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科学技術コミュニケーションの
原点と座標軸
科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
石村源生
2014/5/11
講義の主旨
•科学技術コミュニケーションとは何か?その意
義と成り立ち、日本における現状について概
観する。
•「科学技術コミュニケーション元年」と言われた
2005年から10年目を迎える節目の年にあた
って、その原点に立ち戻り、あらためて科学技
術コミュニケーションの目指すべき方向性と、
コミュニケーターの果たすべき役割について受
講生のみなさんと一緒に考え、一年間の学習
の指針とする。
自己紹介
自己紹介
•知覚心理学・脳科学の研究者を経て、科学技術館
(東京・北の丸公園)に。
•展示ディレクターとして、様々な科学館・理工系博物
館の
1.展示、ワークショップ、イベントの企画ディレクション
2.施設構想立案
3.運営コンサルティング
などを行ってきた。
2005年9月より北大CoSTEPスタッフ。
科学技術館では(2000-2005)
2005
横須賀市浦賀ドック夏休みサイエンスイベント ディレクション
2004-2005
三洋電機「アークビューカフェ コミュニケーションテーブル」展示ディレクション
2003-2004
大成高等学校「大成 風のミュージアム」展示ディレクション
2003-2004
岐阜県先端科学技術体験センター第2ステージ 基本構想策定業務
2002
としまえんサイエンスイベント ディレクション
2001-2002
三洋電機太陽電池科学館ソーラーラボ 展示ディレクション
2000-2001
高知市子ども科学館 基本構想策定業務
科学技術コミュニケーションが必要
とされるようになった背景
私たちの社会と科学技術
科学技術の社会に対する影響力
•科学技術の社会に対する影響力は、この100年で急速に拡
大してきた。
•市民の関心の高低に関らず、科学技術の影響力は大変大き
く、今後増えることはあっても、減ることはない。
•一方科学技術は、我々の社会に様々な「マイナスの影響」を
も及ぼしてきた(例:地球環境問題、巨大技術システムの事故
、最先端技術のもたらすリスク)。
•また、科学技術は我々のライフスタイルを大きく変え、我々の
倫理観や価値観にも本質的な影響を与えている。
•さらに、科学技術研究は、政府からの多額の公的資金によっ
て支えられている。
科学技術と社会システムの間に生じる問題
•科学技術の高度化、複雑化、不透明化
– 非専門家にとっては敷居が高い。
– 専門家にとってさえ、自分の専門分野以外の内容を適切に理解する
ことは難しい。
– 科学技術の高度化、複雑化、不透明化により、科学技術自体が新た
なリスクをもたらしている。
•社会システムの複雑化、流動化、不透明化
– 科学技術を受容する側の市民の価値観も多様化している。
– 科学技術と密接に関わる社会システムもまた、複雑化、流動化、不透
明化が著しい。このことが、科学技術と社会システムの複合体に新た
なリスクをもたらしている。
– 科学技術と社会システム、個々人の価値観が相互作用することによっ
てどのような事態が生じるのか、その帰結を見通すことは難しい。
現代社会において、科学技術コミュニケーション
はなぜ、そしてどのような点で必要なのか?
• 近年、科学技術と社会との関係は極めて複雑になってきて
いる一方で、両者は一体不可分なものに。
• 「科学に問うことはできるが、科学が答えることのできない問
題(=「トランス・サイエンス問題」)」の増加(ワインバーグ) 。
• 我々の社会や生活の質を高める、あるいは現状を維持する
ためにさえ、科学技術との「適切な付き合い方」を考えなけれ
ばならない。
「現代の科学技術というものが理系の専門家だけ
に任せるには重要すぎる存在になっている」
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
• これらの課題に取り組むためには、従来に無
かった新しい種類の活動が必要。
↓
科学技術コミュニケーション
科学技術コミュニケーションとは?
科学技術コミュニケーションとは?
•科学技術コミュニケーション
•科学コミュニケーション
•サイエンスコミュニケーション
科学技術コミュニケーションとは?
•科学技術の専門家と社会(非専門家)の橋渡
しをする双方向の活動
科学技術の専門家 社会
科学技術
コミュニケーション
科学技術コミュニケーションとは?
•「科学コミュニケーション」という言葉は、次のグループ間の
コミュニケーションを指している。
•すなわち、
– 科学コミュニティ(大学、研究所及び企業を含む)内のグループ間
– 科学コミュニティとメディア間
– 科学コミュニティと公衆間
– 科学コミュニティと政府あるいは権力や権威を備えた機関間
– 科学コミュニティと政府ないし政策に影響力を持つ機関間
– 企業と公衆間
– メディア(博物館や科学センターを含む)と公衆間
– 政府と公衆間
のコミュニケーションである。
(Science and the Public : A R view of Science Communication
and Public Attitudes to Science in Britain (2000))
科学技術コミュニケーションとは?
