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アート観賞イベントと連動した
インタラクティブな街歩き型
ストーリーリーダーの一検討
関西大学
〇徳丸 晴天 ・ 畑 玲音 ・ 徳山 美津恵 ・ 松下 光範
はじめに
1
街や地域を対象にしたアートイベント
はじめに:街や地域を対象にしたアートイベントとは
1
街おこし × アートイベント
1/27
狙い
・街を訪れてもらう
・アート作品の観賞がきっかけ
・街の魅力を伝える
・アート作品の観賞や体験を通じて
地域資源に目を向けるきっかけを提供
アートへの関心を足掛かりとして集客を図るイベント
(地域おこし)
はじめに:街や地域を対象にしたアートイベントの例
1
2/27
背景:島々の人口減少・高齢化・地域の活力低下
目的:瀬戸内の島々への活力付与
内容:瀬戸内の島々にアートが展示
瀬戸内国際芸術祭
はじめに:街や地域を対象にしたアートイベントの悩み
1
3/27
巡るスポットが限定
賑わいのある街路や目立つスポットに影響を受けて観賞経路選択
例)
・駅から近いスポットしか行かない
・商店街の付近のアートのみ観賞
・大通りに面したアートのみ観賞
・遠い,目立たないアートは見ない
駅 商店街
はじめに:アートイベントの悩みの解決案
1
スタンプラリー ガイドアプリ
4/27
普段目につかないようなスポットも巡らせ
街に訪れた人の回遊の誘発を狙って実施
巡るスポットが限られてしまう問題に効果的な手法
1か所ではなく,さまざまなスポットを巡ること
はじめに:スタンプラリーでは不十分
1
5/27
ユーザの行動
• スタンプ押すだけで,アートへの注目なし
スタンプラリーの目的
• 運営:美術館への来訪,回遊の促進
• ユーザ:スタンプの収集,景品
例)
• 美術館を巡るスタンプラリー
• スタンプを集めると景品獲得
はじめに:ガイドアプリでは不十分
1
6/27
ユーザの行動
• アートの観賞
• (アートに興味のない人の利用なし)
ガイドアプリの目的
• 運営:美術館への来訪,アートの観賞
• ユーザ:アートの観賞
例)
• 美術館のガイドアプリ
7/27
はじめに:現状
コンテンツ体験に関心を向けつつ
回遊を誘発するシステムがない
1
スタンプラリー:コンテンツを見てくれない
ガイドアプリ:コンテンツに興味が無いと利用しない
ユーザに委ねられる
7/27
はじめに:現状
コンテンツ体験に関心を向けつつ
回遊を誘発するシステムがない
1
スタンプラリー:コンテンツを見てくれない
ガイドアプリ:コンテンツに興味が無いと利用しない
例)アート観賞:アートをじっくり観察すること
ユーザに委ねられる
8/27
本研究の目的
コンテンツ体験に関心を向けつつ
回遊を誘発すること
2
提案
3
物語
アートの観賞
(コンテンツ体験)
「現実のコンテンツ体験を組み込んだ物語の観賞」を
足掛かりにする手法
観賞
9/27
提案:具体的な案
10/27
・物語:
・街中に実在するアートを観賞して回る物語
・アートの前でしか読めない
・ユーザもアートの観賞することが期待
・物語を読んでいると,いつの間にか街を回遊することを期待
・物語内でアートに関する情報に触れる
・その情報を意識したアート観賞が期待
街中で物語を読むスマホ用Webアプ
リ
・街:アートが点在する街
3
2つの行動誘発を両立させるシステムを作成
• 街のアート観賞に関心を向けること
• 街のアートを回遊
11/27
デザイン指針
4
デザイン指針
4
アート観賞に関心を向かせるため 回遊させるため
アートを見に行くように
仕向ける手法
物語コンテンツ(小説)による
実環境への理解を促す手法
12/27
デザイン指針
アート観賞に関心を向かせるため 回遊させるため
各所にあるアートを
見に行くことにより
物語が展開する設定
物語の主人公がアートを
観賞する展開を迎えた時に
同じアートをユーザも実際に観賞
物語の主人公 現実のユーザ 物語 現実
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4
デザイン指針
現
実
物
語
物語を読む アート観賞
アート観賞 14/27
物語の主人公と
同じアートを見る
4
デザイン指針
現
実
物
語
物語を読む アート観賞
アート観賞
現実と物語間に
繋がりが発生
物語の主人公と
同じアートを見る
14/27
4
デザイン指針
現
実
物
語
物語を読む アート観賞
アート観賞
アート
物語の内容
アートに関する
知識
コンテキストが与えられる
14/27
4
14/27
デザイン指針
現
実
物
語
物語を読む アート観賞
アート観賞
アート
物語の内容
アートに関する
知識
アートに関する
情報に触れる
コンテキストが与えられる
4
デザイン指針:設計する上の検討事項
4
アートまでの距離によって,選択される物語が限定
実際のアート観賞を担保する必要
ユーザの選択反映による物語への没入感の提供
15/27
デザイン指針:設計する上の検討事項
4
アートまでの距離によって,選択される物語が限定
・物語選択時はアートや店舗までの距離を非表示
(向かうときに初めて表示)
実際のアート観賞を担保する必要
・ユーザが目的に到着することで物語の続きを閲覧可能
ユーザの選択反映による物語への没入感の提供
・店舗を選択時,複数の選択肢を提供
