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1 
金融レジリエンス情報学 
第2回(2014/10/9) 
スパークス・アセット・マネジメント 
水田孝信 
http://www.slideshare.net/mizutata/finance01-36822930 
mizutata[at]gmail.com 
@takanobu_mizuta (twitter) 
http://www.geocities.jp/mizuta_ta/jindex.htm 
金融の役割と 
機関投資家の株式投資実務
2 
“金融”ってどんなイメージですか? 
儲けがすべてのマネーゲーム?ギャンブル? 
高速取引は遊んでるだけ? 
社会の役に立ってない虚業? 
実は金融で働く人たちの中で 
”カネを増やすだけ”の仕事をしているのは少数 
そもそも金融とは何なのか?お金とは何なのか? 
社会での役割は何なのか? 
取引所が高速化してきた背景は? 
このあたりをお話します。 
はじめに
3 
僕たちの大事な年金、なんで危険な株とか買って 
勝負に出てるの? 
年金基金が 
やっていること 
こんな疑問にもお答えします 
http://www.gpif.go.jp/operation/archive.html#tab_02 
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 
平成25年度末 運用資産額 約127兆円の内訳
4 
2000年 気象大学校卒業 
2002年 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻修士課程修了 
研究内容:宇宙空間プラズマのコンピュータシミュレーション 
2004年 同専攻博士課程を中退 
同年 スパークス・アセット・マネジメントに入社 
バックオフィス業務 
(ファンドの純資産の計算や取引決済の指図など) 
2005年 ボトムアップ・リサーチ・アナリスト 
(会社の社長に取材したりと足で稼ぐ企業調査) 
2006年 クオンツ・アナリスト 
(市場の定量分析:投資判断、リスク管理、営業資料、、、) 
2008年 学術界に出入りを始める (主に人工知能学会) 
2011年 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻博士課程 
社会人をしながら入学 
研究内容:人工市場を用いた金融規制のシミュレーション 
2014年9月修了 
2007年 日本証券アナリスト協会検定会員 
2009年 中小企業診断士 
2013年 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 
自己紹介
5 
今日のお話 
金融市場の存在意義と最近の動向 
特に株式市場を例に 
(1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ 
(2)価値の保存 ~投資を行う理由~ 
(3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ 
(4)取引所間競争と取引所の高速化
6 
(1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ 
(2)価値の保存 ~投資を行う理由~ 
(3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ 
(4)取引所間競争と取引所の高速化
7 
人類は古代人のときより,高度な役割分担により,他の生物を凌駕 
魚を取るのが得意なものは魚を取り, 
木の実を集めるのが得意なものは木の実を集め,物々交換 
より得意なことに集中し役割分担 
時には,魚がまったくとれず,木の実をもらって飢えをしのいだ 
物体自体には価値が無いが仮想的に価値があると皆で約束した物 
“カネ”と木の実をいったん交換 
その物を返してもらう際に魚を渡す ⇒ “カネ” 
お金が仲介することにより 
→ 多くの種類の物やサービスの交換がスムーズ 
→ 時間を越えた価値の交換 
過去役割分担で活躍した人が未来役割分担で活躍するだろう人に, 
活躍が実現する前に価値を渡すことが可能
8 
物体自体には価値が無いが 
仮想的に価値があると皆で約束した物 
== カネ ==
すぐにお金が必要な人と、しばらく使わない人をむすぶ 
Aさん 
昔大活躍の老人 
お金を多く持っている 
しばらく使い道がない 
Bさん 
新たに漁業を始めたい 
道具もお金も持っていない 
体力とヤル気はある 
Cさん 
「Bさんは今お金があれば、大活躍しますよ。 
Aさん、そのしばらく使わないお金、託してみませんか?」 
探してくる 
探してくる 
Aさんは”分け前”を受け取り、Bさんは支払う、 
Cさんは少し手数料をもらう 
Cさん・・金融業者 
「金融」 
金融は人類が協力し合うための大事な”道具”・”手段” 
“目的”そのものでは決してない! 
http://id.nii.ac.jp/1001/00083434/
Aさん 
Bさん 
“分け前”の支払い方法 
分け前 
資金 
以後、株式を取り扱います 
(1) もらった資金+α ⇒ 債券、融資 
(2) 取れた魚を売って得たお金×β ⇒ 株式 
(3) その中間 ⇒ 優先株、メザニン、、
1次市場 
企業 
投資家 
証券会社 
事業資金 
株式 
仲介 
配当(分け前) 
現代の株式市場では、、、 
1次市場(新品)、2次市場(中古) 
新しいことを始めるには出費が先、儲けも不透明 
分け前を狙った投資が必要 
(大航海時代の例) 
これによりイノベーションが生まれる
取引所 
買う 
株式 
投資をやめたい 
投資家 
売る 
投資を始めたい 
投資家 
企業 
配当 
(分け前) 
短期間で仕入れ・転売 
投機家 
流動性 
供給 
2次市場(上場市場) 
価格発見 
流動性 
享受 
流動性 
享受 
投資は永久にするわけでない 
辞めるときに簡単に転売できることが重要 
でなければそもそも1次市場で投資できない (IT企業の例) 
⇒ 2次市場で容易に売買できること(流動性)が 
1次市場を成立させ、社会にイノベーションを提供
流動性を 
供給 
流動性が高い例 
Aさん 
100円 
買い 
本屋 
古本屋 
超人気マンガ単行本 
95円 
売り 
Bさん 
90円 
買い 
発見が 
容易 
本が円滑にまわし読みされる 
買ってもすぐに、小さい価格差で 
売れるので安心して買える 
新品の本が売れる 
85円 
売り
流動性が低い例 
マニアックな学術書 
Aさん 
1000円 
買い 
マニアック 
本屋 
発見が 
困難 
Bさん 
500円 
売り 
発見が 
困難 
Cさん 
大幅な 
値引き 
取扱い 
古本屋なし 
本が円滑にまわし読みされない 
買ってもなかなか売れず、しかも大きい価格差で 
しか売れないので、買いづらい 
新品の本が売れない
株式市場の流動性 
Aさん 
企業 
取引所 
企業: 長い期間の投資が必要 
投資家: 短い期間なら投資に参加したい 
200円 
売り 
Bさん 
投資家のリレーが円滑 
買ってもすぐに、小さい価格差で 
売れるので安心して投資できる 
1次市場での投資が容易 
Cさん 
100円 
出資 
350円 
増資 
350円 
買い 
360円 
売り 
Dさん 
Eさん 
300円 
売り 
エンジェル、VC 
PE 
上場 
人類の進化を もたらす 
イノベーション を後押し
16 
(1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ 
(2)価値の保存 ~投資を行う理由~ 
(3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ 
(4)取引所間競争と取引所の高速化
17 
明日使うカネ、今月中に使うカネ、 
それだったら、こんな悩みはないでしょう。 
しかし、50年後に使うカネ、だったらどうでしょうか? 
例えば、年金基金は、20代に払い込んだカネを、 
70代に引き出して使うわけです。 
50年間、カネの価値を守らないといけません。 
タンスに入れておいて大丈夫でしょうか?
18 
物体自体には価値が無いが 
仮想的に価値があると皆で約束した物 
== カネ == 
現代の先進国では、 
政府からある程度独立した中央銀行が 
カネの価値の維持を行う 
守ってくれるの?誰が? 