•国民全体あるいは個々のコミュニティーの科学知識や科学
に対する意識を高めるためのコミュニケーション
– (文部科学省 科学技術政策研究所 調査資料100「科学技術理解増進と
科学コミュニケーションの 活性化について」(2003))
•科学意識(Awareness of science)楽しみ(Enjoyment)興
味(Interest)意見(Opinion)科学理解(Understanding of
science)といった科学に対する個人的反応のいずれか 1
つないし複数を生み出すために適切な技量、メディア、活
動、対話を用いることをサイエンスコミュニケーションと呼ぼ
う。
– (Burns et al., 2003)
(文部科学省 科学技術政策研究所 DISCUSSION PAPER No.39
「科学技術コミュニケーション拡大への取り組みについて」(2005))
科学技術コミュニケーションとは?
科学技術コミュニケーションとは?
•科学技術コミュニケーションとは、国会、政府をはじめ研究
機関、教育機関、学協会、科学館、企業、NPO法人等の団
体、研究者・技術者、国民・住民等の個人などの間で交わ
される科学技術に関するコミュニケーション活動で、非常に
幅広い内容を包含するものである(第1-2-2表)。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
科学技術コミュニケーションとは?
第1-2-2表/科学技術コミュニケーション活動の例
• 科学技術に関する報道
• 科学技術番組制作、放映
• 科学雑誌・科学書等の発行
• 科学技術に関する講演会、討論会、ワークショップ、サイエンスカフェ等
• 学校等における科学技術に関する授業
• 大学、企業、NPO法人等が行う地域の理科実験教室
• 科学博物館等での展示
• 科学技術に関する生涯学習講座
• サイエンスショップ(市民向け科学技術相談室)
• 政府、地方公共団体、研究機関、企業による各種広報活動
• リスクコミュニケーション
• テクノロジーアセスメント等への参加
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
科学技術コミュニケーションとは?
???
科学技術コミュニケーションの
歴史
イギリスの事例
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
イギリスにおける
科学技術コミュニケーションの歴史
• 王立研究所(Royal Institution of Great Britain, 1799~)
• 研究活動、啓蒙講演
• 「クリスマスレクチャー」
• 若者を対象とした、エンタテイメント性にあふれる演示実験を含む
科学イベント
• 1825年にマイケル・ファラデーが始める
• 金曜講座(1825~)
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
イギリスにおける
科学技術コミュニケーションの歴史
• C.P. スノー (1959): 「二つの文化と科学革命」
– 西洋社会の知的営み全体を俯瞰すると、これが「科学」と
「人文学」という二つの文化に分断されていることがわか
る。そして、この分断が、世界の諸問題の解決にとって大
きな障害となっている。
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
王立協会(1985): 「公衆の科学理解
(PUS: The Public Understanding of
Science)」
• ボドマーを議長とする特別委委員会が作成・提出した
ものであり、「ボドマー・レポート」と呼ばれている
• 若者の理科離れ、国民の科学への関心低下を懸念
• 「公衆の科学理解を促進すること」に大きな重点
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
「公衆の科学理解委員会(COPUS: Committee
on the Public Understanding of Science)」を設
立(1985)
• 多様な社会階層を対象にした様々なプログラムを展
開
– 上層の公務員向け講義、女性グループ向け講座
– 大英科学博物館などと協力してポピュラーサイエンスの書
籍に対する顕彰を実施
– 地域密着型の科学普及活動への資金提供
• メディア・フェローシップ、ウェストミンスター・フェローシ
ップ
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
さらに・・・
• ロンドン大学インペリアル・カレッジが大学院修士課
程における科学コミュニケーションの専門家養成を開
始、他大学も追随
• 経済・社会研究会議(研究資金配分機関)が科学コ
ミュニケーション領域への研究助成を開始
• 雑誌 Public Understanding of Science(PUS)を創
刊
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
ところが・・・
事例: BSE (牛海綿状脳症 Bovine
Spongiform Encephalopathy)問題
• 最初は、1990年前後にイギリスで発生。
• 1988年に設置された、オックスフォード大学の動物学者であるサウスウッ
ド教授らによる専門家委員会は、検討の結果1989年に、「人間へのBSE
感染の危険性は極めて少ない」と結論づけた。
• ただし同時に同委員会は、「さらなる研究が不可欠」「こうした評価が謝
っていれば結果は大変深刻なものになるであろう」と警告した。
