汎用人工知能の研究動向

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このスライドは、2014年人工知能学会大会、オーガナイズドセッション OS-22「汎用人工知能とその社会への影響」での標題発表で用いられたスライドを元に若干の修正を行ったものです。 論文PDFはこちらから取得できます。 https://kaigi.org/jsai/webprogram/2014/paper-174.html
発表内容は「汎用人工知能研究会(輪読会)」 http://www.sig-agi.org
での議論をベースにしています。

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汎用人工知能の研究動向

  1. 1. 2014-05 汎用人工知能研究会 荒川直哉、山川宏、市瀬龍太郎 汎用人工知能の研究動向 2014-05
  2. 2. 2014-05 汎用人工知能研究会 1 このスライドは、2014年人工知能学会大会、オーガナイズド セッション OS-22「汎用人工知能とその社会への影響」での 標題発表で用いられたスライドを元に若干の修正を行ったも のです。 論文PDFはこちらから取得できます。 https://kaigi.org/jsai/webprogram/2014/paper-174.html 発表内容は「汎用人工知能研究会(輪読会)」 http://www.sig-agi.org での議論をベースにしています。
  3. 3. 2014-05 汎用人工知能研究会 2 構成 1.イントロ – 汎用人工知能とは? – 汎用人工知能への関心の高まり 2. 論文紹介「汎用人工知能概観」 3. 汎用人工知能の課題 4.汎用人工知能へのアプローチ 5.「技術的特異点」と実現時期 6.AI Magazine のロードマップ論文紹介 7.まとめ
  4. 4. 2014-05 汎用人工知能研究会 3 イントロ:汎用人工知能とは? Artificial General Intelligence(以下AGI) さまざまなスキルを習得しうるという意味で 「汎用(general)な」人工知能 もともと「人工知能」とはそういうものを目指し ていたが ⇒なかなか難しい ⇒個別の課題の解決へと細分化されていった
  5. 5. 2014-05 汎用人工知能研究会 4 イントロ:汎用人工知能への関心の高まり  AGI 論文集 : 2006  AGI 国際会議:2008〜  BICA (Biologically Inspired Cognitive Architecture) 会議  海外コミュニティ・組織
  6. 6. 2014-05 汎用人工知能研究会 5 イントロ:汎用人工知能への関心の高まり 背景 – コンピュータの性能上昇 – 個別課題のある程度の成功 • Deep Blue, Watson, 自動走行, etc. –脳科学、学習理論、ロボティクスの進展
  7. 7. 2014-05 汎用人工知能研究会 6 構成 1.イントロ 2.論文紹介「汎用人工知能概観」 3.汎用人工知能の課題 4.汎用人工知能へのアプローチ 5.「技術的特異点」と実現時期 6.AI Magazine のロードマップ論文紹介 7.まとめ
  8. 8. 2014-05 汎用人工知能研究会 7 「汎用人工知能概観」の著者 Ben Goertzel氏 AGI 研究者,AI 起業家. AGI 国際会議創設者,AGI Society会長, 金融予測企業Aidyia Ltd. チーフサイエンティスト, AI 企業 Novamente LLC およびBiomind LLC の創立者・会長 100 件以上の論文を発表,12 冊の書籍を著述 現在香港在住(香港大学)、OpenCogプロジェクト主宰
  9. 9. 2014-05 汎用人工知能研究会 8 Goertzel氏による「汎用人工知能概観」の構成 1. AGI概念について 2. 知能への観点の紹介 3. パラダイム ※内容の多くはAGI会議での議論に由来
  10. 10. 2014-05 汎用人工知能研究会 9 Goertzel氏による「汎用人工知能概観」(人工知能学会誌5月号) • AGI: “Narrow AI” の反対概念 – Narrow AI(←レイ・カーツワイル)(「特化型AI」) – 個別の文脈において個別の「知的な」振る舞いをする • AGIの中心仮説 「十分に広範な適用範囲と強力な汎化能力を持つAIの作成・研究は, より狭い (Narrow) 適用範囲と弱い汎化能力を持つ AIの作成・研究とは 根本において質的に異なる」 • AGIの定義 AGIコミュニティにおいて合意がない!  似て非なる概念 – 人間並みの人工知能 – 強いAI(=心を持つAI)
  11. 11. 2014-05 汎用人工知能研究会 10 Goertzel氏による「汎用人工知能概観」:AGIとは何か • 製作者の想定外の状況やタスクに適応 • 転移学習と汎化能力 • 人間の知能 – 現状、人間は既存のAIより汎用的 – とはいえ、人間は理論的に最高の汎用知能とはいえない。
  12. 12. 2014-05 汎用人工知能研究会 11 Goertzel氏による「汎用人工知能概観」:知能への観点 1. 心理学的な観点 – 単一因子論:スピアマンの知能の g 因子⇒ターマンの IQ – ガードナーの多重知能理論 2. 数学的な観点 – 例: Legg & Hutter の AIXI Kolmogorov複雑性と強化学習に着想 無限に計算時間がある場合の汎用知能を定義 3. AIに対する実用主義的な観点 – 例:人間の仕事を肩代わりできるAI (Nils Nilsson) 4. 適応主義的な観点 – 限られた資源での現実的な適応
  13. 13. 2014-05 汎用人工知能研究会 12 Goertzel氏による「汎用人工知能概観」:パラダイム 1. 記号的AGI 古き良きAI 2. 創発主義AGI サブシンボリックな「力学」から創発 しばしば神経系にヒントを得る。 発達ロボティクス(学習を重視) 3. ハイブリッドAGI 記号的+創発主義 4. 普遍主義 先に述べた数学的観点