・選択によって,主人公の目的地が変化
15/27
十三駅の乗り換え 16/27
十三
じゅうそう
対象にする街
十三のイメージ
課題
・昔ながらのイメージが強い
(駅,乗り換え,治安が悪い)
・街に降りてくれない
・大阪府大阪市淀川区南西部
・阪急電鉄の主要な3路線の結節点
・飲み屋街として有名
5
目的:街を楽しみ知ってもらうこと
内容:街中の店舗にアートが展示
17/27
十三アートフェス
5 対象にする街:「十三」の街おこし
淀壁
目的:地域活性化,壁画の聖地化
内容:街中の建物の壁にアート制作
目的:街を楽しみ知ってもらうこと
内容:街中の店舗にアートが展示
17/27
十三アートフェス
5 対象にする街:「十三」の街おこし
目的:地域活性化,壁画の聖地化
内容:街中の建物の壁にアート制作
十三に点在する淀壁などのアートの回遊,
各地点でのアート観賞に関心を向かせること
本研究の目標
淀壁
26
試作したシステム
提案システム
6
「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
18/27
提案システム:流れ
6
「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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提案システム:流れ
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「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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提案システム:流れ
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「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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提案システム:流れ
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「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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提案システム:流れ
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「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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提案システム:流れ
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「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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提案システム:流れ
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「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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提案システム:流れ
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「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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提案システム:流れ
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「TokoTokoBanashi」
と こ と こ ば な し
十三のアートがあるスポットに
行くことにより,物語の続きを
読み進めることが可能
街歩き型ストーリーリーダー
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パイロットスタディ(PoC)
パイロットスタディ(PoC)
7
作成したシステムによって
街のアート観賞に関心を向かせることが可能か
• 参加者:3人(大学生)
• 手続き:TokoTokoBanashiを使って十三を巡った後,
半構造化インタビューを実施
20/27
• 評価指標:
• アートに関する気づきを得たか
• アートと街の関係性に関する気づきを得たか
7
・メイド ・レースの服
・眼鏡をかけた ・トレーを持っている
• 駅近くの壁
• 喫茶店の壁
21/27
パイロットスタディ(PoC)
アートの内容に関する気づき
アートと街の関係性に関する気づき
実環境におけるシステム検証
実環境におけるシステム検証
8
作成したシステムが実際のアートイベントにおいて,
