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教室イスは、どうしてその形なの?
小学生向けチャットAIの仕様作成企画
盛岡広域振興局 IT連携コーディネーター 佐藤清忠
dyhmj194@gmail.com
GenerativeAI study group
第一回研究会資料
2023.6.6, 産総研AITeC
いろいろなレベルでの選定理由があります
①は素材性能や機能、②は机など什器間との関係、③は管理方針
が一致した時、その要素が長期間、使われます
逆に何かしらの要素がずっと存在しているなら、その背景に上のようなつ
ながりがあります。暗黙知として意識されない要素もあります。
PTA行事でも使用
授業実施時間 購入予算
木材活用 地域ブランド
大量購入可能 修理が簡単
個別・班授業 清掃活動 教室での展示会
学習用イス 学習用机 保管棚
体重を支えること 傾けても折れない 耐久性
全国
地域
学校
教室
教具
素材
検討する種類の多様さ
検
討
す
る
対
象
規
模
の
広
さ
①
②
③
GenerativeAI study group
第一回研究会資料
2023.6.6, 産総研AITeC
AI教材要素の小学校理科(科学教育)での支援の可能性
風の力
光の性質
音
磁石
電気
発電
空気と水
金属
原子・分子
熱と氷
燃焼のしくみ
乾電池
月と星
地面と太陽
川の流れ
地球・太陽
星空
天気の変化 動物・植物
人のからだ
血液・呼吸
でんぷん
アサガオ栽培
昆虫
物理:エネル
ギーの世界
化学:物質や粒
子の世界
生物:動植物や
生命の世界
地学:宇宙や地
球の世界
指導要領では地理・生物・化学・物理の世界をつないで教えることが求められてい
ますが、そこまで指導はできていません → AI導入の主目的
GenerativeAI study group
第一回研究会資料
2023.6.6, 産総研AITeC
3年
6年
①縦のつながり「地・生・化・物」では、
「花は、夏の季節(温暖な気温)と適度な水分(雨)が降る土の中に、その根や茎、花を
形作る物質や養分があり、さらに太陽エネルギーが十分あるときに咲く」
というものがたりを、年齢にあわせた表現方法でAIが指導できるでしょう。
②生物のレベルでのつながりでは
「水やりや、昆虫がいれば、
花は生き続けて、
子孫を残せます」
とAIが指導できるでしょう。
チャットAI支援による科学教育促進の例
物理
化学
生物
地学 季節、天気(雨)、昼夜、地面(地質)など
根、茎、葉、花を形づくる物質や養分
太陽光(光合成)、地面の温度、風など
①縦のつながり
②横のつながり
こうした体系的な学習がAIの登場で主体的にできるようになりました。ただし質問者には図の
ような関係をイメージして文書表現するスキル(プロンプト工学)が必要になります。
GenerativeAI study group
第一回研究会資料
2023.6.6, 産総研AITeC
①や②の関係性は、地面や葉
や養分など、どんな要素にでも
あると気づくでしょう。
この気づきの促進が、指導要領
が呼び掛けている理科教育の
目標です。
1.企画名 「小学生向けチャットAIの仕様作成企画」
2.背景 中央教育審議会初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20230515-mxt_jogai02-000029578_006.pdf
学校教育としてどようなAIが必要なのか、仕様が検討されていない.
3.検討課題
(1)学校へのチャットAI導入の意義
指導要領記載の言語能力,問題発見・解決能力等をどう考えるか。
できれば科学教育の着目し、AIの補助によるシステム的な学習認識の促進したい。
(2)手法として小学校低学年向けユーザーインターフェースの開発提案
フリガナをつけ、要素関係構造も表現し、個人の学習も可能にしたい
(3)回答の質向上のための学習データ整備と学習管理
指導要領に沿ったコンテンツ提示、スパイラルアップによる深化、学習曲線の導入など
4.本グループの成果と将来への期待
(1)LLM時代の多様な対話形式の確立と他業種への展開
図工、音楽、野外観察向けのマルチモーダビリティ化もカバー
(3)オンプレミス生成AIの普及、機器のあり方、新しい通信文字の開発
数年先は現在のChatGPTとは違う形のユーザーインターフェースが使われていると想像する。
AIをリンクする日常では新たな演算子が登場し自然言語が変化していくのでは?
GenerativeAI study group
第一回研究会資料
2023.6.6, 産総研AITeC
同じ対象物でもいろいろな座標軸があります
避難手段の場合
地震時
の防護
何階の教室?
木造? コンクリート?
机や棚は?
加重
避難
手段
素材
特性
周囲
状況
震度
立体利用の場合
50cm
上方向
クラス写真撮影
展示
机や棚は?
