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本スライドはコメディカルの方にわかりやすく
するために既出のさまざまな文献や資料から
画像やデータを勝手にお借りしておりますが、
ご本人には直接の承諾を得ておりませんの
で、剽窃とならないよう使用時は必ず自分の
理解だけのために使用するか、または改変し、
参考文献表示をして下さい。
呼吸不全と呼吸療法
さて、質問です
① 呼吸は気道管理・肺疾患が良ければ呼吸不全にならない?
② 酸素はどこで消費される(必要とされている)?
③ 貧血であっても呼吸困難とはならない?
生物とは
• 生けるものすべてにエネルギー産生が必要
(おけらだって、アメンボだって生きている)
• もちろん植物だって呼吸をしている
呼吸とは→光合成の反対で、酸素を用いて
エネルギーを生み出す行為。
• 植物は日中は光合成で炭素固定しているが、
夜間光がないと二酸化炭素を排出しており、
植物も光合成していることがわかる
種々の微生物のエネルギー源と炭素源
エネルギー源 炭素源 微生物の例(電子供与体)
太陽光 CO2
シアノバクテリア、光合成細菌、緑藻類
(H2O)
太陽光 有機物 好色非イオウ細菌(H2、有機物)
化学物質 CO2
硝化細菌(NH4)、鉄細菌(Fe2+)、水素細菌
(H2)、イオウ酸化細菌(S)、メタン細菌
(CH4)
化学物質 有機物
多くの細菌、菌類、酵母、硫酸塩還元細菌
(有機物質、発酵性基質)
エネルギーのやりとり
•光合成
CO2+H2O → C6H12O6 + O2
←
ην
ATP
• 呼吸
今日勉強する目標
1. 呼吸の目的を理解すること。
2. 呼吸の解剖生理を理解すること。
3. 呼吸不全の病態として、どの部位がどのように
悪化するかを理解すること。
4. 呼吸不全の指標は何によって評価するのか?
説明出来ること。
来学習吧!
「呼吸」とは?
• 広義の呼吸(外呼吸)
• 狭義の呼吸(内呼吸)
外界から生体内に酸素を取り入れ、
細胞内(ミトコンドリア)でエネルギーを得るもの。
息を吸ったりはいたりすることで、
肺の中に空気を取り入れる行為。
「換気」。
広義の呼吸
呼気
吸気
横隔膜挙上 横隔膜降下
狭義の呼吸
TCAサイクル
乳酸
解糖系
×
ミトコンドリア
=TCAサイクルと電子伝達系
細胞質基質=解糖系
細胞質基質=解糖系
マトリックス(液体)=TCAサイクル
クリステ(平板)=電子伝達系
細胞の構造
電子顕微鏡像
ミトコンドリア
=TCAサイクルと電子伝達系
酸素はここで使われます
呼吸困難
呼吸不全の諸症状
解剖
解剖
• 気道:吸気時:胸腔内圧が陰圧のために引っ張られて広
がる。呼気時:胸腔内圧が陽圧になり圧迫され閉塞する
⇒これを防止するために気管軟骨が存在する。
• 加湿と異物除去:繊毛円柱上皮が12Hzで運動し異物を
排除
⇒繊毛運動は気道内温度24℃湿度60%以下で停止する。
⇒胚細胞が粘液を分泌、異物を吸着し動けなくする。
呼吸に使われる筋肉(換気運動~呼吸筋による胸郭運動)
⇒吸気呼吸筋:横隔膜・外肋間筋・肋軟骨間筋・肋骨挙筋・斜角筋群・
胸鎖乳突筋・浅胸筋群(大胸筋・小胸筋・鎖骨下筋・前鋸筋)
• 横隔膜は最大の収縮範囲(250~400C㎡×10cm)だが、骨格筋によ
る組成で赤色筋肉であり、持続力あるが、瞬発力に劣る。
• 咳嗽反射などでは外肋間筋による作用で肋骨を尾側外側に広げる
ように作用し、骨格筋だが白色筋優位で瞬発力でこちらが作用する。
⇒呼気呼吸筋:腹筋群・内肋間筋・最内肋間筋・胸横筋
• 腹筋群は収縮することで横隔膜を頭側へ挙上し大きな呼気を促す。
• 咳嗽反射などでは、内肋間筋・最内肋間筋が肋骨を頭側内側に縮め
る作用を有し瞬時の収縮で咳嗽を促す。
呼吸に関する表現方法
正常な呼吸波形
<<用語の説明>>
※volume
TV(一回換気量)→1回の呼吸運動によって、気道
・肺に出入りするガスの量
IRV(予備吸気量)→安静吸気位から、さらに吸入
できるガス量
ERV(予備呼気量)→安静呼気位から、さらに呼出
できるガス量
RV(残気量) →最大呼気位で肺内に残存したガス
※capacity
IC(最大吸気量)→IRV+TV
FRC(機能的残気量)→ERV+RV
VC(肺活量)→IRV+TV+ERV
TLC(全肺気量)→IRV+TV+ERV+RV(=VC+RV)
呼吸機能検査によって積算された呼吸波形
時間
WOBとは
自発吸気の呼吸仕事量WorkOfBreath
は、肺や胸郭の弾性抵抗(エラスタンス)
と、気道などで生じる粘性抵抗(レジスタ
ンス)によって規定される
⇒気道の狭さに影響
抵抗が上がると流速が早くなる
⇒容器の硬さ
抵抗が上がると容器が
拡がりにくくなる
WOBの考え方(Nunnらの学説)
WOBE=V(一回換気量)×E(エラスタンス)
WOBR=V(気道流速) ×R(レジスタンス)
WOB=WOBE+WOBR
集中治療学会専門医テキスト
・
正常な労作で、息苦しさ等
不快な感覚を自覚した状態。
自覚症状は、
①労作による分時換気量の増加
②気道抵抗の増加による呼吸仕事量の増加
③呼吸筋力の低下により必要換気量が維持
不能
の様な場合に自覚症状が増悪する。
呼吸困難は、分時換気量が増加した
ことによる自覚症状である。
分時換気量の増加は、
①呼吸仕事量の増加
②酸素消費量の増加
③大きな胸腔内圧の変化
などの異常状態を伴い、血液ガス異常・精
神的興奮が加わる。
呼吸困難とは
しかし、明確な定義はない
呼吸相における分類
①吸気性呼吸困難
上気道から頸部気管の胸郭外の狭窄による呼吸困難
②呼気性呼吸困難
下気道、胸郭内の気道狭窄による呼吸困難
③混合性呼吸困難
①②以外の疾患:
呼吸器系⇒肺うっ血、その他の肺疾患、胸膜、横隔膜
循環器系⇒心不全、血管系
その他⇒細胞内呼吸障害など他すべて
具体的な各種疾患の特徴的呼吸所見
上気道狭窄:吸気に一致した喘鳴・狭窄音を伴う。
気管支・細気管支狭窄:呼気時間の延長・呼吸数の増加
慢性気管支炎・肺気腫:気道抵抗に対抗する呼吸筋の仕事量増加により
運動時の呼吸仕事量の増加が著しくなる。酸素消費量の増加。
心疾患:左心不全に伴う肺静脈上昇により肺うっ血・肺水腫が起こり気道
抵抗増加・肺弾性低下のため呼吸仕事量が増加する。
貧血:労作中に急激に起こり重篤な呼吸困難。
心因性呼吸困難:リズム不整で深呼吸様。過換気による過換気症候群と
して手足のしびれ・頻脈・失神等を伴う。
呼吸パターンの異常とは、呼吸数・リズム・深さ・吸気呼気時間などの異常
Kussmaul呼吸:努力性でない大きな一回換気量、安定したやや頻呼吸。
→糖尿病性昏睡・尿毒症
Cheyne-Stokes呼吸:過換気と低換気が交互に繰り返される。
→小児・高齢者・頭蓋内圧亢進・昏睡
失調性呼吸:ataxic breathing 完全に不規則な呼吸.短期間に止まってしまう
浅~深い呼吸 →延髄下部障害による呼吸抑制
起坐呼吸:仰臥位で呼吸困難、坐位で消失
→肺うっ血に特徴的
診察における特徴的な呼吸パターン
診察における特徴的な呼吸パターン(その他用語)
Kussmaul呼吸
Cheyne-Stokes呼吸
失調性呼吸
Biot呼吸
群発呼吸cluster breathing
陥没呼吸
シーソー呼吸
振り子呼吸
動揺呼吸
起座呼吸 orthpnea
呼吸困難における鑑別
①気道閉塞:気流抵抗の上昇
②肺実質性疾患:拡張の抵抗
③血管性疾患:換気血流比不均衡
④胸郭横隔膜疾患:胸郭横隔膜に対する抵抗が上昇 呼吸筋疲労
⑤受容体の刺激や中枢性によるもの
⑥酸素運搬能関連の低下、組織酸素代謝
⑦心理的:上記診断が除外されたとき診断
呼吸困難における鑑別
①気道閉塞による呼吸困難があるもの
喘息
COPD
気管支拡張症
腫瘍
異物
②肺実質性疾患があるもの
肺水腫:ARDSなど
心不全:左室拡張不全・拡張障害
間質性肺疾患
呼吸困難における鑑別
③血管性のもの
大血管性:肺梗塞・塞栓症
小血管性:肺高血圧症・血管炎・間質性肺疾患・肺気腫
呼吸困難における鑑別
呼吸困難における鑑別
④胸郭横隔膜疾患:
胸郭横隔膜に対する抵抗が上昇 呼吸筋疲労
末梢性化学受容体
主として動脈血
О2分圧の低下
に依存する
中枢性化学受容体
主として動脈血
CО2分圧の上昇
に依存する
頸動脈小体
延髄
重要な化学受容体
総頚動脈
⑤受容体刺激
⑤受容体刺激 1. 脳幹・大脳における呼吸中枢
2. 中枢~末梢に分布する化学受容体
3. 気道・肺・呼吸筋に分布する機械受容体
▲
▲
O2
CO2
CO=HR×SV
CVP SVR RR
DO2 • 筋内の乳酸上昇
での化学受容体
• 胸壁の圧受容体
からの求心神経
酸素消費の増大に伴う換気調節
nerveⅨ
nerveⅩ
nerveⅩ
⑥酸素運搬能低下
酸素運搬は以下の手順で行われている。
この手順が失われると呼吸困難となる。
◎肺胞で赤血球に結びついて酸素化ヘモグロビン
になり、二酸化炭素は肺胞に放出。
◎心臓のポンプ作用で大動脈経由で末梢に送出。
◎末梢で酸素が放出。血中に二酸化炭素が溶出。
輸送担体としての赤血球
赤血球の特徴
骨髄で作られ、肝臓脾臓で壊される
血液幹細胞でM-CSFにより分化誘導される
葉酸やB12がDNAレベルで分化を助ける
ヘム蛋白は2価鉄イオンにより作られている
胃内因子とB12により小腸からB12が吸収
酸素解離曲線はHbやpH、体温、DPGが関係
Hb酸素解離曲線
酸素分圧(mmHg)
40 100
0
4
8
血中酸素化Hb濃度・酸素濃度
(mmol/l)
右方移動
左方移動 Hb=150g/l
酸素を物理的に溶解した場合
CO2
DPG
pH
体温
↑
↑
↓
↑
CO2
DPG
pH
体温
↓
↓
↑
↓
条件によって異なる→生体の反応
静脈血 動脈血
ボーア効果
酸素分圧(mmHg)
40 100
0
4
8
血中酸素化Hb濃度・酸素濃度
(mmol/l)
悪条件であれば右方移動して
酸素を放出しやすい体制にする
(低分圧でも酸素をひねりだす)
悪条件で