• しかし、行政関係者や政治家はこの警告を適切に評価せず、安全性の
みを強調した。
• 1996年に政府は、10名のクロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD : variant
Creutzfeld Jacob Disease)患者について、BSE感染牛を食べたことが
原因で発症した可能性を認めた。
• その結果国民は、政府や政府機関に所属する科学者に対して強い不信
感を抱くようになった。
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
反省と、政策の転換
• 政府は、この経緯の反省を踏まえ、科学技術コミュニケーショ
ンにおける施策の重点を、科学の公衆理解増進から、科学
に対する公衆の不信感を取り除くことへと転換した。
• 上院科学技術委員会勧告「科学と社会」( 2000)
– 公衆の、政府や産業界と関わりを持つ科学への信頼が低い
– 遺伝子組み換え食品やクローニングなど直接的な利益を実感しにく
い科学に対しても拒否反応がある
– 信頼に対する危機的状態が、「対話(dialogue)」を求める新しい社会
状況を生み出している
– 科学的知識の不確実性を隠せば、必ず公衆からの信頼と尊敬を損
なう
– 政策決定における公衆関与の先行事例として、フォーカスグループ、
市民陪審、コンセンサス会議などを紹介
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
「科学技術社会論」の研究成果
(STS: Science and Technology Studies)
• 「科学知識が増えれば、科学への肯定的態度が増
す」という通説が、単純には成立しない
– 科学知識が多い人ほど科学一般を支持するが、倫理的
な問題をはらむ研究分野に対しては否定的な態度を示す
傾向がある(Durant)。
– 英国、デンマークなど、科学の理解度が高い国々の人々
が、他の諸国に比べて、科学に関心を持っていない。
• ロイヤル・ソサエティの「科学の公衆理解の不足」と
いう認識自体に再検討が必要
– 「欠如モデル(deficit model)」批判
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
「欠如モデル」とは何か?
• 政府や専門家は、当初、公衆は科学に関する知識を欠いて
いるために、論理的、理性的に考え、議論し、行動することが
できないのだと考えていた。
• その考えに基づき、彼(彼女)らは、科学知識を無知な公衆に
与えることによって「啓蒙」しようとしていた。
• だからこそ、彼(彼女)らは「科学の公衆理解(PUS)」が重要
なのだと考えていた。
• このような、「公衆は知識を欠いた、いわば「空っぽのバケツ」
であり、そこに知識という水を注ぎこみ、啓蒙すれば問題は
解決する」という考え方を「欠如モデル」と言う。
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
「科学技術社会論」の主張
(STS: Science and Technology Studies)
• 欠如モデルに基づいた施策は実際には問題解決を
もたらさない。
• 公衆は単に無知なのではなく、公衆なりの文脈で独
自の知識(=ローカルノレッジ)を持っている。
• 科学者の間でさえ、「科学とは何か」「科学的知識と
は何か」ということについて、明確な合意は存在しな
い。
• 科学への態度は、科学的知識だけではなく、人々の
政治的知識も関係して決まる。
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
Bucchiの調査(2000~2001)
• バイオテクノロジーによる意識調査をもとに、以下の
仮説を検証(イタリアで、のべ2039人を対象)
– 「市民がたくさんの情報にふれる→正確な科学的知識が
増える→遺伝子組換え食品やバイオテクノロジーに対する
態度が肯定的になる」
• 結果
– 「たくさんの情報にふれていること」と「正確な知識を所持
していること」との間に相関なし
– 「正確な知識を所持していること」と「遺伝子組換え食品
やバイオテクノロジーに対する肯定的態度」との間に相関
なし
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
「欠如モデル」に替わる新しいモデル
1. 文脈(context)モデル
– 一般の人々は、各々の生活環境において、状況特異的、
文脈依存的な知識を持っている。
– 「①知識の中身、②方法論、③知識が組織化される形式
や制御機構」の三つのレベルの科学の公衆理解を区別。
– 「知識が組織化される形式や制御機構」とは、科学が社会
の中にどのように制度的に埋め込まれているのか、科学を
「社会の中の一事業」として理解することに相当する。
2. 素人の専門性(Lay-expertise)モデル
– 文化人類学や民俗学などの分野で「ローカルノレッジ
(local knowledge)」「土着の知(indigenous knowledge)
」と呼ばれるものとほぼ等しい。
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
「欠如モデル」に替わる新しいモデル
3. 市民参加モデル
– 「啓蒙」から「エンパワーメント」へ
– 双方向性、コミュニケーションの重視
– 「科学的合理性」から「社会的合理性」へ
– 例)参加型テクノロジーアセスメント (pTA : participatory
technology assessment)
• コンセンサス会議
