第一回ナンセンスプレゼンテーションの会:ローマと道に関するいくつかの問題とその解決
- 3. 本発表が提供する解決
いくつかの解決案を提案し、実際に評価を行なう
対称性の緩和による解決: 一方通行路の導入
推移性の緩和による解決: ローマの分割
シミュレーションによる評価
本発表は「ローマの分割」をより優れた解決案と
して評価する
- 4. ローマ帝国
五賢帝時代のローマ
紀元前509年: 共和制
ローマの誕生
5世紀: 西ローマ帝国の
滅亡
全盛期の支配面積:500
万平方km
人口: 8800万人
- 5. ローマの街道
B.C.3世紀からA.D.5世
紀に建造された
幹線だけで8万km
支線を含めれば15万km
- 9. 「すべての道はローマに通ず」
ローマ帝国の全盛時には、世界各地からの道が
ローマに通じていたということ。物事が中心に向
かって集中すること、手段は違ってもめざす目標
は同じであること、あらゆる物事は一つの真理に
発していることなどのたとえとする。
http://thu.sakura.ne.jp/others/proverb/data/su.
htm
- 10. ここまでのまとめ
ローマ帝国はとても大きな帝国
広い道が縦横無尽に走っていた
全長は8万km(地球2周分)
- 15. ローマ帝国の崩壊
ことわざを文字通りに受け取れば、ローマは特別な都市
ではない?
より厳密な証明と、解決が期待される
- 16. 証明
任意の都市からローマへ道が通じるならば, その他のす
べての都市もローマ型(すべての都市から道が通じる都
市)となる.
[証明]
任意の都市をaと置く.
任意の都市bが都市aに通じていることを示す.
(1)仮定よりbからローマに道が通じる.
(2)仮定よりaからローマに道が通じる.
(3) (2)の道を利用すれば、ローマからaにも移動できるはずで
ある.
(4)ゆえにb→ローマ→aという経路が存在する.
- 17. 必要な仮定
x から y へ道が通じる.
すべての都市からローマに道が通じる.
対称性: 道は一方通行ではない.
推移性: 道から道へ移動できる.
- 18. 証明の再確認
[証明]
任意の都市をaと置く.
任意の都市bが都市aに通じていることを示す.
(1)仮定よりbからローマに道が通じる.
対称性の利用
(2)仮定よりaからローマに道が通じる.
(3) (2)の道を利用すれば、ローマからaにも移動でき
るはずである.
(4)ゆえにb→ローマ→aという経路が存在する.
推移性の利用
- 19. 2つの解決策
対称性の緩和
一方通行路をおく
推移性の緩和
途中に壁をつくる
- 24. 100回分の結果
一方通行の導入
20の都市に対し、0
から5本の道をラン
ダムに生成した. た 25
だし道は1/2の確率
20
ローマ型都市
で一方通行路とな
る. 15
10
5
0
ほぼすべての試行で
1 10 19 28 37 46 55 64 73 82 91 100
ローマ型都市の数が
20/20となった. 試行
- 25. シミュレーションのまとめ
以下の試行を100回繰り 試行回数 100
返した
生成した都市の数 20
20の都市に対し、0から5
本の道をランダムに生成 ローマ型都市の平均 19.66
した。ただし道は1/2の確 ローマ型都市が1つの場合 1
率で一方通行路となる (ローマのみ)
ローマ型都市の増加を食
い止められない
- 28. 問題点
ローマから出られない。
とても不便である。
遠征に出かけられないた
め、大帝国を築けない。
写真や図を見るかぎり
ローマの道は一方通行で
はないように見える。
- 29. 解決案2: ローマの分割
ローマ市内に壁をもうけ、分断する
a都市からローマに行っても、ローマにつながるす
べての道に到達できるわけではない
- 33. 100回分の結果
20の都市に対し、0本か ローマの分断
ら5本の道をランダムに
生成した. ただしローマ 25
は5つに分割された状態
とする. 20
ローマ型都市
15
10
100回の内12回 5
はローマ型都市
が1つとなった. 0
試行
- 34. シミュレーションのまとめ
以下の試行を100回繰り 試行回数 100
返した 生成した都市の数 20
20の都市に対し、0から5 17.33
ローマ型都市の平均
本の道をランダムに生成
ローマ型都市が1つの場合 12
した。ただしローマは5つ
(ローマのみ)
に分割された状態とする
ローマ分割の方が効果
が高い
- 37. 安価な解決策
ローマ分割法の場合、特殊な
都市を1つ置くことによって、
確実にローマ型都市の数を1
つに抑えることができる
特殊都市はローマに通ず。た
だし特殊都市から入ったロー
マは壁に分断されており、そ
こから他のどの場所にも行け
ない
特殊都市から道が通じるのは
ローマだけ!
- 40. 全体のまとめ
「すべての道はローマに通ず」が成り立つ場合、
ごく普通の道を想定すると、すべての道がすべ
ての都市に通じてしまう
ローマの特権性を護る解釈としては
(1)一方通行路が存在する
(2)ローマが壁で分割されている
という2種類が考えられる
- 41. 全体のまとめ
一方通行路を想定した場合、ローマ型都市の増
加を抑えることは難しい
ローマに向う道がすべて一方通行であるなどという常
識では考えられない事態を想定しなければならない
ローマが壁に分断されているとした場合、ただ1
つの都市を犠牲にすることによって、ローマの特
権性を護ることができる
結論: 「すべての道はローマに通ず」が成り立っ
ていた時代、ローマは壁で分割されていた