国: 借金を手っ取り早く返したいから 
カネをいっぱい作って返す⇒価値の希薄化⇒インフレーション
19 
少し変わったインフレの説明 
政府が完全自由にカネを印刷できたら、、 
所得が減少し不満 
面倒だから、 
毎月100万あげるよ、全員に 
どうせいくらでも印刷できるし 
国民 
政府 
時給1,000円とかで 
働かなくなる 
国民 
バイトが時給50,000円とか 
牛丼も10,000円くらいにしな いと赤字になっちゃう 
牛丼屋 
物価の 
上昇 
100万もらっても 
物が高いからあんまり買えない 
⇒相対的に所得減少 
国民
20 
http://ja.wikipedia.org/wiki/トルコリラ 
年レート年レート 
1974年14 1990年2,993 
1975年15 1991年5,083 
1976年17 1992年8,547 
1977年19 1993年14,494 
1978年25 1994年38,411 
1979年35 1995年59,322 
1980年89 1996年107,182 
1981年132 1997年204,860 
1982年185 1998年313,500 
1983年280 1999年540,098 
1984年443 2000年642,840 
1985年574 2001年1,180,000 
1986年756 2002年1,576,711 
1987年1,018 2003年1,410,000 
1988年1,814 2004年1,511,631 
1989年2,311 
トルコのインフレ: 1ドルあたりトルコリラ 
銀行預金金利40%くらいあっても 
実質的に目減り 
タンス預金なんかとんでもない! 
しばらく使わないカネを 
どうやって保管すればいいの?
21 
米国における物価(インフレ)調整後価値の変動 
カネの価値が一定に保たれることのほうがマレだった 
書籍「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より
22 
ただの紙くずなんじゃないだろうか、、、、 
いいえ、今のところ、 
紙くずではないと、皆が信じていますよ。
23 
価値が変わりにくいもの 
時給1,000円とかで 
働かなくなる 
国民 
バイトが時給50,000円とか 
牛丼も10,000円くらいにしな いと赤字になっちゃう 
牛丼屋 
企業 
投資家 
事業資金 
株式 
配当(分け前) 
売れる牛丼の数 
牛丼1つあたりの利益率 
一定 
価値が一定 
インフレでカネの価値が1/100 
物価が100倍: 牛丼300円⇒30,000円 
配当は価値が一定 ⇒ “名目”では100倍
24 
いろいろな資産 
キャッシュ: インフレが来たらどうしよう? 
株式: 会社が倒産したらどうしよう? 
分け前をどのくらいくれるか分からない 
債券: 返してくれなかったらどうしよう? 
インフレに対応できるの? 
円: 円安になったらどうしよう? 
外貨: 円高になったらどうしよう? 
不動産: 液状化したらどうしよう?沈没したらどうしよう? 
耐震偽造があったらどうしよう? 
取引所がないけど大丈夫? 
物そのもの(商品): 金、原油、牛丼、、、 
付加価値がつかない 
代替品がでたらどうしよう? 
保管しづらいし大変 
50年単位になると何が起こるか分からない、予想できない 
⇒ “心配だからいろいろ持っておく”がリスク回避方法
25 
僕たちの大事な年金、なんで危険な株とか買って 
勝負に出てるの? 
年金基金が 
やっていること 
全部キャッシュで持っているほうがよっぽど危険 
それは「デフレが永久に終わらない」に 
全額賭けているようなもの 
http://www.gpif.go.jp/operation/archive.html#tab_02 
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 
平成25年度末 運用資産額 約127兆円の内訳
26 
政府と中央銀行の微妙な関係 
借金全部引き受けてよ、 
いくらでもカネを印刷できるんでしょ? 
独立性が弱い 
政府 
中央銀行 
独立性が強すぎ 
了解~ 
最適な独立性の強さが未だに良く分からない 
面倒だから 
印刷量はサイコロで決めるか 
俺たち、選挙とかないし 
政府 
中央銀行 
カネ(紙幣)が足りなくて 
国民が困っているんだけど!
27 
(1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ 
(2)価値の保存 ~投資を行う理由~ 
(3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ 
(4)取引所間競争と取引所の高速化
28 
投資家と投機家 
企業を買う: 企業がもつ実態価値に着目 
目的:長期的な価値の増加、長期間使わないカネの価値保存 
流動性:享受する(奪う)場合が多い 
投資家 
投機家 
投資家と投機家の定義は曖昧 
いずれも、個人、機関(法人)で行われている 
株券を買う: 価格の変動(特に短期間での)に着目 
目的:短期間でのカネの増加 
流動性:供給する場合が多い 
本当に本を読みたい人 
古本屋 
そもそも市場は投資家のために作られたが、 
投機家がいないと成立しない ⇒ 投資家のリレーがうまくいかない
29 
投資判断と発注業務 
どの企業にどれくらい投資するか決める 
投資先企業の組み合わせも考える:ポートフォリオ 
投資判断 
発注業務 
決められた投資先の株式を実際に購入:手作業、機械 
↑注文を出す具体的なタイミング、1注文あたり数量を決める 
注文状況や価格の推移だけで発注する投機も 
↑企業を選ばない、全部の企業を対象など 
どの企業に投資するか?決める 
実際に注文を行う:タイミング、1注文あたり数量 
投資判断と発注業務は別の人が行う場合も: 特に機関(法人) 
企業を選ばず発注業務だけの場合も
30 セールス 
トレーダー 
バイサイド 
トレーダー 
発注 
マーケットメーカー 
(狭義HFT) 
裁定取引 
(アービトラージ) 
人間執行トレーダー 
ボトムアップ 
リサーチ 
クオンツ 
パッシブ 
スマートベータ 
投資判断 
アクティブ 
投(収益を狙う) 
資 
投 
機 
人間 
機械 
デイトレーダー 
ディーラー 
機械パッシブ 
(指数どおり) 
(狭義)アルゴリズム 
トレード 
イベント待ち(?) 
さまざまな株式市場の参加者 
機関投資家
31 
基本: しばらくカネを使わない ⇒ 価値の保存が必要 
しかし、他の目的がある場合も 
年金: 前述のとおり 
政府および系列ファンド: 政府の余剰資金の運用 
産業政策や貿易戦略、為替介入を行うことも 
中東では石油枯渇後のための運用 
生損保: 保険料入金が先で支払いはだいぶ先の場合も 
銀行: 貸付先が見つからない場合など(預金は返せない) 
学校: 寄付金が多くしばらく使わない場合(寄付金は返せない) 
証券アナリストジャーナル 2011年12月号 大学法人の財務と資産運用 
http://www.saa.or.jp/journal/eachtitle/pdf/kaidai_111201.pdf (解題) 
余りにも大きい日米の大学基金運用体制のギャップ 
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121116-00010000-yarai-nb 
企業: 余剰資金が多い場合 ← 株主還元すべきという批判も 
中央銀行: 通常は機関投資家には含めない 
金融政策(カネの価値や物価の維持など) 
機関投資家(法人投資家)
32 
(おまけ) 
余りにも大きい日米の大学基金運用体制のギャップ 
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121116-00010000-yarai-nb 
イエール大学 (2012年6月期) 
東京大学 
(2011年度) 
運用額 
1.5兆円 
279億円 
直近収益率(年率) 
4.7% 
1%以下 
イエール大学 
ポートフォリオ 
2013年6月期 
目標値 
未上場株式 
35% 
不動産 
22% 
ヘッジ・ファンド 
18% 
海外株式 
8% 
天然資源 
7% 
国内株式 
6% 
債券・現金 
4% 
東京大学 
ポートフォリオ 
2011年度末 
1年以上債券 
222億円 
1年以下債券 
17億円 
現金 
40億円
ファンド 
(法人格) 
33 
機関投資家 
資産運用会社 
信託銀行口座A 
資産運用会社:機関投資家運用代行業者 
信託銀行口座B 
信託銀行口座C 
市場 
(取引所など) 
売買 
代理決定 
日本株の一部を 
お願い! 
