20060129
- 2. 著作権法上の「複製」
既存の著作物からDAISY図書を作成すること
は、著作権法上の「複製」にあたる。
原則として、著作物を「複製」するためには「著
作権者」からの許諾が必要。
例外的に許諾なしで「複製」可能な場合あり。
私的使用・図書館・教科用図書・教科用拡大
図書・学校の授業用・視覚障害者用の点字及
び録音・聴覚障害者用の字幕送信 他
ただし、著作権者への通知・補償金が必要な場合があり、複
製に係る要件も定められている。
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- 4. 学校その他の教育機関における
複製等 著作権法第三十五条
第三十五条 学校その他の教育機関(営利
を目的として設置されているものを除く。)に
おいて教育を担任する者及び授業を受ける
者は、その授業の過程における使用に供す
ることを目的とする場合には、必要と認めら
れる限度において、公表された著作物を複
製することができる。…以下略
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- 5. 録音図書に係る権利制限拡大
著作権審議会第一小委員会 1999.12
録音図書の利用対象者を学習障害者や
高齢者等に拡大することについて要望
がある。
第37条第2項の対象施設の拡大につい
ての要望がある。
コンピュータ・ネットワークを通じて音訳
データを送信する行為について新たに権
利制限を行うべきとの意見がある 。
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- 6. 文部科学大臣宛要望事項 (抜粋)
障害者放送協議会 2002.6 2004.11
第37条の字幕送信について、利用者を聴覚障
害者だけでなく、LD者や知的障害者も利用で
きるよう、利用対象者を拡大すること。
第37条改正に伴って認められた要約に限定さ
れた翻案権(第43条の3)の制限を、LD者や知
的障害者も情報にアクセスできるよう、内容の
書き直し等も含む柔軟なものに拡大すること。
第37条で規定されている録音図書を含む音訳
物について、視覚障害者だけでなく、音声情報
を必要とするLD者や高齢者なども利用できる
よう、利用対象者を拡大すること。 6
- 7. 障害者福祉関係の権利制限について
文化審議会著作権分科会法制問題小委員会
厚生労働省作成資料(要旨) 2005.3
視覚障害者の用に供する録音図書の作成に係る権利
制限について、公衆送信を認めていただきたい。
聴覚障害者の用に供するため、著作物への「手話」や
「字幕」の付与と、公衆送信を認めていただきたい。
字幕に関する翻案権の制限に関しては、一定の条件を
満たしたうえで、認めていただきたい(知的障害者や学
習障害者への配慮) 。
個人が所有する著作物を所有者自身が利用するため
に、録音など本人が読める形に「第三者」が変換(複製)
することに関し一定の条件で、認めていただきたい。
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- 8. 文化審議会著作権分科会報告
2006.1
第三十七条 3項 関連
視覚障害者情報提供施設等において,専ら
視覚障害者に対し,公表された録音図書の
公衆送信をできるようにする。
↓
大きな公益的価値を有すると認められるた
め,本件要望の趣旨に沿って権利制限を行
うことが適当。
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- 9. 障害者用音訳資料利用ガイドライン
(障害者用音訳資料作成の一括許諾に係わる)
日本図書館協会 日本文藝家協会 2004.4
通常の印刷物での読書に困難を持つ者(「読書に困難
を持つ者」)のために音訳資料を作成し、貸与等を行う
場合に遵守すべき事項を定める。
「読書に困難を持つ者」
1)視覚障害者 2)重度身体障害者 3)寝たきり高齢者
4)その他の読書に困難を持つ者→身体の障害、読み
の学習障害、疾病等により読書に困難を持つ者で、前
三項に準ずると当該図書館が判断し、所属図書館団
体と日本文藝家協会が該当と了解した者。
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- 10. まとめ
通常の印刷物での読書に「困難」のある人達の存在
現行著作権法で想定されていない「困難」の存在
技術革新の後追いと新たな不平等を生む著作権法
「読めない教科書」が生む教育上の不平等
著作権者の権利制限で障害者等の読書権を保障
障害者又は著作権者・出版社のみが負うべき課題か
デジタル化とネットワーク化で資源の有効活用
フォーマットの統一とシステムのオープン化
自由に情報へアクセス出来る権利は民主主義の基本
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