問題再発見
実験参加者5名
22
1:LLMがTRIZの項目を出力可能か?
LLMの出力と人の判断の差異を検証
改善点と悪化点の出力 コサイン類似度 Ave:0.80
※SentenceBERTを使用
(出力例)
23
1:LLMがTRIZの項目を出力可能か?
LLMの出力と人の判断の差異を検証
解決策の出力:69.3%が成り立つと回答
LLMがTRIZの内容を出力可能と示唆
24
2:アイデアの構成要素を洗い出せていたか?
ユーザの回答例
平均探索回数:4.8回
どのように実現するかまで含めた構成要素の洗い出しが可能
システム使用前:天気予報の情報から雨が降る時に教えてくれる機能
システム使用後:傘自体か傘につけるデバイスによりユーザが設定した
傘が必要な条件の時に教えてくれる機能(一部省略)
・1個の機能から約20個の構成要素が出力された
25
2:アイデアの構成要素を洗い出せていたか?
提案システムのユーザ観察
出力内容などTRIZの理解と活用を深める工夫が必要
・出力された解決策をそのまま用いているユーザ
・専門用語の多さや文章の複雑さの指摘
より主体的に試行錯誤ができるデザインの必要性
26
3:構成要素の探索により問題点を洗い出せていたか?
システム使用前後の便利の副作用に気づいた数(平均)
物体や作成過程に着目した観点
1回目 2回目
4.8個 7個
増加率
1.46倍 例)耐久性,重量,構造の複雑性,素材
TRIZの特徴による問題への新たな着眼点
問題の一般化=物体に着目した問題特徴
発明原理=物体特徴を基にどのようにして実現するか
構成要素の探索により問題点の顕在化が可能と示唆
27
3:構成要素の探索により問題点を洗い出せていたか?
問題に気づいた要因の考察
ユーザのアイデアを
より反映した改善点・悪化点の出力の検討
・構成要素(解決策)の探索から発見
・改善点と悪化点の提示から発見
企図した問題点の洗い出し
浅いレイヤーでの問題発見の可能性
→トレードオフを自分ごととして想像できるように
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アイデア構成要素の探索による便利の副作用の顕在化
実現までを考えた発想を促し便利の副作用の顕在化を促進
・どのようにアイデアを実現するのかを実現前から発想可能に
LLMとTRIZによる発想支援
TRIZの発想がより主体的に行えるような手法の検討
展望
構成要素の探索につながるアイデアの発想支援
便利の副作用の解決策まで含めたアイデア発想支援
・TRIZを使う前段階のアイデア発想を支援
・見つけた問題点をさらにアイデアに活かす支援
29
まとめ
背景:アイデア発想では潜在的な問題点を見落としがち
問題:実現方法が煮詰まらないまま見切り発車による問題発生
目的:実現してからわかる問題を実現前から発見可能に
実装:LLMとTRIZの組み合わせによる構成要素の探索支援システム
実験:構成要素の探索により思考にどのような影響があるのか?
結果:物体・作成過程への気づき,事前に問題発見を可能に

ReonHata_LLMとTRIZを組み合わせたアイデア発想による便利の副作用の顕在化_WI2