分圧低下
60
20 90
静脈血で酸素分圧
低値となると酸素親
和性低くなり酸素が
放出されやすい
酸素分圧高値では
酸素親和性高
静脈血 動脈血
⑦その他・心理的:上記診断が除外されたとき⇒除外診断
呼吸困難における鑑別
呼吸不全
呼吸不全とは、気道~組織におけるガス
交換の異常により酸素の摂取・炭酸ガス
の排出が傷害された状態。
室内空気呼吸時のPaO2(動脈血中酸素
分圧)が60mmHg以下となる異常状態。
・PaCO2 (動脈血中二酸化炭素分圧)が
45mmHg未満をⅠ型呼吸不全、
45mmHg以上をⅡ型呼吸不全に分類。
・慢性呼吸不全とは、呼吸不全の状態が少なく
ても1ヶ月以上続くもの。
呼吸不全とは
呼吸連鎖の三つの経過
(1) 口から肺胞へ、酸素を吸入
(2) 動脈血を介し肺胞から全身の組織へ、酸素運搬
(3) 末梢の静脈血から肺胞へ、二酸化炭素の運搬
呼吸不全はこれらの経過中での機能不全によりおこる。
呼吸不全の病態生理
⑴ 口から肺胞までの酸素吸入
呼吸不全と解剖生理学的関係
呼
吸
中
枢
呼
吸
筋
肺
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
気
道
抵
抗
ガ
ス
交
換
肺
動
静
脈
機
能
心
機
能
体
循
環
で
の
酸
素
運
搬
組
織
で
の
酸
素
代
謝
&
これらいずれの場所に異常が起こっても呼吸不全となる
組
織
か
ら
二
酸
化
炭
素
の
産
生
血
管
を
通
っ
て
二
酸
化
炭
素
の
排
出
⑵全身組織へ酸素運搬 ⑶二酸化炭素の排出
mmHg hPa(ヘクトパスカル) mb(ミリバール)とは・・・
ラジオメーター社HP諏訪邦夫の血ガス博物館より
• mmHgとは、水銀(Hg)が押し上げる圧を㎜単位で示したもの。
ちなみに、1気圧が水銀柱を押し上げる圧は760mmHg。
• パスカル(Pa)・キロパスカル(kPa)・ヘクトパスカル
(hPa)これらはいずれもSI単位系に基づく圧の表記法。
• Pa とは、1m2 に1N(ニュートン)の力のかかる圧。
実際日常に使用するにはあまりにも小さすぎるので、キロパ
スカル(kPa)・ヘクトパスカル(hPa)が使用される。ヘク
トパスカル(hPa)は従来圧の単位として使用されてきたミ
リバールと正確に一致するので気圧の単位として使用。
• ミリバール(mb)とは、従来気圧の単位として使用された。
1平方cmあたり1キロダインの圧。1気圧は1013mb=1013hPa。
今はhPaに置き換わったのでほとんど使用しない。
高度に伴う気圧の変化
ラジオメーター社HP諏訪邦夫の血ガス博物館より
組織での酸素など物質拡散の業績でノーベル賞受賞
クロー August Krogh(1874-1949) デンマークの生理学者
Astrup P, Severinghaus JW. History of Blood Gases, Acid and Bases. Munksgaard, Copenhagen. 1986. より。
肺胞でのガスの拡散の仕方
ー理論的背景ー
1. 気道が次第に枝分かれして断面積を増し、最後に肺胞表面積
(100m2)に拡大する。「テニスコートの広さ」は約264m2(11m×24m)
で、100 m2 は約半分。
2. 肺胞付近では「ガスの流れ」はほとんど存在せず、気体は分子で動
く。一回換気量の500mlが2秒で動くとすると、1秒間の流速は250mlを
100m2 で割るので、2.5μL/秒となる。これは分子拡散の速度に近いほ
ど遅くなる。
そこで・・・
フィックの拡散の法則
定常状態(拡散による濃度が時間に対して変わらない時)
拡散量(単位面積、単位時間当たりの)は、濃度勾配に比例する
Ji =-D i(∂Ci/∂x)
非定常状態(拡散による濃度が時間で変わる時)
拡散現象での濃度は拡散方程式により示される
∂Ci/∂t =Di(∂2Ci/∂x2) 拡散流束Jは位置x において濃度勾配に比例
Dは定数
拡散ですべてを説明してもいいか
• 実は・・・
1940年代、ボーアの弟子のクローのさらに弟子のユシング(Ussing
HH:1911-没年不明)の業績で同位元素の使用による分析を使い測定し
ている。
ユシングが能動輸送を明らかにしたにもかかわらず、その時点では肺の
ガス交換は拡散によると確立したとみなされ、誰も疑問に思わずそのま
まになっている。
しかし、本当に拡散で間違いないのか?フィックの拡散の法則は無限の
広さを仮定して成立するので、肺胞のように狭い範囲では大幅な修飾が
必要なはずで、また組織での酸素拡散を示すクローの円柱モデルの計
算にも間違いや疑問が指摘されているとAgutter 氏は指摘している。
現時点で、酸素レベルが細胞膜や内部の化学反応に影響するメカニズ
ムがいろいろ判明している。エネルギーをつかって酸素を移動するメカニ
ズムは見出されていないのでこの問題は今のところ拡散という以上の根
拠はない。
酸素動力学(大気から肺胞まで)
• 吸入酸素分圧
PAO2=FIO2= 760×0.21
=約160mmHg
• 気管支での酸素分圧
PAO2=FIO2×(PATM-PH2O)
= 0.21×(760-47)
=約150mmHg
大気中O2
では肺胞での分圧は?
肺胞内では?
O2
O2
O2
O2
肺胞内では?
O2
O2
Hb
O2
co2
CO2に変換された
酸素
↓
100%の酸素が
CO2に変換される
(1:0.8の割合で)
O2
呼吸商:RQ( Respiratory Quotient )
RQ=CO2産生量 / O2消費量
(VCO2=200ml/min) (VO2=250ml/min)
酸素が生体内でCO2に変換される割合
0.8
•
•
グルコース
脂 肪 酸
たんぱく質
CO2
+ O2 + H2O
エネルギー
肺胞方程式
• 肺胞での酸素分圧
PAO2=FIO2×(PATM-PH2O)
-PACO2[FIO2+(1-FIO2)/RQ]
肺胞内に拡散して
いる二酸化炭素
CO2となって変換され
消費された酸素の割合
CO2に変換されずに
残存した酸素の割合
限りなく0 限りなく1
PAO2=FIO2×(PATM-PH2O)-PACO2/RQ
肺胞方程式
• 肺胞気酸素分圧
PAO2=FIO2×(PATM-PH2O)-PACO2/RQ
=0.21×(760-47)-40/0.8
=149.73-50
=約100mmHg
PAO2:肺胞気酸素分圧、 FIO2:吸入気酸素濃度、 PATM:大気圧
PH2O:飽和水蒸気圧、 PACO2:二酸化炭素分圧、
RQ( Respiratory Quotient ):呼吸商
以上から簡略化されて以下のように示される。
肺胞方程式
• 肺胞気酸素分圧
PAO2=FIO2×(PATM-PH2O)-PACO2/RQ
PACO2は
CO2産生量(VO2×RQ)と肺胞換気量(VA)
で規定される
肺胞での酸素分圧は、吸入酸素濃度、酸素消費量、肺胞換気量に左右される。
•
•
•
PAO2=FIO2×(PATM-PH2O)- VO2×RQ /RQ ×VA
=FIO2×713-k(VO2 /VA) :kは定数
PACO2はCO2産生量に比例、肺胞換気量に反比例
RQ=CO2産生量/ O2消費量
VO2=酸素消費量
肺胞換気量と肺胞気酸素分圧
肺胞気P
A
O
2
(kPa)
肺胞気P
A
O
2
(mmhg
)
50
100
150
200
10
20
30
0 0
2 4 6 8 10
②:①のような低酸素時は、30%酸素投与で
8.5kPa(64mmHg)の上昇が得られ、肺胞低酸素から脱しうる。
(一般にFiO2が1%上昇するとPAO2が7mmHg上昇するといわれている。)
①:同一酸素濃度で4Lから2Lへ低換気となった場合、
PAO2が100から50へ低下し、低酸素脳症となる。
肺胞換気量(l/min)
「肺胞低酸素は酸素投与で補える。」というお話し。
逆に「投与酸素分圧の低下による肺胞低酸素」の場合肺胞換気量で補える。
③吸入酸素濃度低下の酸素分圧の低下の場合、肺胞換気量で補うことができる。
PAO2=FIO2×713-k(VO2 /VA) :kは定数
肺胞換気量とPAO2と酸素消費量の関係
肺胞換気量(BTPS : l/min)
2 4 6 8
0
10
20
吸入気O2=21%
0
50
100
150
肺胞気P
A
O
2
(kPa)
肺胞気P
A
O
2
(mmHg)
酸素消費量が増加した場合、
同じ肺胞気PAO2 を得るために、
それだけ換気量を増やさなけれ
ばならない
PAO2=FIO2×713-k(VO2 /VA) :kは定数
酸素動力学
• 肺胞方程式
PAO2=FIO2×(PATM-PH2O)-PACO2/RQ
=FIO2×713-k(VO2 /VA) :kは定数
• 肺胞方程式では、肺胞内の酸素化をよくするために、
以下が大事な3つの因子である。
吸入酸素濃度、酸素消費量、肺胞換気量
•
例として
• 気管支ぜんそくでSpO2が低下した。
→気道抵抗が上昇し、1回換気量低下し、肺胞換気量が低下したため
にPAO2低下。
• 敗血症でSpO2が低下した。
→酸素消費量の増大によるPAO2低下。
• 登山でめまいがしたら高山病といわれた。
→吸入酸素濃度の低下からPAO2低下。
心肺停止時の影響
• 呼吸停止した場合換気量が無くなる。
• この場合時間の経過とともにPAO2低下するが、呼吸しなくても肺胞に
残っている酸素が存在する(機能的残気量:FRC)。
• 人の正常人のFRCは2.5Lであり、呼気中O2を16%とすると400mlの酸
素が存在することになる。安静時は酸素消費量は250ml/minである
から約2分もつことになる。
心臓マッサージだけでもよりよい理由
Yannopoulos et.al. Resuscitation 2005,65,363-372
豚での実験
赤=内頚動脈圧
青=大動脈圧
少し手を抜いて
押した
全力で押した
充分な胸腔内再充満を得ること
Yannopoulos et.al.