加重
寸法
素材
特性
目的
2台並置利用
設置
作業
準備時間 作業人数
廃棄対応の場合
金属の
分離
リサイクル・環境問題
焼却
バイオマス
分解
方法
素材
特性
目的
金属
作業 業者委託 学校で対応
同一の要素でも目的によって瞬時に座標軸が変わり
ます。例えば地震の時、集団での写真撮影の時、廃
棄処分などでは左の座表軸名が変化し、そのつなが
りによる要素選択がされます。
そうした背景で企画された体系的構造をツリーと呼び
ます。また要素がいろいろな要請に基づいている姿を
リゾーム(根茎)と呼びます。要素は生物や非生物に
関わらずこうした関係をかかえて存在しています。導
入するAI要素も機能性能やコストだけでなく、こうなる
可能性があると考えておきましょう。
コスト
圧力の分散
コスト
余震への備え
激しい地震があったとき、通常の学習と
は違う座標軸で判断し身近にある机や
椅子を使います
天井付近での作業や写真撮影など、高
さ方向の利用ではこのような座標軸に
切り替わります
机やいすの廃棄場面、あるいは火災な
どの状況ではこのような座標軸に切り
替わります
学習活動の場合
数年先は現在のChatGPTとは違う形のユーザーインターフェースが使われていると想像する。
AIをリンクする日常では新たな演算子が登場し自然言語が変化していくのでは?
LLMが多量に使われていく時代の要素技術のすがた
MIcrosoft社(6.27)資料より
Python,Java,C+など,
昔の技術に例えると…
機能的なしくみの提供
ノイマン構造
LLM時代の常識の変化
順次・分岐・繰り返し、シンタックスエラーなどの概念から
着目した要素の連結構造、セマンティックエラーなどの概念へ
(文章回答に見るトークンとアークのつながりや図式化)
ものごとを理解し、認識するかたちが変化していく
システム思考による認識の普及とそれを背景にした人間活動
要素がなぜ創発し存在し廃棄に至るか全体を捉える傾向
(SDGsなどが、この活動傾向に拍車をかける)
引用: https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2306/2306.10052.pdf
GenerativeAI study group
第3回研究会資料
2023.7.4, 産総研AITeC
ChatGPTをメンター、チューター、コーチ、チーム
メイト、学生、シミュレーター、ツールとして使うた
めの方法と利点や課題を紹介している
使用したプロンプトの事例
一連のやりとりをプロンプトで指定しておき学生とチャット対応させます
①AIの役割を定義する
②回答文書の制約を明示
③順次、質問と回答
があることを明示
④課題選択をし、回答を個々の
学生レベルに合わせる
⑤改善作業など
の繰り返しによる
教育目標の管理
GenerativeAI study group
第3回研究会資料
2023.7.4, 産総研AITeC
GenerativeAI study group
第3回研究会資料
2023.7.4, 産総研AITeC
SEVEN APPROACHES FOR STUDENTS WITH PROMPTSの感想
RISKとしてConfabulation(作り話。確率値で文書作成するHallucinationと同義か不
明)が目立つ。もしHallucinationならLLM(大規模原モデル)が持つ構造的な問題
なので、今後も回避できない。
AIを、従来の教育指導の何かの置き換えでなく、これまでにない役割を果たして
いると主張しているように感じる。たとえば「シミュレーター」活用は、生身の人間(
教員)では長時間かつ根気が必要で、実施が難しいと思われる。
付録。適切なLLMの対応表がある
全体の感想
論文では正確な知識獲得指導としてのAI活用の位置付けをしている。その
視点では幻想的な回答(Hallucination)はすべてリスクとして扱われる。
限られた時間で効果的に授業する目的ではHallucinationは問題である。もし
すべての授業が「キャリア教育」だと位置付けるなら1)虚偽をどう見抜くかの
推測訓練を伴うので、好ましい。
個人の力量に応じた参加型学習(アクティブラーニング2))を実施しているな
らこの方式は好ましい。ただし日本の学校教育のように一斉に集団指導す
る授業運用では活用は難しい。当面、現業務の負荷軽減を目的とするツー
ル導入(CBTや進捗管理など3))が望まれる。
GenerativeAI study group
第3回研究会資料
2023.7.4, 産総研AITeC
1) 名古屋大:https://nagoya.repo.nii.ac.jp/record/2001743/files/bulitv_24_50.pd
2) 昭和大医学部:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphe/3/0/3_2019-020/_pdf/-char/ja
3) 文科省::https://www.mext.go.jp/content/20210511-mxt_chousa02-000014819-2.pdf

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