ソーシャルメディア仕事術、
そして情報社会はどうなるか
     小関悠




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おことわり
• 本資料は個人の立場で書いたものであり、所属する組織
  などの意見を示すものではもうまったくありません。




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目次
• ソーシャルメディア仕事術
• 情報社会はどうなるか




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ソーシャルメディア仕事術への期待

• FacebookやTwitterといったソーシャルメディアが人気
  を集めている。
• 私はその界隈の研究者ということになっている。
• ソーシャルメディアを、広報や商品開発といった特定領
  域だけでなく、一般ビジネスパーソンの日々の仕事に今
  すぐ生かす方法はないかと聞かれることが、このごろと
  ても多い。




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ソーシャルメディア仕事術の実態
• ソーシャルメディアをいますぐ仕事に生かせるか?
  – 私の現状の答えは「ノー」

• ソーシャルメディアは気軽なコミュニケーションを行う
  ためのものと認識されている
  – そのため、あからさまなビジネスマインドは嫌われ
    る傾向にある(いわゆる「嫌儲」)
• ソーシャルメディアは情報を受動的に得るものである
  – なにかの情報を本当に必要としているとき、人まか
    せでは間に合わない

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ソーシャルメディアの生かしかた
• もっとも、長い目で見れば仕事に使える部分もある
• たとえば……

• 普通を知る
• いつか必要になることを知る
• 人間関係を築く




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普通を知る
• ソーシャルメディアには生の声がある
  – 新聞やテレビでトレンドを知るように、ソーシャル
    メディアから世のトレンドを把握することができる

• 雑多な声
  – ブログ、Twitter、2ちゃんねる……
• 評判分析
  – きざし、Google Trends……
• レビュー
  – 食べログ、Amazon、価格コム、glassdoor……

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ソーシャルメディアだけで
   「普通の声」が分かるのか?
• もちろん分からない

• 言うまでもなく、ネットの声は偏っている
  – 若者というより、30代くらいの声が大きい

• ソーシャル化され、ネットの声はさらに偏った
  – 似た人とばかり繋がるため、社会がクラスタ化され
    つつある
  – 「イイネ!」には同調圧力があり、反対意見を述べ
    にくい

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クラスタ化社会とは




  情報が少なかった時代は     大量の情報がある時代は
「みんなのトレンド」があった   「みんなのトレンド」がない
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でも、普通ってなによ

• 偏ってない標本を作ることはできるのか?
  – ウェブの声は偏っている
  – 電話アンケートも偏っている
  – 郵便調査も偏っている

• 言い換えれば、特定のクラスタを標本に選べば、好きな
  統計を作ることができる時代になりつつある
  – 統計そのものの価値が下がりつつあるのでは?
  – 数字による裏付けよりも、キャッチーな釣りタイト
    ルが重視される(後述)

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「普通を知る」の応用:己を知る
• 自分の名前で検索しよう(エゴサーチ)
  – FacebookやLinkedInのプロフィールがヒットするは
    ず
  – SpySeeも使ってみる
  – 同名の別人に負けていないか?
  – 都合の悪い情報が公開されていないか?

• 自分の名前だけでなく、会社や部署の名前でも




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なぜエゴサーチが必要か
• あなたのことを知らない人は、あなたを検索して、あな
  たのことを知る
  – あなたの友達、取引先、就職面接の相手、ヘッドハ
    ンターなどは、あなたの名前を検索するだろう
  – そうした人達にとって、インターネットに公開され
    ているあなたの情報が、すなわちあなたである
  – 「こんなの私ではない」と言い訳をする機会はない

• 「発信していないことは伝わらない」の原則
  – 足りない情報は、自分で発信する
  – 誤解のある情報は、自分で誤解をひもとく
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(余談)名前のつけ方
• よくある名前の人は、検索してもよく分からない
  – SEO戦略としてはまずい
  – ちょっと悪い情報があっても、他人のフリができる

• 珍しい名前の人は、検索すると一目瞭然
  – SEO戦略としては正しい
     • キラキラネームが流行るのはこのためか?
  – 炎上すると、一生その記録がネットに残るかも
     • 「じいちゃんの名前を検索したら、50年前に
       Twitterで飲酒運転を自慢してた話が出てきた」
       とか
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ソーシャルメディアの生かしかた
• 普通を知る(おわり)
• いつか必要になることを知る
• 人間関係を築く




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いつか必要になることを知る
• 情報には3種類ある:

• いま必要なもの
  – 検索、本、インタビューなど、能動的メディアから
    手に入れなければならない
• いつか必要になるかもしれないもの
  – テレビ、雑誌など、受動的メディアから手に入る
  – ソーシャルメディアもここに入る
• 不要なもの


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いつか必要になるかもしれない
      情報の集めかた
• 情報ではなく、人に注目する
  – 情報はどんどん陳腐化する
  – 優れた人は、なかなか陳腐化しない

• インターネットでは、マトモな情報もトンデモな情報も
  同じように流通している
  – 自分で判断できるようになる
  – 自分で判断できない分野は、頼れる人を作る
     • キュレーションとか言われている


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いつか必要になるかもしれない
    情報の集めかた(実践編)
• Twitterやブログ:面白そうな人はとにかくフォローし
  て、あとから評価を考える
   – 特に自分の専門とは違う人を積極的に追う

• Facebookやmixi:良いコミュニティを発見する
   – 優秀な人は集まる(クラスタ理論)
   – 小さなクラスタで起きている、小さなトレンドを発
     見する(マイクロトレンド)




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いつか必要になるかもしれない
   情報の集めかた(超実践編)
• 情報は3種類(再掲)
  – いま必要なもの
  – いつか必要になるかもしれないもの
  – 不要なもの