Resuscitation 2005,65,363-372
100% 75%
戻す 戻す
押す w/o : without
⇒呼吸無しでやる方が面積大
=拍出量増大
少し手を抜いて押した
全力で押した
充分な胸腔内再充満を得ること
Aufderheide Resuscitation 2005,64,353-362
EMS での研究
押す指の本数が
2本で4倍
5本で3倍
押さないと130倍死亡
⑴ 口から肺胞までの酸素吸入
呼吸不全と解剖生理学的関係
呼
吸
中
枢
呼
吸
筋
肺
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
気
道
抵
抗
ガ
ス
交
換
肺
動
静
脈
機
能
心
機
能
体
循
環
で
の
酸
素
運
搬
組
織
で
の
酸
素
代
謝
&
これらいずれの場所に異常が起こっても呼吸不全となる
組
織
か
ら
二
酸
化
炭
素
の
産
生
血
管
を
通
っ
て
二
酸
化
炭
素
の
排
出
⑵全身組織へ酸素運搬
⑶二酸化炭素の
排出
WOBとは(再掲)
自発吸気の呼吸仕事量WorkOfBreath
は、肺や胸郭の弾性抵抗(エラスタンス)
と、気道などで生じる粘性抵抗(レジスタ
ンス)によって規定される
⇒気道の狭さに影響
抵抗が上がると流速が早くなる
⇒容器の硬さ
抵抗が上がると容器が
拡がりにくくなる
WOBの考え方(Nunnらの学説)(再掲)
WOBE=V(一回換気量)×E(エラスタンス)
WOBR=V(気道流速) ×R(レジスタンス)
WOB=WOBE+WOBR
集中治療学会専門医テキスト
・
人工呼吸器管理の適応
•酸素化障害
• 換気血流不均衡・肺胞低換気:気道肺胞に障害を来す全て
• 拡散障害:肺胞膜の障害
• シャント:肺血管のシャントや肺胞の虚脱
•換気障害
• 閉塞性換気障害
• 拘束性換気障害
• 混合性換気障害 手術や重症病態でこれらが予測される場合も含む
拘束性換気障害(=エラスタンス↑)
%VC=実測VC÷予測VC
閉塞性換気障害(=レジスタンス↑)
FEV1%=FEV1SEC(一秒量)÷FVC(努力性VC)
volume
TV(一回換気量)→1回の呼吸運動によって気道・肺
に出入りするガスの量
IRV(予備吸気量)→安静吸気位からさらに吸入でき
るガス量
ERV(予備呼気量)→安静呼気位からさらに呼出でき
るガス量
RV(残気量) →最大呼気位で肺内に残存したガス
capacity
IC(最大吸気量)→IRV+TV
FRC(機能的残気量)→ERV+RV
VC(肺活量)→IRV+TV+ERV
TLC(全肺気量)→IRV+TV+ERV+RV(=VC+RV)
VC:肺活量
一気に呼出させる
⇒努力呼気曲線
換気障害
換気障害
閉塞性換気機能障害を来す疫患
1.気道疾患に由来する閉塞性換気障害
気管支喘息、慢性気管支炎、びまん性汎細気
管支炎、気管支拡張症など
2.肺疾患に由来する閉塞性換気障害
肺気腫、肺嚢胞症など
3.胸郭に由来する閉塞性換気障害
筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症、多発性
筋炎、ギランバレー症候群
4.その他
軟骨軟化症など
拘束性換気機能障害を来す疾患
1.肺疾患に由来する拘束性換気障害
a.肺組織の硬化:特発性問質性肺炎
特発性肺線維症、過敏性肺炎、膠原病肺
放射線性肺炎、じん肺症、肺結核後遺症
b.肺組織の減少:肺炎、無気肺、肺切後
c.サーファクタントの欠如
2.肺以外因子に由来する拘束性換気障害
a.胸郭の拡張障害:胸郭変形(後側弯症等)
強直性脊髄炎、胸膜肥厚、胸水など
b.神経筋疾患:横隔神経麻痺
重症筋無力症、筋ジストロフィー、多発性筋炎
ギランバレー症候群、低栄養の呼吸筋力低下
呼吸不全と解剖生理学的関係
呼
吸
中
枢
呼
吸
筋
肺
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
気
道
抵
抗
ガ
ス
交
換
肺
動
静
脈
機
能
心
機
能
体
循
環
で
の
酸
素
運
搬
組
織
で
の
酸
素
代
謝
&
これらいずれの場所に異常が起こっても呼吸不全となる
組
織
か
ら
二
酸
化
炭
素
の
産
生
血
管
を
通
っ
て
二
酸
化
炭
素
の
排
出
ガス交換(肺胞から血液循環への移行)
•肺胞と肺毛細血管はガス交換の際平衡となり理論的に
PAO2(肺胞内酸素分圧)とPaO2 (肺動脈内酸素分圧)は
等しい。
•何らかの原因でPAO2とPaO2の間に較差が生じる。これを
示す指標として肺胞気動脈血酸素分圧較差:A-aDO2を
用い、肺胞におけるガス交換の指標にする。
A-aDO2= PAO2-PaO2
PAO2
PaO2
肺胞気動脈血酸素分圧較差
A-aDO2
A-aDO2
= PAO2-PaO2
= {FIO2×(PATM-PH2O)- PACO2/RQ} - PaO2
= { 0.21×(760-47)-40/0.8 }-90
=99.73-90=9.73
では、A-aDO2の開大をきたす病態とはなにが
考えられるでしょうか。
酸素化異常をきたす病態
シャント 拡散障害
換気血流不均衡
特に重要なこの3つに集約
①換気血流比不均等
正常換気血流比(VA/Q)=1
VA(肺胞換気量)と血流量(Q)の不均等
i)換気が血流に対して極悪・・・・(VA/Q<1) → PaO2↓(シャント様変化)
無気肺・肺炎・肺挫傷・肺気腫
ii)換気に対して血流が極悪・・・・・(VA/Q>1) → PaO2↓(死腔様変化)
ショック・肺水腫・肺塞栓
ガス交換の障害機序
②シャント
換気良好であるが、肺血流自体に通過障害があり、
換気された酸素が血液に運ばれない
③拡散障害
1)気道内拡散障害
2)肺胞血管膜などの膜障害
3)血中への拡散障害
但し、多くは血管透過性亢進による肺胞の間質性浮腫
(肺水腫・間質性肺炎など)
ガス交換の障害機序
ガス交換の参考指標
簡便な指標としては
P/F比(PaO2とFIO2の比)がある
300以上が正常(例えば健康人:100/0.21=476)
これを使えば違うFIO2でも比較可能となる
例)FIO2 40%・PaO2100の患者 100/0.4=250
FIO2 80%・PaO2100の患者 100/0.8=125
A‐aDO2(PAO2とPaO2の酸素分圧較差)を習ったけど
もっと簡便なのないの?
A-aDO2= PAO2-PaO2= {FIO2×(PATM-PH2O)- PACO2/RQ} - PaO2
2つの要素だけ取り出して 比で比べれば簡単だ!
Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)
急性呼吸窮迫症候群
外傷・敗血症などの侵襲により炎症が過度におこり、高サイトカイン血症に始まる
各種メディエータの過剰産生のため正常な肺組織が傷害される急性の酸素化障害
を主体とする呼吸不全
両側の肺微小血管内皮の血管透過性が亢進し、非心原性肺水腫
を発症、重篤な低酸素血症状態に陥る
聴診にて、両側にびまん性に水泡音(coarse crackles)が聴かれ
胸部X線像にて肺野全体に両側びまん性浸潤影がみられる。
DAD
ARDSの病態
NEJM2006 Peter
肺胞内に好中球から放出される活
性酸素やタンパク分解酵素
肺胞隔壁の透過性が増加
⇒非心原性肺水腫きたす
外傷・敗血症など
↓
サイトカイン産生と
肺への流入
↓
好中球と毛細血管
の接着
↓
炎症細胞による肺
胞の破壊(DAD)
↓
ARDS
DAD
びまん性肺胞損傷
肺血管内皮
肺胞上皮損傷
好中球浸潤
肺胞性浮腫
硝子膜形成
N.Matsuda 2016
ARDSの変遷
• 1950年~ベトナム戦争から帰る重症外傷者に肺以外の
外傷から肺透過性低下する病⇒respirator lung syndrome
• 1967年AshbaughとPettyらによってadult respiratory
distress syndromeが初めて発表された。
• 1994年AECCにARDSはacute respiratory distress syndrome
と統一された。2000年にALIの概念が追加。
• AECCによって診断基準が作られたころ、国際医学会では
RCT、多施設研究や大規模スタディーが流行りはじめたが、
ARDSも必要と考えられた。そのためにすこしでもデーター
を多くしようと内容は単純・簡便な基準となった。
ARDSの変遷
• 実は肺の生理学的な面のみでの評価。
⇒病因の生化学的・免疫学的・病態生理学的な過程に基づく評価をしていない
• 肺以外の臓器の異常も評価対象になっていない。
⇒ARDS患者で純粋に呼吸不全が原因で死に至る割合は9-16%
• ARDSでおきるDADとの正診率は50%しかない。(なかなか生検に至りにくい。)
AECC基準から
①“急性“の意味があいまい
②PEEPなどがある場合P/F変わる
③胸部X線の信憑性があいまい
④肺動脈楔入圧の髙いARDSがある
上記をうけて、2011年にESICMは新しいガイドラインを提唱した
それがベルリン基準である
AECC:American-European consensus conference on ARDS
ALI:Acute Lung Injury
しかし、正診という点で根本は変わっていない。 ⇒ さらに診断基準の改善が求められる。
このため
ARDSの診断基準
ベルリン定義より
JAMA2012
ARDS
旧・ARDS 新・ARDS
①P/F<200(PEEP関係なく)
②両肺に浸潤影
(びまん性でなくてよい)
③PCWP<18mmHg
(うっ血性心不全の否定)
①P/F<300(PEEP考慮)
②両肺に浸潤影
③心不全とか他の要因を
完全に否定して下さい
旧
ARDS診断基準
The American-European Consensus Conference Am J
Respir Crit Care Med. 149:818-24,1994
European Society of Intensive Care Medicine
The ARDS Definition Task Force JAMA2012
ARDS
P/F<200
ALI<300
AECC ESICM ATS SCCM
新
急性肺障害
急性肺障害
200<P/F<300
(PEEP>5㎝H2O)
100<P/F<200
(PEEP>5㎝H2O)
P/F<100
(PEEP>5㎝H2O)
AECC(American-Europian Consensus Conferencアメリカ-欧州合意カンファレンス)
①低酸素血症の重症度は PaO2/FiO2比! ALI300以下、ARDS 200以下・・・だった
②胸部レントゲン上の両側性の浸潤像
③肺動脈楔入圧が18mmHg以下⇒心原性肺水腫 の除外
Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)
急性呼吸窮迫症候群
Acute Respiratory Distress Syndrome ~ The Berlin Definition ~ JAMA. 2012;307(23):2526-2533
ベルリン基準(2012年6月)の変更点
ALIという概念をなくし、ARDSを3段階(MILD 300-・MODERATE 200-・SEVERE 100-)
胸部レントゲン所見は両側に存在すれば、浸潤の大小は問わない
肺動脈楔入圧が髙いものもある
Acute Respiratory Distress Syndrome ~ The Berlin Definition ~ JAMA. 2012;307(23):2526-2533
人工呼吸の目標
酸素化の維持(酸素毒性と人工呼吸の合併症を回避しつつ)
一般的には 動脈血中酸素飽和度O2の維持は少なくとも92%
(肺障害防止の為最初の24-48時間以内に吸入酸素濃度を65%以下に減らすのが目標)
中等度~高度のPEEP(呼気終末陽圧)が必要.
