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商学部標準科目 マーケティング




             #07 
             顧客価値、満足、ロイヤリティーの創造
              どのように顧客を満足させて長期的な関係を構築するのか考
             えます。顧客生涯価値という考え方についても理解を深めます。


    1

             一橋大学大学院商学研究科
             松井 剛


#matsuimktg2010


マーケティング・マネジメント・プロセス
の全体像(講義の構成)
                      Part I Introduction


   R         STP             MM               I         C
                           Marketing
          Segmentation     Mix              Implemen-
 Research Targeting        Product, Price   tation
                                                      Control
          Positioning      Place, and
                           Promotion




 Part II R   Part II STP                Part IV MM
                                                                2

                      Part V Application                            2




                                                                        1
目次
■ 顧客価値と顧客満足の定義
■ 顧客生涯価値の最大化
■ 顧客リレーションシップの育成




                                       3




■ 顧客価値と顧客満足の定義
顧客の知覚価値(CUSTOMER PERCEIVED VALUE)
   図4‐1:顧客の受取価値の決定要素(p. 80)




 知覚 顧客価値 = 知覚 ベネフィット - 知覚 コスト
               製品価値           金銭的コスト
               サービス           時間的コスト
               従業員            エネルギー・コスト
               イメージ           心理的コスト

     顧客に知覚されないものは存在しない

 「図4‐1:顧客の受取価値の決定要素」を用いて、あなた自身が        4

 購入した製品なりサービスを採り上げて、どのような顧客価値
 を受け取ったのかを説明しなさい。




                                           2
★ 考えてみよう
ロイヤルティ
 ロイヤリティとは「他の製品やサービスへのスイッ
 チを引き起こす可能性のある状況的影響やマ ケテ
 チを引き起こす可能性のある状況的影響やマーケテ
 ィング努力が存在するにもかかわらず、将来もまた
 当該製品サービスを再購入や再利用しようとする強
 力なコミットメント」(p. 81)

 ロイヤリティが高い製品またはサービスを具体的に
 ひとつ挙げて、なぜそうしたコミットメントが顧客
 ひとつ挙げて なぜそうしたコミットメントが顧客
 の中で維持され続けているのかを分析しなさい


                                     5




総顧客満足(TOTAL CUSTOMER SATISFACTION)
 満足(不満足)
  満足 = 知覚されたパ
       知覚されたパフォーマンス - 事前期待

 過大な期待→失望させる可能性大
 過小な期待→十分な数の買い手を誘引できない

 【注意】満足を最大化させるのが目的ではない。満
 足を通じて利益を得ることが目的


                                     6




                                         3
満足度の測定
測定すべき理由:満足している顧客は、
 長いロイヤリティを有する
 新製品やアップグレードした既存製品をより多く購入
 好意的な口コミ源となる
 価格にこだわらない
 企業側にアイディアを提供
同じ満足度でも、満足の理由は異なるかもしれない
【注意】満足度の高い顧客の満足の理由を、その他
【注意】満足度の高い顧客の満足の理由を その他
大勢の顧客が好むとは限らない


                            7




製品品質とサービス品質
(顧客視点の)品質:明示的あるいは暗示的なニー
ズを満たす能力のある製品(またはサ ビス)の特
ズを満たす能力のある製品(またはサービス)の特
徴や特性を総合したもの
「適合」品質がマーケティング的な考え方
 「性能」品質:グレードの違い
 「適合」品質:約束した品質を提供しているか




                            8




                                4
■ 顧客生涯価値の最大化
顧客を規模と収益性で分類
パレートの法則(20対80の法則)
20対80対30の法則:生み出された収益の半分は下位30%の利
益性のない顧客へのサービスで消失
 →利益性のない顧客とは取引停止せよ
  利益性 な    客    停
                            20%の
         80%の顧客
                             顧客

 20%の
              80%の利益
  利益
 大口顧客が利益を生むとは限らない
顧客タイプ    売上    割引      収益性
大口顧客     大     大きな割引   低い
                                     9
中程度の顧客   中     ほぼ定価    高い
小口顧客     小     定価      低い




図4‐2:顧客と製品の収益性分析(P. 86)
                       利益の高い製品を販売




                                     10

                       値上げ or 販売中止




                                          5
顧客生涯価値(CUSTOMER LIFETIME VALUE)
  顧客の生涯にわたる購買活動に期待できる将来の利益の
  流れを現在価値で表すもの
  コンパクトカーの例(トヨタ自動車)
                          【メンテナンス】
                          【       】
                          (車検、法廷車検など):28.5万円
                          用品販売:34万円
                          故障、修理など:9.9万円
                          保険:55.3万円
イニシャルマーケット
   173万円
       車両価格など
                     車両購入後7年間    アフターマーケット
                     のアフターマーケッ      127.7万円
                     トはイニシャルマー
                     ケットの74%                  11


出所:石井淳蔵他(2004)『ゼミナール マーケティング入門』日本経済新聞社.




