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汎用人工知能について(2015-12)

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「汎用人工知能の研究動向」(2014-05)
http://www.slideshare.net/naoyaarakawa39/4-share-34819908
の全面改訂版

Published in: Engineering
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汎用人工知能について(2015-12)

  1. 1. 汎用人工知能について 2015-12 荒川直哉
  2. 2. 1 汎用人工知能とは? はじめに
  3. 3. 22 そもそも人工知能とは? 人工知能学会ホームページを見てみる。 人工知能には2つの立場がある。 1. 人間の知能そのものをもつ機械を作ろうとする立場 2. 人間が知能を使ってすることを機械にさせようとする立場 「実際の研究のほとんどは後者の立場にたっています. ですので,人工知能の研究といっても, 人間のような機械を作っているわけではありません.」 人工知能って何?
  4. 4. 3 「汎用人工知能」とは? • 「Artificial General Intelligence」の訳語 • 「人工的な一般知能」 • 「一般知能」?? • 「一般的」じゃない知能って?? • 何かに「特化した」知能: • チェス • 自動運転 • …
  5. 5. 4 「汎用人工知能」 vs. 「特化型人工知能」 • 「特化型人工知能」じゃだめなんですか? • 人間ができるのはチェスだけじゃないよね。 • 人間みたいな機械が作りたいんですか? • (小声で)「はい」(←研究者の本音) • 経済的な口実 • 昔ワープロ専用機ってのがありましたが、 (汎用的な)PCに駆逐されましたよね。 • (いばって)汎用性が経済的なこともあるんです! 非定形的なタスクには有利(例:事故対応)
  6. 6. 55 「ヒトのような人工知能」と「汎用人工知能」 • 人工知能の1つのアプローチ: 人間の知能そのものをもつ機械を作ろうとするもの 〜ヒトのような人工知能 • ヒトはチェスのみに特化していない⇒ (ある程度)汎用知能を持っている⇒ 「ヒトのような人工知能」は「汎用人工知能」 逆は真ならず。
  7. 7. 6 構成 1. はじめに 2. 汎用人工知能前史 3. 汎用人工知能実現への課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 汎用人工知能実現への道筋 6. 「技術的特異点」と実現時期
  8. 8. 77 ちょっとした歴史 • ヒトのような人工知能: • 人工知能の1つのアプローチ • 人工知能分野が生まれたころからあった 〜1956年ダートマス会議 • 実現は難しく、研究の大方は「特化型人工知能」に…
  9. 9. 8 しかし、近年背景に変化が… • コンピュータの性能上昇 • 個別課題のある程度の成功 • Deep Blue(チェス:1997) • Watson(クイズ:2011 など) • 自動走行車, etc. • 脳科学、学習理論、ロボティクスの進展
  10. 10. 9 Ben Goertzel氏登場! • 論文集:Artificial General Intelligence (2005) – Ben Goertzel & Cassio Pennachin, Springer – “Artificial General Intelligence” という用語を題に採用(以下AGI) • AGI国際会議の主宰:2008〜 • AGI開発プロジェクト: OpenCog ※香港在住
  11. 11. 10 Goertzel氏による「汎用人工知能」 • AGIの定義 AGIコミュニティにおいて合意がない • AGI: “Narrow AI” の反対概念 – Narrow AI(特化型AI)←レイ・カーツワイル – 個別の文脈において個別の「知的な」振る舞いをする • AGIの中心仮説 「十分に広範な適用範囲と強力な汎化能力を持つAIの作成・研究は, より狭い (Narrow) 適用範囲と弱い汎化能力を持つ AIの作成・研究とは 根本において質的に異なる」 Benさんが汎用人工知能について何といっているか見てみよう
  12. 12. 11 Goertzel氏による「汎用人工知能」(続き) • 製作者の想定外の状況やタスクに適応 • 転移学習と汎化能力 • 人間の知能 – 現状、人間は既存のAIより汎用的 – とはいえ、人間は理論的に最高の汎用知能とはいえない。
  13. 13. 12 Goertzel氏:AGIのいくつかのパラダイム 1. 記号的AGI 記号操作で知能を実現しようとする「古き良きAI」 2. 創発主義AGI サブシンボリックな「力学」から創発 しばしば神経系にヒントを得る。 発達ロボティクス(学習を重視) 3. ハイブリッドAGI 記号的+創発主義 4. 普遍主義 例: AIXI (Legg & Hutter) 無限に計算時間がある場合の汎用知能を数学的に定義
  14. 14. 13 構成 1. はじめに 2. 汎用人工知能前史 3. 汎用人工知能実現への課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 汎用人工知能実現への道筋 6. 「技術的特異点」と実現時期
  15. 15. 14 AGI実現のために解決すべき課題 1. フレーム問題 2. シンボルグラウンディング問題 3. 自然言語の理解 4. 実世界コンピューティング 5. 計算量
  16. 16. 15 フレーム問題 👀 デネットの定式化 「行動選択の際、関連する情報の検索や取捨選択に 実際的でない時間がかかってしまう!」 例)あるものを動かした時に別のものに影響が出るか計算… 💣 実は記号的AIのみの問題??