人工呼吸は急性肺障害を引き起こす可能性があることを念頭にする
他に薬剤治療(ステロイド、プロスタグランディン製剤、好中球エラスターゼ阻害剤など)
ARDSに対する治療
人工呼吸器管理の適応(再掲)
•酸素化障害
• 換気血流不均衡・肺胞低換気:気道肺胞に障害を来す全て
• 拡散障害:肺胞膜の障害
• シャント:肺血管のシャントや肺胞の虚脱
•換気障害
• 閉塞性換気障害
• 拘束性換気障害
• 混合性換気障害
人工呼吸器の合併症
人工呼吸器関連肺障害
High pressureは 肺胞壁の破裂を起こし、その結果 縦隔気腫、肺気腫, 緊張 性気
腫気腹、皮下気腫 を引き起こす。→最高気道内圧をなるべく低く保つ。
酸素中毒
酸素は還元作用をうけて活性酸素→過酸化脂質となり細胞膜障害を起こすので、
出来るだけ高濃度酸素は避ける(Fio2:0.5以下)
他の合併症
気道内圧上昇, 体液貯留, 腎不全 、低ナトリウム血症、鼻孔や口腔の局所的外傷 、
気道損傷、副鼻腔炎 , 人工呼吸器関連肺炎 (VAP)、換気血流不均衡
自発呼吸と人工呼吸器(陽圧換気)
自発呼吸
吸気:胸腔内圧陰圧、外気を吸引
呼気:胸郭の弾性収縮
人工呼吸
吸気:吸入気を肺内に送る
呼気:気道内の圧力減少による呼出
陽圧換気の影響
陽圧換気は肺を押し広げるため腹側へガスが
移動
胸腔内圧上昇:静脈灌流小
頭蓋内圧上昇や肝うっ血が起きやすくなる
血液は背側の下葉へ。
⇔換気と血流はミスマッチ
背中側の横隔膜が動くので
吸気は背中側に多く供給。
胸腔内圧は陰圧:静脈灌流大
血液も下葉側に多く集まる。
⇔換気と血流が合致。
陽圧換気の影響
• 高い気道内圧による気胸・皮下気腫・縦隔気腫などの圧外傷
• 高い気道内圧による直接的な肺胞上皮障害
• 胸腔内圧上昇による肺リンパ流の抑制⇒肺間質水分量増加
• コンプライアンスや体位による換気/血流比の悪化
• 長期の呼吸筋使用による廃用萎縮・協調障害
• 胸腔内圧上昇:右心房圧上昇・静脈灌流量減少
• 肺血管抵抗の増加:右室後負荷増加血圧低下・右心拍出量低下
• 心室中隔圧迫:左室コンプライアンス低下・左心拍出量低下
• 心拍出量低下:腎血流↓・ADH・レニンの増加・尿量減・水分増
VILI/VALI 人工呼吸の功罪
機械的人工呼吸は、人工呼吸が治療となるとともに、肺障害とな
りうる両刃の剣
⇒人工呼吸と自発呼吸の差異・肺の構造の特殊性
⇒病的肺の肺内コンプライアンスの多様性
結果、治療としては肺保護戦略が用いられる
LOW TV&PIP / PERMISSIVE HYPERCAPNEA
OPENLUNG APPROACH⇒RECLUTMENT maneuver
Barotrauma :高い気道内圧による圧損傷
Volutrauma :ー回換気量が高いためによる容量損傷
Atelectrauma :lowPEEPによる虚脱⇔再解放による損傷
Biotrauma :サイトカインによる炎症
Oxotrauma :高濃度酸素
lowTV:6-8ml /kg lowPIP:lowPLATEAU 30cmH2O>
lowTV:6-8ml /kg lowPIP:lowPLATEAU 30cmH2O>
肺リクルートメント法
傾向として以下の場合の成功率が高い。
・使用圧が高い ・加圧時間が長い ・ARDS/ALI発症
からリクルートメント施行までの日数が短い
リクルートメントの実際
●40-40(forty-forty)(Anesthesiology 2002; 96:
795-802) 40cmH2OのPEEPを40秒間維持する。
GattinoniやCrottiの報告は否定的な見解も散見され
る。
●35-30(ARDSネットワーク Crit Care Med 2003;
31: 2592-7) 35cmH2OのPEEPを30秒間維持する。
●Amatoらの方法 (Am J Respir Crit Care Med
1995; 152: 1835-46) 15cmH2O換気圧の状態から、
5cmH2OずつPEEPをアップさせて 45cmH2Oまで
もっていく。施行時間は2分。
呼吸不全と解剖生理学的関係
呼
吸
中
枢
呼
吸
筋
肺
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
気
道
抵
抗
ガ
ス
交
換
肺
動
静
脈
機
能
心
機
能
体
循
環
で
の
酸
素
運
搬
組
織
で
の
酸
素
代
謝
&
これらいずれの場所に異常が起こっても呼吸不全となる
組
織
か
ら
二
酸
化
炭
素
の
産
生
血
管
を
通
っ
て
二
酸
化
炭
素
の
排
出
輸送担体としての赤血球
赤血球の特徴
骨髄で作られ、肝臓脾臓で壊される
血液幹細胞でM-CSFにより分化誘導される
葉酸やB12がDNAレベルで分化を助ける
ヘム蛋白は2価鉄イオンにより作られている
胃内因子とB12により小腸からB12が吸収
酸素解離曲線はHbやpH、体温、DPGが関係
2-6DPG
• 赤血球の中で酸素をヘムとつなげる酵素
O2
O2
2-6DPG
RBC RBC
Hb酸素解離曲線
酸素分圧(mmHg)
40 100
0
4
8
血中酸素化Hb濃度・酸素濃度
(mmol/l)
右方移動
左方移動 Hb=150g/l
酸素を物理的に溶解した場合
CO2
DPG
pH
体温
↑
↑
↓
↑
CO2
DPG
pH
体温
↓
↓
↑
↓
条件によって異なる→生体の反応
酸素は水に溶けない・・・
ボーア効果
酸素分圧(mmHg)
40 100
0
4
8
血中酸素化Hb濃度・酸素濃度
(mmol/l)
悪条件であれば右方移動して
酸素を放出しやすい体制にする
(低分圧でも酸素をひねりだす)
悪条件で
分圧低下
60
20 90
静脈血で酸素分圧
低値となると酸素親
和性低くなり酸素が
放出されやすい
酸素分圧高値では
酸素親和性高
血流のおさらい
•肺循環:右心系
体循環(大静脈)
→肺を経由し左心系へ
全身に発射前に弾を込める
•体循環:左心系
肺静脈
→体循環(全身の主要臓器)
に弾を発射する
酸素分圧(mmHg)
40 100
0
100%
酸素を物理的に血漿に溶解
ヘモグロビン酸素化
右
左心系
赤血球が酸素を運ぶ
組織
心臓(ポンプ)
=押し出す
細胞内へ
肺=酸素取り込む
組織=酸素受取る
肺の中は酸素多い(分圧高)
組織は低い
パルスオキシメーター
しくみ:血液中のヘモグロビンの酸素化を評価
経皮的にレーザーを当てた時の吸光度の変化をみることで、
今の酸素化ヘモグロビンの相対的濃度を容積脈波として計測
する
装着部分は指、足、耳、鼻、前額にモニタリング用のプローブ
が販売されているが、救命士は基本手指での計測である。
SpO2は何をみているの
酸素分圧(mmHg)
40 100
0
100%
酸素を物理的に血漿に溶解
ヘモグロビン酸素化
組織の吸収 水の吸収
静脈血 動脈血
~分光光度法とその応用について~
測定誤差
SpO2は何をみているのか
組織の吸収 水の吸収
酸素分圧(mmHg)
40 100
0
100%
酸素化Hb比率
測
定
誤
差
大
測
定
誤
差
大
吸
光
度
波長
酸素化ヘモグロビン
酸素化ヘモグロビン+還元ヘモグロビン
PaO2 ∽ SpО2=
パルスオキシメーターの
SpО2値はPaО2値に相対
PaО2値 SpО2 (SaО2)値
40Torr 75%
50Torr 85%
60Torr 90%
70Torr 93%
80Torr 95%
90Torr 97%
そして・・・
低酸素では酸素の
受け渡しが多い
ある程度飽和する
と酸素の受け渡し
が減る
問題
以下の空欄に当てはまる値を入れよ
PaО2値 SpО2 (SaО2)値
40Torr 75%
50Torr 85%
60Torr 90%
70Torr 93%
80Torr 95%
90Torr 97%
ロ
ハ
ニ
ホ
へ
イ
実は・・・
SaО2 =O2Hb/(Hb+O2Hb+ COHb+ MetHb)
⇒分画的酸素飽和度:Hbと結合するすべての値を分母にしている。
主に採血で測定する値。 SaО2 のaはartery(動脈)の意味。
SpО2=O2Hb/(Hb+O2Hb)
⇒機能的酸素飽和度:Hbと結合するのは酸素限定して分母にしている。
主にパルスオキシメーターなど体表面で測定。 SpО2のpはpulse(脈)
の意味。
SpО2=SaО2じゃないんです!
問題
• SaО2は と言われ下の式で示された値を示す。
主に動脈血採血で測定する値で知る事が出来る。
• SaО2 = ÷ ( + + + )
• SpО2は と言われ下の式で示された値を示す。
主にパルスオキシメーターなどの体表面で測定する機器で測定される。
• SpО2 = ÷ ( + )
• 選択肢:①O2Hb(酸素化ヘモグロビン) ②HHb(還元ヘモグロビン)
③COHb(一酸化炭素ヘモグロビン) ④MetHb(メトヘモグロビン)
⑤分画的酸素飽和度 ⑥機能的酸素飽和度
ロ ハ ニ ホ へ
チ リ ヌ
イ
ト
パルスオキシメーターがSpО2≠SaО2の場合
• 一酸化炭素中毒: 660nmでの吸光度がCОHbと同じであり SpО2が高く表示。
SpО2=(О2Hb+CОHb×0.9)÷全Hbのため。
• メトヘモグロビン中毒:660nmでの吸光度がMetHb同じであり SpО2が高く表示。
• メチレンブルーなどの医療用色素は影響する。ビリルビンは影響しない。
• 貧血(2.3~8.7g/dl)は低酸素時にSaО2 よりもSpО2が低く検出される。
• うっ血性心不全は静脈圧が高いとSaО2 よりもSpО2が低く検出される。
• 大動脈バルーンパンピングが入っている場合も低く検出される。
• 末梢循環不全や血流の途絶ではSpО2は検出されない。
• 体動、シバリングでも第5世代でDSTアルゴリズムが発展し検出可能になった。
• 蛍光灯の光など外光が強く当たる場合は高く検出されることがある。
• 青いマニキュアは660nmに高い吸光度があり低く検出される。
問題
• パルスオキシメータが動脈血中酸素飽和度とのデータが解離することが知られ
ている。次の文章に適切な言葉を入れよ。
• 一酸化炭素中毒はSpО2値が 高 く表示される。
• メトヘモグロビン中毒はSpО2値が 高 く表示される。
• メチレンブルーなどの医療用色素はSpО2値が 低 く表示される。
• 黄疸ではSpО2値が 等し く表示される。
• 貧血(2.3~8.7g/dl)は低酸素時にSpО2値が 低 く検出される。
• うっ血性心不全は静脈圧が高いとSpО2値が 低 く検出される。
• IABPが入っている場合SpО2値が 低 く検出される。
• 青いマニキュアをしている場合SpО2値は 低 く検出される。
ロ
ハ
ニ
ホ
へ
イ
ト
チ
酸素運搬について考えてみよう
今、肺で酸素化されたばかりの
動脈血100mlを採血したとする
血液中の赤血球の100%が酸素と結びついた
酸素化ヘモグロビン
成人男性のヘモグロビンの
血中濃度は15g/dl前後
そしてHbと結合する酸素は…
Hb1gと結合できる酸素は1.34ml
例えば1dl (100ml)中に15gあれば
1.34×15≒20ml/dl
となる
1分子のヘモグロビンに4個のO2
1L(1000ml)中に
約200mlの酸素
以上から 100ml の動脈血に含まれる酸素量は
採血100ml
(1dl=100ml)
酸素化ヘモグロビン=100% 酸素化していないヘモグロビン=ほぼ0%
100ml中のヘモグロビン量は15g
ヘモグロビン濃度は15g/dlなので
とすると1g中に1.34mlの酸素が結合することが可能。
15gのヘモグロビンでは15×1.34ml=20mlの酸素が存在。
これを溶存酸素量という。 溶存酸素量(CaO2)=1.34× Hb×SaO2
1分間に末梢へ運搬される酸素量は・・・
1分間で送る酸素の量
酸素供給量(運搬酸素量)
DO2 =CO(心拍出量)×CaO2(溶存酸素) =CO×(1.34×Hb×SaO2)
酸素がどのくらい末梢に運搬されるかの指標。
⇒心臓が押し出す赤血球の量、すなわち心拍出量
が増えればそれに比例して運搬も増える。
心臓から 末梢まで
心
末梢
O2
組織に取り込まれる量
動脈血(SaO2 100%) 静脈血(SvO2 75%)
酸素摂取量
=(組織に入る前の運搬酸素量)-(組織から出た後の運搬酸素量)
VO2 = CO×CaO2 - CO×CvO2
= CO×(CaO2 - CvO2)
= CO×1.34×Hb×(SaO2-SvO2 )
組織前後の酸素飽和度の差
O2
• 血液の酸素含量
CaO2 = (1.34×Hb×SaO2) + (0.003×PaO2)
• 酸素供給量
DO2 =CO×CaO2
=CO×(1.34×Hb×SaO2)
• 酸素摂取量
VO2 = CO×(CaO2 - CvO2)
= CO×1.34×Hb×(SaO2-SvO2 )
• 酸素摂取率
O2ER = VO2/DO2×100 (%)
酸素運搬システムまとめると・・・
問題 100ml の動脈血に含まれる酸素量は?
