脱出病棟Ω
今度の「お化け屋しき」は本当に襲われる!
~VR開発の最先端で取り組んだこと~
~VR開発の最先端で取り組んだこと~
今度の「お化け屋しき」は本当に襲われる!
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
VRZONE
脱出病棟Ω
■自己紹介
花井 政雄
バンダイナムコスタジオ
アニメーション部所属
アニメーター
■アジェンダ
 製品紹介
 実例紹介
 振り返り
 結果
 まとめ
■製品紹介
VR ZONE Project i Can
2016年4月15日(金)~10月中旬
ダイバーシティ東京プラザ
ホラー実体験室
「脱出病棟Ω」
■製品コンセプト
「今度の「お化け屋しき」は本当に襲われる!」
≒ 「今その場にいるような
臨場感を味わえる!」
■プロジェクト目標
とにかく怖くしたい・・・
■開発中盤の問題、状況
「怖さ」が足りない・・・
⇒プレイヤーが敵の視線から逃げられてしまう
■課題
怖さを保つには?
■仮説
「怖さ」はプレイヤーの動きに
丁寧に反応することで作られる
・逃げられないのは怖い・・・
・どこまでも執拗に追ってこら
れたら怖い・・・
安全地帯がない!
仮説に沿って考えてみた・・・
■実例紹介
「怖さ」
■制作方針(敵キャラクター)
①逃げるプレイヤーを
できる限り追いかけられるようにしたい
②プレイヤーの動きを邪魔しない
■制作に使用した機能
①逃げるプレイヤーを
できる限り追いかけられるようにしたい
②プレイヤーの動きを邪魔しない
①モーフィムのFBIK制御
(FBIKSetEffector,FBIKLookAt)を利用して
胸、腕、首、頭をパラメーターで制御する
②HipsIKを利用して腰起点で上半身を制御、
主にプレイヤー前方へのめり込みを回避する
■NETWORK画面
■振り返り
 逃げるプレイヤーを
できる限り追いかけられるようにしたい
 プレイヤーの動きを邪魔しない
①
② OK…暗転のできる限り回避できた
没入感が増した
 OK…その場にいるような臨場感が増した
■結果
プレイヤーへの
反応が増えて怖さアップ!
(仮説の実証)
アニメーターからも
提案することができた!
(副目標)
■まとめ
VR開発の肝は反復検証にあり!
 奇をてらわず王道が大事!
 シンプルな機能でも
十分な効果はあげられる
目的達成のために何が必要か見極めること
でより効果的に臨場感を作り出せる!
■morphemeについての発見
 Transitionの条件設定が一元的に纏まっており調整しやすい。
 Morphemeには豊富なプリセットノードがある。
⇒機能を開発しなくてすむ。
 アニメーションのセクションだけで検証ができるのでイテレーションに
大きく貢献
キャラクターの動きを試作検討するには大変有効な
ツールです。
ご清聴ありがとうございました

GTMF 2016:再利用できるアニメーションアセット制作×VRゲームIK使用例 NaturalMotion Software

Editor's Notes

  • #2 VR開発の最先端で取り組んだことと題して 開発の中で得られた知見をケーススタディとして発表させて頂きます。 モーフィムを起動後、一度はプレヴューしたか確認 ネットワークはCatchステートになってるか確認 メディアプレイヤーの位置確認
  • #3 まずは自己紹介から はじまめして、バンダイナムコスタジオ、アニメーション部に所属のアニメーター、花井と申します。 よろしくお願いいたします。 携わったタイトルですが弊社の「鉄拳などの格闘アクション」、「エースコンバット アサルトホライズンのデモ演出」のアニメーション製作に関わってきました
  • #4 本日のアジェンダとなります 製品紹介 実例紹介 振り返り 結果 まとめ の順で進めさせて頂きます