• 討論型世論調査(DP: Deliberative polling)
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
世界的潮流
ブダペスト会議(世界科学会議 1999)
• 「科学の空前の進歩が予想される今日、科学知識
の生産と利用法に関して、十分な知識を備えた活
発な民主主義的討論が必要になっている。科学者
共同体と政策決定者はこのような討論を通じて、一
般市民への科学への信頼と支持を強化するよう努
めるべきである。」
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
ブダペスト会議(世界科学会議 1999)
1. 知識のための科学:進歩のための知識
2. 平和のための科学
– 科学的思考の特質は批判的かつ自由な思考にあり、これは民主主
義社会にとって不可欠のものである。科学者共同体は、国家や宗教
、民族を超越した議論共同体の伝統を作り上げてきており、これを通
じて「人類の知的、道徳的連帯」を促進すべきである。
3. 発展のための科学
4. 社会の中の科学と社会のための科学
– 科学研究と科学知識の利用は、貧困の克服、人間の尊厳や人権の
擁護、地球環境の保護を目指すべきであり、同時に将来世代への責
任も果たさなければならない。
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
1990年代における科学や技術の社会的
役割の再定義
1. 知識のための科学、あるいは応用とは無関係に知
的好奇心のもとに客観的な真理を探求するという
伝統的な科学観の相対化
2. 新たな役割として、経済的成長や発展に貢献する
任務と、地球環境問題や健康、安全、貧困などの
社会的諸問題の解決に貢献する任務の付与
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
「モード1科学」と「モード2科学」
モード1科学 モード2科学
主な目的 世界の解明 問題解決
典型的な分野 物理学・生物学など 環境学・情報学など
研究の担い手 大学が研究の中心 大学・政府・自治体・企業などの協
同が不可欠
価値規範 CUDOS(※)と呼ばれる科
学のエートスを重視
CUDOSより問題解決への有効性が
優先
(Gibbons et. al. 1994)
※CUDOS:「共有主義(Communalism)」「普遍主義(Universalism)」「利害の超越
(Disinterestedness)」「組織的懐疑主義(Organized Skepticism」
(参考 伊勢田 2011: 「科学の拡大と科学哲学の使い道」, 『もうダマされないための「科学」講義』所収)
ポスト・ノーマル・サイエンス
ポスト・ノーマル・
サイエンス
専門家への
委任
応用科学
高い低い
システムの不確実性
意思決定
に関与する
利害
低い
高い
「拡大されたピアレ
ビュー共同体」が必要
(ラヴェッツ 1999)
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
日本への導入の経緯
科学技術基本法(1995)
第五章 科学技術に関する学習の振興等
第十九条
•国は、青少年をはじめ広く国民があらゆる機会を通じて科学
技術に対する理解と関心を深めることができるよう、学校教
育及び社会教育における科学技術に関する学習の振興並び
に科学技術に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講
ずるものとする。
この段階ではまだ、「理解増進」「欠如モデル」
「PUS」的方針が全面に出されている。
2005年―日本における
科学技術コミュニケーション元年
• 文部科学省科学技術振興調整費
– 科学技術インタープリター養成プログラム(東京大学)
– 科学技術コミュニケーター養成ユニット(北海道大学)
– 科学技術ジャーナリスト養成プログラム(早稲田大学)
• そのほかにも
– 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)
– いくつかの大学での実践的プログラム
– 国立科学博物館、日本科学未来館などでの科学コミュニ
ケーター研修プログラム
– 研究者のアウトリーチ活動支援のための資金提供(科学
技術振興機構(JST))
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
日本における科学技術コミュニケーション
の特徴
• 「文部科学省科学技術振興調整費」という「国策」
による導入
• 「理解増進」から「コミュニケーション」へ
• 「アウトリーチ活動」の定義(科学技術基本計画)
– 国民の研究活動・科学技術への興味や関心を高め、かつ
国民との双方向的な対話を通じて国民のニーズを研究者
が供給するため、研究者自身が国民一般に対して行う双
方向的なコミュニケーション活動
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
大学での取り組み例
• ELSI
– Ethical, Legal and Social Issues [倫理的・法的・社会的問題]
• サイエンスカフェ
– 「科学にまつわる話題を討議するためのフォーラムであって、科
学のウィンドウショッピングではない。われわれは、人々が科学に
もっと具体的に関わり、何のための科学研究なのかを社会全体
で考えることのできるような環境をつくることを目指している」
(http://cafescientifique.org/)
• サイエンスショップ
– 市民からの研究・調査の依頼を受け、大学が学生や大学院生