採血100ml
(1dl=100ml)
酸素化ヘモグロビン=100% 酸素化していないヘモグロビン=ほぼ0%
⇒100 ml中のヘモグロビン量は 15 g
ヘモグロビン濃度は 15 g/dl
これを溶存酸素量という。 溶存酸素量(CaO2)=1.34× Hb×SaO2
とすると1g中に 1.34 mlの酸素が結合することが可能であることがわかっ
ているから、
15 gのヘモグロビンでは 15 g×1.34 ml= 20 mlの酸素が存在。
ア イ ア
ウ
ウ エ
ウ オ カ
(一般的な25歳標準日本人成人男性の体格で、血中の)
酸素供給量を実際に計算しましょう
DO2 = 1.34×Hb×SaO2×CO
• Hb ;15.0 g/dL
• SaO2;100 %
• CO;5 L/min
DO2 =1.34×0.15×1.0×5000
1000 mLO2/min
0.15g/ml
5000ml/min
100%=1
(運搬酸素量)
酸素摂取量
=(組織に入る前の運搬酸素量)-(組織から出た後の運搬酸素量)
VO2 = DaO2- DvO2
= CO× 1.34×Hb×(SaO2-SvO2)
酸素摂取量を実際に計算しましょう
CO;5 l/min Hb ;15.0 g/dl SaO2;100 % SvO2; 75%
VO2 =100×(100-75)=1000-750=250
正常ではVO2はDO2の4分の1!?
式上、動静脈ではCOもHb同じ、SaO2 は一般的に約100%
→ SvO2の変化をみればよい
酸素摂取率
O2ER = VO2/DO2×100 (%)
=250/1000×100
=25%
酸素摂取の調節
~限界酸素輸送能~
500
酸素供給量から予測される病態
DO2 = 1.34×Hb×SaO2×CO
•Hbからは… →
•SaO2 →
•CO = SV×HR →
心拍出量(前負荷・後負荷)
貧血(出血、溶血)
呼吸不全(肺)
赤血球の酸素結合能低下
心不全、脱水、
循環不全
RBC
呼吸不全 ≠ 肺
酸素がしっかりと組織に取り込まれることに着目
した研究
N Engl J Med, Vol. 345, No. 19 , 2001
そのまえに・・・
敗血症とは
②敗血症性ショックで末梢広がる
⇒後負荷(左心系圧)が軽減する
③心臓が頑張って
血圧を維持しようとする
(しかし、いつか破たんする)
血圧=心拍出量×末梢血管抵抗
末梢が広がると抵抗↓
①菌などから原因となる
物質が放出される
④敗血症性ショック
とは血行が破たん
している状態
すなわち組織低酸素
⇒酸素依存が高い組
織ほど早い段階で臓
器不全に陥る
敗血症の基本的な治療
①菌などから原因となる
物質が放出に対して⇒
※早期の抗生剤投与
※膿があればドレナージ
※エンドトキシンが原因であれば
吸着療法
③がばがばの末梢血管に
対しては⇒
十分な輸液のあとに、
※α-stimulator、domapine投与
※効果ない場合vasopressin投与
②血管内容量が著しく
増加したことに関して⇒
※細胞外液の急速投与
⇒内腔が広いため血液の絶対量が
不足している
※水分量の評価にモニタリング
が必要な場合がある
⇒急速な水分補正により前負荷と後
負荷のミスマッチから心不全に
組織酸素化を
早期回復せよ
前負荷と後負荷
ポンプ前後の圧力を示し
ポンプ前圧=静脈還流による影響
ポンプ後圧=末梢血管抵抗による影響
という圧がかかることで血液が供給される
負荷圧⇒血液量
女子医大hp改編
前負荷と後負荷
前負荷
preload
後負荷
afterload
一回拍出量
strokevolume
今中ら 日集中医誌 2010;17:279~286.
酸素がしっかりと組織に取り込まれることに着目
した研究
N Engl J Med, Vol. 345, No. 19 , 2001
EGDT
敗血症治療における
早期組織酸素不足を
補う治療を行うこと
N Engl J Med, Vol. 345, No. 19 , 2001
組織酸素を維持せよ!
CVP
ScvO2<70%で
心拍出量あげろ
<Hb7.0なら輸血しろ
敗血症の患者
MAP
SCVO2
<CVP8なら
⇒輸液しろ!!
前負荷足りない
ゴール!
<MAP65mmHgなら
⇒血圧上げろ!!
組織まで届かない
CVP
8~12
MAP
>65
ScvO2
>70%
N Engl J Med, Vol. 345, No. 19 , 2001
前負荷
CVP
後負荷
MAP
Early-Goal Directed Therapy
• 敗血症性ショックで来院した263人を2群に
前向きコホート
• 一方は通常治療もう一方はEGDTに則って
• In hospital mortality
EGDT 30.5% VS Conventional 46.5%
(P=0.009)
• 同様に、28日、60日生命予後にも明らかにEGDT側に有意差がでた
N Engl J Med, Vol. 345, No. 19 , 2001
現在知られる一般的な敗血症治療⇒SSC2005の原点に
101 B-63
血中濃度が多臓器不全の進行の指標となるのはどれ
か.
a. クエン酸
b. 酢酸
c. 乳酸
d. 尿酸
e. 酪酸
103 G-16
多臓器不全でみられるのはどれか.3つ選べ
a. 尿量減少
b. 低酸素血症
c. 乳酸アシドーシス
d. 血清アルブミン増加
e. 血清クレアチニン減少
106 F-26 27
78歳の男性で意識障害。
7日前からの上腹部痛+発熱。
2日前から段々悪くなってきて意識
レベルJCSⅡ-10、心拍数112bpm、
血圧82/58mmHg、呼吸数24bpm、
SpO297%(3Ⅼ投与)39度眼球結膜
黄染、右季肋部圧痛。
26 まず行うべき治療として適切なものはどれか
a.アトロピンの静注
b.新鮮凍結血漿の輸血
c.生理食塩水の急速静注
d.アルブミン製剤の点滴静注
e.分子鎖アミノ酸製剤の点滴静注
27 この患者の循環状態の重症度を評価する
ための検査で適切なものはどれか
a.血糖測定
b.血液培養検査
c.動脈血乳酸値測定
d.血清アルブミン測定
e.へパプラスチンテスト
SIRSと敗血症
• 敗血症とは、感染に対する制御不能な宿主反応に起
因した生命を脅かすような臓器障害。
• 今までの敗血症の定義はSIRS(全身炎症反応症候群)
の病態すべてにあてはめて考慮していたが、それであ
ると風邪であったり、その他の軽い病態でも適応となっ
てしまい、感度特異度に信憑性が無かった。
• 今回2016年発表されたSepsis3studyの結果を受けて、
感染症が疑わしい前提で一定の項目を満たす患者を
絞り込むことになった。
敗血症の旧定義と新定義
敗血症は炎症反応の一部
循環不全や臓器不全はそのあと評価する
旧
感染症 SIRS
臓器障害
SOFA
qSOFA
SOFA(循環不全・臓器不全・・・)
敗血症は臓器障害あるものとして評価
新
Sepsis3study
qSOFA法
SIRS基準
旧・敗血症 新・敗血症
The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3) JAMA. 2016 Feb
23; 315(8): 801–810.
感染症+SIRS2項目
(感染症に伴う炎症反応)
qSOFA2項目陽性
感染症+SOFA2項目
(感染症に伴う臓器障害)
輸液に反応ないショック=敗血症性ショック
臓器障害がある場合=重症敗血症
新
旧
Sepsis3study
• 新しい敗血症の診断方法で分類治療した結果報告。
• qSOFA法(sBP100以下、R22以上、GCS15未満を各1点
とし3点満点中2点以上となった場合要精査)⇒2点以
上で死亡率が14倍。
• 精査としてSOFAscoreを使用し、2点以上で敗血症と診
断。⇒2点以上で死亡率10%。
• さらに、昇圧剤の使用があり、かつ、乳酸値2mmol/l
(18mg/dl)以上の場合、敗血症性ショックと診断。
⇒死亡率46.5%
The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3) JAMA. 2016 Feb
23; 315(8): 801–810.
SOFAscore
セルフ テスト
① 酸素はどこでエネルギーにされるか
② 脳出血や心不全などは呼吸に直接関
係ない ○か×か?
③ 肺胞内酸素分圧を良くするための3つ
の因子をあげよ
A B C
セルフ テスト
④ 次の患者のP/F比、A-aDO2をそれ
ぞれ算出しなさい
FIO2=60% PACO2=55torr PaO2=60torr
FIO2=30% PACO2=55torr PaO2=60torr
⑤A-aDO2が悪化する3つの病態を挙げよ
⑥ ARDSの重症度分類をかけ
セルフ テスト
⑦ 100mlの血中に酸素がどのくらい含有するか?
(成人男性15g/dlとして)
⑧酸素運搬に必要な3つの因子
⑨酸素摂取量は簡易的に を測定することで、
組織の状態を評価することができる
セルフ テスト
⑩血圧を規定する因子は何か
⑪敗血症性ショックの病態について説明しろ
⑫EGDTは敗血症治療の原点となる研究であるが、
この研究の優れた点はなにか
⑬Sepsis3と敗血症について説明せよ
How fun ?
二酸化炭素の測定
二原子分子であるCO2のエネルギー
CO2の基準振動と4つの振動モード
二重縮重し た振動で、この振動数の赤外線に吸収される。
FT-IR法:フーリエ変換 赤外分光光度計
(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)
• ビームスプリッターで二つに分けられた光の干渉強度を観測し、得ら
れた時間依存干渉パターン(インターフェログラム)をフーリエ変換し、
スペクトルを得る方法。
ND-IR法 :非分散型赤外線吸収法
(Non Dispersive Infra Red)
• ガス特有の吸収波長領域を利用したガス濃度の計測方式のこと。
吸収波長領域とは、ガスが吸収する波長の赤外領域のことで、
CO2は4.26μmの波長の赤外線を吸収するため、CO2濃度が高け
れば赤外線量が減り、それによって濃度を測定することができる。
カプノメータ(二酸化炭素呼出曲線描出機)
仕組み:赤外線での二酸化炭素の吸光度を測定し、濃度を計測。
意味:etCO2≒PACO2=PaCO2との考え方
カプノグラム(二酸化炭素呼出曲線)の見方
①「換気状態・呼吸停止」②「人工呼吸器の接続」③「気管チューブの位置」④「呼
吸器と自発のミスマッチ」⑤「患者の代謝変化」が理解できる。そのため、
①では患者自発や換気有無の確認。②③気管チューブ位置(抜け、屈曲、痰の
有無、片肺挿管、閉塞)。③ファイティング④気道確保器具の異常
を確認する。
さらに
酸塩基平衡が悪ければ⇒波形が上昇しやすい
酸素化が障害があれば⇒気道の異常を注意して①-④の確認
カプノメーターのサンプル採取方法
Ⅰ相
⇒上気道などの換気に
関与しない気体
解剖学的死腔
Ⅱ相(呼気開始相)
⇒気道内と一部の肺胞気
Ⅲ相(呼気平坦相)
⇒すべて肺胞気
Ⅳ相
吸気が始まる
呼気吸気混在
カプノメータの呼吸相とその意味(Fletcher)
呼吸時間
(動脈血中二酸化炭素分圧)
(呼気終末二酸化炭素分圧)
▼
その患者の
一回
ボリューメトリックカプノグラムの呼吸相
SⅡ
SⅢ
α角
呼吸量(ml)
etCO2(呼気終末二酸化炭素濃度)
PACO2
(平均肺胞気二酸化炭素分圧)
PCO2(mmHg)
(二酸化炭素分圧)
呼吸サイクル中の肺胞気二酸化炭素分圧
(PACO2)の変化
①血流によってCO2は肺胞側にシフト
②吸気初期から上昇し、後半吸気ガス
に希釈されていく。
③呼気に転じて上昇し始め吸気初期ま
で上昇していく。
①
②
③
P
A
CO2(mmHg)
(二酸化炭素分圧)
40
肺胞
分画
死腔
分画
肺胞
分画
死腔
分画
注意すべきカプノメーターの波形
気管支攣縮、チューブ屈曲 低換気
気管支攣縮は下気道閉塞で呼気終末のCО2上昇 肺胞低換気では、呼気CО2が一定の値まで下がらない
注意すべきカプノメーターの波形
• 過換気:呼出のCО2が低下
• 自発呼吸出現
⇒呼気終末に不規則な呼吸
注意すべきカプノメーターの波形
• 再換気
挿管チューブ漏れ
注意すべきカプノメーターの波形
• 食道挿管や心停止、回路リーク
注意すべきカプノメーターの波形(積算波形)
• 心肺蘇生中のCPR適正化
過換気から呼吸数の補正 自己心拍再開から循環不全の補正
死腔について
設定は
ある人に1分間5Lを換気させたいと考えた
Aさんは1回換気量500mlで10回/分で換気設定
500ml×10回=5L/分
Bさんは1回換気量250mlで20回/分で換気設定
250ml×20回=5L/分
正しいのは? ①Aさんが正しい
②Bさんが正しい
③AさんBさん両方とも正しい
④AさんBさん両方とも間違い
答えは④
なぜかな?
