デジタル・シティズンシップ教育という言葉が注目を集めている。2017年改訂の小学校学習指導要領総則1)には、類似する言葉として「情報活用能力」および「情報モラル」という言葉が掲載されているが、デジタル・シティズンシップ教育という言葉は見当たらない。また、小学校学習指導要領解説の総則編には、教科等横断的な視点に立った資質・能力のうち現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の具体例として、「主権者として求められる力」が挙げられ、幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイントにはその他の重要事項の中に「主権者教育」という言葉が登場するが、デジタル・シティズンシップ教育とはどのような関連があるのだろうか。
本発表では、学習指導要領改訂後に、なぜデジタル・シティズンシップ教育という言葉が注目されるようになったのか、その背景を紐解くとともに、その教育が育成を目指す能力と、臨床教育学とのつながりを考察し、デジタル・シティズンシップ教育が学校教育において効果的に実践されるための手がかりを模索したい。