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データベース設計
徹底指南!!
@ 第3回 DB エンジニアのための技術勉強会

奥野 幹也
Twitter: @nippondanji
mikiya (dot) okuno (at) gmail (dot) com
免責事項
●

本プレゼンテーションにおいて示されている見
解は、私自身の見解であって、オラクル・コー
ポレーションの見解を必ずしも反映したもので
はありません。ご了承ください。
自己紹介
●

MySQL サポートエンジニア
–

日々のしごと
●
●
●

●

ライフワーク
–

自由なソフトウェアの普及
●

●

トラブルシューティング全般
Q&A 回答
パフォーマンスチューニング
など

オープンソースではない

今日は個人として
参加しています。

ブログ
–
–

漢のコンピュータ道
http://nippondanji.blogspot.com/
みなさん、
正しい DB 設計を
していますか?
正しいデータ型を使う
〜 カラムの場合 〜
●

整数
–

●

実数
–

●

NUMBER, DECIMAL

文字列
–

●

FLOAT, DOUBLE

固定小数点
–

●

INT, BIGINT

VARCHAR, CHAR

バイナリ
–

BLOB
正しいデータ型を使う
〜 配列の操作の場合 〜
a = Array.new
# 要素の挿入
a.push(' 要素 ')
# N 番目の要素
a[N]

a = ''
# 要素の挿入
a = a << (a.size == 0 ? ' 要
素 ' : ', 要素 '
# N 番目の要素
n = 0
s = ''
a.each_char do |c|
if c == ','
return s if n == N
n += 1
s = ''
else
s << c
end
end
return s if n == N
正しいデータ型を使う
〜 配列の操作の場合 〜
a = Array.new
# 要素の挿入
a.push(' 要素 ')
# N 番目の要素
a[N]

a = ''
# 要素の挿入
a = a << (a.size == 0 ? ' 要
素 ' : ', 要素 '
# N 番目の要素
n = 0
s = ''
a.each_char do |c|
if c == ','
return s if n == N
n += 1
s = ''
else
s << c
end
end
return s if n == N
正しいデータ型を使う
〜 テーブルの場合 〜
●

演算のためのデータ型
–

テーブル
●

●

カラムのデータ型だけではない!!

演算
–

クエリ( SELECT, INSERT, UPDATE, DELETE... )

テーブルを正しく定義しないと
まともなクエリは書けない!!
正しくない DB 設計のまま
クエリを書くと・・・
●
●
●
●

遅い
SQL 文が無駄に長い
JOIN やサブクエリ、 UNION などが異常に多い
検索条件が複雑怪奇
–
–

●
●

OR が多数出現するなど
LIKE 句による中間一致

難解である
ロジックが間違っている
DB 設計の欠陥は
技術的負債になる
●

データベースはリファクタリングが難しい
–

変更による影響が大きい
●
●
●

–
–

DDL に時間がかかる
アプリケーションの修正箇所多数
工数がかかる

方法が分からない
負債が溜まりすぎて首が回らない

放置された負債が
さらに足かせに!!
技術的負債がたまる原因
●

データモデルに対する無理解
–

リレーショナルモデルを知らない
●
●

–

結果、セオリーを無視したデータベース設計に
●

●

テーブルをただのデータの入れ物として使う文化
正規化をしない
→ クエリはスパゲティに

リレーショナルモデルを知らなくても RDBMS は便利
–
–

インデックスを用いた高速なアクセス
トランザクションによる処理の簡素化
技術的負債が蓄積すると
●

技術的負債は開発を難しくする
–
–
–

検索の要件が難解
テスト項目が増える
負債がたまるほどリファクタリングが困難に

負債は雪だるま式に
増える!!!
RDBMS を使いこなすには
●
●

負債をためない!
データベース設計をしっかり!

データモデルは
超重要!!
RDBMS における
データモデル

リレーショナル
モデル!!
リレーショナルモデル
とは。
クイズ 1

リレーショナルモデルにおけるリレーションとは、
テーブル間のリレーションシップのことである?