回遊を促進しつつ街のアート体験に
関心を向かせることが可能か
• 実施場所:十三アートフェス
• 対象者:現地の参加者
• 手続き:TokoTokoBanashiのアクセスデータを収集,
システム上でアンケート実施
チラシ
22/27
• 評価指標:
• 回遊させるためのデザインが機能していたか
• アートに関する気づきを得たか
8
物語 あらすじ 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話
1:村上十和 23 13 5 5 4 4 2
2:床村太郎 15 11 2 2 2 1
3:西中島叶 12 7 2 2 2 1 1
4:例江益男 9 7 2 2 1 1
5:木川結翔 10 4 2 2 1
アートを見ないと読めない お店に行かないと読めない
表:各話のアクセス数
アプリ使用:46人 物語観賞:26人 物語観賞完了:3人
実環境におけるシステム検証:アクセス数
23/27
8
アートについての気づきを得たか
十和さま(主人公)が
メイドの壁画(アート)にも
バキ柄(アーティスト特有の模様)が
あることに気づいて
落書きでないことがわかった
共通の幾何学模様が描かれていた
実環境におけるシステム検証:コンテンツ体験に関心が向くか
物語の内容が反映された回答
24/27
8
回遊させるためのデザインが機能していたか
・知らないところまで歩ける
実環境におけるシステム検証:回遊促進が可能か
25/27
議論
回遊を促進できたか
・システム通り回遊させることは可能であったと示唆
アート観賞に関心を向かせることができたか
・アートに関する情報に触れる物語を読みつつ
主人公と同じアートを実際に観賞することは
アート観賞に関心を向かせることに効果的であると示唆
26/27
9
結果:アートについての気づきを得た(物語の内容が反映)
結果:回遊させるためのデザインが機能
*離脱することなくアプリを使用した人に限る
おわりに
「現実のコンテンツ体験を組み込んだ物語の観賞」を
足掛かりにする手法を提案
結果
• アートについての気づき得た
• システム通りの回遊
展望
・離脱を抑えるシステム設計
・離脱を前提とした復帰のしやすいシステム設計
27/27
1
0
まとめ
背景:回遊にはスタンプラリー,ガイドアプリが効果的
問題:従来の手段では,本来の目的の優先度が低くなる懸念
目的:コンテンツ体験に関心を向けつつ回遊を誘発すること
実装:アート観賞しつつ物語を読み進めるストーリーリーダー
検証:作成したストーリーリーダー利用による目的達成の能否
結果:アートについての気づき得た,システム通りの回遊

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HarutakaTokumaru_アート観賞イベントと連動したインタラクティブな街歩き型ストーリーリーダーの一検討_deim2024

Editor's Notes

  1. ご紹介に預かりました題で関西大学,徳丸が発表いたします.
  2. 皆さんは街や地域を対象としたアートイベントをご存じでしょうか.
  3. 街や地域を対象にしたアートイベントとは,街おこしの一環で行われるアートイベントのことです. そもそもアートイベントが何かというと,アートへの関心を足掛かりに集客を図るイベントのことです. 面白そうなアートがあるから行ってみようとさせるのが狙いです. 街や地域を対象にしたアートイベントの狙いの1つは, 街を訪れてもらうことです. アート作品の観賞をきっかけに,街を訪れてもらうことを狙っています. また,もう一つの狙いは,街の魅力を伝えることです. そのためには,アート作品の観賞や体験を通じて,地域資源に目を向けるきっかけを提供します. そうして,最終的には来訪者や人口を増やすといった,街おこしの目的を達成することが狙いです. まちや地域の魅力や現状を伝える手法として街や地域を対象としたアートイベントが注目され,盛んに行われています.
  4. 例えば,瀬戸内国際芸術祭があります. 瀬戸内海の島々は人口が減少し,高齢化も進み,地域の活力も低下していました. そういった背景から,瀬戸内の島々に活力を取り戻すという目的でこのイベントは開催されています. このイベントでは瀬戸内の島々に,写真にあるようなモニュメントなどのアートが展示されます. 中央の写真は草間彌生さん:赤かぼちゃというアート 右の写真は瀬戸内海のごみを集めて作られたアート このように地域とリンクしたアートが多く展示されています.
  5. しかし,来場者は日常的に人が多く集まり,賑わいのある街路や目のつきやすいスポットに影響を受けて観賞経路を選択するため,巡るスポットが限られてしまいます. 例えば,左下のアートが点在する街の地図を見て下さい. 多くの人は,駅や商店街から近いアートは見に行く一方で, 遠いアートは見に行かないと思います.
  6. スタンプラリーやガイドアプリは,巡られるスポットが限られてしまう問題に効果的です. これらは,普段目につかないようなスポットも巡らせ,街に訪れた人の回遊行動を誘発することを狙って実施されています. 回遊というのは,1か所だけのスポットに行くのではなく,さまざまなスポットを巡ることです. スタンプラリーやガイドアプリは,巡られるスポットが限られてしまう問題に効果的ですが, スタンプラリーやガイドアプリでは満たせない部分があります.