機関投資家A 
一部購入 
機関投資家B 
機関投資家C 
一部購入 
一部購入 
資産運用会社 
市場 
(取引所など) 
売買 
決定 
日本株で 
運用します
34 
・PER、PBR、ROEといった財務情報(利益や資産額など)と 
時価総額を比較した指標を主に使う 
・同業とこれらを比べる 
・利益がどれくらいなりそうか、その継続性はどんなものか、 
・それを脅かすリスクは何かを調べる 
具体的な日々の活動は、、、 
・ 財務諸表を良く見る 
・ 会社の社長やIR(投資家向け広報)にいろいろ聞く 
・ 工場や店舗を見に行く 
・ 会社の顧客の動向を調べる 
・ いろいろな統計を調べる 
詳しくは、、、 
http://www.slideshare.net/mizutata/20140409-36732230 
機関投資家の投資手法: ボトムアップリサーチ
35 
7:45 出社:米国の株式市場やニュースのチェックを行う 
8:15 朝会:アナリストやファンドマネージャーが集まり、 
昨日の企業調査を報告しあう 
9:00 自席:今日調べる企業の分析、質問項目の整理 
10:00 自席:企業AのIR(投資家向け広報)に電話で質問 
10:20 アジアの他拠点とのテレフォンカンファレンス 
企業業績などについて情報交換しあう 
11:30 企業Bを訪問し社長と面会し取材 
13:00 企業Cを訪問しIR(投資家向け広報)と面会し取材 
14:30 証券会社主催のセミナーに参加 
証券会社の企業アナリストや 
業界担当の某省庁官僚の話しを聞く 
16:00 企業Dの決算説明会に出席 
17:30 帰社:取材内容のまとめ、社内報告書の執筆 
株価のチェック、他のアナリストと意見交換など 
資産運用会社のアナリストの典型的なある一日
36 
クオンツ 
多くの場合長期投資、一ヶ月に一度少し入れ替える程度 
PERやPBR、ROEなどを使ったモデルと 
リスク最適化のモデルを用いて、 
機械的に銘柄を数百銘柄程度選び、ポートフォリオを組む 
パッシブ 
日経平均やTOPIXなど指数と同じ動きをするポートフォリオを作る 
指数に完全にあわせるのは不可能:いろいろな技術が必要 
銘柄選択は指数どおりでも議決権行使は判断を必要とする 
↑大量の銘柄の議決権行使をどうやってさばくか 
指数そのものを作ることも ← スマート・ベータ(インデックス) 
高度な理数工学的なアプローチで作られた指数も多い 
↑最小分散ポートフォリオなど 
(機関投資家の)その他の投資手法
37 セールス 
トレーダー 
バイサイド 
トレーダー 
発注 
マーケットメーカー 
(狭義HFT) 
裁定取引 
(アービトラージ) 
人間執行トレーダー 
ボトムアップ 
リサーチ 
クオンツ 
パッシブ 
スマートベータ 
投資判断 
アクティブ 
投(収益を狙う) 
資 
投 
機 
人間 
機械 
デイトレーダー 
ディーラー 
機械パッシブ 
(指数どおり) 
(狭義)アルゴリズム 
トレード 
イベント待ち(?) 
さまざまな株式市場の参加者 
個人や 
機関投機家
38 
個人投資家と個人投機家 
自力で年金構築 
個別企業の株式を自ら選んで運用し年金を作る (← NISA) 
年金とまでも行かなくてもしばらく使わないお金の運用 
企業オーナー 
自分が創業した企業の株式を持つ 
世代交代時にどうやって売却するか課題 
個人投資家 
個人投機家 
デイトレーダー 
1日のうちに売り買いを繰り返し、次の日まで持ち越さない 
短期的な利益のみを追求、信用取引(カネか株を借りる)を多様 
一般的な個人投資家 
数日から数ヶ月の投資期間、投資手法はさまざま 
趣味、短期間で富を築きたい、など理由もさまざま 
(前述の表に載らなかった、、、)
39 
ディーラー 
証券会社や銀行が自社のお金で社員が短期売買を行う 
単純に利益追求の場合が多いがそうでない場合もある 
利益はトレーディング収益と呼ばれることがある 
マーケットメーカー 
ひたすら99円の買い100円の売りを出し続けるような戦略 
証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行うが 
市場が盛りあげるために(頼まれてor自ら)行うこともある 
裁定取引 
99円で買ってきたものを瞬時に他で100円で売る 
取引所間や現物・先物・オプション間、ETF・現物間などいろいろ 
証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行う 
イベント待ち(?) 
(いまいち正体不明)決算発表や不祥事、誤発注を待っている? 
証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行う 
機関投機家: HFT(高頻度取引)を含む 
ディーラー 
証券会社や銀行が自社のお金で社員が短期売買を行う 
単純に利益追求の場合が多いがそうでない場合もある 
利益はトレーディング収益と呼ばれることがある 
マーケットメーカー 
ひたすら99円の買い100円の売りを出し続けるような戦略 
証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行うが 
市場が盛りあげるために(頼まれてor自ら)行うこともある 
裁定取引 
99円で買ってきたものを瞬時に他で100円で売る 
取引所間や現物・先物・オプション間、ETF・現物間などいろいろ 
証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行う 
イベント待ち(?) 
(いまいち正体不明)決算発表や不祥事、誤発注を待っている? 
証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行う
40 
HFTのマーケットメーカー戦略 
HFTの多くはマーケット・メーカー戦略 
⇒ 買いと売りを同時に出す 
売り 
価格 
買い 
84 
101 
176 
100 
99 
204 
98 
77 
99円と100円を行ったり来たりしていると儲かる 
↑ 99円で買って100円で売ることを繰り返す 
市場がどちらかの方向に動き出したら、すばやく逃げる必要 
↑ 99円で買っちゃったものがもっと安い値段でしか売れなくなる 
注文 
注文
41 
マーケットメーカー戦略以外のHFT 
・ アービトラージ(鞘取り): (高速化以前から存在、新しくない) 
・ イベント・ドリブン: 合併比率やTOBの発表、 
決算発表、誤発注、など 
・ ストラクチャル: 市場の構造的な欠陥を利用する 
⇒ レイテンシー・アービトラージ 
(フラッシュ・ボーイズの元ネタ、後述) 
・ ディレクショナル: 短期逆張り、短期順張り 
・ アルゴリズム取引を餌食にするHFT: さまざまな手法 
グレーなものも 
アービトラージはかなりいる 
その他も居ることは確実だがどれくらいいるか良くわからない
42 セールス 
トレーダー 
バイサイド 
トレーダー 
発注 
マーケットメーカー 
(狭義HFT) 
裁定取引 
(アービトラージ) 
人間執行トレーダー 
ボトムアップ 
リサーチ 
クオンツ 
パッシブ 
スマートベータ 
投資判断 
アクティブ 
投(収益を狙う) 
資 
投 
機 
人間 
機械 
デイトレーダー 
ディーラー 
機械パッシブ 
(指数どおり) 
(狭義)アルゴリズム 
トレード 
イベント待ち(?) 