 ■ 顧客リレーションシップの育成
 ★ 考えてみよう
  顧客リレーションシップ・マネジメント(CRM: 
  Customer Relationship Management) 顧客との絆を強く
  Customer Relationship Management):顧客との絆を強く
  すること

  「顧客タッチポイント」(Customer Touch Point)とは「
  実際の使用はもちろん、人的コミュニケーションやマス
  コミュニケーション、たまたま目にすることまで含み、
  顧客がブランドや製品に出会う全ての機会」
  ある製品やサービスの顧客タッチポイントをすべて挙げ
  て、これらが顧客との絆を深める上でどのように関連し
  合っているのかを分析しなさい
                                              12




                                                   6
CRMの基本原理:ONE TO ONE MARKETING
Mass Marketing                       One to One Marketing
平均的顧客                                個別顧客
顧客の匿名性                               顧客プロフィール
標準的製品                                カスタマイズされた市場提供物
大量生産                                 カスタマイズ生産
大量広告                                 個別販売
マス広告                                 個別メッセージ
マス・プロモーション                           個別インセンティブ
一方向メッセージ                             双方向メッセージ
規模の経済性                               範囲の経済性
市場シェア                                顧客シェア
全顧客                                  収益性の高い顧客
顧客誘引                                 顧客維持                             13

出所:Don Peppers and Martha Rogers (1993), The One to One Future: Building
Relationships One Customer at a Time, Doubleday/ Currency.




顧客基盤の価値を高めるために(表4‐1, P. 91)
   顧客基盤(Customer Base):顧客の数と顧客がも
   たらす価値のこと
    1.   客に逃げさせない
    2.   より長いつきあいにする
    3.   もっと買ってもらう
          シェア・オブ・ウォレット(Share‐of‐Wallet)を高める:あ
          る製品またはサービスへの支払金額における自社提供製品ま
          たはサービスの比率
          クロスセリング(Cross‐Selling):既存顧客に関連する製品
          クロスセリング(Cross Selling):既存顧客に関連する製品
          ・サービスを買ってもらう
          アップセリング(Up‐Selling):再購入時によりグレードの
          高い製品・サービスへとアップグレードさせる
    4.   うまみのない客への対応                                                  14
          切る
          高くする




                                                                           7
顧客の勧誘、維持、育成
     顧客維持のための2つの方法
     1.
     1    移動障壁を設ける:他社に先行することがカギ
          →顧客との強力な絆の形成(次のシート)
     2.   (既存の)顧客満足度を高める→不満をどのように解
          消するか?
            根拠:新規顧客獲得コスト≒(既存顧客の満足維持)×5
            根拠:顧客の利益率:維持顧客の生涯を通じて増大する傾向
           →顧客の育成(図4‐3, p. 92)




                                             15




★ 考えてみよう
顧客との強力な絆の形成
1.    金銭的ベネフィットの付与
       フリークエンシー・プログラム
       会員制クラブ・プログラム
2.    社会的ベネフィットの付与
       従業員と顧客の社会的絆
           例:エディー・バウアーのネット販売では、顧客はサービス担当者と
           チャットができる
            ウェブサイト訪問者のうち購買に至る者:1.8%
            百貨店訪問者のうち購買に至る者:5%
3.    構造的結びつきの付与
     1. 長期契約
     2. 継続購入者への割引
     3. 製品の長期的サービスへの転換                       16
      顧客との絆の形成の具体的な例を挙げてみよう




                                                  8
顧客データベースとデータベース・マーケ
ティング
データベースの利用方法
1.
1    大量のレスポンスを分類、最有望な見込み客の選別
     大量のレスポンスを分類 最有望な見込み客の選別
2.   販売、クロスセリング、アップセリングが可能な見込
     み客の特定
3.   顧客の選好に基づいて、インセンティブや状況提供を
     通じてロイヤリティ向上
4.   時期に応じた案内状などプロモーションによる購買の
     再活性化
5.   1名の顧客に同じ製品を異なる価格で売るというミス
     の回避
データベースをつくるのは簡単:ポイントカードの
乱立                              17
どう使うのかが課題