  7. 例えば,美術館を巡るスタンプラリーがあったとして,スタンプを集めると景品がもらえるとします. この場合,運営側の目的は,美術館への来訪と回遊の促進です. 一方,ユーザの目的はスタンプの収集,景品をもらうことです. そのため,ユーザは確かに運営の目的通り,美術館に来て,回遊をしてくれます. しかし,それはスタンプの収集や,景品の獲得が目的であるため, 結局ユーザはスタンプを押すだけで,アートへ注目をしてもらうことは不確実です. 運営とユーザの目的は達成されていますが,アートへの注目が成されないのは,美術館本来の目的が達成されないため,問題であると考えます.
  8. また,ガイドアプリでも満たせない部分があります. 例えば,美術館のガイドアプリを使うことを考えてみて下さい. 運営の目的は美術館へ来訪し,アート観賞をしてもらうことで, ユーザの目的はアートの観賞です. 結果,ユーザはアートを観賞してくれるため,双方の目的が達成されます. しかし,そもそもアートに直接興味がある人しか使ってくれないことは問題であると考えます.
  9. スタンプラリーもガイドアプリも回遊を誘発することは出来る一方で,コンテンツ体験に関心が向くかはユーザにゆだねられてしまいます. 現状はコンテンツ体験に関心を向けつつ,回遊を誘発するシステムがありません.
  10. コンテンツ体験とは,例えばアート観賞のことです. アート観賞とは,アートをちらっと見るだけではなくて,じっくり観察することです. この問題を解決するために…
  11. 本研究では,コンテンツ体験に関心を向けつつ回遊を誘発することを目的とします.
  12. 目的達成のために,現実のコンテンツ体験を組み込んだ物語の観賞」を足掛かりにする手法を提案します. ただし,今回は「コンテンツ体験」を「アートの観賞」とします.
  13. 具体的には,街中で物語を読むスマホ用Webアプリを考えました. 対象とする街は,アートが点在する街にします. 物語は,主人公が街中に実在するアートを観賞して回る物語です. この物語はアートの前でしか読めないようにします. こうすることで,ユーザも主人公と同じようにアートを観賞することが期待されます. また,物語を読み進めていると,いつの間にか街を回遊している状況になることが期待されます. 物語内でアートに関する情報に触れるようにします. そうすることで,その情報を意識したアート観賞が期待されます.
  14. 対象とするコンテンツを街にあるアートとして,2つの行動を誘発することを目指します. 1つは,街にあるアートを観賞することに関心を向けることです. もう1つは,街に点在するアートを回遊することです. それぞれの行動が街にとって何が良いかというと, アート観賞に関心を向けることによっては,1つのスポットの滞在時間を長くしたり,街にまた来てもらうきっかけになることが期待されます. 回遊させることによっては,街全体を巡らせることが期待されます.
  15. 街にあるアートを観賞することに関心を向けさせるためには, 物語コンテンツによる実環境への理解を促す手法を基盤にします. 街に点在するアートを回遊させるためには,アートを見に行くように仕向ける手法を用います.
  16. 具体的にどうするかというと, ・コンテンツ体験に関心を向かせるためには,物語の主人公がアートを観賞する展開を迎えた時に,主人公が見ているアートと同じものを,ユーザにも実際に見に行かせます. ・回遊を誘発するためには,各所にあるアートを見に行くことにより,物語が展開する設定を行います. これにより,物語を読み進めることで,意図せず街を巡ることが期待されます.
  17. ここからは,現実と物語の二軸で説明します. 物語を読んだ上で,物語に出てきたアートを現実で観賞することで
  18. 現実と物語に繋がりが発生します. これは,主人公とユーザの状況・環境が同一になるためです. 繋がりが発生することで…
  19. アートに対して,物語の内容やアートに関する知識といったコンテキストが与えられます. 見ただけではわからないことをストーリーに埋め込むことで,アートの理解に繋がることが期待されます.
  20. 物語内でアートに関する情報に触れることで,アートに関する知識が与えられます. 目の前にあるアートが物語に出てくることで,自分がアートを見る体験と物語がシンクロします. 例えば,物語内で主人公が「ここにこんな特徴的な柄が描かれているよ」と言ったら,現実のユーザもその柄に注目することが期待されます. このようなデザイン指針を基に,現実の街を対象にしてシステムを作成します.