人工呼吸器の設定は機械側の換気量
死腔量150mlを引いた実際の換気量は?
Aさんは1回換気量500-150=350ml
350ml×10回=3.5L/分
Bさんは1回換気量250-150=100ml
100ml×20回=2 L/分
つまり本当は1回換気量+死腔量を加味しなければ、実際の換気量
を考えることはできない
死腔の考えはなぜ必要?
• すいとんの術~なんて子供のころお風呂場で
遊びませんでしたか?そのとき、実際やってみ
てどのくらいもちました?
• 頑張るんだけどなんか苦しくて途中であきらめ
ちゃう
• 苦しくなる理由には何が考えられるでしょうか?
筒が細いから?
何度もやってると吸い込むのも吐くのもできない
太くしてみるけど長くはいられない。
死腔ってなに?
呼気 吸気
この部分は換気されない
では、すいとんの術の前と後では?
正常 すいとん(死腔増)
気管、気管支
口
チューブ
肺胞
150ml
100ml
350ml
つまりは実際に
換気しているのは
肺胞のみ
チューブが長くなれば
1回換気量中の換気
部分が減少し、
空気の出し入れに
パワーが必要になる
一回に必要な
換気量 500ml
150/500×100
一回に必要な
換気量 600ml
250/600×100
非換気部分
=死腔
死腔換気率
Vd/Vt =PdCO2/PACO2
= (PACO2-PECO2)/PACO2
≒(PaCO2-PECO2)/PaCO2
(肺動脈血中CO2分圧-呼気CO2分圧)÷肺動脈血中CO2分圧
気管→死腔部分 Vd
肺胞→実際に
有効換気されている部分
一回換気量
Vt
呼出されたCO2は肺胞とCO2濃度が同じ。空間が一定であれば圧力と体積
は比例するから、気管に残ったCO2分圧を測定すれば、死腔換気率になる
死腔を計算しよう
( PaCO2 - PECO2 ) ÷ PaCO2
(肺動脈血中CO2分圧-呼気CO2分圧)÷肺動脈血中CO2分圧
人の平均的な1回換気量:体重の10分の1
平均的な死腔量は1回換気量の30%
すいとん
死腔換気率
=PdCO2/PACO2
= (PACO2-PECO2)/PACO2
≒(PaCO2-PECO2)/PaCO2
= 1-PECO2/PaCO2
Vd/Vt
つまり、一回換気量が同じであるとき
呼気中CO2分圧が上がれば死腔換気は
肺動脈血中CO2分圧が上がれば死腔換気減る
ストローと竹筒 ~筒が細いから苦しいのでは?~
断面積と換気流量の関係
⇒ベルヌーイの定理
流体のどの位置でもエネルギー(流速・圧・質量・位置)の積は等しい
呼吸では、質量・位置は考えるほどではないので、圧・流速を考える
気体の流量について
• Hookeの法則
• 流量[m3/s]=配管の断面積[m2]×流速[m/s]
⇒流量[L/s]=(管の直径[mm])2/(4×1000)×π×流速[m/s]
• ボイルシャルルの法則
k(一定)=絶対圧力P×体積V/温度T
⇒温度一定のとき体積は圧力に反比例する
• 1mol(分子の個数が6.02×1023を表す単位)の時の質量[g]を分子量とい
い、1mol時の気体は体積22.4[L]となる。標準状態(0℃、大気圧)
呼吸不全と解剖生理学的関係
呼
吸
中
枢
呼
吸
筋
肺
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
気
道
抵
抗
ガ
ス
交
換
肺
動
静
脈
機
能
心
機
能
体
循
環
で
の
酸
素
運
搬
組
織
で
の
酸
素
代
謝
&
これらいずれの場所に異常が起こっても呼吸不全となる
組
織
か
ら
二
酸
化
炭
素
の
産
生
血
管
を
通
っ
て
二
酸
化
炭
素
の
排
出
酸の産生と二酸化炭素の関係
ヒトの体内の主な電解質
• H+(水素イオン:アシドーシスの元)
• OH-(水酸化物イオン:アルカローシスの元)
• ナトリウム
• カリウム
• カルシウム
• マグネシウム
• 重炭酸イオン
• リン酸イオン
ではブドウ糖は?=基本的に電離はほとんどしない。
⇒イオン化(電離)するものを電解質という
⇒溶媒中で高率に電離するものを強酸(強アルカリ)という
細胞内液
間質内
血管内
細胞外液
細胞内電解質に対する活動電位
電解質の出入りがない場合
• 電解質による電位差や受容体の障害が起きることによる
様々な障害が生じる。(⇒神経伝導・筋収縮などその他種々
の細胞活動障害)
酸とは・・・
Brenstedの定義
• 酸はH+を放出するもの
• 塩基はH+を受け取るもの
Arrheniusの定義
• 酸はH+を解離する物質
• 塩基はH-を解離する物質
Lewisの定義
• 酸は電子対のドナーである
NaOH ⇔ Na+ + OH-
酸 塩基
酸
塩基
細胞内の酸
飯野,日本腎臓学会雑誌2001;43(8):621-63
酸の産生
• ヒトは栄養素を摂取すると大量の酸を産生する。特に炭素を
中心とした栄養素(糖・脂肪)が基本であるために、人のからだ
では炭素を処理した結果、大量のCО2が酸として排泄される。
(15000~20000mmol/日)
• これらは主に呼吸により肺から体外に排泄される。
• これ以外にも蛋白などが分解されると不揮発酸 (例えば
NО3-やSО42-)が生成するが、これらは気化しない(揮発しな
い)ために、主に腎臓で排出される。
酸を発生する栄養素とその酸の種類
酸塩基の負荷と生体内での反応
呼吸や腎臓で処理される
スピードは遅い。
⇒細胞外液にある緩衝系
において結構な量の酸が
処理が瞬時にされている。
生体での酸の排泄
• 通常の酸としてH+を排泄すると、組織障害が起こるために、
酸をイオン化しない形にして体外に排泄する。
• 主に以下の通り
①緩衝作用
【血液】
• ヘモグロビン
HHb⇔Hb-+H+
• 重炭酸
H2CО3⇔HCО3-+H+
【細胞内】
• 蛋白質
蛋白=H ⇔ 蛋白- + H+
• リン酸・骨緩衝系
H2PО4 ⇔ HPО4-+ H+
様々な緩衝作用が秒で働いて
酸による細胞障害を防いでいる
②呼吸による酸の排泄 ~全体の6割~
• 肺胞側
• 血管内HCО3-+血管内H+⇔H2CО3⇔肺胞 CО2+ 血管中の水H2О
• 末梢血管側
• 組織CО2+ 血液中の水H2О⇔H2CО3⇔HCО3-+H+
③腎機能による尿中への酸の排泄
• 近位尿細管を中心としたHCО3-の再吸収
• 皮質集合管におけるH+の排泄(リン酸化・アンモニアの排
泄)
• 時間がかかる。たくさんの酸は処理できない。
硝酸や硫酸など分解できない不揮発酸の処理に当たる。
• ヒトのHCО3の再吸収は近
位尿細管で8割以上が行
われる。
• GFR=100ml/min
=144L/日
• HCО3の濾過は、
24mEq/l×144L/日
=3456 mEq/日
• 細胞外液に含まれる
HCО3絶対量=240mEq
→実は再吸収されている
近位尿細管でのHCО3- の再吸収
α間在細胞でのリン酸によるH+の排泄
• 尿中には
①リン酸化
PО43-→HPО42-→H2PО4- によ
るH+の処理
②アンモニア化
NH3+H+ →NH4+
によるH+の処理
アンモニア
の排泄
• グルタミンからアンモニウム+ と
なり、原尿中に排泄される過程で、
尿細管中のNaーK-2CL共輸送体
のチャネルで再吸収され、さらにH
+と結合しNH3となって分泌され
ることにより排出される。
• 分泌されるRhCGはpHが低下する
と表現系として現れる
RhCG=Rhesus C Grycoprotein
皮質集合管における細胞・輸送体の働き
• 主細胞:ナトリウムの再吸収、K排泄
• α間在細胞:H+の排泄とHCО3-の再吸収
→アシドーシスの時にH+排泄に働く
• β間在細胞:HCО3-の排泄とH+の再吸収
→アルカローシスの時にHCО3-の排泄に働く
HCО3-/CL交換体とH+/ATPase を作用させアルカリを改善
する
アニオンギャップ
• 揮発酸(CО2)
に対する気化しない
酸(NО3-やSО42
-)を示す指標
アニオン(陽イオン)
-カチオン(陰イオ
ン)=AG
AGが変化する病態
①代謝性アシドーシス
②それ以外の病態
【AG上昇】
• 高リン酸血症、高アルブミン血症
【AG低下】
• アニオン上昇:高K血症、高Ca血症、高Mg血症、リチウム中
毒、多発性骨髄腫
• カチオン低下:低アルブミン血症
• 誤測定:ヨード中毒、ブロマイド中毒、サリチル酸中毒、偽性
低Na血症
AGが変化
する病態
名称について
• 血中pHが低下するとアシドーシス、上昇するとアルカローシス
• 初めに呼吸によって起きると呼吸性
• 初めに代謝によって起きると代謝性と呼ぶ。
• 代謝性アシドーシスは代謝が原因で起きた血液の酸性化
• 呼吸性アルカローシスは呼吸が原因で起きた血液のアルカリ化
代謝性アシドーシスの原因
① 酸の増加:乳酸アシドーシス、ケトアシドーシス、中毒
② 塩類の喪失:下痢、近位型尿細管性アシドーシス、他
③ 腎の機能低下:腎不全、遠位型尿細管性アシドーシス、他
代謝性アシドーシスによる影響
《急性代謝性アシドーシス》
白血球機能低下
心室性不整脈発症
動脈拡張、低血圧
昇圧剤反応低下
インスリン作用低下
リンパ球機能低下
細胞エネルギー産生低下
アポトーシス亢進
精神状態変化
インターロイキン産生
酸素解離曲線左方移動
心収縮低下・血圧低下
《慢性代謝性アシドーシス》
骨疾患発生や悪化
発育遅延
耐糖能異常
腎疾患の進行
筋肉疲労増加
アルブミン合成低下
β2mg増加
代謝性アルカローシス
• 尿細管ENaCへNaの到達が増えて取り込みが亢進し、相対
的にKやH+が血管内に分泌されるもの。
• 集合管に直接作用する行為(アルドステロンの上昇など)が
起きて、一次的にNaの取り込みが亢進し、KやH+が血管内
に分泌されるもの。
• 腎不全によるHCО3分泌不全
皮質集合管における主細胞の働き
尿細管腔 血管側
皮質集合管におけるα間在細胞の働き
尿細管腔 血管側
皮質集合管におけるβ間在細胞の働き
尿細管腔 血管側
代謝性アルカローシスの分類
① 集合管イオンチャネルを二次的に刺激
1)CL欠乏症行群→消化管からの喪失(嘔吐)や腎性喪失(利尿薬)
② 集合管イオンチャネルを一次的に刺激
1)ミネラルコルチコイド過剰→原発性アルドステロン症、クッシング症候群、先
天性副腎過形成、レニン分泌腫瘍、薬物
2)AME症候群→Liddle症候群、11βОH酵素欠損
③ アルカリの摂取投与、排泄障害
1)腎不全、食事でのCL摂取不良
代謝性アルカローシス
代謝性
アルカローシス
呼吸不全に対する治療
呼吸不全の治療
• 酸素療法
• 鼻カニュラ
• 簡易酸素マスク
• オキシアーム
• 経皮気管内カテーテル
• ハイフローセラピー(HFOT):一回換気量以上の酸素ガスを投与する治療法
• ベンチュリーマスク
• リザーバー付きマスク・リザーバー付き鼻カニュラ
• ネブライザー式酸素吸入装置:インスピロンⓇなど
• 高流量鼻カニュラ(High flow nasal cannula; HFNC):例)ネーザルハイフローTMなど
• 人工呼吸器管理(NIPPV/IPPV)・VAP・抜管(SAT/SBT)
• 人工肺(ECMO)
• 液体呼吸
• 投薬 呼吸促進剤・浮腫治療・利尿薬・ステロイド
• リハビリテーション
気道確保
経鼻エアウェイ:NPA・経口エアウェイ:OPA
緊急気道確保 Difficult Airway Management
バックバルブマスク:BVM
ジャクソンリース回路
ラリンゲアルマスク:LMA
WBチューブ:WBA
気道確保
DAM(DAS)
酸素療法
定義
ヒトの体内の酸素の不足状態(低酸素血症)に対し、
適量の酸素を投与することで、吸入気の酸素濃度
(FIO2)を高め、生体内酸素不足を改善しようという
治療法。
適応
PaO2<60mmHg
あるいは
SaO2<90%