の教育活動の一環として、その研究・調査を行うというもの。
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
日本の公的文書における科学技術コミュ
ニケーションの位置づけ
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの展開に関する政策動向
• 科学技術コミュニケーション活動の推進について、これまで政府は、累次の
基本計画に基づいて、科学技術の理解増進活動を中心に取組を強化して
きた(第1-2-1図)。
• まず、科学技術基本法制定後、平成8年度にスタートした第1期基本計画
では、「科学技術に関する学習の振興及び理解の増進と関心の喚起」とい
う項目を設けて、その重要性を示した
• 同年秋には、科学技術振興事業団(現:科学技術振興機構)に「科学技術
理解増進室」が設置され、「科学技術理解増進政策」の実施が本格的にス
タートした。
• 平成10年11月には、科学技術庁(当時)の科学技術理解増進検討会(座
長:中村桂子)からの提言「伝える人の重要性に着目して」が取りまとめら
れ、インタープリターの重要性、研究費の1%を理解増進のために配分する
ことなどを提言し、その後の施策検討の重要な柱になった。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
第1-2-1図/各科学技術基本計画における「科学技術と社会」との関わりと施策展開の流れ
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの展開に関する政策動向
• 引き続く、平成13年度からの第2期基本計画においては、科学技術と社
会に関する記述を更に深化させ、「社会のための、社会の中の科学技術」
という観点に立ち、科学技術と社会とのコミュニケーションを確立する必要
がある、として、「科学技術活動についての社会とのチャンネルの構築」及
び「科学技術に関する倫理と社会的責任」という項目を設け、「説明責任
は、研究者の責任と義務」と明記し、社会との双方向のコミュニケーション
の必要性を説いた。
• 平成16年7月、文部科学省科学技術・学術審議会人材委員会「科学技
術と社会という視点に立った人材養成を目指して」と題する提言において
、知識を生産する研究者、技術者だけでなく、知識を活用し社会へ還元す
る人材を養成することの重要性が提言され、さらに平成17年7月、文部科
学省の科学技術理解増進政策に関する懇談会(座長:有馬朗人)の報告
書「人々とともにある科学技術を目指して」で、「社会のための科学技術」
の実現のために、科学技術を分かりやすく親しみやすい形で人々に伝え、
対話を深めるアウトリーチ活動の推進、成人に身につけて欲しい科学技術
リテラシー像の策定等が提言された。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの展開に関する政策動向
• これらの動きを受けて策定された第3期基本計画では、基本計画としては
はじめて「社会・国民に支持される科学技術」として独立した章を設け、双
方向のコミュニケーション等の重要性をうたうとともに、「国民の科学技術
への主体的参加を促す施策を強化する」という新しい方向性も盛り込まれ
た。
• これまで、政府は、国民に自らの取組について理解を求めるといった一方
向のコミュニケーションになりがちであったと指摘されている。今後求められ
る科学技術に対する国民の理解と信頼と支持という地平にどのようにたど
り着くのか、双方向コミュニケーション活動の一層の拡大等、対応すべき課
題は多い。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの意義
• 科学技術コミュニケーションとは、国会、政府をはじめ研究機関、教育機関
、学協会、科学館、企業、NPO法人等の団体、研究者・技術者、国民・住
民等の個人などの間で交わされる科学技術に関するコミュニケーション活
動で、非常に幅広い内容を包含するものである(第1-2-2表)。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの意義
第1-2-2表/科学技術コミュニケーション活動の例
• 科学技術に関する報道
• 科学技術番組制作、放映
• 科学雑誌・科学書等の発行
• 科学技術に関する講演会、討論会、ワークショップ、サイエンスカフェ等
• 学校等における科学技術に関する授業
• 大学、企業、NPO法人等が行う地域の理科実験教室
• 科学博物館等での展示
• 科学技術に関する生涯学習講座
• サイエンスショップ(市民向け科学技術相談室)
• 政府、地方公共団体、研究機関、企業による各種広報活動
• リスクコミュニケーション
• テクノロジーアセスメント等への参加
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの意義
• 本章においては、これらの活動のうち、科学技術に関する専門家でない者
が、
– 合理的な価値判断を行うために必要な論理的思考や科学的なものの
見方
– 科学に対する関心や知的好奇心の充足
• 等を獲得することができる活動について主として取り上げる。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの意義
• このような科学技術コミュニケーション活動は、豊かで質の高い国民生活
の維持発展に向けた科学技術イノベーションを社会全体としてどのように
実現していくのかを考えることや、多くの若者たちを科学技術の道に惹き
つけることにつながるとともに、国民が、科学技術に関する政策や問題に