○ ×
リレーションとは
●

ある物事に対する事実の集合

テーブル
≒
リレーション
集合の性質
●
●

重複がない
NULL がない
–

●

実際に存在する値のみ

要素間に順序がない
–

例え数値でも。
米国
ベトナム

日本
オーストラリア

スウェーデン

カメルーン
リレーションの構成部品
●
●

リレーション=見出し(ヘッダ)+本体(ボディ)
見出し(ヘッダ、 headding )
–
–

●

属性(アトリビュート)
–

●

–

属性で定義された型を持つ値
≒ 列(カラム)

組(タプル)
–
–

●

名前と型(タイプ)

属性値
–

●

属性の集合
集合なので順序はない

見出しに対応した属性値の集合
≒ 行(ロー)

本体(ボディ)
–

組(タプル)の集合
リレーションのイメージ
見出し
国名 / 文字列

国番号 / 整数

地域 / 文字列

本体

国番号: 86,
国名:中華人民共和国 ,
地域:アジア

国番号: 61,
国名:オーストラリア ,
地域:オセアニア

国名:日本 ,
国番号: 81,
地域:アジア

国名:米国 ,
国番号: 1,
地域:北米

地域:アフリカ ,
国名:カメルーン ,
国番号: 237

地域:欧州 ,
国名:スウェーデン ,
国番号: 46
SQL との対応
リレーショナルモデル

SQL

関係(リレーション)

テーブル

属性値(アトリビュート) カラム
組(タプル)

行

対応する概念だが性質は異なる。
クイズ 2

リレーションは2次元的な構造を持つ?

○ ×
リレーションの実体
●

●
●

n 個のアトリビュートを持つリレーションは、 n 次元空間に
プロットされた点(のようなもの)の集合
タプル = 点
2次元に見えるのは縦横の軸がある表として表現するから
–
–

紙に描かれた絵は2次元になる
絵が表すものが2次元だとは限らない
●

風景や人物などはすべて3次元
データ型=ドメイン
●

属性が取りうる値の有限集合
–
–
–

●

無限でないのはコンピュータで扱う値だから
32 ビット整数なら 232 通り
データサイズが増えれば表現できる要素数は増えるけ
ど、絶対に無限にはならない

ドメインの要素の性質
–

要素はコンピュータで表現できるものなら何でも可
●

–

ベクトル、行列、配列、リレーションそのものなど

ただしポインタと NULL は NG
リレーションの演算
リレーションの演算
●

演算の入力も結果もリレーション
–
–

●

n 個のリレーションの演算の結果、 1 個のリレーションが
返る
整数と整数の足し算の結果が整数なのと同じ

集合操作に基づく演算
–

和、差、直積、射影、制限、結合 etc
リレーションのイメージ(再掲)
見出し
国名 / 文字列

国番号 / 整数

地域 / 文字列

本体

国番号: 86,
国名:中華人民共和国 ,
地域:アジア

国番号: 61,
国名:オーストラリア ,
地域:オセアニア

国名:日本 ,
国番号: 81,
地域:アジア

国名:米国 ,
国番号: 1,
地域:北米

地域:アフリカ ,
国名:カメルーン ,
国番号: 237

地域:欧州 ,
国名:スウェーデン ,
国番号: 46
制限( RESTRICT )
制限( RESTRICT )
射影( PROJECT )
射影( PROJECT )
属性名変更( RENAME )

国名 / 文字列

国番号 / 整数

大陸 / 文字列
属性名変更( RENAME )

国名 / 文字列

国番号 / 整数

地域 / 文字列
拡張( EXTEND )

国名 / 文字列

人口 / 整数

面積 /
Decimal (km2)
拡張( EXTEND )

国名 / 文字列

人口 / 整数

人口密度 /
Decimal ( 人 /km2)

面積 /
Decimal (km2)
和( UNION )
和( UNION )
積( INTERSECT )
積( INTERSECT )
差( DIFFERENCE )
差( DIFFERENCE )
直積( PRODUCT )

a

b

x
y

c

d

z
直積( PRODUCT )

a

b

x

a

b

y

a

b

z

c

d

x

c

d

y

c

d

z
結合( JOIN )

a

x

w

1

b

y

x

2

c

z

y

3
結合( JOIN )

b

x

2

c

y

3
豆知識
●

直積( Product )と積( Intersect )はいずれも結合
( Join) の特殊なケース
–
–

●

直積・・・共通する属性がひとつも存在しないケース
積・・・すべての属性がまったく同じケース

リレーショナルモデルに存在する Join は Inner Join だけ
Outer Join の意味
●

Outer Join (LEFT JOIN または RIGHT JOIN )はプリミ
ティブな演算ではない。
–

●

他の演算で置き換え可能

Outer Join は UNION 相当
–

(Inner Join) ∪ ( 駆動表にマッチしないものの集合 )
リレーションの演算は
分かったけど
SQL とどう関係あるの?
SELECT の実態

SELECT
FROM
WHERE

select_list

table_reference
where_condition
SELECT の実態
= 3 つの集合演算

SELECT

射影

FROM

直積

WHERE

制限
クイズ 3
次の SELECT は正しく実行されるか?
SELECT
weight / POWER(height, 2) AS bmi
FROM
body_shapes
WHERE
bmi > 25

