MCSS（Migraine Clinical Speaker's Seminar）2017＠東京におけるトピック「てんかんと片頭痛」のまとめです

1. てんかんと片頭痛
Migralepsy –
その片頭痛と前兆、てんかん発作
かもしれませんよ！？
グループリーダー：大阪赤十字病院神経内科 髙橋 牧郎
サブグループリーダー：岐阜大学神経内科・老年学 下畑 享良

2. • 共通点
– 発作性脳疾患
– 前兆，発作極期，発作後のフェーズで構成される
– 光，女性ホルモン，睡眠不足，ストレスなど誘発因子の存在
– 発作極期における焦点の血流増加
– 抗てんかん薬（VPA，TPM, LTG）が発作予防に有効
• 相違点
– 脳波異常の頻度
– CSDの有無（前兆のある片頭痛に特徴的）
– 視覚性前兆の持続時間（片頭痛は長く，てんかんで短い）
– 抗てんかん薬の有効な用量（片頭痛は少量でよい）
– 片頭痛頓挫薬（トリプタンやNSAIDs）の効果
➔ 共通点はあるが，基本的に両疾患の病態は同一ではない
てんかんと片頭痛の共通点・相違点

3. Epilepsia 47;805-8, 2006Neurology 49;1479-50, 1997
てんかんと片頭痛の視覚発作
後頭葉てんかん
（要素性視覚発作）
片頭痛
（閃輝暗点）
持続時間はてんかんで短く，片頭痛で長い．

4. • てんかんに関連する頭痛
（ Headache attribute to epileptic seizure）
①片頭痛前兆により誘発される痙攣
（migraine aura-triggered seizure，migralepsy）
②てんかん性片側頭痛
（hemicrania epileptica）
③てんかん発作後頭痛
（postictal headache）
• ただしILAE（国際抗てんかん連盟）は ictal epileptic
headacheを使用することを推奨し，定義は混沌．
てんかんと片頭痛の病型（ICHD-IIIβ）

5. 片頭痛の前兆
（単純部分発作のとき片頭痛をみとめる）
痙攣発作
同時ないし直後
❶ 片頭痛前兆により誘発される痙攣発作（Migralepsy1.4.4）
部分てんかん
頭痛
終了後すぐ改善
❷ てんかん性片側頭痛（Hemicrania epileptica 7.6.1）
頭痛
❸ てんかん発作後頭痛（Post-seizure headache 7.6.2）

6. 治療について
• てんかんと片頭痛が関連してみられる場合，今後，
抗てんかん薬が第１選択薬になる可能性がある．
• ただし選択薬剤としては，部分発作の予防を目的
にCBZを使用するという考えと，片頭痛を予防を
目的にVPAを使用するという２つの考え方があり，
今後の課題である．