  17. 17. 16 シンボルグラウンディング問題 「記号接地問題」 • 記号が実世界との関わりにおいて意味を持つには? • 記号はどうやって事物を指し示すのだろうか? • 物理世界の理解と関係⇒ • 解決には何らかの「身体」が必要 – 外界の事物との相互作用で意味を獲得(接地) – 従来のAIは世界との関わりの側面が薄弱だった… cf. Luc Steels: “The symbol grounding problem has been solved, so what’s next?” (2008)
  18. 18. 17 自然言語の理解 複雑な文章の理解が困難 (短文の「処理」はある程度今の技術でも可能) 複雑な文章の例: • 入試問題(cf. 東ロボくん) • 法律分野:特許や法律、判例 • 仕様書を読んでプログラムを作る • レシピを読んで料理を作る…  省略や代名詞の意味的な補完が必要  多義性解消
  19. 19. 18 ロボット工学の挑戦(と現状の挫折) 二足歩行はなんとかできたものの 実環境ではなかなかうまくいかない 環境の状況の認識⇒適切な行動 できれば AGIができたようなもの… 実世界コンピューティング ドタ! バタ!
  20. 20. 19 計算量 • 必要とされる計算を実時間で終えなければならない • 計算量は項目数の関数で表現される:O(f(N)) • 実世界コンピューティング:多大な項目(変数) ⇒Nの増加に対し急増するような f(N) はよろしくない • 課題 • 記号的AI:探索計算(cf. フレーム問題) • サブシンボリックな手法:大量の高次元・確率演算
  21. 21. 20 構成 1. はじめに 2. 汎用人工知能前史 3. 汎用人工知能実現への課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 汎用人工知能実現への道筋 6. 「技術的特異点」と実現時期
  22. 22. 21 AGIに対するアプローチ 1. 認知アーキテクチャ 2. 機械学習 3. 認知ロボティクス 4. 脳にインスパイアされたAGI
  23. 23. 22 認知アーキテクチャ • 総合的な認知機能のモデル • アーキテクチャ:機能モジュール構造 • 人工物としてのAGI – 何らかの「認知の仕組み」を持つ – AGIは機能モジュールを持つか? – 持つのであれば AGIに認知アーキテクチャは必須 • 数多くのアーキテクチャが提案されてきた。 – 記号的アーキテクチャ:Soarなど – ハイブリッドアーキテクチャ:OpenCogなど – 創発的アーキテクチャ:神経モデル〜Nengo など(最近)
  24. 24. 23 機械学習 • 学習は知能の必須な部分 失敗を繰り返すようでは知的とはいえない… • アプローチ – 統計(ベイジアン)的アプローチ – 計算論的神経科学的アプローチ • ホットな分野 – 深層学習(Deep Learning) • 多層ニューラルネット(大脳に似ている) • 近年大成功! – リカレントニューラルネット(RNN) • 言語など時間領域の振る舞いの学習で成功を収めつつある。 – 強化学習 • 感覚・行動と報酬の系列から状況に対しベストな行動を学習
  25. 25. 24 認知ロボティクス • 「人間並み」の課題解決のための身体 • 作ることによる理解(Constructive Approach) • 認知アーキテクチャ+機械学習+身体 • AGIのテストベッド • ジャンル – 認知発達ロボティクス • 人間の子どものように認知能力を発達させる – 記号創発ロボティクス • 環境とのインタラクションから言語を学ぶ – 社会知能ロボティクス • コミュニケーション研究
  26. 26. 25 脳にインスパイアされたAGI 1. 全脳シミュレーション – 脳全体の生理学シミュレーションを目指す – Blue Brain Project (EU), Neurogrid Project (スタンフォード大) など 2. 生物にヒントを得た認知アーキテクチャ Biologically Inspired Cognitive Architectures (BICAs) – 脳にヒントを得た認知アーキテクチャ – 「全脳アーキテクチャ」
  27. 27. 26 構成 1. はじめに 2. 汎用人工知能前史 3. 汎用人工知能実現への課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 汎用人工知能実現への道筋 6. 「技術的特異点」と実現時期
  28. 28. 27 汎用人工知能実現への道筋 1. 個体発生 2. 系統発生 3. ベンチマーク 4. コミュニティ 5. で、実際のところどうなの?