  • #5 では早速、製品紹介から参ります。 タイトル名は「ホラー実体験室 脱出病棟Ω」といいます。 ヘッドマウントディスプレイを装着して遊ぶVRホラーゲームです。 それではまずこのゲームが遊べる世界唯一の場所である「VRZONE」というイベントの紹介映像を見てください。 さてこの「VRZONE」というイベントをご存知の方はいらっしゃいますでしょうか。 ありがとうございます。 こちらはVRゲームのみを集めた完全予約制のイベントとなります。本タイトルはこのイベントでしか遊べません。 ホラー好きでご興味のある方はぜひ足を運んで体験していただけると幸いです。 こちらは題材がホラーのため先ほどの映像でも出てこなかったようにネタバレを防ぐため露出の少ないタイトルです。 ということでざっくりと内容を口頭で説明しますと 2人以上4人まで同時プレイ可能なゲームで、プレイヤーは自分自身の縛りつけられた「電動車いす」を動かしてゲームを進めます 手元の懐中電灯とインカムを通した仲間の声だけを頼りに、おどろおどろしい暗い病棟からの脱出に挑戦して頂きます。 いまなら会場にいくと普段あまり聞くことのない男女の大きな悲鳴が漏れなく聞けると思います TWITTER等でもプレイしたユーザーの声が拾えるので興味のある方は「脱出病棟Ω」検索してみてください
  • #6 ■続きまして製品コンセプトです。 「今度の「お化け屋しき」は本当に襲われる!」 「今その場にいるような                生々しい臨場感を味わえる!」 生々しい臨場感という点がポイントで 多くのVRゲームに共通するこの臨場感という特徴をホラーで体験してもらいたい というのがコンセプトになります。
  • #7 プロジェクト目標です。 とにかく怖くしたい・・・ ⇒VRの特徴を生かして とにかく怖くするのを目標に製作をスタートしたわけですが・・・
  • #8 ■開発の中盤にきて問題が発生しました。 ■最も大事な怖さが足りない。この問題に対して  ⇒色々解決すべきことはあったが アニメーターとして解決したい点はこちらでした ■これはどういう事かといいますと ・プレイヤーは車いすに縛りつけられていて両手足こそ動かせませんが、胸から先は自由に動かせるので嫌なものからはある程度距離を置けてしまいます ・つまり安全地帯が容易に発生してしまうわけです ・当初の設計ではこの逃げていくプレイヤーに対して何もできない状態でした。 単純なanimationの再生に頼った演出では安全地帯が生まれる
  • #9 ■最初の怖さを継続して維持するにはどうすばよいのか? 逃げていくプレイヤーへできる対応策はなんだろうか という課題が出てきました。 VRだからできる実現できる怖さとはどういうことで、どうのように実現することができるのかという問いかけです。
  • #10 どんな状況であれば怖いと思えるだろうか再確認しました ・逃げられないのは怖い・・・ ・どこまでも執拗に追ってこられたら怖い・・・ ■これを実現するための考え方として仮説を立てました。 「怖さ」は逃げようとするプレイヤーの動きに丁寧に反応することで作られる これによって安全地帯がない状態がつくれるはずで、これは怖さの維持につながる と考えました。 嫌な相手の視線を感じる これは怖いはず! 安全地帯をなくそう!
  • #11 仮説にそって考えてみた結果
  • #12 このような機能を実装しましたということで実例を見ていただきます。 ちなみに本製品はアンリアルエンジン4上で開発されました。アニメーションの実装ツールとしてのこのモーフィムを使用している形になります。 はいこちらが本タイトルで敵キャラクターを務めていただく通称「狂人さん」とよばれるキャラクターです。 こちらに見えているのがプレイヤーの乗る「車椅子」ですね 上に見えるカメラをプレイヤー視点に見立てて、自分がこの「車椅子」に乗っている状況を想像してみてください。 それでは狂人さんに襲っていただきます ・キーボードのCキーを押す ・コントローラーのBボタンを押す これでプレイヤーをなぶりながらナイフで脅すモードに入りました。 ・モーフィム上でカメラをつかむ この状況でプレイヤーは左右、上下前後、上向き下向きなどあらゆる方向に移動できます。 当初はこのように左右に逃げても追ってこなかったので安全地帯ができている状態でした。 この状況に対し柔軟に追従できるようにした結果がこちらです。 腰から上をまとめて移動できる機能も実装しました。 では改めましてこの実例をどのような方針で製作したのかを確認させていただきます。 動画用意
  • #13 大きく2つ掲げました ①逃げるプレイヤーをできる限り追いかけられるようにしたい  ⇒これは敵キャラクターの行動に意思を感じさせたいという意図も持っています。 ②プレイヤーの動きを邪魔しない  ⇒これはカメラの衝突回避をしたいということです    見ていただいた通りプレイヤーは前後にも大きく動けますので衝突が高い頻度で発生していました。 アニメーション素材を増やさないで実現する。
