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山岳保険について
2010 年 12 月
アジェンダ
 山岳保険って何?
 登山中の事故
 事故を起こしたらどのくらい費用がかかるの?
 山岳保険に対する誤解
 山岳保険の種類
 遭難救助費用のみ補償するタイプ
 登山中の事故・病気の多くを補償するタイプ
 選び方のポイント
 推奨する保険
 用語
 参考情報
山岳保険って何?
 登山中のトラブルによる損害を補う保険
 損害保険 ( 傷害保険 ) の一種
 色々な特約を付加して登山のトラブルに対応できるよう
にした保険商品
 遭難救助費用が補償される
 その他の補償内容は商品によってまちまち
 それぞれの違いと補償内容を理解して加入しよう!
登山中の事故
 平成 21 年度山岳事故の統計
 事故総数 = 1676 件 ( 前年度比 +45 件 )
 遭難者数 = 2085 人 ( 前年度比 +152 人 )
 うち死者・行方不明者 = 317 人 ( 前年度比 +36 人 )
 昭和 36 年以降過去最高
1 日あたり 6 人 遭難
1 日 1 人 山で死亡
他人事じゃありません!
事故を起こしたらどのくらいかかるの?
 ヘリの他、救助支援者への手当・食事・交通費 etc.
 例、冬山で大学山岳部 14 人が遭難 ( 全員無事 )
 民間救助隊の代金 200 万円
 行政による救助活動分は含まれない
 例、夏の槍ヶ岳北鎌尾根 単独行で遭難 ( 死亡 )
 発見まで 2 カ月
 ヘリ 140 万、人件費 50 万などで合計 220 万円
 インターネットでの告知で募金活動
場合によってはもっとかかること
も!
山岳保険に関する誤解
 民間のヘリじゃなきゃタダなんでしょ?
 行政のヘリが飛ぶとは限りません
 救助支援者への手当などは別です
 お金がないので一番安いのに入っておけばいい?
 内容を確認しないと、補償範囲外だったら払われません
 お金がないのに遭難した時どうやって払うの?
 持病が悪化してヘリで運ばれる時も補償される?
 補償されない保険がほとんど
 クレジットカードの保険で補償される?
 多くのカードは「旅行代金をカードで払った場合のみ」補償
 あくまで一般の傷害保険でしかありません ( 後述 )
 保険に入ってれば救助費用は出るから貯金 0 でも OK ?
 保険金が出るのは後から。一旦は自己負担する必要があります
山岳保険の種類
 対象とする登山形態による種類
 いわゆるハイキング ( ハイキング保険 )
 カード付帯の傷害保険とほぼ同等
 登はん ( 狭義の山岳保険 )
 補償の対象範囲による種類
 登山中の事故・病気の多くをカバーするもの
 遭難時の救助費用のみカバーするもの
 通院費用や死亡補償なし
 保険引受の形態による種類
 個人傷害保険
 団体傷害保険
遭難時の救助費用のみをカバーするタイプ
 日本山岳救助機構 (jRO)
 捜索・救助費用全般に対して上限 330 万円を支給
 ほとんどの登山形態をカバー ( 海外登山除く )
 1 年目 : 入会金 2000 円 + 年会費 2000 円
 2 年目以降 : 年会費 2000 円 + 負担金
 前年度の見舞金を加入者全員で事後負担金として分担
 1000 円前後が多い
 東京都山岳連盟 ( 都岳連 ) でも採用
 都岳連の講習会などにも参加できるらしい
 捜索・救助費用だけでいいならベスト
遭難時の救助費用のみをカバーするタイプ
 日本費用補償少額短期保険 レスキュー費用保険
 捜索・救助費用全般に対して上限 300 万円を支給
 ほとんどの登山形態をカバー
 年会費 5000 円
 申し込みの翌日から保険期間開始
登山中の事故・病気の多くをカバーするタイプ
 日本山岳協会 山岳共済会 団体傷害保険
 捜索救助、死亡・後遺障害、賠償などをカバー
 共済会年会費 1000 円 + 保険料 2000 円~
 保険料によって対象・保険金額が変わる
 ハイキングのみ、それ以外の登はんなども込みの 2 種類
 損保会社などのプランよりも安い ( 団体保険のため )
 山小屋の割引などの特典あり ( 山岳共済会の特典 )
 よく分からないならこれを選ぶべし
登山中の事故・病気の多くをカバーするタイプ
 登山用品店など保険代理店による個人傷害保険
 捜索救助、死亡・後遺障害、賠償などをカバー
 傷害保険に登山に関係する特約を付加した商品
 会社によって若干保険料・対象・保険金額に若干の違い
 販売している会社が独自に組み合わせている
 ほとんどの商品は富士火災が引受会社
 ハイキングのみ、それ以外の登はんなども込みの 2 種類
 お店のポイントがついたりする ( モンベルなど )
 保険料は高め
選び方のポイント
日帰りで軽い山にしか
行かない
季節や場所を問わず
ガンガン登りたい
他の傷害保険に入ってる
救助費用だけでいい
自分で何とかする
貯金がウン千万ある
・山岳共済会の
 ハイキングタイプ
・個人傷害保険の
 ハイキング保険タイプ
・ jRO
よく分からない
ちゃんと補償を受けたい
サポート重視
・個人傷害保険の
 ハイキングタイプ
・山岳共済会の
 登はんタイプ
・個人傷害保険の
 登はんタイプ
推奨する保険
 山岳共済会の団体傷害保険 C または 1C 以上
 冬山など道具を使う登山もカバー
 遭難捜索 200 万円、死亡・後遺障害 235 万円
 個人賠償 1 億円
 1C は入院・通院に対する支給あり
 保険料年額 C 7000 円 1C 10440 円
用語
 登はん
 山岳保険では、道具を使っての登山
 ロープ、アイゼン ( 軽も含む ) 、ピッケル、スキーなど
 救援者費用
 遭難捜索費用
 個人賠償
 落石などで他人にケガなど損害を与えた時の補償
参考情報
 保険会社など
 日本山岳救助機構合同会社 (jRO)
 http://www.sangakujro.com/
 日本費用補償少額短期保険
 http://www.nihiho.co.jp/
 日本山岳協会 山岳共済会
 http://www.jma-sangaku.org/kyosai/insurance/
 モンベル
 http://hoken.montbell.jp/
 セブンエー
 山岳保険では割と有名な保険代理店 ( 富士火災 )
 http://www.e7a.jp/hoken/
 木村総合保険事務所
 同じく割と有名な保険代理店 ( 富士火災 )
 http://kshj.co.jp/mountain/
参考情報
 統計
 警察庁 統計ページ
 「生活安全の確保に関する統計等」に毎年山岳遭難の統計が出
る
 http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm
 日本山岳協会 山岳事故状況ページ
 http://www.jma-sangaku.org/kyosai/cat133/
参考情報
 その他
 山岳保険 集成
 個人の方が作られた資料だが参考になる
 http://yamatabi.que.ne.jp/daydream/hoken/index.html
 山岳遭難、そのコストは?
 遭難時の費用について書いた記事
 http://www.news.janjan.jp/area/0403/0403071797/1.php
 槍ヶ岳・北鎌尾根で行方不明となった友人を探していま
す
 遭難した方を探すために友人によって立ちあげられたページ
 経緯や捜索費用などの情報があり、生々しく、一度読んでおく
とよい
 http://yir-n.com/we_find_masa/

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山岳保険について101130p

Editor's Notes

  1. 出典 http://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki28/sangakusounan.pdf
  2. http://www.news.janjan.jp/area/0403/0403071797/1.php http://yir-n.com/we_find_masa/donation.html