ついて合理的な判断を下せるようになり、持続可能な社会の発展に向け
た社会と科学技術の協働につながっていくと考えられるからである。
• このような科学技術コミュニケーション活動において中心的な役割を果たす
のが、科学技術コミュニケーターであり、専任、兼任、ボランティアであるか
を問わず、社会と科学技術をつなぐ存在として、近年、その存在意義が高
まっている。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの意義
• 加えて、研究者・技術者自身が科学技術コミュニケーション活動に携わるこ
とが、ますます求められるようになっている。
• これは、税金の支援によって進めている研究を広く国民に理解してもらい
、その成果や知見を社会に還元することに加えて、自らの研究に対して社
会・国民が抱いている様々な考え方を知ることで、研究者・技術者自身の
社会への理解を深めるという意味で極めて有意義である。
• これまで、研究者・技術者は、専ら研究者・技術者コミュニティの中だけのコ
ミュニケーションにとどまることが多かったが、今後は、科学技術コミュケー
ターと適切に協力・分担し、時には自身が科学技術コミュニケーターとなっ
て、このような活動に参加していくことが望まれる。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーションの意義
• 「社会とともに創り進める科学技術」を実現するための、社会と科学技術の
より良い関係は、国民の科学技術リテラシーと、社会の声を聞こうとする研
究者、技術者の姿勢、そして、それらをつなぐ、科学技術コミュニケーター
による科学技術コミュニケーション活動によって実現するものであり、透明
性が確保された情報提供を行う国や地方公共団体、研究機関、公平で正
確な情報を社会に提供するマスメディア、必要な情報の提供や意見交換の
場の設定を媒介する学協会等の科学者コミュニティやNPO法人等の不断
の努力によって支えられる(第1-2-3図)。
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
(平成23年版科学技術白書 第1節 科学技術コミュニケーションの可能性)
第1-2-3図/科学技術コミュニケーションの促進
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
1.我が国における科学技術コミュニケーション活動の現状(抜粋)
• これまで我が国の成人一般は、必ずしも科学技術への興味・関心が高くは
ないとの事実を示してきたが、一方で、平成22年は、多くの国民が「はやぶ
さ」の帰還に多大な関心を寄せ、科学技術に関するニュースが新聞等の社
会面を賑わすなどの社会現象がわき起こったのもまた事実である。
• 国民は、このような知的好奇心を掻き立てられる科学的話題に対しては関
心を示すとともに、地球環境問題や医療技術、食糧問題等について、科
学者や技術者の話を聞いてみたいと思う者の割合も最近高まってきている
(第1-2-19図)。
• しかし、「科学技術と社会に関する世論調査」(内閣府)を見ると、実際に
はそのような機会や場が少ないと感じられている(第1-2-20図)。また、
同調査では、「科学者や技術者は身近な存在であり、親しみを感じる」と思
う者の割合も約23%と少ない状況が示されている。
• このため、社会・国民と研究者・技術者等をつなぐ場の形成や科学技術コ
ミュニケーション活動の活性化が求められている。
• (平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
第1-2-19図/科学者や技術者の話への関心
問:あなたは、機会があれば、科学者や技術者の話を聞いてみたいと思いますか。
資料
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
第1-2-20図/科学技術への関心と理解を深める機会や場
問:あなたは、このような科学技術への関心と理解を深める機会や場は十分に
あると思いますか。
資料
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
4.サイエンスカフェ
• これまで見てきた活動以外にも、社会と研究者・技術者をつなぐ場として
の「サイエンスカフェ」の開催が挙げられる。ここで、「サイエンスカフェ」とは
、一般にお茶を片手に市民が気軽に研究者と対話する場を意味し、1997
年頃に英国やフランスで始まった活動"Cafe Scientifique"がその由来であ
ると言われている。
• また、日本学術会議では、サイエンスカフェを「科学の専門家と一般の人々
が、カフェなどの比較的小規模な場所で、科学について気軽に語り合う場
をつくろうという試み」として積極的に開催している。
• 我が国初のサイエンスカフェは、NPO法人日曜大学(当時)が平成16年10
月に開催したものと言われているが、その後、着実にその数を伸ばしており
、科学技術振興機構のサイエンスポータルに掲載されているものに限定し
て見ても、平成19年4月以降、その開催数は大幅に増加している(第1-
2-23図)。
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
サイエンスカフェの開催状況
資料
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(2)科学技術コミュニケーション活動を支える科学技術コミュニケーターについて(
抜粋)
• また、平成17年度より、科学技術に関する知識を豊富に持つコミュニケーター