COPDなどCO2貯留患者でない者:SaO2 94%~98%
COPDなどCO2貯留患者 :SaO2 88%~92%
酸素ボンベと流量計の構造
酸素流量計(レギュレーター)
フロート式 ダイヤル式
フロート式
ダイヤル式
ガス配管
ちなみに・・・
笑気
酸素ボンベ
ボンベ容積とガス残量の関係
用手的換気器具
BVM
ジャクソンリース
• 高流量の酸素ガス圧によりバッグを膨
らます為、ガスがないと使用できない。
• 100%酸素を源とするので、高濃度酸
素の投与ができるが、逆に、酸素濃度
を中程度など下げることが難しい。
• バッグの押し具合により加圧圧力を感
じ取りやすいという利点
• CO2の再呼吸がある。ガス流量に依存
してCO2の再呼吸が起こる。
主な低流量酸素投与デバイス
• カニュラ
• リザーバー付きカニュラ
• マスク
• オキシマスクⓇ
• リザーバーマスク
鼻カニュラ
経鼻で酸素投与する器具。
酸素流量と吸入酸素濃度の関係は患者の1回換気量に依存。
低換気⇒酸素濃度上昇
過換気⇒酸素濃度低下
口呼吸の患者には推奨できない。
酸素流量6l/min以上は吸入酸素濃度の上昇が期待できない。
マスク
経鼻/経口で酸素投与する器具。
酸素流量と吸入酸素濃度の関係は患者の1回換気量に依存。
低換気⇒酸素濃度上昇
過換気⇒酸素濃度低下
酸素流量は5l/min以下はマスク内に貯まった呼気ガスを再吸収。
酸素流量は5l/min以上で吸入酸素濃度は40%以上となるため、低
濃度酸素吸入には適さない。
リザーバー付きマスク
経鼻/経口で酸素投与する器具。
酸素流量と吸入酸素濃度の関係は患者の酸素流量に依存。
低換気⇒吸入酸素濃度は酸素流量
過換気⇒マスク外大気の吸入や呼気再換気の危険
酸素流量は6l/min以下はマスク内に貯まった呼気ガスを再吸収。
酸素流量は6l/min以上でリザーバーバック内に十分な酸素を貯め
ることで高濃度酸素を吸入させる方式。
リザーバーマスクの膨らみ=患者の呼吸状態。 酸素流
量・マスクフィット・呼吸数や換気量など注意が必要。
デバイスによる酸素濃度のちがい(参考)
酸素流量が上昇する毎に
ある程度のFio2が上昇。
低流量では比例的にFio2が上昇。
高流量になるほどFio2が上昇しなくなる。
⇒デバイスの構造上の限界
主な高流量デバイス
• ベンチュリーマスク
• ベンチュリーネブライザー
いま吸っている酸素量は?
今 L/分 = 1000x /60 ml/秒
Ti 秒間に吸気する酸素量は Ti=1000x /60 ml …①
Ti 秒間に吸気する空気量は Vt-① ml
そのうち Ti 秒間に吸気する空気中の酸素量は
0.21×② = 0.21×(Vt-①)ml …②
よって 合計酸素量は ①+② = 0.21×Vt + 0.79×① …③
FiO2 =③/Vt・100 = 21+ 79①/Vt
= 21+79/Vt・1000× L×Ti/60 = 21 + 1317・Ti/Vt・ L
今 Vt* = Vt/Ti と置くと、FiO2 = 21 + 1317/Vt*・ L
高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)
• 定義:加温・加湿した一定濃度の酸素を、鼻カニュラ(鼻腔カニューレ)を介し
て高流量で投与する高流量酸素システム。
• 適応:自発呼吸が保たれている
が、呼吸仕事量が増加している患者
低流量酸素で対応できない場合。
気管支喘息の増悪
慢性閉塞性肺疾患の増悪
肺炎、肺水腫、うっ血性心不全
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
睡眠時無呼吸症候群
• 禁忌:
• 自発呼吸消失
• 気道確保不能
• 循環動態不安定
• 患者が非協力であるなどの症例
利点:
導入の簡便さ。酸素化の改善・呼吸回数の減少・呼吸困難の改善。酸
素ブレンダーにより、高流量(60 L/min)のガスを流すことができ、鼻カ
ニュラでもFiO2(21~100%)を供給することが可能。
排痰促進:最適な加温・加湿(温度37°C、絶対湿度44mg/L)は、上気道
にある粘膜絨毛のクリアランスを増強させる。
呼吸仕事量の低下:高流量により鼻咽頭腔の解剖学的死腔(約 150 ml)
が洗い流されることで換気補助となる。
PEEPがかかる:呼吸サイクルによる気道陽圧で 2~5 cmH2O 程度の PEEP
がかかる。口の開閉や性別などによって変化。
マスクに比べ食事や飲水が容易にできることから快適性が向上。
欠点:
酸素流量が大きいため配管が必要。専用のアタッチメントが必要。
非侵襲的陽圧換気(NPPV)
• 定義
• 適応
• メリット
• デメリット
日本呼吸器学会NPPVガイドライン
NPPV(非侵襲的陽圧換気法)
• 定義:気管挿管や気管切開などの高度な気道確保を行わずに、マス
ク等で機械による陽圧換気を行う方法をいう。
• 利点:導入が簡単であること。気管挿管を行わないため、本人の苦痛
に対する鎮痛鎮静を行う必要性が減ること。そのため、食事や会話な
ど意思疎通を必要とした日常動作が可能となる。
• 適応:心不全やCOPDの急性増悪が適応。
• 欠点:マスクフィットが必要となるためマスクが密着していることが重
要。マスクが密着することに対する不快感・搔痒感・疼痛・潰瘍・精神
的圧迫感、気道が絶えず開放しているため、送気の呑気とそれによ
る胃内空気貯留からの吃逆・嘔気嘔吐・噯気(おくび)などが注意必
要。リーク補正に多大な送気量が必要となるため、従来の呼吸器で
は難しく専用呼吸器が必要。不穏・意識障害患者、喀痰を頻回吸引
が必要な患者は適応外。
長期在宅酸素療法の効果と生存
酸素でもNPPVでも有効
JAMA. 2017;317(21):2177-2186
HOT
• COPD患者において, 重度の低酸素状態の患者では, 長期酸素療法(LTOT)
は効果的(Chest. 2010 Jul;138(1):179-87.)
• 右心負荷、肺性P波患者、多血症患者(HT>56%)において有意差あり。
• 中等度の低酸素(PaO2 56-65), 症候性のCOPD患者に対するLTOTの効果は不
明.
• LOTT trial: 中等度低酸素血症を認めるCOPDに対する酸素療法の効果を評
価したopen-label RCT. (N Engl J Med 2016;375:1617-27.)
• Studyの導入前1-3ヶ月以内にCOPD急性増悪を呈した患者群では酸素投与群
の方が死亡, 入院リスクが低かった(HR0.58[0.39-0.88])
• ・71歳以上の高齢者でも酸素投与群の方が予後(死亡, 入院リスク)が良い(HR
0.75[0.57-0.99])
• ・QOLが低い患者群(Quality of Well-Being Scale score <0.55)も予後が良くなる
可能性がある(HR 0.77[0.60-0.99])
HOT患者の%IBWと生存率
人工呼吸器管理
歴史
ラジオメータ社HP 諏訪先生寄稿
しくみ
トリガーセンサーなど省略
駆動系
ブレンダー
等価回路における人工呼吸器回路の力学
コンデンサ
抵抗器
電源 =呼吸器(機械換気)
=横隔膜(自発呼吸)
=胸郭コンプライアンス
=気道抵抗
人工呼吸器・自発呼吸における
動力源
インピーダンス(回路内総抵抗)
吸入気気道内圧Paw
大気圧Patm
胸郭コンプライアンスC
横隔膜・呼吸器圧Pms
移動距離・拡張距離V
ベローズ・横隔膜断面A
*エアウォーター 尾崎らの実験2007
V(距離)=C(コンプライアンス)× E(力)
E(力)=移動距離÷コンプライアンス
速度=dV(距離)/dt
=dC(コンプライアンス)×E(力)/dt
∫(速度)dt= C(コンプライアンス)× E(力)
∴ E=1/C・ ∫(速度)dt
両端を積分して微分をなくす
速度=距離の微分方程式
代入
実験系から呼吸仕事量の算出*(CMV)
**Campbell のダイヤグラムより。Campben.E.J.M.:The respiratory muscles and mechanics of breathing.Chicago:Year
Book Publishers;1958.
*日本光電 桑山らの実験1993
**
実験系から呼吸仕事量の算出(SPONT)
実験系から呼吸仕事量の算出(A/C)
• 気道内圧ー胸腔内圧(≑食道内圧)=経肺圧
• 患者呼吸仕事量(WOBp)
=-∫(⊿Pes×flow×⊿t)
十(Tidal volume)2/Ccw/2
※⊿Pes:吸気食道内圧-安静時食道内圧
※ Ccw:胸郭コンプライアンス
人工呼吸器における運動方程式
回路内圧=気道抵抗×気道流速+一回換気量/胸郭コンプライアンス
呼吸仕事量WorkOfBreathは、
気道などで生じる粘性抵抗(レジスタンス)
肺や胸郭の弾性抵抗(エラスタンス)
により規定される
さまざまな呼吸設定
VCV
• VCVとは一定流量のもと、一定換気量の設定することで出来る換気
モードのこと。
• 気道内圧が高くても吸入量を維持したい患者に最適。
• 一回換気量の目標値は6~8ml/kg・PBW(動物実験では6ml/kg・PBW)
• プラトー圧が25~30cmH2O
• 上記呼吸器の設定をきちんと行うことでVILI/VALIの予防となる
• Drivingpressure=一回換気量/呼吸器系コンプライアンスも研究され
ており、呼吸器設定の調整が必要となっている
PBW:predict body weight
SerpaNetoA,et.alCurrOpinCritCare2015;21:65-73
AmatoMB,et.al NEJM2015;372:747-55
• 分時換気量を維持するために呼吸回数で補う。
• VCVでは量に対し一定なため、気道内の状態に応
じて気流の分布が一定にならない。(Flow
Asynchrony)
• VCVでの設定で吸気流量が時間に伴って漸減す
る漸減波に切り替えることにより、平均気道内圧
の上昇、酸素化の改善、換気分布の不均等、正
常肺胞の過膨張、に対処することが出来るが、患
者予後の改善に寄与するというエビデンスはない。
VCVにおける波形と呼吸相とその意味
気道抵抗
PEEP
胸郭コンプライアンス
PEAK Plateau
• 気道抵抗=(Peak圧ーPlateau圧)/ 送気流量
⇒矩形波のみ(漸減波は送気流量一定でないのでダメ)
正常値 (非挿管患者)1~2cmH2O/L/sec
(挿管患者) 10cmH2O/L/sec
• コンプライアンス=一回換気量/(Plateau圧ーPEEP)
正常値 (非挿管患者) cmH2O/L/sec
(挿管患者) 50~100cmH2O/L/sec
PCV
• PCVは一定の気道内圧で一定の時間換気する換気モードである。
• 吸気圧の設定により分時換気量が決まるため、これを呼吸回数で
分割すると一回換気量が設定できる。VCVは吸気流量だが、PCVは
吸気時間による調節が必要となる。
• 呼吸器送気時間終了と患者吸入時間終了が合わない場合同調が
得られない。(CYCLE ASYNCHRONY)
• COPDなど閉塞性疾患の場合、時定数が高くなり、送気時間を延ば
すと、呼気時間を圧排しAUTOPEEPが発生、胸腔内圧上昇や血圧低
下、CO2貯留の原因となるため注意が必要となる。
PCVにおける波形と呼吸相
気道抵抗
PEEP
胸郭コンプライアンス
吸気終末PEAK=コンプライアンス
具体的な呼吸器設定(調節換気⇒補助換気)
調節換気(人工呼吸による換気が主,筋弛緩薬が使用されることあり)
⇒補助換気(自発呼吸努力の補助が主)
①Assist Control(A/C)モード,もしくはControl mechanical ventilation(CMV)モード
・Control ventilationいわゆる調節呼吸,強制換気のみの呼吸.