さまざまな株式市場の参加者 
発注業務
43 
発注業務は証券会社・銀行、 
投資判断は資産運用会社が行うことが多い 
両者の取次ぎを行うのが、セールストレーダー(証券会社側)と 
バイサイドトレーダー(資産運用会社側) 
発注業務 
委託された大きな注文を細かく分解して少しづつ出す 
分解の作業は証券会社・銀行側がやる場合が多い 
人間と機械でやっていることは本質的には違いません 
発注業務
44 
証券会社の取次ぎ業務 
機関投資家 
(年金、政府ファンド、生損保、金融機関、学校) 
その代行:運用会社 
証券会社 
(取次ぎ・委託売買部門) 
機関投資家は取引所へ直接注文を出せない 
証券会社には機関投資家の注文を”小分けにして”さばく仕事がある 
取引所 
A社 1万株 買い 
今日中にやっといて 
電話 
ネット 
手でクリック 
A社 100株 99円 買い 
A社 100株 98円 買い 
A社 100株 99円 買い 
:
45 
アルゴリズム・トレード 
機関投資家 
証券会社 
ちなみに、注文を”小分けにして”さばく仕事を 
機械化したものがアルゴリズムです 
取引所 
A社 1万株 買い 
アルゴリズムで 
電話 
自動発注 
A社 100株 99円 買い 
A社 100株 98円 買い 
A社 100株 99円 買い 
: 
アルゴリズム
46 
機関投資家 
証券会社 
機関投資家は時々、ちょっと”不可能な”注文を出してくる 
電話 
A社 100万株 買い 
今日中にやっといて 
(無理です) 
取引所 
金融取引は大きいほど不利になる珍しいゲーム 
後述のブロック取引は競争を公正にするための処置とも言える 
大きい取引をする投資家を助けるための処置 
⇔ 製造業や小売業などは規模が大きい方がコストダウンでき 
規模の経済が働くのが普通 
競争を公正にするため小さい業者を助ける処置あり 
公正取引委員会、独占禁止法、下請けいじめの禁止
47 
ブロック・トレード 
機関投資家B 
証券会社 
たまたま反対の”無理な”注文が来れば、取引所を出さずに、 
取引を成立させることが出来る ⇒ ブロックトレード 
電話 
A社 100万株 買い 
今日中にやっといて 
機関投資家C 
電話 
A社 100万株 売り 
今日中にやっといて 
カネ 
カネ 
株 
株 
取引所 
参照 
取引 
価格 
取引所の価格決定プロセスには参加しない
48 
機関投資家B 
証券会社 
ネット 
A社 100万株 買い 
ダーク・プールで 
機関投資家C 
ネット 
A社 100万株 売り 
ダーク・プールで 
カネ 
カネ 
株 
株 
取引所 
参照 
取引所の価格決定プロセスには参加しない 
みんながダーク・プールばっかり使い出したら誰か価格を決めるの? 
ダーク・プール 
これらの仕事を機械化する課 
ダーク・プール:ブロック・トレードを機械化したもの 
↑他人の注文状況は見れない 
ダーク・プール 
取引 
価格
49 
(1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ 
(2)価値の保存 ~投資を行う理由~ 
(3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ 
(4)取引所間競争と取引所の高速化
50 
証券会社などが独自運営する私設取引所(PTS) 
→ これまで独占だった東京証券取引所の経営にとっても 
無視できない売買代金シェア 
↑東証もPTSも売買代金に比例した手数料が主な売上 
私設取引所(PTS): 東京証券取引所の競合 
http://www.fidessa.com/jp/newsletter/issue009 
青の”ToSTNet”は 
殆どが”ダーク・プール”?
51 
アメリカにおける状況 
http://www.jpx.co.jp/general-information/research-study/ncd3se00000006ht-att/JPX_WP_SP.pdf 
ヨーロッパでも同様な状況:カナダ、オーストラリア等でも追随している 
日本もこのようになるのか?
52 
100円で買い 
取引所A 
株式 
100円で買い 
取引所B 
株式 
99円の売り 
取引所C 
株式 
短期間で 
仕入れ・転売 
投機家 
99円で 
買う 
100円で 
売る 
高速 
低速 
少しでも 
早く売りたい 
取引所が多数存在 ⇒ 競争 ⇒ より流動性が高い取引所 
投資家に選んでもらえる取引所 
他が同じ条件なら注文処理が早い取引所に注文 
何度も取引できる、機会を逃したくない 
高速化: 取引所間競争の重要な要素 
他の取引所より注文処理が 
少しでも速いことが重要 
高速化競争
53 
高頻度取引(HFT)、コロケーション 
専門業者 
HFT:数十マイクロ秒ごとといった高頻度に 
注文を出したりキャンセルする機械の投資家 
↑ いち早く注文が取引所に届くように隣のサーバーラックに 
⇒コロケーションサービス(取引所提供) 
取引所 
自動発注 
HFTプログラム 
取引所サーバー 
同一データセンター 
一般 
投資家
54 
東京証券取引所提供コロケーション・サービス 
http://www.tse.or.jp/system/connectivity/
HFTやダーク・プールを悪役に仕立てて面白おかしく書いた本 
フラッシュ・ボーイズという本(実話風な小説) 
http://www.sc.mufg.jp/report/fj_report/pdf/fj20140428.pdf 
実話風な小説だが、規制の議論に影響を与える模様 
本の内容はともかく、宣伝の仕方が異様だし、宣伝は事実と異なる 
よく分かってない人たちのHFT、ダーク・プールへのバッシングを 
あおることになりそう 
55 
三菱UFJモルガンスタンレー証券 藤戸レポート 2014/4/28より 
マイケル・ルイス氏の最新作「フラッシュ・ボーイズ」が、ウォールストリートを震撼さ せている。同氏の作品には。「ライアーズ・ポーカー」、「世紀の空売り~世界経済の 破綻に賭けた男達」、「マネー・ボール」等、実に興味深いものが多い。そのテリト リーも、金融からMLB(メジャーリーグ)に至るまで広範囲である。「フラッシュ・ボーイ ズ」は、HFT(高速高頻度取引)に焦点をあてた極めて今様の物語だ。同氏はメディ アにも積極的に出演し、「米国株式市場は操作されており、投資家は八百長ゲーム が行われているカジノへ案内される間抜けな観光客のようなものだ」と辛辣な発言を 繰り返している。市場は公平・公正に運営されているというのが資本主義社会の大 前提である。ところが、「株価を始めとした情報の伝達スピードには格差が生じてお り、HFTを利用する業者・ヘッジファンド等が優遇され、一般の投資家は不利益を 被っている」というのが、ルイス氏の主張だ。
56 
Chi-X 講演資料 
レイテンシー・アービトラージ(フラッシュ・ボーイズの元ネタ)
57 
HFTも厳しい生存競争 
http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPL4N0PJ00M20140708
58 
取引所間価格競争により取引手数料が安くなった 
取引所間顧客獲得競争により流動性向上策がうたれた 
↑HFTなどの投機家が誘致された 
良かったこと 
悪かったこと・懸念 
流動性の向上は超大型株に限られ、小型株は恩恵がない 
↑投資家リレーの中盤に効果なし 
フラッシュ・クラッシュなど市場混乱時にHFTが流動性を奪う 
↑損切による撤退など 
発注業務にかかる理解やシステムにかかるコストが高すぎて、 
本来目的である「企業への投資」から逸脱しつつある 
↑10μ秒といった異常な高速化、異常に複雑な取引システム 
取引手数料の削減、流動性向上 
質の悪い流動、本来目的から逸脱 
取引所間競争と取引所の高速化によって、、、 
古本屋のシステムが難しすぎて本を読む暇がなくなる本末転倒 
市場は投資家リレーのためにあり、投機家だけの場ではない
59 