やジャーナリスト等を養成するため、科学技術振興調整費において北海道大
学、東京大学、早稲田大学の新興分野人材養成ユニットに対して支援を行っ
てきた(課題実施期間は平成21年度までの5年間)。
• これら3大学の取組については、科学技術振興調整費プログラム実施課題の
事後評価において、多数の修了生が科学技術コミュニケーターとしての社会
活動を実践し、学内組織の新設により同ユニットの活動を継続・発展させてい
ること(北海道大学)、科学技術インタープリターという新たな人材像を提示し
、科学技術と社会の接点をつなぐ人材育成プログラムを開発したこと(東京大
学)、文理融合の新たな科学技術ジャーナリスト像を定義し、体系化されたカリ
キュラムを確立させ、さらには、プログラム修了後も我が国初のジャーナリズム
大学院を全学的支援の下に継続していること(早稲田大学)等につき評価さ
れている。
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(2)科学技術コミュニケーション活動を支える科学技術コミュニケーターについて(
抜粋)
• 国立科学博物館では、平成18年度より、主として大学院生を対象に、社会の
様々な場面で科学と一般の人々の架け橋となる人材を育成するため、「サイエ
ンスコミュニケータ養成実践講座」を実施している。
• このほかにも各大学において、科学技術に関する知識とコミュニケーション能
力を兼ね備えた人材育成を目指し、東京工業大学「科学技術コミュニケーショ
ン論」、名古屋大学「サイエンス・コミュニケーター育成事業」、大阪大学「科学
技術コミュニケーション入門」など、科学技術コミュニケーションの理論と実践を
学ぶための講座が設けられている。
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
【コラム】 多方面で活躍する科学技術コミュニケーター養成講座の修了生
• 茨城県水戸市在住の尾林彩乃さんは、北海道大学「科学技術コミュニケータ
ー養成ユニット」(CoSTEP)の2期選科修了生(受講期間:平成18年5月~平
成19年3月)。大阪在住(当時)ということもあり、遠隔受講が可能なCoSTEP
選科コースを選んだ。
• 尾林さんは、名古屋大学理学研究科素粒子宇宙物理学専攻(博士課程)に
おいて天文学を履修した後、兵庫県立西はりま天文台公園で3年間勤務。そ
の後、結婚退職し、しばらくは出産・育児に専念していた。
• ブログを通したCoSTEPの特任教員との出会いを機に、科学技術コミュニケー
ションを体系的に学び、市民との対話活動を実践しようと受講を決めたという
。
• CoSTEP修了後、早速、住んでいた大阪府堺市の子育て支援センターにおい
て、親と乳幼児(0~3歳)向けの体験教室「星の話を聞こう」を実践。水戸へ
転居してからも積極的な対話活動を進め、平成22年12月には、仲間と手作
りで「サイエンスカフェ水戸」をスタートさせた。
資料
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
【コラム】 多方面で活躍する科学技術
コミュニケーター養成講座の修了生
• 尾林さんは、「医療や食や育児など
の情報が氾濫しているが、何が正し
い情報かを市民が自ら考える機会
は限られている。子育てママさんの
ような科学に接点のなかった人でも
、気軽に科学に接し、他者の意見
を聞き、考える場が必要。
• 今後も地元のニーズに直結したテ
ーマでサイエンスカフェ等を開催し、
今まで科学に接点のなかった地元
住民と科学を語る輪を広げていき
たい」と語っている。
体験教室「星の話を聞こう」の実践風景
資料
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(3)科学技術コミュニケーション活動の更なる展開に向けて
1.科学技術コミュニケーションの充実に向けた課題(抜粋)
• 国民の理解と信頼と支持の下に科学技術イノベーション政策を進めていくた
めには、このような意味での双方向のコミュニケーション活動を一層充実させ
ていく必要があるが、参加者層の拡大や「双方向性」の充実が今後の課題と
言われている。
• そして、双方向のコミュニケーションを実現する前提として、政府、研究者・技
術者などの専門家は、信頼のおける情報を迅速かつ正確に社会・国民へ提供
し、知識の共有が図られるよう努めなければならない。
• また、アウトリーチ活動についても、現状では、必ずしも研究者個人の評価に
つながらないため、積極的活動のインセンティブが低い等の課題が指摘されて
いる。
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(3)科学技術コミュニケーション活動の更なる展開に向けて
1.科学技術コミュニケーションの充実に向けた課題(抜粋)
• さらに「科学技術の理解増進活動に係る実態調査」(文部科学省委託調査、
平成21年3月)によると、科学技術コミュニケーター自体の社会における認知
度は極めて低い結果となっている。
• また、科学技術コミュニケーションを専ら行う専属の者を1人も雇っていないと
する大学、研究機関は過半数にもおよび、今後、新たに雇用したいと答えた
大学・科学館も半数程度にとどまっている。
• 一方、同調査では、「研究活動を行う企業や大学が科学技術コミュニケーショ
ン活動を行う必要性」については9割近くが肯定しており、多くの者が、研究活
動やそこで得られた成果等を分かりやすく国民に伝える対話活動自体の必要
性や重要性については認めている。