  29. 29. 28 個体発生 • 赤ちゃんの発達をまねる ⇒発達ロボティクス • 発達心理学にヒントを得る 図:AI Magazine 2012年春号の記事より 人工知能学会誌5月号に翻訳版を収録
  30. 30. 29 系統発生 • 進化をヒントにする 原生動物⇒線虫⇒昆虫 両生類⇒爬虫類⇒鳥類 齧歯類⇒霊長類⇒ヒト… • 比較認知科学 • 比較神経科学 • 比較言語学 CC Attribution-Share Alike. Bob Goldstein, UNC Chapel Hill
  31. 31. 30 ベンチマーク • 開発の進展の計測、比較 • 個体発生や系統発生を参考に • 課題 – General Game Playing – 実世界タスク • ウォズニアックテスト 初めての家でコーヒーをいれる • さまざまな競技会 例えばRoboCup » サッカー(多数のロボットの協力) » レスキュー(災害救援) » @Home(家事など)
  32. 32. 31 汎用人工知能のコミュニティ(海外)  国際会議 • AGI 国際会議:2008〜 • BICA (Biologically Inspired Cognitive Architecture) 会議:2010〜  AGI研究者の組織  AGI開発を目標とする企業
  33. 33. 32 汎用人工知能のコミュニティ(国内) • 認知ロボティクス – 認知発達ロボティクス – 記号創発ロボティクス – 社会的知能発生学研究会 • 全脳アーキテクチャイニシアティブ(NPO: 2015〜) 全脳アーキテクチャ勉強会(2013〜) • 汎用人工知能研究会(@人工知能学会)
  34. 34. 33 で、実際のところ実現の見通しはどうなの? 少し前と比べて少し先が見えてきたかも • 時間領域の機械学習(リカレントニューラルネット) • 脳機能の知見 • 内外の多くの組織の参入 実現のためには… – 実現へのパスを描く必要がある – いろいろな知識を統合する必要がある AGIの実現は意外に近いかも
  35. 35. 34 構成 1. はじめに 2. 汎用人工知能前史 3. 汎用人工知能実現への課題 4. 汎用人工知能へのアプローチ 5. 汎用人工知能実現への道筋 6. 「技術的特異点」と実現時期
  36. 36. 35 シンギュラリティ(技術的特異点) • 技術進化が人間の手を離れる時点 超人的人工知能が自己改良を進め、その産物が 人間の理解を超える時点 ←再帰的自己改良による知能の爆発的発展 • 「特異点は近い」(レイ・カーツワイル) – 技術の加速度的進歩(収穫加速の法則) – 脳科学には収穫加速の法則が適用可能(?) – 脳の構造は解明されてきている(?) ⇒ヒト並みの人工知能(~2029) ⇒特異点(~2045:人工知能の総体>ヒトの知能の総体) • ホンマでっか? • 甚大な社会的インパクト…
  37. 37. 36 (AIの)社会への影響の議論  海外 • AGI国際会議での議論 • 社会への影響を議論する組織  国内 • 人工知能学会での議論 • 組織 • AIR (Acceptable Intelligence with Responsibility) 研究会 • ロボット法学会(準備中) • 日本シンギュラリティ協会

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