古本屋のシステムが難しすぎて本を読む暇がなくなる本末転倒状態 
米国では既に理解しがたいほど複雑なシステムに 
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Finance01

  • 1. 1 金融レジリエンス情報学 第2回(2014/10/9) スパークス・アセット・マネジメント 水田孝信 http://www.slideshare.net/mizutata/finance01-36822930 mizutata[at]gmail.com @takanobu_mizuta (twitter) http://www.geocities.jp/mizuta_ta/jindex.htm 金融の役割と 機関投資家の株式投資実務
  • 2. 2 “金融”ってどんなイメージですか? 儲けがすべてのマネーゲーム?ギャンブル? 高速取引は遊んでるだけ? 社会の役に立ってない虚業? 実は金融で働く人たちの中で ”カネを増やすだけ”の仕事をしているのは少数 そもそも金融とは何なのか?お金とは何なのか? 社会での役割は何なのか? 取引所が高速化してきた背景は? このあたりをお話します。 はじめに
  • 3. 3 僕たちの大事な年金、なんで危険な株とか買って 勝負に出てるの? 年金基金が やっていること こんな疑問にもお答えします http://www.gpif.go.jp/operation/archive.html#tab_02 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 平成25年度末 運用資産額 約127兆円の内訳
  • 4. 4 2000年 気象大学校卒業 2002年 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻修士課程修了 研究内容:宇宙空間プラズマのコンピュータシミュレーション 2004年 同専攻博士課程を中退 同年 スパークス・アセット・マネジメントに入社 バックオフィス業務 (ファンドの純資産の計算や取引決済の指図など) 2005年 ボトムアップ・リサーチ・アナリスト (会社の社長に取材したりと足で稼ぐ企業調査) 2006年 クオンツ・アナリスト (市場の定量分析:投資判断、リスク管理、営業資料、、、) 2008年 学術界に出入りを始める (主に人工知能学会) 2011年 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻博士課程 社会人をしながら入学 研究内容:人工市場を用いた金融規制のシミュレーション 2014年9月修了 2007年 日本証券アナリスト協会検定会員 2009年 中小企業診断士 2013年 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 自己紹介
  • 5. 5 今日のお話 金融市場の存在意義と最近の動向 特に株式市場を例に (1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ (2)価値の保存 ~投資を行う理由~ (3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ (4)取引所間競争と取引所の高速化
  • 6. 6 (1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ (2)価値の保存 ~投資を行う理由~ (3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ (4)取引所間競争と取引所の高速化
  • 7. 7 人類は古代人のときより,高度な役割分担により,他の生物を凌駕 魚を取るのが得意なものは魚を取り, 木の実を集めるのが得意なものは木の実を集め,物々交換 より得意なことに集中し役割分担 時には,魚がまったくとれず,木の実をもらって飢えをしのいだ 物体自体には価値が無いが仮想的に価値があると皆で約束した物 “カネ”と木の実をいったん交換 その物を返してもらう際に魚を渡す ⇒ “カネ” お金が仲介することにより → 多くの種類の物やサービスの交換がスムーズ → 時間を越えた価値の交換 過去役割分担で活躍した人が未来役割分担で活躍するだろう人に, 活躍が実現する前に価値を渡すことが可能
  • 9. すぐにお金が必要な人と、しばらく使わない人をむすぶ Aさん 昔大活躍の老人 お金を多く持っている しばらく使い道がない Bさん 新たに漁業を始めたい 道具もお金も持っていない 体力とヤル気はある Cさん 「Bさんは今お金があれば、大活躍しますよ。 Aさん、そのしばらく使わないお金、託してみませんか?」 探してくる 探してくる Aさんは”分け前”を受け取り、Bさんは支払う、 Cさんは少し手数料をもらう Cさん・・金融業者 「金融」 金融は人類が協力し合うための大事な”道具”・”手段” “目的”そのものでは決してない! http://id.nii.ac.jp/1001/00083434/
  • 10. Aさん Bさん “分け前”の支払い方法 分け前 資金 以後、株式を取り扱います (1) もらった資金+α ⇒ 債券、融資 (2) 取れた魚を売って得たお金×β ⇒ 株式 (3) その中間 ⇒ 優先株、メザニン、、
  • 11. 1次市場 企業 投資家 証券会社 事業資金 株式 仲介 配当(分け前) 現代の株式市場では、、、 1次市場(新品)、2次市場(中古) 新しいことを始めるには出費が先、儲けも不透明 分け前を狙った投資が必要 (大航海時代の例) これによりイノベーションが生まれる
  • 12. 取引所 買う 株式 投資をやめたい 投資家 売る 投資を始めたい 投資家 企業 配当 (分け前) 短期間で仕入れ・転売 投機家 流動性 供給 2次市場(上場市場) 価格発見 流動性 享受 流動性 享受 投資は永久にするわけでない 辞めるときに簡単に転売できることが重要 でなければそもそも1次市場で投資できない (IT企業の例) ⇒ 2次市場で容易に売買できること(流動性)が 1次市場を成立させ、社会にイノベーションを提供
  • 13. 流動性を 供給 流動性が高い例 Aさん 100円 買い 本屋 古本屋 超人気マンガ単行本 95円 売り Bさん 90円 買い 発見が 容易 本が円滑にまわし読みされる 買ってもすぐに、小さい価格差で 売れるので安心して買える 新品の本が売れる 85円 売り
  • 14. 流動性が低い例 マニアックな学術書 Aさん 1000円 買い マニアック 本屋 発見が 困難 Bさん 500円 売り 発見が 困難 Cさん 大幅な 値引き 取扱い 古本屋なし 本が円滑にまわし読みされない 買ってもなかなか売れず、しかも大きい価格差で しか売れないので、買いづらい 新品の本が売れない
  • 15. 株式市場の流動性 Aさん 企業 取引所 企業: 長い期間の投資が必要 投資家: 短い期間なら投資に参加したい 200円 売り Bさん 投資家のリレーが円滑 買ってもすぐに、小さい価格差で 売れるので安心して投資できる 1次市場での投資が容易 Cさん 100円 出資 350円 増資 350円 買い 360円 売り Dさん Eさん 300円 売り エンジェル、VC PE 上場 人類の進化を もたらす イノベーション を後押し
  • 16. 16 (1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ (2)価値の保存 ~投資を行う理由~ (3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ (4)取引所間競争と取引所の高速化
  • 17. 17 明日使うカネ、今月中に使うカネ、 それだったら、こんな悩みはないでしょう。 しかし、50年後に使うカネ、だったらどうでしょうか? 例えば、年金基金は、20代に払い込んだカネを、 70代に引き出して使うわけです。 50年間、カネの価値を守らないといけません。 タンスに入れておいて大丈夫でしょうか?