  14. 14. 2014-05 汎用人工知能研究会 13 構成 1. イントロ 2. 記事「汎用人工知能概観」紹介 3. 汎用人工知能の課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 「技術的特異点」と実現時期 6. AI Magazine のロードマップ論文紹介 7. まとめ
  15. 15. 2014-05 汎用人工知能研究会 14 AGI実現のために解決すべき課題(おさらい) 1. フレーム問題(Dennettの定式化) 行動選択の際に関連する情報の検索や取捨選択に 実際的でない時間がかかってしまう! 例)あるものを動かした時に別のものに影響が出るか… 記号的AIの問題?? 2. シンボルグラウンディング問題 記号が実世界との関わりにおいて意味を持つには? ⇒何らかの「身体」が必要 従来のAIは世界との関わりの側面が薄弱だった? 3. 自然言語 古典的な意味論においては曖昧性・多義性が課題 サブシンボリックな手法にとっては言語の無限の生成性が課題 4. 計算量 記号的AIにとっては上記フレーム問題など探索計算など サブシンボリックな手法にとっては大量の高次元・確率演算など
  16. 16. 2014-05 汎用人工知能研究会 15 課題の例:複雑なテキストの解釈(Goertzel氏による) “The world's primary source of caffeine is the coffee bean (the seed of the coffee plant), from which coffee is brewed. Caffeine content in coffee varies widely depending on the type of coffee bean and the method of preparation used; even beans within a given bush can show variations in concentration. In general, one serving of coffee ranges from 40 milligrams, for a single shot (30 milliliters) of arabica-variety espresso, to about 100 milligrams for a cup (120 milliliters) of drip coffee.” http://en.wikipedia.org/wiki/Caffeine
  17. 17. 2014-05 汎用人工知能研究会 16 構成 1. イントロ 2. 記事「汎用人工知能概観」紹介 3. 汎用人工知能の課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 「技術的特異点」と実現時期 6. AI Magazine のロードマップ論文紹介 7. まとめ
  18. 18. 2014-05 汎用人工知能研究会 17 AGIに対するアプローチ • 認知アーキテクチャ • 認知ロボティクス • 機械学習 • 脳にインスパイアされたAGI • 自然言語へのアプローチ
  19. 19. 2014-05 汎用人工知能研究会 18 認知アーキテクチャ • 総合的な認知機能のモデル • AGIは「認知の仕組み」すなわち認知アーキテクチャを持つ • 多くのアーキテクチャが提案されてきた。 – 古き良き記号的AIのころからある:Soarなど – ACT-R は近年ハイブリッド指向 – Goertzel氏らの OpenCog BICAサイトにある 認知アーキテクチャ 比較表
  20. 20. 2014-05 汎用人工知能研究会 19 認知ロボティクス 「人間並み」の課題解決のための身体 シンボルグラウンディング問題解決にも重要 AGIのテストベッドとして ジャンル – 認知発達ロボティクス • 人間の子どものように認知能力を発達させる – 記号創発ロボティクス • 環境とのインタラクションから言語を学ぶ – 社会知能ロボティクス • コミュニケーション研究
  21. 21. 2014-05 汎用人工知能研究会 20 機械学習  学習は知能の必須な部分  アプローチ – 統計(ベイジアン)的アプローチ – 計算論的神経科学的アプローチ • 後者はしばしば前者によって説明される。  ホットな分野 – Deep Learning • 多層ニューラルネット(cf. 大脳皮質) • 近年大成功⇒ OS-24 – 強化学習 • 感覚・行動と報酬の系列から状況に対しベストな行動を学習 – cf. DeepMind @ Google
  22. 22. 2014-05 汎用人工知能研究会 21 脳にインスパイアされたAGI 1. 人工脳 i. 脳シミュレーション • Blue Brain Project, Cognitive Computation Project, Neurogrid Project, etc. ii. Biologically Inspired Cognitive Architectures (BICAs) • 脳にヒントを得た認知アーキテクチャ • 全脳アーキテクチャ(一杉) 2. ニューロコンピューティング – 主に前述の計算論的神経科学による機械学習 – 理論にガイドされたニューロコンピューティング(TgNC) • 脳の諸部位に学ぶ – 大脳に学ぶ • BESOM、HTM (Grok/Vicarious)
  23. 23. 2014-05 汎用人工知能研究会 22 自然言語へのアプローチ  計算言語学:文法理論 – 文法理論:チョムスキー、単一化文法、etc. – 文法に基づく構文解析、生成 – 論理的な(談話の)意味論  統計的手法 – N-gram(音素や単語の並びの統計) – Bag of Words(並びを無視した出現頻度)  意味を捉えるには統合が必要  シンボルグラウンディング問題(身体性) ⇒記号創発ロボティクス  脳(神経モデル)ではどのように処理?