                                     9

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Mktg07 顧客価値、満足、ロイヤリティーの創造

  • 1. 商学部標準科目 マーケティング #07  顧客価値、満足、ロイヤリティーの創造 どのように顧客を満足させて長期的な関係を構築するのか考 えます。顧客生涯価値という考え方についても理解を深めます。 1 一橋大学大学院商学研究科 松井 剛 #matsuimktg2010 マーケティング・マネジメント・プロセス の全体像(講義の構成) Part I Introduction R STP MM I C Marketing Segmentation Mix Implemen- Research Targeting Product, Price tation Control Positioning Place, and Promotion Part II R Part II STP Part IV MM 2 Part V Application 2 1
  • 2. 目次 ■ 顧客価値と顧客満足の定義 ■ 顧客生涯価値の最大化 ■ 顧客リレーションシップの育成 3 ■ 顧客価値と顧客満足の定義 顧客の知覚価値(CUSTOMER PERCEIVED VALUE) 図4‐1:顧客の受取価値の決定要素(p. 80) 知覚 顧客価値 = 知覚 ベネフィット - 知覚 コスト 製品価値 金銭的コスト サービス 時間的コスト 従業員 エネルギー・コスト イメージ 心理的コスト 顧客に知覚されないものは存在しない 「図4‐1:顧客の受取価値の決定要素」を用いて、あなた自身が 4 購入した製品なりサービスを採り上げて、どのような顧客価値 を受け取ったのかを説明しなさい。 2
  • 3. ★ 考えてみよう ロイヤルティ ロイヤリティとは「他の製品やサービスへのスイッ チを引き起こす可能性のある状況的影響やマ ケテ チを引き起こす可能性のある状況的影響やマーケテ ィング努力が存在するにもかかわらず、将来もまた 当該製品サービスを再購入や再利用しようとする強 力なコミットメント」(p. 81) ロイヤリティが高い製品またはサービスを具体的に ひとつ挙げて、なぜそうしたコミットメントが顧客 ひとつ挙げて なぜそうしたコミットメントが顧客 の中で維持され続けているのかを分析しなさい 5 総顧客満足(TOTAL CUSTOMER SATISFACTION) 満足(不満足) 満足 = 知覚されたパ 知覚されたパフォーマンス - 事前期待 過大な期待→失望させる可能性大 過小な期待→十分な数の買い手を誘引できない 【注意】満足を最大化させるのが目的ではない。満 足を通じて利益を得ることが目的 6 3
  • 4. 満足度の測定 測定すべき理由:満足している顧客は、 長いロイヤリティを有する 新製品やアップグレードした既存製品をより多く購入 好意的な口コミ源となる 価格にこだわらない 企業側にアイディアを提供 同じ満足度でも、満足の理由は異なるかもしれない 【注意】満足度の高い顧客の満足の理由を、その他 【注意】満足度の高い顧客の満足の理由を その他 大勢の顧客が好むとは限らない 7 製品品質とサービス品質 (顧客視点の)品質:明示的あるいは暗示的なニー ズを満たす能力のある製品(またはサ ビス)の特 ズを満たす能力のある製品(またはサービス)の特 徴や特性を総合したもの 「適合」品質がマーケティング的な考え方 「性能」品質:グレードの違い 「適合」品質:約束した品質を提供しているか 8 4
  • 5. ■ 顧客生涯価値の最大化 顧客を規模と収益性で分類 パレートの法則(20対80の法則) 20対80対30の法則:生み出された収益の半分は下位30%の利 益性のない顧客へのサービスで消失 →利益性のない顧客とは取引停止せよ 利益性 な 客 停 20%の 80%の顧客 顧客 20%の 80%の利益 利益 大口顧客が利益を生むとは限らない 顧客タイプ 売上 割引 収益性 大口顧客 大 大きな割引 低い 9 中程度の顧客 中 ほぼ定価 高い 小口顧客 小 定価 低い 図4‐2:顧客と製品の収益性分析(P. 86) 利益の高い製品を販売 10 値上げ or 販売中止 5