○ ×
SELECT の評価順序

SELECT

3 射影

FROM

1 直積

WHERE

2 制限
その他の操作
●

和( UNION )
–

●

SELECT … UNION DISTINCT SELECT …

差( DIFFERENCE )
–
–

SELECT … MINUS SELECT …
SELECT … WHERE NOT EXISTS (SELECT …) …
リレーションの正規化
クイズ 4
テーブルに主キーがあれば
正規化は完了している。

○ ×
なぜ正規化が必要なのか
●

データベースの論理的整合性を保つ
–
–

●

「論理的」な正しさを保証する
→ 論理演算によって「正しい」結果が得られる

= 矛盾を防ぐ
–

集合(リレーション)に含まれる命題に矛盾がない
論理的に矛盾しているデータは、
どちらが正しいか
いくら考えても分からない!!
論理的に矛盾しているデータは、
どちらが正しいか
いくら考えても分からない!!
正しい答えが得られない
データベースは
無価値!!
論理的に矛盾しているデータは、
どちらが正しいか
いくら考えても分からない!!
正しい答えが得られない
データベースは
無価値!!
矛盾をなくすための定石
それが
正規化!!
データの”論理的”整合性
論理的な不整合とは?
名前

格闘スタイル

年齢

範馬刃牙

総合格闘技

19

範馬勇次郎

総合格闘技

38

愚地独歩

空手

57

ビスケットオリバ

怪力

40

ビスケットオリバ

柔道

42

花山薫

素手喧嘩

19

烈海王

中国拳法

30

烈海王

ボクシング

30

不整合 = 矛盾

どっちが
正しい?
正規化理論
●

リレーションから重複を排除するためのデータベース設計
理論
–

●

重複は矛盾の原因になる

第一正規形( 1NF )〜第六正規形( 6NF )
–
–
–

より高次の正規形のほうが重複が少ない(望ましい)状
態になる。
3NF と 4NF の間に BCNF というものがある。超重要。
ただし最終目標は 5NF
用語 1
●

命題
–
–

●

述語
–
–

●

命題の中の固有名詞をパラメータ化したもの
例) x は犬である

命題関数
– 述語から意味を取り除いて関数化したもの。値を代入した場
合の評価結果は述語と同じ。
–

●

ある物事について記述した文章で、その意味が正しいかどうか、つ
まり真なのか偽なのかを問えるもののこと
例)ポチは犬である

例) F(x)

閉世界仮説
–

リレーションは事実の集合
●

–
–

事実=真となる命題

リレーションに含まれる組の属性値を代入 → 真
それ以外の属性値を代入 → すべて偽
1NF
●

要件:テーブルがリレーションであること。
1.行が上から下に順序付けされていない。
2.列が左から右に順序付けされていない。
3.重複する行は存在しない。
4.それぞれの行と列の交差点(つまり列の値)は、ドメイン
(データ型)に属する要素の値をちょうどひとつだけ含ん
でいる。
5.全ての列の値は定義されたものだけであり、かつそれぞ
れの行において常に存在する。
繰り返しグループ
名前