  24. 24. 2014-05 汎用人工知能研究会 23 構成 1. イントロ 2. 記事「汎用人工知能概観」紹介 3. 汎用人工知能の課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 「技術的特異点」と実現時期 6. AI Magazine のロードマップ論文紹介 7. まとめ
  25. 25. 2014-05 汎用人工知能研究会 24 シンギュラリティ(技術的特異点) • Von Neumann, Vinge, Kurzweil らの用語 人工知能が十分な汎用性を獲得し、より高い知能を持つ 人工物を自ら創造できるようになる時点 • Kurzweil は特異点は近いという。 – 技術の加速度的進歩(収穫加速の法則) – 脳科学には収穫加速の法則が適用可能(?) – 脳の構造は解明されてきている(?) • ホンマでっか? • 社会的インパクトについては後ほど…
  26. 26. 2014-05 汎用人工知能研究会 25 人間並みのAIの実現時期の予測 予測を行った年 予測された年 2012 Singularity Institute, “How We’re Predicting AI – or Failing To,” 2012
  27. 27. 2014-05 汎用人工知能研究会 26 構成 1. イントロ 2. 記事「汎用人工知能概観」紹介 3. 汎用人工知能の課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 「技術的特異点」と実現時期 6. AI Magazine のロードマップ論文紹介 7. まとめ
  28. 28. 2014-05 汎用人工知能研究会 27 「人間レベルの汎用人工知能の実現に向けた展望」 • Mapping the Landscape of Human-Level Artificial General Intelligence • AI Magazine 2012年春号の記事(12名の共著) 人工知能学会誌5月号に翻訳版を収録 • ピアジェの発達段階とヴィゴツキーの3概念を XY軸とした2次元マップを定義
  29. 29. 2014-05 汎用人工知能研究会 28 「人間レベルの汎用人工知能の実現に向けた展望」(続き)  評価シナリオを上記マップに配置 – 汎用ビデオゲーム学習 – 物語・シーン理解、文章理解 – 幼児、学校教育 – ウォズニアックテスト(初めての家でコーヒーをいれる) cf. RoboCup@Home  研究者の 協力体制を重視
  30. 30. 2014-05 汎用人工知能研究会 29 構成 1. イントロ 2. 記事「汎用人工知能概観」紹介 3. 汎用人工知能の課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 「技術的特異点」と実現時期 6. AI Magazine のロードマップ論文紹介 7. まとめ  日本における関連する取り組み  で、実際のところどうなの?
  31. 31. 2014-05 汎用人工知能研究会 30 日本における関連する取り組み • 認知ロボティクス – 認知発達ロボティクス – 記号創発ロボティクス – 社会的知能発生学研究会 • 脳にインスパイアされたAGI研究 – 全脳アーキテクチャ勉強会(2013〜) • • 汎用人工知能研究会(輪読会) そして 第一回: 人間の知性とコピュータ科学の未来(2012)
  32. 32. 2014-05 汎用人工知能研究会 31 で、実際のところどうなの? 一見バラバラのAGIへの取り組み どれもすぐにAGIを実現しそうではない 実現のためには… – 実現へのパスを描く必要がある – 例えば: 学習に基づく行動決定のアーキテクチャなど – 各自でよ〜く考えてみてください AGIの実現は意外に近いかも… ぜひAGIへの取り組みにご参加ください!
  33. 33. 2014-05 汎用人工知能研究会 32 ということで、最後に宣伝… 輪読会第2期 – 認知アーキテクチャサーベイ論文を中心に – メンバー募集中(ぜひご連絡ください) – AGI本なども企画中… Webサイト: www.sig-agi.org – 汎用人工知能と技術的特異点 +全脳アーキテクチャ – 情報の蓄積&発信 Facebook グループ 「汎用人工知能について語ろう!」 「全脳アーキテクチャ勉強会」
  34. 34. 2014-05 汎用人工知能研究会 33 ご清聴ありがとうございました!

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