  21. 設計する上での検討事項として,こちらの3つを考えました. 1つ目は・現在地とアートとの距離によって,特定のアートが選択されないこと. 2つ目は・現地でのアート観賞の担保が必要なこと 3つ目は・ユーザの選択が物語に反映されることによる物語への没入感を提供
  22. ・現在地とアートとの距離によって,特定のアートが選択されないことを防ぐためには,アートや店舗の情報やそれまでの距離は,アートに向かうときに初めて表示します. ・現地でのアート観賞を担保するためには,ユーザが目的地に到着することで,物語の続きを読めるようにしました. ・ユーザの選択が物語に反映されることによる物語への没入感を提供するためには,物語に店を訪れるイベントを用意し,複数の選択肢からユーザが選択できるようにしました. また,その選択によって主人公の目的地が変化するようにしました. こうすることで,ユーザが受け身ではなく,主体的に物語を読み進めることが期待されます.
  23. 今回対象とする街は,大阪市淀川区の南西部に位置する十三という街です. 十三は大阪を代表する梅田という地域から近く,阪急電鉄の主要な3路線の結節点であるため,乗り換えをする駅として有名です. また,街には居酒屋などが多く並んでいるため,飲み屋街としても有名です. 一方で,十三という街は課題を抱えています. 1つは昔ながらのイメージが強いということです. 右上にある十三のイメージを見てもらうとわかるように,駅・阪急・電車などの乗り換えに関するイメージや,治安が悪いなどの良くないイメージが強いです. もう一つは街に降りてくれないということです. 先述した通り,十三には乗り換えや良くないイメージが強いため,街に降りたくなるようなイメージはあまり持たれていません. このような問題を解決するために,十三ではアートを用いた街おこしが実施されています.
  24. 十三が行う街おこしは主に2つあります. 1つは,淀壁です. 淀壁は地域活性化や十三を壁画の聖地にすることを目的に,街中の建物の壁にアートを作成する活動です. もう1つは,十三アートフェスです. こちらは,街を楽しみ知ってもらうことを目的として,街中の店舗にアートを展示したり,来場者と共同で行うアート制作イベントなども実施しています. 十三はこれらの活動によって,昔ながらのイメージを変え,十三に降りて,十三を巡ってもらうことを目指しています.
  25. 本研究では,十三エリアに点在する淀壁などのアートの回遊と各地点でのアート観賞に関心を向かせることを試みます.
  26. 次に試作したシステムについてお話します.
  27. 本研究では,街歩き型ストーリーリーダーである「TokoTokoBanashi」を作成しました. 予め決められた,十三のアートがあるスポットに行くことにより,物語の続きを読み進めることができます.
  28. こちらがTokoTokoBanashiの画面です. 初めに,読み進めることができる物語が表示されます. この緑の四角1つ1つが物語で,それぞれ物語の内容や巡るアートが異なります. 今回は物語のタイトルのかわりに主人公の名前,ジャンルを表示しています. これは,自分がどの主人公になるかを選ぶイメージです. 主人公になり切って物語を観賞することで,物語内の体験と現実の体験に繋がりを発生させることが期待されます. ジャンルは選択の手がかりとして表示しています. この5つの物語の中から,1つ選びます.
  29. そうすると,物語のあらすじが表示されます. ユーザはあらすじを読んで,本当にこの物語を読み進めるかを決めます.
  30. 読む物語を決めると,物語の本編が始まります. 物語の主人公は十三という街にあるアートを巡ります. そして物語の途中で,主人公がアートに訪れる展開を迎えます. そうすると,ユーザも主人公が見ているアートを見に行きます.
  31. ユーザは,このように表示されるマップを頼りにアートがある場所へ行きます. このマップには,現在地とアートの場所が表示されています. アートの場所にたどり着くと,物語の続きが読めるようになります.
  32. 再び,物語を読み進めます. 基本的に主人公はアートを見に行くのですが,たまにお店を訪れます. その時,ユーザは,主人公が訪れるお店を選びます.
  33. お店は入れ替え可能な3つの選択肢の中から選びます. 選択すると.お店の写真が表示されるので,それを頼りにこの店にするかを決めます. ここで選んだ店に主人公とユーザは行くことになります.
  34. お店を選ぶと,マップ画面になります. この時,ユーザはお店に向かいます. 無事にお店に着くと,物語の続きを読み進めることが出来るようになります.