  • 18. 18 物体自体には価値が無いが 仮想的に価値があると皆で約束した物 == カネ == 現代の先進国では、 政府からある程度独立した中央銀行が カネの価値の維持を行う 守ってくれるの?誰が? 国: 借金を手っ取り早く返したいから カネをいっぱい作って返す⇒価値の希薄化⇒インフレーション
  • 19. 19 少し変わったインフレの説明 政府が完全自由にカネを印刷できたら、、 所得が減少し不満 面倒だから、 毎月100万あげるよ、全員に どうせいくらでも印刷できるし 国民 政府 時給1,000円とかで 働かなくなる 国民 バイトが時給50,000円とか 牛丼も10,000円くらいにしな いと赤字になっちゃう 牛丼屋 物価の 上昇 100万もらっても 物が高いからあんまり買えない ⇒相対的に所得減少 国民
  • 20. 20 http://ja.wikipedia.org/wiki/トルコリラ 年レート年レート 1974年14 1990年2,993 1975年15 1991年5,083 1976年17 1992年8,547 1977年19 1993年14,494 1978年25 1994年38,411 1979年35 1995年59,322 1980年89 1996年107,182 1981年132 1997年204,860 1982年185 1998年313,500 1983年280 1999年540,098 1984年443 2000年642,840 1985年574 2001年1,180,000 1986年756 2002年1,576,711 1987年1,018 2003年1,410,000 1988年1,814 2004年1,511,631 1989年2,311 トルコのインフレ: 1ドルあたりトルコリラ 銀行預金金利40%くらいあっても 実質的に目減り タンス預金なんかとんでもない! しばらく使わないカネを どうやって保管すればいいの?
  • 21. 21 米国における物価(インフレ)調整後価値の変動 カネの価値が一定に保たれることのほうがマレだった 書籍「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より
  • 23. 23 価値が変わりにくいもの 時給1,000円とかで 働かなくなる 国民 バイトが時給50,000円とか 牛丼も10,000円くらいにしな いと赤字になっちゃう 牛丼屋 企業 投資家 事業資金 株式 配当(分け前) 売れる牛丼の数 牛丼1つあたりの利益率 一定 価値が一定 インフレでカネの価値が1/100 物価が100倍: 牛丼300円⇒30,000円 配当は価値が一定 ⇒ “名目”では100倍
  • 24. 24 いろいろな資産 キャッシュ: インフレが来たらどうしよう? 株式: 会社が倒産したらどうしよう? 分け前をどのくらいくれるか分からない 債券: 返してくれなかったらどうしよう? インフレに対応できるの? 円: 円安になったらどうしよう? 外貨: 円高になったらどうしよう? 不動産: 液状化したらどうしよう?沈没したらどうしよう? 耐震偽造があったらどうしよう? 取引所がないけど大丈夫? 物そのもの(商品): 金、原油、牛丼、、、 付加価値がつかない 代替品がでたらどうしよう? 保管しづらいし大変 50年単位になると何が起こるか分からない、予想できない ⇒ “心配だからいろいろ持っておく”がリスク回避方法
  • 25. 25 僕たちの大事な年金、なんで危険な株とか買って 勝負に出てるの? 年金基金が やっていること 全部キャッシュで持っているほうがよっぽど危険 それは「デフレが永久に終わらない」に 全額賭けているようなもの http://www.gpif.go.jp/operation/archive.html#tab_02 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 平成25年度末 運用資産額 約127兆円の内訳
  • 26. 26 政府と中央銀行の微妙な関係 借金全部引き受けてよ、 いくらでもカネを印刷できるんでしょ? 独立性が弱い 政府 中央銀行 独立性が強すぎ 了解~ 最適な独立性の強さが未だに良く分からない 面倒だから 印刷量はサイコロで決めるか 俺たち、選挙とかないし 政府 中央銀行 カネ(紙幣)が足りなくて 国民が困っているんだけど!
  • 27. 27 (1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ (2)価値の保存 ~投資を行う理由~ (3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ (4)取引所間競争と取引所の高速化
  • 28. 28 投資家と投機家 企業を買う: 企業がもつ実態価値に着目 目的:長期的な価値の増加、長期間使わないカネの価値保存 流動性:享受する(奪う)場合が多い 投資家 投機家 投資家と投機家の定義は曖昧 いずれも、個人、機関(法人)で行われている 株券を買う: 価格の変動(特に短期間での)に着目 目的:短期間でのカネの増加 流動性:供給する場合が多い 本当に本を読みたい人 古本屋 そもそも市場は投資家のために作られたが、 投機家がいないと成立しない ⇒ 投資家のリレーがうまくいかない
  • 29. 29 投資判断と発注業務 どの企業にどれくらい投資するか決める 投資先企業の組み合わせも考える:ポートフォリオ 投資判断 発注業務 決められた投資先の株式を実際に購入:手作業、機械 ↑注文を出す具体的なタイミング、1注文あたり数量を決める 注文状況や価格の推移だけで発注する投機も ↑企業を選ばない、全部の企業を対象など どの企業に投資するか?決める 実際に注文を行う:タイミング、1注文あたり数量 投資判断と発注業務は別の人が行う場合も: 特に機関(法人) 企業を選ばず発注業務だけの場合も
  • 30. 30 セールス トレーダー バイサイド トレーダー 発注 マーケットメーカー (狭義HFT) 裁定取引 (アービトラージ) 人間執行トレーダー ボトムアップ リサーチ クオンツ パッシブ スマートベータ 投資判断 アクティブ 投(収益を狙う) 資 投 機 人間 機械 デイトレーダー ディーラー 機械パッシブ (指数どおり) (狭義)アルゴリズム トレード イベント待ち(?) さまざまな株式市場の参加者 機関投資家
  • 31. 31 基本: しばらくカネを使わない ⇒ 価値の保存が必要 しかし、他の目的がある場合も 年金: 前述のとおり 政府および系列ファンド: 政府の余剰資金の運用 産業政策や貿易戦略、為替介入を行うことも 中東では石油枯渇後のための運用 生損保: 保険料入金が先で支払いはだいぶ先の場合も 銀行: 貸付先が見つからない場合など(預金は返せない) 学校: 寄付金が多くしばらく使わない場合(寄付金は返せない) 証券アナリストジャーナル 2011年12月号 大学法人の財務と資産運用 http://www.saa.or.jp/journal/eachtitle/pdf/kaidai_111201.pdf (解題) 余りにも大きい日米の大学基金運用体制のギャップ http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121116-00010000-yarai-nb 企業: 余剰資金が多い場合 ← 株主還元すべきという批判も 中央銀行: 通常は機関投資家には含めない 金融政策(カネの価値や物価の維持など) 機関投資家(法人投資家)