格闘スタイル

範馬刃牙

総合格闘技

範馬勇次郎

総合格闘技

愚地独歩

空手

ビスケットオリバ

怪力

花山薫

素手喧嘩

海王烈

中国拳法

同じ性質のもの
が繰り返し出現
カラム追加

名前

格闘スタイル 1

格闘スタイル 2

範馬刃牙

総合格闘技

NULL

範馬勇次郎

総合格闘技

NULL

愚地独歩

空手

NULL

ビスケットオリバ

怪力

柔道

花山薫

素手喧嘩

NULL

海王烈

中国拳法

ボクシング
アトミックな属性
それ以上分解できないような属性

名前

格闘スタイル

範馬刃牙

総合格闘技

範馬勇次郎

総合格闘技

愚地独歩

空手

ビスケットオリバ

怪力
柔道

花山薫

素手喧嘩

海王烈

中国拳法
ボクシング

2つ入ってるので
分解可能

※ 属性の中に繰り返しグループがある。
データ型=ドメイン
●

属性の値は、ドメインという有限集合に含まれる要素の「ひ
とつ」
–
–

集合の要素は分解できない=アトミック
属性がアトミックかどうかを判断するにはドメインを意識
する。
NG !!こんな設計にはご用心
●
●

主キーの”一部”に意味を持たせる
例:基礎年金番号
–

1234-567890

事務所の ID

●

個人の ID

問題点
–
–

アトミックでない
値の一部に依存した処理
●

SELECT … WHERE ID LIKE '1234-%' AND …
1NF の例
名前

格闘スタイル

範馬刃牙

総合格闘技

範馬勇次郎

総合格闘技

愚地独歩

空手

ビスケットオリバ 怪力
ビスケットオリバ 柔道
花山薫

素手喧嘩

海王烈

中国拳法

海王烈

ボクシング

繰り返しグループなし
●
重複なし
●NULL なし
●
用語 2
●

候補キーとスーパーキー
–

–

あるリレーションにおいて、タプルの値を一意に決めるこ
とができる属性の集合で、規約のもの(それ以上要素を
減らすことができないもの)を候補キーという
候補キーのスーパーセット、つまり余分な属性を含んだも
のをスーパーキーという
●

●

すべての属性を含む集合は常にスーパーキー

関数従属性( Functional Dependency - FD )
–

–

あるリレーション R の見出しの 2 つの部分集合を A 、 B
とする。 R の要素の全てのタプルにおいて、 A の値が同
じならば B の値も同じである場合かつその場合だけに限
り、 B は A に関数従属すると言い、 A → B と記述する。
スーパーキー → 任意の属性の集合
●

自明な FD
2NF
候補キーの真部分集合(それ自身は含まないもの)
から非キー属性への FD を取り除いた状態。

候補キー

非キー属性

タプル

・・・
FD
2NF でないリレーションの例
候補キー
図に描くときは
アンダーラインをひく

名前

格闘スタイル

年齢

範馬刃牙

総合格闘技

19

範馬勇次郎

総合格闘技

38

愚地独歩

空手

57

ビスケットオリバ

怪力

40

ビスケットオリバ

柔道

40

花山薫

素手喧嘩

19

烈海王

中国拳法

30

烈海王

ボクシング

30

FD
名前が同じなら
年齢は常に同じ
FD を解消する
●

無損失分解する
–

必要な操作は射影
●

–

SELECT DISTINCT

{ 名前 , 格闘スタイル , 年齢 }
●
●

●

FD: 名前 → 年齢
FD を含む属性の射影 +FD の非キー属性(この場合
は年齢)を取り除いた属性の射影
{ 名前 , 年齢 },{ 名前 , 格闘スタイル }
2NF の例
名前

格闘スタイル

名前

年齢

範馬刃牙

総合格闘技

範馬刃牙

19

範馬勇次郎

総合格闘技

範馬勇次郎

38

愚地独歩

空手

愚地独歩

57

ビスケットオリバ

怪力

ビスケットオリバ

40

ビスケットオリバ

柔道

花山薫

19

花山薫

素手喧嘩

烈海王

30

烈海王

中国拳法

烈海王

ボクシング
クイズ 5
あまりに正規化し過ぎると
テーブルが増え過ぎるので問題である。

○ ×
テーブルが増えても
問題ない !!
テーブルを減らそうと
誤った DB 設計になるほうが問題
3NF
非キー属性同士の FD を解消した状態。

候補キー

非キー属性

タプル

・・・
FD
2NF であって 3NF でない例
名前

格闘スタイル

寝技

範馬刃牙

総合格闘技

Yes

範馬勇次郎

総合格闘技

Yes

愚地独歩

空手

No

ビスケットオリバ

怪力

No

花山薫

素手喧嘩

Yes

烈海王

中国拳法

No
BCNF
ボイス・コッド正規形の略。
すべての自明でない FD が取り除かれた状態。
残る FD は、非キー属性から
候補キーの真部分集合への FD 。

候補キー

非キー属性

タプル

・・・
FD
3NF であって BCNF でない例
名前

格闘スタイル

流派

松尾象山

空手

北辰館

姫川勉

空手

北辰館

丹波文七

柔術

竹宮流

丹波文七

空手

丹波流

長田弘

プロレス

FAW

長田弘

柔術

竹宮流

藤巻十三

柔術

竹宮流
FD のおさらい
候補キー

非キー属性

タプル

・・・
FD
候補キー

非キー属性

タプル

・・・
FD
候補キー

非キー属性

タプル

・・・
FD
候補キー内部には FD がない
●

もし仮に候補キーに FD があると・・・
–
–
–

{A,B} が候補キー
A→B
B の値は A によって決まる
●

規約ではない!
用語 3
●

結合従属性( Join Dependencies - JD )
–
–

●

Join すると元に戻るような無損失分解
A,B,...,C をリレーション R の見出しの部分集合であると
する。もし A,B,...,C に対応するリレーションを結合した結
果と R が同じ場合かつその場合に限り、 R は以下の JD
を満たすという。
☆{A,B,...,C}

自明な JD
–

複数の非キー属性があるリレーションにおいて、それぞれ
候補キーを含んだ複数の異なるリレーションに無損失分
解できるような JD 。
自明な JD
名前

年齢

国籍

範馬刃牙

19

Japan

範馬勇次郎

38

Japan

愚地独歩

57

Japan

ビスケットオリバ

40

U.S.A.