・Assist ventilation自発呼吸努力で強制換気をトリガーし強制換気で補助.
②Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation(SIMV)
設定換気回数までは自発呼吸を強制換気で補助し,それ以上の自発呼吸努力には
Pressure support ventilation(PSV)で補助を行う.
③Pressure support ventilation(PSV)
自発呼吸努力に合わせて設定レベルまで気道内圧を上昇させる.
吸気相の陽圧レベルだけが設定され, 吸気の速さ(吸気流速),吸気時間,吸気量は自発に依存し同調性
がよい
少
自
発
度
合
い
多
内山 日本臨床麻酔科学会誌 35(1)89-97 2015
強制換気の種類
• 従量式volume control ventilation(VCV)
⇒一回換気量と吸気流量が固定された方法
決まった一回換気量を送気できるが、気道内圧や流量の自在性がない
• 従圧式pressure control ventilation(PCV)
⇒吸気圧と吸気時間が固定された方法
吸気流量の自由度がより高く,同調性はよいが一回換気量が不定.
• 圧規定従量式pressure regulatedvolume control ventilation(PRVCV)
⇒規定の一回換気量を送り込むよう吸気圧をコントロールする方法
その他 特別な呼吸器設定
①High frequency oscillation(HFO)
最高気道内圧を上げずにできるだけ高い平均気道内圧を得ることを目的とする.
自発呼吸努力は考慮されておらず,筋弛緩薬を用いることもある.
②Airway pressure release ventilation(APRV)
肺胞の開存を目的に高いPEEP値と自発呼吸努力を用いる換気モードである.
自発呼吸努力に対する換気補助機能については考慮されていないが,低PEEP相を作ること
によって換気の補助を行う.
③Proportional assist ventilation(PAV)
呼吸器系のコンプライアンスと気道抵抗を想定して呼吸筋発生圧を算出し,自発呼吸
努力に適合性の高い補助換気を行う.
④Neurally adjusted ventilatory assis(t NAVA)
横隔膜筋電図を測定して自発呼吸努力強度に比例した換気補助を行う.理論的に自発
呼吸努力との適合性が優れた補助換気法である.
人工呼吸器設定における不同調の原因
不同調の内訳は次の3つに分けられる.
⑴吸気相の開始タイミング
⑵吸気相から呼気相への転換タイミング
⑶吸気流量と吸気圧のコントロール
⑴吸気相の不一致
・Auto triggering
自発呼吸努力がないにもかかわらず吸気相が開始される状態。
原因
回路のもれ。心拍動。回路内の液貯留。体動。
適切なトリガー閾値を設定する必要がある.吸気トリガーまでの時間
は短く,それに要する仕事量は少ないほうがよく,トリガー閾値は誤動
作のない最も鋭敏なレベルに調整する.
⑴吸気相の不一致
・Ineffective triggering
患者の自発呼吸努力が存在するにもかかわらず吸気相が開始しない状態。
原因
不適切なトリガー閾値設定。
内因性PEEPの存在。吸気努力がトリガー値や内因性PEEP値に到達しないと吸
気努力が口元まで伝わらないため,ineffective triggeringやトリガー遅れの原因
となる.
内因性PEEPの発生原因は呼気相の気道抵抗増大や一回換気量と比較し呼気
時間が不十分な換気設定が要因となる.
⑵吸気相から呼気相への移行の問題
PSVでは吸気相の最大吸気流量から流量低
下割合によって呼気相への転換タイミングを
決定する(ターミネーション設定)。
多くの人工呼吸器では最大吸気流量25%程
度に設定されているが,低コンプライアンスの
患者では早めに終了し,気道抵抗が大きな
患者では逆に吸気相が長くなりやすい。この
ターミネーション設定を変更することが可能な
人工呼吸器では流量波形と気道内圧波形を
参考に設定を変更することが可能となる(図
4)
⑶吸気流量と吸気圧のコントロール
一定の流量パターンで吸気を行う強制換気と比較してPSVは患者の自
発呼吸との同調性がよいと考えられているが,実は患者では呼吸努
力は常に一定ではないにもかかわらず,PSVでは常に設定した気道内
圧を上昇させるという一定の圧補助しか行わない.このため,患者の
吸気努力の強さとの不一致と患者の肺メカニクスとの不一致が起こり
うる
強い呼吸努力ある場合、PSVの初期吸気流量を早くし,吸気圧の立ち
上がりを早くする。逆に安静な呼吸では早すぎる初期吸気流量は患
者に不快感をもたらす.多くの人工呼吸器ではPSVの初期流量レベル
の調整が可能である. 流量波形や気道内圧波形に注意を要する。
PAVモード
• Pmus+Paw=R・V ・ +1/C・⊿V
コンプライアンスCと気道抵抗Rから呼吸
筋の発生圧Pmusを計測。
気道内圧Pawを適正レベルに維持する。
• PAV+モード
コンプライアンスCと気道抵抗Rを自動計
算しすべてを自動に行う。
その他
• バッキング:閉塞した状態で
• ファイティング:呼気吸気がかち合う
• ブレススタッキング:一回の呼吸相に2回以上吸気努力が生じる
本日は詳細な機序は挙げず用語のみ
呼吸器にあるパラメータ(PB980)
1)換気・呼吸状態を示すパラメータ
AUTO PEEP and aplied PEEP
分時換気量 Minute Volume (VE)
動肺コンプライアンス Compliance,Dynamic(CDyn)
静肺コンプライアンス Compliance,Static(Cstatic)
レジスタンス(平均) Resistance,Mean(RAwM)
レジスタンス(高値) Resistance,Expiratory(RAwE)
一回換気量(吸気時) Tidal Volume,lnspired(VTins)
一回換気量(呼気時) Tidal Volume,Expired(VTexp)
呼吸数(回/分)Respiratory Rate(RR)
2)患者と人工呼吸器の同調性を示すパラメータ(波形表示)
気道内圧 Airway pressure(PAw)
食堂内圧 Esophageal pressure(PEs)
気道流速 Flow(V)
一回換気量Tidal volume(VT)
3)呼吸仕事量に関するパラメータ
呼吸仕事量(呼吸器)
Work of Breathing,Ventilator(WOBv)
呼吸仕事量(患者側)
Work of Breathing,Patient(WOBp)
流速/吸気量曲線 Flow/volume curve
吸気圧/吸気量曲線 Pressure/volume curve
4)ウィニングに関するパラメータ
浅速換気指数 Rapid shallow breathing index (f/VT)
Respired Drive (P0.1)
Inspiratory Time Fraction (Ti/TToT)
Pressure Time Product (PTP)
Pressure Time lndex (PTI)
1)換気・呼吸状態を示すパラメータ
AUTO PEEP and aplied PEEP
分時換気量 Minute Volume (VE)
動肺コンプライアンス Compliance,Dynamic (CDyn)
静肺コンプライアンス Compliance,Static (Cstatic)
レジスタンス(平均) Resistance,Mean (RAwM)
レジスタンス(高値) Resistance,Expiratory (RAwE)
一回換気量(吸気時) Tidal Volume,lnspired(VTins)
一回換気量(呼気時) Tidal Volume,Expired(VTexp)
呼吸数(回/分) Respiratory Rate (RR)
2)患者と人工呼吸器の同調性を示すパラ
メータ(波形表示)
気道内圧 Airway pressure (PAw)
食道内圧 Esophageal pressure (PEs)
気道流速 Flow (V)
一回換気量Tidal volume (VT)
経肺圧
⊿気道内圧
=⊿肺容量×呼吸器エラスタンス
=⊿肺容量×(肺エラスタンス+胸郭エラスタンス)
=⊿経肺圧+⊿胸腔内圧
肺容量×肺エラスタンス(肺の伸びやすさ)=⊿経肺圧
肺容量×胸郭エラスタンス(胸郭の硬さ)=⊿胸腔内圧
(⊿胸腔内圧 ≑ ⊿食道内圧)
⊿経肺圧=⊿気道内圧ー⊿食道内圧
3)呼吸仕事量に関するパラメータ
呼吸仕事量(呼吸器)Work of Breathing, Ventilator (WOBv)
呼吸仕事量(患者側)Work of Breathing, Patient (WOBp)
流速/吸気量曲線 Flow/volume curve
吸気圧/吸気量曲線 Pressure/volume curve
時定数
満員電車で昇降時、
『早く降りてくれないかな!乗換え間に合わないよ』
はじめに降りた人はどんどん先に行くのに、
自分は車内に取り残されてなかなか降りれない。
なんて経験ありませんか?
また、喉が渇いている時に、
『喉渇いたからいっぱい飲みたい!』
最初は勢いよく飲んだけど、意外と飲み込むのに時間がかかって
口に溜まるにつれ、むせたりしたなんて経験ありませんか?
電車は扉のサイズ、飲み込みは喉の口径により飲み込む量が決まってしまってるんです
時定数
任意の時間の乗客数N(t)とすると乗客数の変化率は乗客数に反比例し
dN(t)/dt=-αN(t) αは指数減数係数
となります。t=0での乗客数N0とするとこの微分方程式の解は
N(t)=N0・e-αt・・・①
であり初期値のe-1倍までの時間と定義され、①式は、
N(τ)=N0・e-ατ= e-1 ・ N0 と変形でき、
α・τ=1 ・・・②
が得られ、このことからτ(時定数“タウ”)はα(指数減数係数)の逆数ということがわかります。
e-1 =1/e ≃ 1/2.71828 ≃ 0.368
e-1 ≃ 0.368
y=y(t)
乗客減少はドアが狭ければ狭いほど遅くなり、
客が混んでいれば客数が増えて内圧上昇すると考えると、
車体容量が小さいほど満員(内圧↑)となり流出は速くなる
肺
容
量
時定数
100%
37%
14%
5%
2%
0.7%
α=客数(気道内圧)/車両容量(胸郭)/ドアの間口(気管径=気道抵抗)
②式を用いて変形すると、
τ=ドアの間口(気管径=気道抵抗)/客数(気道内圧)/車両容量(胸郭)
N(t)=N0・e-αt
N0=100%
τ=気道抵抗/気道内圧/胸郭
また、時定数は
τ=呼気一回換気量/最大呼気流量
であることが知られていることから、時定数の上昇がどの因子
によって起こっているのか注視することが重要である。
レジスタンス エラスタンス
τ=ドアの間口(気管径=気道抵抗)/客数(気道内圧)/車両容量(胸郭)
4)ウィニングに関するパラメータ
浅速換気指数 Rapid Shallow Breathing Index (f/VT)
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