  • 32. 32 (おまけ) 余りにも大きい日米の大学基金運用体制のギャップ http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121116-00010000-yarai-nb イエール大学 (2012年6月期) 東京大学 (2011年度) 運用額 1.5兆円 279億円 直近収益率(年率) 4.7% 1%以下 イエール大学 ポートフォリオ 2013年6月期 目標値 未上場株式 35% 不動産 22% ヘッジ・ファンド 18% 海外株式 8% 天然資源 7% 国内株式 6% 債券・現金 4% 東京大学 ポートフォリオ 2011年度末 1年以上債券 222億円 1年以下債券 17億円 現金 40億円
  • 33. ファンド (法人格) 33 機関投資家 資産運用会社 信託銀行口座A 資産運用会社:機関投資家運用代行業者 信託銀行口座B 信託銀行口座C 市場 (取引所など) 売買 代理決定 日本株の一部を お願い! 機関投資家A 一部購入 機関投資家B 機関投資家C 一部購入 一部購入 資産運用会社 市場 (取引所など) 売買 決定 日本株で 運用します
  • 34. 34 ・PER、PBR、ROEといった財務情報(利益や資産額など)と 時価総額を比較した指標を主に使う ・同業とこれらを比べる ・利益がどれくらいなりそうか、その継続性はどんなものか、 ・それを脅かすリスクは何かを調べる 具体的な日々の活動は、、、 ・ 財務諸表を良く見る ・ 会社の社長やIR(投資家向け広報)にいろいろ聞く ・ 工場や店舗を見に行く ・ 会社の顧客の動向を調べる ・ いろいろな統計を調べる 詳しくは、、、 http://www.slideshare.net/mizutata/20140409-36732230 機関投資家の投資手法: ボトムアップリサーチ
  • 35. 35 7:45 出社:米国の株式市場やニュースのチェックを行う 8:15 朝会:アナリストやファンドマネージャーが集まり、 昨日の企業調査を報告しあう 9:00 自席:今日調べる企業の分析、質問項目の整理 10:00 自席:企業AのIR(投資家向け広報)に電話で質問 10:20 アジアの他拠点とのテレフォンカンファレンス 企業業績などについて情報交換しあう 11:30 企業Bを訪問し社長と面会し取材 13:00 企業Cを訪問しIR(投資家向け広報)と面会し取材 14:30 証券会社主催のセミナーに参加 証券会社の企業アナリストや 業界担当の某省庁官僚の話しを聞く 16:00 企業Dの決算説明会に出席 17:30 帰社:取材内容のまとめ、社内報告書の執筆 株価のチェック、他のアナリストと意見交換など 資産運用会社のアナリストの典型的なある一日
  • 36. 36 クオンツ 多くの場合長期投資、一ヶ月に一度少し入れ替える程度 PERやPBR、ROEなどを使ったモデルと リスク最適化のモデルを用いて、 機械的に銘柄を数百銘柄程度選び、ポートフォリオを組む パッシブ 日経平均やTOPIXなど指数と同じ動きをするポートフォリオを作る 指数に完全にあわせるのは不可能:いろいろな技術が必要 銘柄選択は指数どおりでも議決権行使は判断を必要とする ↑大量の銘柄の議決権行使をどうやってさばくか 指数そのものを作ることも ← スマート・ベータ(インデックス) 高度な理数工学的なアプローチで作られた指数も多い ↑最小分散ポートフォリオなど (機関投資家の)その他の投資手法
  • 37. 37 セールス トレーダー バイサイド トレーダー 発注 マーケットメーカー (狭義HFT) 裁定取引 (アービトラージ) 人間執行トレーダー ボトムアップ リサーチ クオンツ パッシブ スマートベータ 投資判断 アクティブ 投(収益を狙う) 資 投 機 人間 機械 デイトレーダー ディーラー 機械パッシブ (指数どおり) (狭義)アルゴリズム トレード イベント待ち(?) さまざまな株式市場の参加者 個人や 機関投機家
  • 38. 38 個人投資家と個人投機家 自力で年金構築 個別企業の株式を自ら選んで運用し年金を作る (← NISA) 年金とまでも行かなくてもしばらく使わないお金の運用 企業オーナー 自分が創業した企業の株式を持つ 世代交代時にどうやって売却するか課題 個人投資家 個人投機家 デイトレーダー 1日のうちに売り買いを繰り返し、次の日まで持ち越さない 短期的な利益のみを追求、信用取引(カネか株を借りる)を多様 一般的な個人投資家 数日から数ヶ月の投資期間、投資手法はさまざま 趣味、短期間で富を築きたい、など理由もさまざま (前述の表に載らなかった、、、)
  • 39. 39 ディーラー 証券会社や銀行が自社のお金で社員が短期売買を行う 単純に利益追求の場合が多いがそうでない場合もある 利益はトレーディング収益と呼ばれることがある マーケットメーカー ひたすら99円の買い100円の売りを出し続けるような戦略 証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行うが 市場が盛りあげるために(頼まれてor自ら)行うこともある 裁定取引 99円で買ってきたものを瞬時に他で100円で売る 取引所間や現物・先物・オプション間、ETF・現物間などいろいろ 証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行う イベント待ち(?) (いまいち正体不明)決算発表や不祥事、誤発注を待っている? 証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行う 機関投機家: HFT(高頻度取引)を含む ディーラー 証券会社や銀行が自社のお金で社員が短期売買を行う 単純に利益追求の場合が多いがそうでない場合もある 利益はトレーディング収益と呼ばれることがある マーケットメーカー ひたすら99円の買い100円の売りを出し続けるような戦略 証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行うが 市場が盛りあげるために(頼まれてor自ら)行うこともある 裁定取引 99円で買ってきたものを瞬時に他で100円で売る 取引所間や現物・先物・オプション間、ETF・現物間などいろいろ 証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行う イベント待ち(?) (いまいち正体不明)決算発表や不祥事、誤発注を待っている? 証券会社や専門業者が自社のお金で利益目的で行う
  • 40. 40 HFTのマーケットメーカー戦略 HFTの多くはマーケット・メーカー戦略 ⇒ 買いと売りを同時に出す 売り 価格 買い 84 101 176 100 99 204 98 77 99円と100円を行ったり来たりしていると儲かる ↑ 99円で買って100円で売ることを繰り返す 市場がどちらかの方向に動き出したら、すばやく逃げる必要 ↑ 99円で買っちゃったものがもっと安い値段でしか売れなくなる 注文 注文
  • 41. 41 マーケットメーカー戦略以外のHFT ・ アービトラージ(鞘取り): (高速化以前から存在、新しくない) ・ イベント・ドリブン: 合併比率やTOBの発表、 決算発表、誤発注、など ・ ストラクチャル: 市場の構造的な欠陥を利用する ⇒ レイテンシー・アービトラージ (フラッシュ・ボーイズの元ネタ、後述) ・ ディレクショナル: 短期逆張り、短期順張り ・ アルゴリズム取引を餌食にするHFT: さまざまな手法 グレーなものも アービトラージはかなりいる その他も居ることは確実だがどれくらいいるか良くわからない