花山薫

19

Japan

名前

年齢

名前

国籍

範馬刃牙

19

範馬刃牙

Japan

範馬勇次郎

38

範馬勇次郎

Japan

愚地独歩

57

愚地独歩

Japan

ビスケットオリバ

40

ビスケットオリバ

U.S.A.

花山薫

19

花山薫

Japan
4NF/5NF のヒント
●

非キー属性がある BCNF に自明でない JD はない
–

何故ならば、候補キーがバラバラになるような射影をとる
と FD が消失してしまう。
●
●

–
●

FD: 候補キー → 非キー属性
無損失ができない!!

非キー属性のある BCNF は自動的に 5NF になる。

4NF/5NF
–
–

非キー属性がないリレーションのみが対象
自明でない JD がある場合に無損失分解
自明でない JD の本質
●

自明でない JD のあるリレーションとは、複数の「非キー属
性がないリレーション」を JOIN したリレーション
–
–

= 「見出し全体が候補キーであるようなリレーション」
JOIN する前のリレーション同士は対等な関係性
●
●
●

FD のような方向性はない
発見は難しい
非キー属性がない場合だけ考えれば良い
一般的な 4NF の解説
一般的には多値従属性( MVD )を取り除いた
ものという解説がなされているが、
MVD は JD の特殊なパターン。
4NF
共通の属性を含む 2 つのリレーションに無損失分解
可能な JD を解消した状態
☆{AB,AC}
BCNF であって 4NF でない例
名前

格闘スタイル

戦歴

松尾象山

空手

試合

松尾象山

空手

道場破り

松尾象山

空手

喧嘩

丹波文七

空手

試合

丹波文七

空手

喧嘩

丹波文七

空手

路上

丹波文七

柔術

試合

丹波文七

柔術

喧嘩

丹波文七

柔術

路上

長田弘

プロレス

試合

長田弘

プロレス

道場破り

長田弘

柔術

試合

長田弘

柔術

道場破り

☆{{ 名前 , 格闘スタイル },{ 名前 , 戦歴 }}
5NF
全ての自明でない JD が取り除かれた状態。
3 つ以上のリレーションに無損失分解可能な
JD を解消した状態。
最終目標地点。
実は 5NF です。
名前

格闘スタイル

名前

年齢

範馬刃牙

総合格闘技

範馬刃牙

19

範馬勇次郎

総合格闘技

範馬勇次郎

38

愚地独歩

空手

愚地独歩

57

ビスケットオリバ

怪力

ビスケットオリバ

40

ビスケットオリバ

柔道

花山薫

19

花山薫

素手喧嘩

烈海王

30

烈海王

中国拳法

烈海王

ボクシング
4NF であって 5NF でない例
name

art

match

丹波文七

虎王

FAW マッチ

丹波文七

ハイキック

FAW マッチ

丹波文七

ストレート

FAW マッチ

丹波文七

ストレート

道場破り

丹波文七

ハイキック

道場破り

長田弘

バックドロップ

北心館トーナメント

長田弘

虎王

北心館トーナメント

長田弘

ストレート

北心館トーナメント

長田弘

ボディスラム

道場破り

長田弘

脇がため

道場破り

長田弘

ストレート

道場破り
6NF
自明なものを含めてすべての JD を取り除く。
非キー属性は最大でひとつ。
正規化をする上ではあまり意味はない。
自明な JD (再掲)
名前

年齢

国籍

範馬刃牙

19

Japan

範馬勇次郎

38

Japan

愚地独歩

57

Japan

ビスケットオリバ

40

U.S.A.

花山薫

19

Japan

名前

年齢

名前

国籍

範馬刃牙

19

範馬刃牙

Japan

範馬勇次郎

38

範馬勇次郎

Japan

愚地独歩

57

愚地独歩

Japan

ビスケットオリバ

40

ビスケットオリバ

U.S.A.