• 「不要なものを拾わない」戦略が重要では?
  – ひま潰しコンテンツ、陳腐化・特殊化するコンテン
    ツ、デマをいかに排除していくか




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切り捨てのススメ

• 情報爆発、情報洪水
  – 情報の量はものすごい勢いで増えている
  – 「効率的に」情報を収集するだけでは、物量の増加
    にいつか押し潰される
     • ただのライフハックでは間に合わない

• 必要なのは効率ではなく「切り捨て」
  – 信用しない人はとにかく信用しない
  – 下らないサイトは見ない
  – 「ときどきいいことも言う人」では判断に時間がか
    かるのでダメ、常にいいことを言う人を探す
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ソーシャルメディアの生かしかた
• 普通を知る
• いつか必要になることを知る(おわり)
• 人間関係を築く




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人間関係を築く
• ソーシャルメディアはもともと人脈管理ツールだった
  – たとえばGREEはなんだかSFCコミュニティだった

• 今や人脈とはバーチャルなものである
  – そのわりに数えられる
  – 出来る人だけが人脈を広げ、才能を伸ばせる
     • 梅田望夫の「高速道路」理論




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人間関係を築く(実践編)
• 出来る人は:
  – 知らない人にどんどん声をかける
• 出来ない人は(私をふくめ):
  – いまの人脈を大切にする
  – 人脈を広げている人に頼る

• でも、人脈はあくまでバーチャル
  – Followerはお金で買える
  – 重要なのは人脈の数字ではなく、目に見えない評判
     • 「ツイッターノミクス」でタラ・ハントが言うと
       ころの「ウッフィー」
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人間関係を築く(超実践編)
• 重要なのは、人脈を広げ、情報をシェアすることではな
  く、自分だけの人脈を持ち、自分だけの情報を持つこと
  – 繋がるだけではだめ
  – ただシェアするだけでは、自分の価値がなくなる
  – これからは「独立・独占」の時代が来る

• 自分だけが知っている情報、自分だけが持っているコネ
  クションはなにか?
  – そうした情報や人脈をうまくネットで活用すれば、
    評判が高まり、人脈もついてくる
  – ネットへは発信せずに仕事へ生かしても良い
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ここまでの内容
• ソーシャルメディア仕事術あらため、ソーシャルメディ
  アの生かしかた
  – 普通を知る
  – いつか必要になることを知る
  – 人間関係を築く
• 世の中どうなるか(→いまここ)




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ソーシャルメディアとは結局なにか

• インターネットが広く普及し、コミュニケーションが活
  発になった結果、ネット社会はリアル社会と変わらなく
  なった
  – 特にモバイル、若年層の流入
  – 「おたく」の時代から、「リア充」の時代へ

• かつては、リアルに言えないことをネットに書いた
  – いまはネットに書けないことをリアルに言う時代
  – そうした「リアルだけの情報」が重要になる
     • 前述した「情報の独占」

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なぜ
ソーシャルメディアの時代になったか
• 情報が多くなりすぎた
  – 能動的に情報を探すのはしんどい
  – 検索はめんどくさい
  – 友達から面白い情報を貰えればそれでいい

• インターネットがふつうの人のものになった
  – ふつうの人は自分から情報を探したりしない
  – ダラダラしたい
  – Facebookでは、更新された情報を見るのにF5を押す
    必要さえない

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リアル vs バーチャルの全面戦争
• 実名社会:Facebook、Google+
  – 多くのネットビジネスが実名化へ向かいつつある
• 匿名社会:2ちゃんねる、4chan
  – Twitterもこっちかな
  – ニコニコ動画的な、Wikileaks的な、あるいは
    anonymous的な、次になにが起きるか分からない社
    会
• 現在、このふたつの文化圏が、微妙なバランスで向かい
  あっており、どう収拾がつくのか分からない
  – ただ、実名のほうが信頼できるというわけではない
     • Twitterでデマを撒き散らす実名ユーザを見よ
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クラスタ化はタコツボ化でもある
• 情報がたくさんありすぎて、どんなことにも、賛成派と
  反対派がいる
  – あなたが賛成派なら、賛成派に有利な情報をいくら
    でも手に入れることができる
  – 便利、しかし「王様の耳はロバの耳」に陥りがち
• 知りたくないことは聞き流すことができる
  – ほかに見るべき情報はたくさんあるから

• 好き勝手言って、あとから都合の良い情報を集めること
  もできてしまう
  – 「情報ソースをお持ちの方はいらっしゃいます
    か?」                    28
情報のナゲット化
• あらゆる情報があっという間に次々に消費されていく
  – 難しいことは受け入れられない
  – 事実を置いて、キャッチーな釣りタイトルだけが拡
    散していく
  – 「今北産業」に答えられる者だけが生き残る

• 専門家の配慮された曖昧な意見は無視される
  – テキトウなことをズバッと言うエセ専門家が持ち上
    げられる
  – 間違いを検証するだけでは追いつかない
  – 専門家も、分かりやすい物言いをしていくしかない
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結論
• ネットはもう特別な場所ではない
  – リアルで馬力のある人が、ネットでも活躍する時代
  – 上司の投稿に「イイネ!」を押すのが今のネット

• 分かりやすい情報しか残らない
  – 「正しい」だけでは伝わらない
  – 「面白くってためになる」情報でなければ、咀嚼さ
    れない




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• わたしの連載:
  http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/auth
  ors/2011041200003.html

• わたしのTwitter:
  @youkoseki                                     31
おわり




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ソーシャルメディア仕事術、そして情報社会はどうなるか