  • #14 これらの機能を実現するためにモーフィムで使用した機能はこちらになります。 ⇒①モーフィムのFBIK制御      (FBIKSetEffector,FBIKLookAt)を利用して    胸、腕、首、頭をパラメーターで制御する ⇒②HipsIKを利用して腰起点で上半身を制御、    主にプレイヤー前方へのめり込みを回避する アニメーション素材を増やさないで実現する。
  • #15 それでは改めてモーフィムの画面をご覧ください これはさきほど見ていただいたの「脅すモード」のネットワークとなります。 ■大きまかな流れをご説明しますと左から右へキャラクターのポーズデータが川の水のように流れていく感じをイメージしてください。 ・左の青いノードが私共が製作したソースアニメーションで、緑色のスイッチノードで切り替え右側の方へ受け渡していきます。   ⇒三つのテンポのことなるループアニメーション ・次にスイッチノードから出力されたポーズデータを「HIPS IK」ノードで受取り、腰から上をまとめて動かします。 ・次に上流で変化したポーズデータをオレンジのFBIKノードで受取、左手、胸、頭をFBIK制御で動かします。 ★今回の特徴 プリセット機能のみの使用で実現しています。 当初はパターンが見えると怖さが減ると考えていて、それが見えにくい形をアニメーションの数の増加で補おうとしていましたが ほぼ無限に変化するプレイヤーの動きには対応できないと考え、最終的には必要な差分を加算する形に落ち着きました。 差分の生成はパラメーターを入力するだけでプロシージャルに生成されます。 この図では基になるアニメーションが3つあり、周期的に切り替えながらプレイヤーに追従させています。 総数としてはソースアニメーションひとつにつき胸の差分を9パターン、頭の動きを9パターンほど作成すると仮定した場合 3×9×9 243モーションほどのファイルが必要という計算になります。それが最終的には3つのアニメーションで済んでいるということになります。 これは大げさかもしれませんが、簡単に乗倍で増えていくモーション数を抑制できる効果がありました。 ★イテレーション部分    ・当初はGUNAIMやTwobornIKのみ使用し、頭、腕に限定した部分的な機能確認を行っていた。    ・後にFBIKを使用に変更。サンプルデータもあり変更は円滑に行えた
  • #16 ということで振り返りです。 ⇒①逃げるプレイヤーを   できる限り追いかけられるようにしたい ⇒②プレイヤーの動きを邪魔しない
  • #17 怖くできた! ディレクターやスタッフからの評判も上々でした プレイヤーの安全地帯が減り、嫌な視線を意識させることに成功しました。 またアニメーションセクションのみで検証が行え、結果として今回のような提案をアニメーターから発信できました!
  • #18 VR開発の肝は反復検証にあり! 目的達成のために何度も仮説と検証を繰り返し、何が必要か見極めることでより効果的に多くの臨場感を作り出せると実感しました! たとえば「視点が自由になる=制作コストが上がる」ことが多いのでできれば初期設計の段階から削減案を考えておければOK 実際には製作中の検証を通して絞っていくのが現実的ではないでしょうか 王道な結論ですがゲームのパフォーマンスをあげるためには繰り返し検証することが必要不可欠!ということです VRの開発により一層は必要な要素だと思います。。 モーフィムはこの点におきまして非常に役に立ちました。
  • #19 Transitionというのは歩きから走りというように動き変わる際に、その変化の条件設定を管理する機能です。 こちらが一元的にまとまっており、調整が容易でした。よく使う機能なので使いやすいと地味に効いてきます Morphemeには豊富なプリセットノードがあるので結果として機能開発を待たずに検証がしやすいです。 アニメーションのセクションだけで検証ができるのは動きの多いゲームではイテレーションをするのに大きく貢献すると思います。 キャラクターのアニメーションクォリティをアップさせるのに大変有効なツールです。 UE4に比べて機能が使いやすい morphemeは視覚的に具体化して見せられるので、プログラマ、企画スタッフからの内容把握が容易になります。 献身的なサポートとともにうまく活用すれば多くの提案ができ「おもてなし」の精度を上げられます! ただしマニュアルが英語のみ、ネット等で拾える参考例も少ない
  • #20 以上となります ご清聴ありがとうございました