This July 5th 2002 document is originally prepared for the workshop for one of the largest web design agency in Tokyo to exchange and share the Razorfish IA methodology with them. For the recent growing need for practical IA methodology in Japan, I decided to open this file for the future generation.
2002年7月5日に某社のために行った情報アーキテクチャ(IA)のワークショップ向けに当時自分なりにまとめた資料です。概論と実践、2回に分けて開催する予定でしたが、第2回目は幻となりました(謎)
いわゆる「白くま」流のIAの考え方と当時の米国で芽生えつつあったUXという違った視点でのIAという考え方の紹介を、実際の組織構成の説明・解説を交えつつ、実際のプロセスとそれぞれの成果物の紹介です。
中盤の実際の組織構成の説明は、2000年当時にIAをサービスの強みとしていた(かつ自分が在籍した)米国の主要Webインテグレーター(日本では当時「SIPS」と呼ばれていた今や当たり前のWebデザインの業態)の3社のデザイン部門の構成やその後の各社の動向をIAを軸に解説しています。
ここで詳細は書きませんが、以前無断で引用(というか丸写)され、意味を意図的(?)に変えて某大学院の授業教材に間違った文脈で使われていたのをその大学のオープンキャンパス戦略なる計らいで知ったことがあります。(単にググったら出てきたw)
まぁ、引用されるのは良いことでもあるのすが、どうせならフルで引用されるように公開しておきたい、という思いと、一方で昨今の「IAからUXへ」という考え方の源流がすでに2002年には確立していた、という点でもその方面に興味がある方には参考になるかな?と。
#記述内容は当時のままですが、用語統一の観点から「情報設計」を「情報アーキテクチャ」、「インフォメーション・アーキテクト」を「インフォメーションアーキテクト」にだけ変更しています。
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情報アーキテクチャとは何か?
What is Information Architecture?
一般的とされる代表的な考え方の紹介。
リチャード・ソール・ワーマン
ピーター・モービルとルイス・ローゼンフェルド(元Argus Associates社)
ヤコブ・ニールセン
篠原稔和(ソシオメディア)
リリアン・スベック(元Sapient Corp.社)
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情報アーキテクチャとは何か?
Information Architecture and Information Architect are:
インフォメーションアーキテクトの意見
複雑なデータの固有のパターンをまとめて、内容を明確にする人
第三者が情報を得るための筋道を自分で見つけられるように、情報の構造を示
す地図を作成する人
誰でもが理解しやすいように情報を提供し、それらをまとめる人
( 『Information Architects』、1996年)
リチャード・ソール・ワーマン 建築家&情報構築家
情報を理解すること
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情報アーキテクチャとは何か?
Information Architecture and Information Architect are:
情報アーキテクチャ・コンサルタントの意見
情報の組み立て方(構成、インデックス(指標付)、ラベリング、ナビゲーションシス
テム)を設計し、情報のブラウズと検索をサポートする人文科学
( 『情報アーキテクチャ』、1998年)
ルイス・ローゼンフェルド 元Argus Associates, President & Co-founder
首尾一貫した法則、ナビゲーションシステム、グラフィックス、ページレイアウト、そし
てタイトル法則およびラベリングシステムを開発すること
(Web Review誌、Web Architectコラムより)
ピーター・モービル 元Argus Associates, CEO & Co-founder
情報を整理し、法則を作ること
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情報アーキテクチャとは何か?
Information Architecture and Information Architect are:
ユーザビリティ・コンサルタントの意見
ユーザーの視点をサービスに反映し、首尾よく情報を見つけて目的を達成できる
よう、十分配慮して計画された構造
ヤコブ・ニールセン ユーザビリティ・コンサルタント
対象の内容・目的・コンテクストなどを踏まえ、情報の組織化、ナビゲーションシ
ステム、ラベリングシステム、検索システムを開発する体系的アプローチ
篠原稔和 ソシオメディア代表
問題を整理し、解決すること
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情報アーキテクチャとは何か?
Information Architecture and Information Architect are:
ユーザーエクスペリエンスディレクターの意見
コンテンツとインタラクションのためのナビゲーションと構成構造といった、潜在的な
システムを表現する計画をデザインすること。
インフォメーションアーキテクトはインタラクティブな経験がどのように機能するかを
設計・構築するデザイナー
( 『Sapient Information Architecture Practice Definition and Framework』、2000年)
リリアン・スベック 元Sapient Corp., Creative Director & IA Practice Lead
機能を計画し、デザインすること
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情報アーキテクチャの目的と必要性
Information Architecture serves 2 main purposes
情報アーキテクチャを実践することは、2つの大きな目的を達成することである
ユーザー体験を常にデザイン開発プロセスの念頭に置き、ユーザビリティの失敗、
使い勝手が悪くならないように、何度となく情報のあり方の検証と構築を行なう
実装前に検証することで、プロジェクト実行時に時間と開発費を節約する
では、インフォメーションアーキテクトの役割は?
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情報アーキテクチャの目的と必要性
Role of Information Architects
インフォメーションアーキテクトの役割は、
デザイン開発プロセス全体を通して、一貫してユーザーの代表としての意識をもち、
必要な情報を整理し、必要な機能を明確にし、それらを最良なユーザー体験に
落とし込むためにユーザー中心のデザイン開発を推進するのが最大の役割。
※情報を整理する、情報を定義することが最終目的ではない!
具体的には?
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情報アーキテクチャの目的と必要性
What Information Architects actually do?
情報の受け手となるユーザー・オーディエンスの分析
明確なターゲット・オーディエンスまたはターゲット・ユーザーの設定
ビジネスニーズ、競合企業(市場)の分析(ベストプラクティスの選定)
クライアントからのヒアリング
機能要件定義
必要とする機能(フィーチャー)の分析と構造設計
情報の整理と分類
ユーザーフロー(パス)とナビゲーションスキームの確立
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情報アーキテクチャの目的と必要性
What Information Architects actually do?
見えない機能と構造(ユーザー体験)をいかに設計するか
使い勝手(機能性と利便性)のデザイン
ユーザーが経験する体験をいかに形にするか、落とし込むかのデザイン
上記2つのために、
存在する情報を整理し、分析し、目的に合わせて
効果的に分類し、再構成・再設計する行為