コンポーザブルERPについての参考資料です。

1. 基幹系システムの機能拡張
コンポーザブルERP・マイクロERPについて
～ERPシステムの機能補完/拡張の考え方～
2023年11月22日
株式会社フロンティアワン
鍋野敬一郎
keiichiro.nabeno@frontier-one.com

2.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 2
ERPの進化について：
モダンERP＞ポストモダンERP＞コンポーザブルERP
コンポーネント化されたアーキテクチャ、
コンポーザブルERPは、３つの要素から構成される
①多種多様な機能／サービス、
②信頼性の高いコア、
③アプリケーションを統合するプラットフォーム
（作るから使う）
（アジャイルで廻す）
（マイクロサービスで実現する） 出所：Gartnar
https://blogs.gartner.com/debbie_wilson/2020/01/27/erp-future-
applications-composable-enterprise-mike-guay/
ERPの進化

3.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 3
クラウドERPの標準機能をベースとしたクラウド基幹システム。不足する機能の実現
は追加開発（アドオン）しない。APIやEAIなどを利用し外部アプリとの連携で実現。
標準機能を重視。運用性に優れ、バージョンアップに対応。
コアアプリ
クラウドERP標準
クラウドERPを拡張・補完する外部アプリケーション/マイクロサービス。パッケージ
ベースのコンポジットアプリや、SaaSベースのWebサービスなどと連携して拡張・補完。
コストパフォーマンスを重視。帳票やBI、CO2排出量算定など各種ウェブサービスなど
拡張・補完アプリ
マイクロサービス
独自の強みやノウハウを固有機能として独自開発。競合との差別化を、実現する
「こだわり機能」が対象。開発手法は問わないが、ノウハウを社外秘とする必要がある。
独自の販売、生産、マスタなどの業務処理・機能をアプリ化/サービス化。
個別業務アプリ
個別開発サービス
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クラウドERP
API API
API
API
営業支援
（SFA） 営業支援
物流管理
コアアプリ
個別業務アプリ
独自開発サービス
例えば、販売管理や生産管理、マスタデータ管理と
いった独自の“こだわりの機能”をシステム化する。中
長期的な視点で構築。競合他社との差別化を意識
したシステム。
例えば、販売管理の営業支援（SFA）や外部委託
しているメンテナンスサービス、アフターサービスなど、ERP標
準の機能で実現できない場合、これを補完するアプリとして
マイクロERPやSaaSなどを利用します。
マイクロサービス
販売管理、生産管理
マスタデータ管理
（こだわりの機能）
クラウドERP＋マイクロサービス、固有機能をクラウド基盤上でインテグレーション
システム構築イメージ：レゴブロックのように機能を組み立てる、ERPに足りない機能が“ONE”
3
ERP＋ONE

4.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 4
コンポーザブルERPのメリット／デメリット
コンポーザブルERPのメリット
・ERPコアとコンポーネントの組み合わせで柔軟性の高いERPシステムを構築（ERPコアにどの製品を選ぶのかが重要）
注）データベースレイヤ／アプリレイヤ（コアアプリ）、ビジネスプロセスレイヤ／コンポーネントレイヤ、 ユーザーインターフェース
レイヤに業務プロセスをシステム階層ごとに分解・整理する必要がある。
・コンポーネントの組み合わせで機能を組み合わせ可能（完全自由な組み合わせというわけではない）
・ERP標準機能と標準では対応できないギャップや相違（詳細機能レベルでの違い）をコンポーネントで補完
・コンポーネント単位で機能の変更や追加拡張が出来る可能性がある（ビジネスロジック、データアモデルの制約あり）
コンポーザブルERPのデメリット
・業務プロセスが複雑かつ例外処理が多ければ、ERP導入コスト・工数が膨大になる（スクラッチ開発の方が早い・安い）
・コンポーザブルERPのコンポーネント連携は原則API連携なので、APIが無い場合は維持コスト・維持工数が増える
（CSV/RPAなどP2Pでのバッチ処理は、バージョンアップや仕様変更ごとにメンテ作業が必要となるケースがある）
・ローコード／ノーコードのツールは、あらゆる業務要件に対応できるわけではない。限界と制約がある。
（データモデルの変更・追加やビジネスロジックの変更・拡張などがERPコアやプラットフォームによる制約を受ける）