  35. 再び物語を読み進めます. そして,また主人公がアートを訪れる展開を迎えると,ユーザもアートを見に行きます.
  36. このように,物語が終わるまで,物語を読むことと,アートを観賞しに行くこと,たまにお店に行くことを繰り返します.
  37. 次にパイロットスタディについてお話します. == パイロットスタディ(PoC):意図したことが実現できてるか
  38. 実際に一般の方を対象に,作成したシステムを用いて検証を行う前に,作成したシステムによって街のアート観賞に関心を向かせることが可能か検証を行いました. 評価指標は, ・アートに関する気づきを得たか ・アートと街の関係性に関する気づきを得たか の2つです. 参加者は大学生3人でした. 参加者には「TokoTokoBanashi」を使って十三を巡ってもらい,半構造化インタビューを行いました.
  39. 半構造化インタビューの結果, ユーザはアートの内容に関する気づきと, アートと街の関係性に関する気づきを得たことが明らかとなりました. アートの内容に関する気づきについては, メイド,レースの服,眼鏡をかけた,トレーを持っているといった回答がありました. アートの内容に関する気づきについては, 駅近くの壁,喫茶店の壁に描かれていたという回答がありました.
  40. 次に実環境におけるシステム検証について説明します.
  41. 作成したシステムが実際のアートイベントにおいて,回遊を促進しつつ街にあるアート体験へ関心を向かせることができるか検証を行いました. 回遊を促進できたかに対する評価指標は,回遊させるためのデザインが機能してたかです. 街のアート体験に関心を向かせることができたかに対する評価指標は,アートに関する気づきを得たかです. 実施場所は2023年11月18日から11月26日に十三で行われた「十三アートフェス」というイベントです. データ収集の対象者は,現地でのシステム利用を担保するため,十三アートフェスに訪れ,「TokoTokoBanashi」へアクセスした人をとしました. システムによる回遊とコンテンツ体験への効果を確認するため,途中で物語を読むのをやめた人と物語を読み終えた人を対象に,システム上でアンケートを実施しました. TokoTokoBanashiへは「十三アートフェス」にて配布されたチラシに記載されているQR コードを読み取ることでアクセスできました.
  42. アクセス数がこちらです. あらすじ見るだけでもアプリを使用してくれた人が46 人,物語本編を見てくれた人:26 人,物語を最後まで読んでくれた人:3人でした. 各物語における各話ごとのアクセス数を表に示します. 閲覧時の現在地に制限の無い第 1 話から,アートのあるスポットに行かないと読めない第 2 話にかけて,アクセス数がすべての物語で半分以下になっています. また,店舗に行かないと読めない話の直前での離脱が見られます.
  43. 次にアンケートの結果についてお話します. アートについての気づきを得たかに関しては,「十和さまがメイドの壁画にもバキ柄があることに気づいて落書きでないことがわかった」や「共通の幾何学模様が描かれていた」という物語の観賞によりアートの特徴を掴んだ回答が得られました. 普通であれば気が付かないことも,物語を通じて気づいてくれたといえます. これは,コンテンツ体験に関心を向けるきっかけになると考えます.
  44. 回遊をさせるためのデザインが機能してたかについては,知らないところまで歩けるという回答が得られました.
  45. 本研究で行った検証では,実際にアートを見に行く直前にかなりの離脱が見られましたが, 今回は,離脱することなくアプリを使用した人に限って議論を進めます. まずは,アート観賞に関心を向かせることができたかについてです. 結果として,ユーザは物語の内容を反映した形で,アートについての気づきを得ました. よって,アートに関する情報に触れる物語を読みつつ,物語の主人公と同じアートを実際に観賞することは,アート観賞に関心を向かせることに効果的であると示唆されたと考えます. 次に回遊を促進できたかについてです. 結果として,回遊させるためのデザインが機能していました. そのため,システム通り回遊させることはできていたことが示唆されたと考えます.
  46. 本研究では,現実のコンテンツ体験を組み込んだ物語の観賞を足掛かりにする手法を用いたシステムを作成し,検証を行いました. その結果,離脱が無ければ,アートについての気づきを得て,システム通りの回遊をすることができました. しかし,アートを見に行く直前での離脱が多く見られたため, 今後は離脱を抑えるシステム設計か,離脱を前提とした復帰のしやすいシステム設計が必要です.
  47. こちらがまとめです.