  • 42. 42 セールス トレーダー バイサイド トレーダー 発注 マーケットメーカー (狭義HFT) 裁定取引 (アービトラージ) 人間執行トレーダー ボトムアップ リサーチ クオンツ パッシブ スマートベータ 投資判断 アクティブ 投(収益を狙う) 資 投 機 人間 機械 デイトレーダー ディーラー 機械パッシブ (指数どおり) (狭義)アルゴリズム トレード イベント待ち(?) さまざまな株式市場の参加者 発注業務
  • 43. 43 発注業務は証券会社・銀行、 投資判断は資産運用会社が行うことが多い 両者の取次ぎを行うのが、セールストレーダー(証券会社側)と バイサイドトレーダー(資産運用会社側) 発注業務 委託された大きな注文を細かく分解して少しづつ出す 分解の作業は証券会社・銀行側がやる場合が多い 人間と機械でやっていることは本質的には違いません 発注業務
  • 44. 44 証券会社の取次ぎ業務 機関投資家 (年金、政府ファンド、生損保、金融機関、学校) その代行:運用会社 証券会社 (取次ぎ・委託売買部門) 機関投資家は取引所へ直接注文を出せない 証券会社には機関投資家の注文を”小分けにして”さばく仕事がある 取引所 A社 1万株 買い 今日中にやっといて 電話 ネット 手でクリック A社 100株 99円 買い A社 100株 98円 買い A社 100株 99円 買い :
  • 45. 45 アルゴリズム・トレード 機関投資家 証券会社 ちなみに、注文を”小分けにして”さばく仕事を 機械化したものがアルゴリズムです 取引所 A社 1万株 買い アルゴリズムで 電話 自動発注 A社 100株 99円 買い A社 100株 98円 買い A社 100株 99円 買い : アルゴリズム
  • 46. 46 機関投資家 証券会社 機関投資家は時々、ちょっと”不可能な”注文を出してくる 電話 A社 100万株 買い 今日中にやっといて (無理です) 取引所 金融取引は大きいほど不利になる珍しいゲーム 後述のブロック取引は競争を公正にするための処置とも言える 大きい取引をする投資家を助けるための処置 ⇔ 製造業や小売業などは規模が大きい方がコストダウンでき 規模の経済が働くのが普通 競争を公正にするため小さい業者を助ける処置あり 公正取引委員会、独占禁止法、下請けいじめの禁止
  • 47. 47 ブロック・トレード 機関投資家B 証券会社 たまたま反対の”無理な”注文が来れば、取引所を出さずに、 取引を成立させることが出来る ⇒ ブロックトレード 電話 A社 100万株 買い 今日中にやっといて 機関投資家C 電話 A社 100万株 売り 今日中にやっといて カネ カネ 株 株 取引所 参照 取引 価格 取引所の価格決定プロセスには参加しない
  • 48. 48 機関投資家B 証券会社 ネット A社 100万株 買い ダーク・プールで 機関投資家C ネット A社 100万株 売り ダーク・プールで カネ カネ 株 株 取引所 参照 取引所の価格決定プロセスには参加しない みんながダーク・プールばっかり使い出したら誰か価格を決めるの? ダーク・プール これらの仕事を機械化する課 ダーク・プール:ブロック・トレードを機械化したもの ↑他人の注文状況は見れない ダーク・プール 取引 価格
  • 49. 49 (1)カネは紙くずか? ~金融と株式市場~ (2)価値の保存 ~投資を行う理由~ (3)株式市場の参加者 ~投資家と投機家~ (4)取引所間競争と取引所の高速化
  • 50. 50 証券会社などが独自運営する私設取引所(PTS) → これまで独占だった東京証券取引所の経営にとっても 無視できない売買代金シェア ↑東証もPTSも売買代金に比例した手数料が主な売上 私設取引所(PTS): 東京証券取引所の競合 http://www.fidessa.com/jp/newsletter/issue009 青の”ToSTNet”は 殆どが”ダーク・プール”?
  • 51. 51 アメリカにおける状況 http://www.jpx.co.jp/general-information/research-study/ncd3se00000006ht-att/JPX_WP_SP.pdf ヨーロッパでも同様な状況:カナダ、オーストラリア等でも追随している 日本もこのようになるのか?
  • 52. 52 100円で買い 取引所A 株式 100円で買い 取引所B 株式 99円の売り 取引所C 株式 短期間で 仕入れ・転売 投機家 99円で 買う 100円で 売る 高速 低速 少しでも 早く売りたい 取引所が多数存在 ⇒ 競争 ⇒ より流動性が高い取引所 投資家に選んでもらえる取引所 他が同じ条件なら注文処理が早い取引所に注文 何度も取引できる、機会を逃したくない 高速化: 取引所間競争の重要な要素 他の取引所より注文処理が 少しでも速いことが重要 高速化競争
  • 53. 53 高頻度取引(HFT)、コロケーション 専門業者 HFT:数十マイクロ秒ごとといった高頻度に 注文を出したりキャンセルする機械の投資家 ↑ いち早く注文が取引所に届くように隣のサーバーラックに ⇒コロケーションサービス(取引所提供) 取引所 自動発注 HFTプログラム 取引所サーバー 同一データセンター 一般 投資家
  • 55. HFTやダーク・プールを悪役に仕立てて面白おかしく書いた本 フラッシュ・ボーイズという本(実話風な小説) http://www.sc.mufg.jp/report/fj_report/pdf/fj20140428.pdf 実話風な小説だが、規制の議論に影響を与える模様 本の内容はともかく、宣伝の仕方が異様だし、宣伝は事実と異なる よく分かってない人たちのHFT、ダーク・プールへのバッシングを あおることになりそう 55 三菱UFJモルガンスタンレー証券 藤戸レポート 2014/4/28より マイケル・ルイス氏の最新作「フラッシュ・ボーイズ」が、ウォールストリートを震撼さ せている。同氏の作品には。「ライアーズ・ポーカー」、「世紀の空売り~世界経済の 破綻に賭けた男達」、「マネー・ボール」等、実に興味深いものが多い。そのテリト リーも、金融からMLB(メジャーリーグ)に至るまで広範囲である。「フラッシュ・ボーイ ズ」は、HFT(高速高頻度取引)に焦点をあてた極めて今様の物語だ。同氏はメディ アにも積極的に出演し、「米国株式市場は操作されており、投資家は八百長ゲーム が行われているカジノへ案内される間抜けな観光客のようなものだ」と辛辣な発言を 繰り返している。市場は公平・公正に運営されているというのが資本主義社会の大 前提である。ところが、「株価を始めとした情報の伝達スピードには格差が生じてお り、HFTを利用する業者・ヘッジファンド等が優遇され、一般の投資家は不利益を 被っている」というのが、ルイス氏の主張だ。
  • 56. 56 Chi-X 講演資料 レイテンシー・アービトラージ(フラッシュ・ボーイズの元ネタ)
  • 58. 58 取引所間価格競争により取引手数料が安くなった 取引所間顧客獲得競争により流動性向上策がうたれた ↑HFTなどの投機家が誘致された 良かったこと 悪かったこと・懸念 流動性の向上は超大型株に限られ、小型株は恩恵がない ↑投資家リレーの中盤に効果なし フラッシュ・クラッシュなど市場混乱時にHFTが流動性を奪う ↑損切による撤退など 発注業務にかかる理解やシステムにかかるコストが高すぎて、 本来目的である「企業への投資」から逸脱しつつある ↑10μ秒といった異常な高速化、異常に複雑な取引システム 取引手数料の削減、流動性向上 質の悪い流動、本来目的から逸脱 取引所間競争と取引所の高速化によって、、、 古本屋のシステムが難しすぎて本を読む暇がなくなる本末転倒 市場は投資家リレーのためにあり、投機家だけの場ではない