花山薫

19

花山薫

Japan
リレーションの直交性
●

●

正規化は個々のリレーションの内部の重複をテーマにした
もの
リレーション同士の重複に焦点を当てたのが直交性
用語 4
●

直交したリレーションとは、互いに重複したタプルを含まな
いものを指す。
–
–

直交していないと片方だけを更新することで不整合が生
じる
見出しが同じ型のタプルは単に重複がなければ OK
見出しが異なる場合には
単純に比較できない!!
直交性を確認する
●
●

6NF まで分解して比較する
重複があればデータベース設計を見なおそう
–

リレーションの統合と再編
直交していないリレーションの例
name

age

nationality

範馬刃牙

19

日本

範馬勇次郎

38

無国籍

愚地独歩

57

日本

ビスケットオリバ

40

アメリカ

花山薫

20

日本

烈海王

30

中国

name

fighting_style

age

範馬刃牙

総合格闘技

19

愚地克己

空手

21

ジャック・ハンマー

総合格闘技

21

渋川剛気

柔術

60

愚地独歩

空手

57

鎬昂昇

空手

25

本部以蔵

柔術

59
6NF に分解
name

age

name

nationality

範馬刃牙

19

範馬刃牙

日本

範馬勇次郎

38

範馬勇次郎

無国籍

愚地独歩

57

愚地独歩

日本

ビスケットオリバ

40

ビスケットオリバ

アメリカ

花山薫

20

花山薫

日本

烈海王

30

烈海王

中国

name

age

name

fighting_style

範馬刃牙

19

範馬刃牙

総合格闘技

愚地克己

21

愚地克己

空手

ジャック・ハンマー

21

ジャック・ハンマー

総合格闘技

渋川剛気

60

渋川剛気

柔術

愚地独歩

57

愚地独歩

空手

鎬昂昇

25

鎬昂昇

空手

本部以蔵

59

本部以蔵

柔術
共通の属性をまとめる
name

age

name

nationality

範馬刃牙

19

範馬刃牙

日本

範馬勇次郎

38

範馬勇次郎

無国籍

愚地独歩

57

愚地独歩

日本

ビスケットオリバ

40

ビスケットオリバ

アメリカ

花山薫

20

花山薫

日本

烈海王

30

烈海王

中国

愚地克己

21

ジャック・ハンマー

21

name

fighting_style

渋川剛気

60

範馬刃牙

総合格闘技

鎬昂昇

25

愚地克己

空手

本部以蔵

59

ジャック・ハンマー

総合格闘技

渋川剛気

柔術

愚地独歩

空手

鎬昂昇

空手

本部以蔵

柔術
リレーショナルモデルの
限界
リレーショナルモデルの外側の世界
●

現実世界
–
–
–
–

●

リレーショナルモデルの範疇とそれ以外が入り乱れてい
る。
境界線を見極めることが重要。
リレーショナルモデルで解決できる部分はリレーショナル
モデルを適用すべし!!
リレーショナルモデル以外の領域は創意工夫が必要

リレーショナルモデル≒ SQL
–
–

SQL はリレーショナルモデル以外の分野も扱える
SQL なら何とかできるものがある
●
●

非常に容易なものもある
例) GROUP BY, ORDER BY
リレーショナルモデルでは
扱いが難しいテーマ
●
●
●
●
●
●
●
●
●

グラフの探索
ツリーの探索
行列
履歴データ
全文検索
正規表現
ソート
集計
空間データ
リレーショナルモデルでは
扱いが難しいテーマ
●
●
●
●
●
●
●
●
●

グラフの探索
ツリーの探索
行列
履歴データ
全文検索
正規表現
ソート
集計
空間データ
グラフ
●

グラフとは
–

ノード(頂点)をエッジ(辺)でつないだ構造を持つモデル
b
d
エッジ
多重辺
ノード

a
c
e

ループ
様々なグラフ
単純グラフ

非連結グラフ

完全グラフ

重み付きグラフ
e
7

8

5
8

b
3

3
c

a

9

d

3
f

4
8
グラフを表現した例
●

グラフ = ノードの集合 + エッジの集合
Nodes

Edges

Node

Node1

Node2 Weight

a

a

b

3

b

a

e

8

c

b

c

3

d

b

d

8

b

e

7

c

d

4

c

f

8

d

e

5

d

f

3

e

f

9

e
f
グラフに対するクエリの問題点
●

グラフ特有の問題を表現できない
–
–
–

●

何度 JOIN すれば良いのか事前に分からない
–
–

●

連結グラフかどうか
閉路があるかどうか
最短距離はどれか
グラフを辿ることで得た値によって決まる
JOIN を何度するかで、 SQL の構文が異なる

解決策
–
–

ストアドプロシージャ
グラフデータベース
ツリーとは
●

次の条件を満たすグラフのこと
–
–
–
–

閉路がなく連結している
すべてのエッジはブリッジである
任意の 2 つのノードを結ぶパスはただひとつだけである
隣接していないどの 2 つのノードを結んでも閉路ができ
る

e

b

i

c
g

a
f

h
d
よく扱うツリーの特徴
●
●
●

●

親子関係がある有向グラフである
あるノードへ向かうエッジはひとつのみ
全てのノードの出発点になるノードがある(根あるいは
root )
a
根からの距離が深さとして表される
–