5.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 5
コンポーザブルERP構築のシステム構成（階層イメージ）
コンポーネント
サービス（機能群）
ビジネスプロセス
（機能＋処理手順）
データベース
（コアアプリ）
受注入力
・納期回答
在庫引当
・出荷手配
請求書作成
売掛金管理
受注処理
サービス
在庫確認/出荷処理
サービス
請求処理
サービス
サポート処理
サービス
受注 在庫確認 請求 売掛
クラウドERP
（会計）
クラウドERP
（在庫・出荷管理
・物流管理）
見積作成
見積作成処理
サービス
CRM/SFA
（顧客情報管理・
営業支援）
ｱﾌﾀｰｻﾎﾟｰﾄ
契約情報確認
ｻﾎﾟｰﾄ業務管理
業
務
処
理
プ
ロ
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ス
バ
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ク
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シ
ス
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ス
テ
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ユーザー
インターフェース層
業務処理 受注処理
製品在庫確認
・出荷処理
請求処理
保守ｻｰﾋﾞｽ・
ｺｰﾙセンターなど
提案活動
見積処理
営業 営業 倉庫・配送 経理 ｱﾌﾀｰｻｰﾋﾞｽ
クラウドERP
（販売管理・
納期回答）
クラウドCRM
（ｻﾎﾟｰﾄ/ｺｰﾙｾﾝﾀ）
画面表示・データ検索・データ入力・計算式・データ出力・データ更新など
※ツールによっては、ここにロジックや機能を直接埋め込む場合もある（グループウェアなど）
調達処理
・生産手配処理
原材料調達・
生産計画/管理
調達・生産
見積
パブリッククラウド
プライベートクラウド
オンプレミス
サーバ層
（サーバ、NW）
生産計画/管理
（生産計画・
生産管理）
自社生産
委託生産
生産計画/管理/委託
など処理 サービス
出荷/
物流3PL
プラットフォーム

6.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 6
ローコード・アプリケーション開発基盤
Gartner® Magic Quadrant™ for Enterprise Low-Code Application Platforms

7.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 7
主要なプラットフォーム/ERPとその開発ツール
（ローコード/ノーコードツール、開発者用ツールなど）
【Microsoft Dynamics 365 F&O】
・Power Platform/Power Apps（ローコード/ノーコード）
・Visual Studio（開発者ツール）
【SAP S/4HANA Cloud】
・①In-App拡張キーユーザー拡張（S/4HANA：ローコード/ノーコード）
・②In-App拡張開発者拡張（S/4HANA：ABAP開発者）
・③Side-by-Side拡張（SAP BTP：開発者）
・④クラシック拡張（S/4HANA：ABAP開発者）
※SAPではケースバイケースで機能拡張に開発ツールを使い分ける
・SAP Build（SAPのノーコード/ローコード開発ツール群）
【Salesforce App Cloud】
・Lightning Platform（Salesforceのノーコード/ローコード開発ツール）
・MuleSoft（Salesforceのノーコード/ローコード開発ツール）
・Sky Visual Editor（テラスカイのApp Cloud向け開発ツール）
【ローコード/ノーコード開発ツール】
・OutSystems（ローコード/ノーコード開発プラットフォームのトップベンダ、モバイル・Webアプリ開発などに強み）
・Mendix（シーメンスのノーコード/ローコード開発ツール、SAPなど基幹系で良く利用される）
・Eclipse（OSSの統合開発環境、EUのCatena-Xなどの主要開発環境）
・App Engine（ServiceNowのノーコード/ローコード開発環境）
・Intra-mart（NTTデータイントラマートのグループウェア、ノーコード/ローコード開発ツール、SAPなど基幹系で良く利用される）

8.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 8
（参考）Dynamics 365の機能拡張・カスタマイズ
出所：Dynamics 365 拡張機能のホームページ
https://learn.microsoft.com/ja-jp/dynamics365/fin-ops-core/dev-
itpro/extensibility/extensibility-home-page
出所：Microsoft Fabric とは（データ分析基盤）
https://learn.microsoft.com/ja-jp/fabric/get-started/microsoft-fabric-overview
出所：Power Apps モデル駆動型アプリのドキュメント
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-apps/maker/model-driven-apps/
出所：Visual Studioの開発ツール（システム開発ツール）
https://learn.microsoft.com/ja-jp/dynamics365/fin-ops-core/dev-itpro/dev-tools/development-tools-overview
2023年5月発表
日本リリースはこれから

9.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 9
SAP S/4HANA 拡張パターンの新常識と見極め方
In-App拡張キーユーザー拡張、In-App開発者拡張、Side-by-Side拡張、クラシック拡張
出所：SAPJAPAN L1 SAP S/4HANA 拡張開発方針のガイドライン 2023年11月17日公開動画より
https://www.youtube.com/watch?v=2TPkDWjNceA
https://help.sap.com/docs/SAP_S4HANA_CLOUD/0f69f8fb28ac4bf48d2b57b9637e81fa/533228e1e854433ab16d013f161ca509.html?locale=ja-JP

10.  FRONTIER-ONE Inc. 2023, Keiichiro Nabeno Page 10
SAP S/4HANA 拡張パターンの新常識と見極め方
なぜSAPの機能拡張はケースバイケースなのか（標準APIが無い場合はその開発から必要）
出所：SAPJAPAN L1 SAP S/4HANA 拡張開発方針のガイドライン 2023年11月17日公開動画より
https://www.youtube.com/watch?v=2TPkDWjNceA

11. 株式会社フロンティアワン
鍋野敬一郎
keiichiro.nabeno@frontier-one.com
ご清聴ありがとうございました