  • 6. 顧客生涯価値(CUSTOMER LIFETIME VALUE) 顧客の生涯にわたる購買活動に期待できる将来の利益の 流れを現在価値で表すもの コンパクトカーの例(トヨタ自動車) 【メンテナンス】 【 】 (車検、法廷車検など):28.5万円 用品販売:34万円 故障、修理など:9.9万円 保険:55.3万円 イニシャルマーケット 173万円 車両価格など 車両購入後7年間 アフターマーケット のアフターマーケッ 127.7万円 トはイニシャルマー ケットの74% 11 出所:石井淳蔵他(2004)『ゼミナール マーケティング入門』日本経済新聞社. ■ 顧客リレーションシップの育成 ★ 考えてみよう 顧客リレーションシップ・マネジメント(CRM:  Customer Relationship Management) 顧客との絆を強く Customer Relationship Management):顧客との絆を強く すること 「顧客タッチポイント」(Customer Touch Point)とは「 実際の使用はもちろん、人的コミュニケーションやマス コミュニケーション、たまたま目にすることまで含み、 顧客がブランドや製品に出会う全ての機会」 ある製品やサービスの顧客タッチポイントをすべて挙げ て、これらが顧客との絆を深める上でどのように関連し 合っているのかを分析しなさい 12 6
  • 7. CRMの基本原理:ONE TO ONE MARKETING Mass Marketing One to One Marketing 平均的顧客 個別顧客 顧客の匿名性 顧客プロフィール 標準的製品 カスタマイズされた市場提供物 大量生産 カスタマイズ生産 大量広告 個別販売 マス広告 個別メッセージ マス・プロモーション 個別インセンティブ 一方向メッセージ 双方向メッセージ 規模の経済性 範囲の経済性 市場シェア 顧客シェア 全顧客 収益性の高い顧客 顧客誘引 顧客維持 13 出所:Don Peppers and Martha Rogers (1993), The One to One Future: Building Relationships One Customer at a Time, Doubleday/ Currency. 顧客基盤の価値を高めるために(表4‐1, P. 91) 顧客基盤(Customer Base):顧客の数と顧客がも たらす価値のこと 1. 客に逃げさせない 2. より長いつきあいにする 3. もっと買ってもらう シェア・オブ・ウォレット(Share‐of‐Wallet)を高める:あ る製品またはサービスへの支払金額における自社提供製品ま たはサービスの比率 クロスセリング(Cross‐Selling):既存顧客に関連する製品 クロスセリング(Cross Selling):既存顧客に関連する製品 ・サービスを買ってもらう アップセリング(Up‐Selling):再購入時によりグレードの 高い製品・サービスへとアップグレードさせる 4. うまみのない客への対応 14 切る 高くする 7
  • 8. 顧客の勧誘、維持、育成 顧客維持のための2つの方法 1. 1 移動障壁を設ける:他社に先行することがカギ →顧客との強力な絆の形成(次のシート) 2. (既存の)顧客満足度を高める→不満をどのように解 消するか? 根拠:新規顧客獲得コスト≒(既存顧客の満足維持)×5 根拠:顧客の利益率:維持顧客の生涯を通じて増大する傾向 →顧客の育成(図4‐3, p. 92) 15 ★ 考えてみよう 顧客との強力な絆の形成 1. 金銭的ベネフィットの付与 フリークエンシー・プログラム 会員制クラブ・プログラム 2. 社会的ベネフィットの付与 従業員と顧客の社会的絆 例:エディー・バウアーのネット販売では、顧客はサービス担当者と チャットができる ウェブサイト訪問者のうち購買に至る者:1.8% 百貨店訪問者のうち購買に至る者:5% 3. 構造的結びつきの付与 1. 長期契約 2. 継続購入者への割引 3. 製品の長期的サービスへの転換 16 顧客との絆の形成の具体的な例を挙げてみよう 8
  • 9. 顧客データベースとデータベース・マーケ ティング データベースの利用方法 1. 1 大量のレスポンスを分類、最有望な見込み客の選別 大量のレスポンスを分類 最有望な見込み客の選別 2. 販売、クロスセリング、アップセリングが可能な見込 み客の特定 3. 顧客の選好に基づいて、インセンティブや状況提供を 通じてロイヤリティ向上 4. 時期に応じた案内状などプロモーションによる購買の 再活性化 5. 1名の顧客に同じ製品を異なる価格で売るというミス の回避 データベースをつくるのは簡単:ポイントカードの 乱立 17 どう使うのかが課題 9