階層構造になっている
b

e

c

f

d

g

h
ツリーの表現方法
●
●

ツリーは特殊なグラフ
多数の制約がある
–

●

表現の自由度が下がる一方、扱いは簡単になる

代表的なモデル
–
–
–
–

隣接リストモデル
パス列挙モデル
入れ子集合モデル
クロージャテーブルモデル
隣接リストモデル
●

一般グラフと同じように隣接リストを使って表現する
–
–

●

子ノードが親ノードの ID を持つ
根ノードの親は NULL

再帰クエリあるいはストアドプロシージャ
node_id

Q: f の深さはいくつか?
WITH RECURSIVE r AS (
SELECT 1 AS level, node_id, parent_id
FROM Tree
WHERE parent_id IS NULL
UNION ALL
SELECT r.level + 1, t.node_id, t.parent_id
FROM r JOIN Tree t
ON r.node_id = t.parent_id)
SELECT * FROM r WHERE node_id = 'f';

parent_id

a

NULL

b

a

c

a

d

a

e

b

f

b

g

c

h

g
パス列挙モデル
●

根ノードからのフルパスで経路を表現するモデル
–
–
–

LIKE 句で検索
深さを求めるのは超簡単
非正規化されたデータそのもの
node_id

path

Q: b の子孫をすべて挙げよ

a

/a

SELECT * FROM Tree WHERE path
LIKE CONCAT((SELECT path FROM Tree
WHERE node_id='b'), '%');

b

/a/b

c

/a/c

d

/a/d

e

/a/b/e

f

/a/b/f

g

/a/c/g

h

/a/c/g/h
入れ子集合モデル
●

●

ノードごとに lft 、 rgt という 2 つの数値を使って、ノードの
包含関係を表現するモデル
親ノードは全ての子ノードを含んでいる

a
b
e

c
g
f

h
d
入れ子集合モデル
lft と rgt による表現
10
3
2
1

4

6

5

e

f

9
7

h
g

8

b

11
12
13 14

c

15
d

16

a

Q: b の子孫をすべて挙げよ
SELECT t1.node_id FROM Tree t1 JOIN Tree t2
WHERE t2.node_id = 'b'
AND t1.lft BETWEEN t2.lft AND t2.rgt

node_id

lft

rgt

a

1

16

b

2

7

c

8

13

d

14

15

e

3

4

f

5

6

g

9

12

h

10

11
クロージャーテーブルモデル
●

祖先、子孫の関係にあるノードをすべてリストアップ
–

テーブルサイズは大
更新は容易

Q: c の子孫をすべて挙げよ
SELECT descendant FROM Tree
WHERE ancestor = 'c'

ancestor

descendant

a

b

a

–

c

a

d

a

e

a

f

a

g

a

h

b

e

b

f

c

g

c

h

g

h
どのモデルを使えば良いのか
●

残念ながら決定版はない!!
–
–

●

なぜなら根本的にツリーとリレーショナルモデルは相容
れないから
どのモデルも妥協案に過ぎない

要件次第で使い分けるべき
–

データサイズを気にしなければクロージャテーブル
●
●

–

ツリーの形状から分かる「事実」を列挙したもの
「事実の集合←→ツリー」の変換はアプリケーションの
役割

コンパクトさを重視するなら隣接リストモデル
●

再帰クエリ( WITH RECURSIVE )が使えるならクエリ
も表現しやすい
履歴データ
●
●

履歴データ ≒ 時系列で並んだデータ
実はリレーショナルモデルで扱うのは難しい
(例)ショッピングサイトの価格リスト
item

price

start_date

end_date

10000

2010-01-01

9999-12-31

グリッパー

4000

2012-04-01

2013-03-31

グリッパー

5000

2013-04-01

9999-12-31

懸垂マシン

18000

2010-01-01

2011-12-31

懸垂マシン

20000

2012-01-01

2013-12-31

懸垂マシン

22000

2014-01-01

9999-12-31

ダンベルセット

※2013/11/28 現在
履歴データの問題点 1
時間軸との直交性
●

リレーションとはある時点での事実の集合
–
–

●

変数の中身と同じように、刻々と関係変数( Relvar )の
内容は刻々と変化する
ある時点において事実はひとつ

履歴データは時間軸と直交していない!
–

時刻が変わればクエリの結果が変わる

(例)懸垂マシンの価格を調べるクエリ
SELECT price
FROM price_list
WHERE item = ' 懸垂マシン '
AND NOW() BETWEEN start_date
AND end_date
履歴データの問題点 2
行の意味が異なる
●

リレーションとは事実(=真となる命題)の集合
–

リレーションには命題関数がある
●
●

●

命題関数に各属性の値を代入した結果=真
命題関数の意味はすべて共通

特定の行だけ(隠れた)特別な意味がある!!
–
–

現在有効な価格
現在有効でない価格
行によって特別な意味がある
item

price

start_date

end_date

10000

2010-01-01

9999-12-31

グリッパー

4000

2012-04-01

2013-03-31

グリッパー

5000

2013-04-01

9999-12-31

懸垂マシン

18000

2010-01-01

2011-12-31

懸垂マシン

20000

2012-01-01

2013-12-31

懸垂マシン

22000

2014-01-01

9999-12-31

ダンベルセット

このテーブルは・・・
過去の価格 ∪ 現在の価格 ∪ 未来の価格
→ そのままでは扱いにくい

有効な
価格

無効な
価格
履歴データ対策 1
テーブルを分割する
●

意味の異なるリレーションに分ける
–
–

●

意味の違いが解消
日付はあるものの、クエリの結果には影響を与えない

元のテーブルは UNION で。
過去の価格

現在の価格
item

price

start_date

item

price

start_date

10000

2010-01-01

グリッパー

4000

2012-04-01

グリッパー

5000

2013-04-01

懸垂マシン

18000

2010-01-01

懸垂マシン

20000

2012-01-01

ダンベルセット
対策 1 の問題点
●
●

外部キー制約が使えない
同じレコードが含まれてはいけないという制約をつけるの
が難しい
–

トリガーを使えば表現可能
履歴データ対策 2
重複したデータを持つ
●
●

外部キーが利用可能
UNION が不要

過去から現在に至るまでの価格

現在の価格
item

price

start_date

item

start_date

10000

2010-01-01

グリッパー

4000

2012-04-01

グリッパー

5000

2013-04-01

懸垂マシン

18000

2010-01-01

懸垂マシン

20000

2012-01-01

10000

2010-01-01

ダンベルセット

グリッパー

5000

2013-04-01

懸垂マシン

20000

2012-01-01

ダンベルセット

price
対策 2 の問題点
●

重複したデータがある
–
–

直交していない
更新異常(矛盾)に注意
●

●

2 つのテーブルで同じアイテム、同じ日付なのに価格が
異なる
どちらか一方だけにしか該当する行がない
履歴データ対策 3
擬似 (pseudo) キーの利用
●

外部キーは利用したいけどデータの重複は避けたい
キーマスター

現在の価格

price_id

price_id

item

1

1 ダンベルセット

2
3

price

start_date
10000

2010-01-01

3 グリッパー

5000

2013-04-01

5 懸垂マシン

20000

2012-01-01

4
5

過去の価格
price_id

item

price

start_date

2 グリッパー

4000

2012-04-01

4 懸垂マシン

18000

2010-01-01
対策 3 の問題点
●

擬似キーは本質的に不要
–
–
–

●

擬似キー以外にもユニークキーが存在することになる
ディスクスペースの無駄
更新のオーバーヘッドが増える

JOIN が増える
NG!! こんな設計にご用心
●

フラグを立てたら?
–
–
–

end_date → valid
フラグは自動的に更新されない
フラグだらけになってしまう

item

price

start_date

end_date

valid

10000

2010-01-01

9999-12-31 y

グリッパー

4000

2012-04-01

2013-03-31 n

グリッパー

5000

2013-04-01

9999-12-31 y

懸垂マシン

18000

2010-01-01

2011-12-31 n

懸垂マシン

20000

2012-01-01

2013-12-31 y

懸垂マシン

22000

2014-01-01

9999-12-31 y

ダンベルセット
クイズ 6
リレーショナルモデルで
表現することができないテーブルでも
正規化できる。

○ ×
まとめ
DB 設計鉄則三箇条
一、リレーショナルモデルを理解する
一、リレーションを正規化する
一、リレーショナルモデルの限界を知る
おすすめの書籍
●

SQL and Relational Theory
–

●
●
●
●

データベースの実践講義は内容が少ないし古いのでお
すすめはしない。

The Art of SQL
プログラマのための SQL
SQL アンチパターン
WEB+DB PRESS
–

Vol.68 〜
Q&A!!
ご静聴ありがとうございました。

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