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科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(3)科学技術コミュニケーション活動の更なる展開に向けて
1.科学技術コミュニケーションの充実に向けた課題(抜粋)
• 今後、科学技術コミュニケーターを通じた科学技術コミュニケーション活動につ
いて、社会における認知度を向上させるための方策を講じる必要がある。
• また、大学教員の年間平均の総職務時間に占める研究活動時間割合が減少
している中、先述のとおり研究者との役割分担において、各研究機関では、科
学技術コミュニケーション活動を専門的に担う人材としての科学技術コミュニ
ケーターの確保とそのキャリアパスの明確化を図る必要もあろう。
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(3)科学技術コミュニケーション活動の更なる展開に向けて
2.双方向コミュニケーションの一層の推進に向けた取組
• 今後、我が国の科学技術をより一層発展させるためには、科学技術の成果を
国民に還元していくとともに、研究者・技術者等、国民の共感と相互理解を得
て、社会と一緒になって科学技術を推進していくことが重要である。
• そのためには、科学技術がその影の側面も含めて社会・経済・政治などの関
連性の中で考えていくべきものであることを再認識しつつ、研究者等が社会と
向き合い、自らの研究活動が社会に及ぼす倫理的・法的・社会的影響とも真
摯に向き合って、一層、社会・国民と双方向のコミュニケーションを進展させて
いくことが必要である。
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(3)科学技術コミュニケーション活動の更なる展開に向けて
2.双方向コミュニケーションの一層の推進に向けた取組
• 総合科学技術会議では、平成22年6月19日、研究活動の内容や成果を社会
・国民に対して分かりやすく説明する、未来への希望を抱かせる心の通った双
方向コミュニケーション活動を積極的に推進するために、「『国民との科学・技
術対話』の推進について(基本的取組方針)」を取りまとめた。
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(3)科学技術コミュニケーション活動の更なる展開に向けて
2.双方向コミュニケーションの一層の推進に向けた取組
関係府省・配分機関:
– 当面、1件当たり年間3千万円以上の配分を受ける研究者を対象に、「国
民の科学・技術対話」に積極的に取り組むよう公募要領等に記載すること
– 「国民との科学・技術対話」に研究費の一部を充当できる仕組みの導入
– 「国民との科学・技術対話」は、中間評価、事後評価の対象とすること
大学・研究機関:
– 科学コミュ二ケーションの専門知識を有する専任教員や科学コミュニケータ
ー等の支援体制、地域を中心とした連携・協力体制の整備
– アンケートにより、難易度、満足度を確認し、質の高い活動を維持すること
平成23年版科学技術白書
科学技術コミュニケーション活動の現状と今後の展望
(平成23年版科学技術白書 第2節 社会と科学技術との新しい関係構築に向けて)
(3)科学技術コミュニケーション活動の更なる展開に向けて
2.双方向コミュニケーションの一層の推進に向けた取組
• 本方針では、「まず最先端研究開発支援プログラムにおいて『国民との科学・
技術対話』に取り組むこと」とされているが、この一環として、科学技術振興機
構では、「最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)」に選定された
研究者と高校生ら若者との双方向コミュニケーションを行う「FIRSTサイエンス
フォーラム~トップ科学者と若者で切り拓く未来~」を開催した。
• さらに科学技術振興機構では、科学館・博物館、大学・高等専門学校・公的
研究機関、地方公共団体、公益法人・非営利法人、非営利の各種団体、個
人等が国民に対して身近な場で実施する体験型・対話型の各種の科学技術
コミュニケーション活動の支援や、地域における科学技術コミュニケーション活
動を活性化させるため地域の様々な活動主体が情報を共有し相互に連携す
る地域ネットワークの構築の支援、全国規模のネットワークを通じ科学技術コミ
ュニケーション活動に効果的に活動手法を開発・普及する取組の支援を行って
いる。
第3期科学技術基本計画(2006~2010)
1. 科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への責任ある
取り組み
– 社会に開かれたプロセスによるルール作りが必要
2. 科学技術に関する説明責任と情報発信の強化
– アウトリーチ活動や双方向性のコミュニケーション
3. 科学技術に関する国民意識の醸成
– 科学技術リテラシーの強化
4. 国民の科学技術への主体的な参加の促進
– 各府省が、社会的な影響や国民の関心の大きな研究開発プロジェク
トを実施する際、その基本計画、研究内容及び進捗状況を積極的に
公開し、それに対する意見等を研究開発プロジェクトに反映させるた
めの取り組みを進める。
– →現代の科学技術研究は理工系の研究者の専決事項ではなくなり、
社会との対話を通じて遂行されるべき営みになりつつある。
(小林 2007: 「トランスサイエンスの時代」)
第4期科学技術基本計画(2011~2015)
Ⅰ.基本認識
3.第3期科学技術基本計画の実績及び課題
<国民に支持される科学技術> (抜粋)
• 科学技術が国民の期待により一層応えていくため、研究開
発で着実に実績をあげることは当然であるが、それと併せて
社会の要請を的確に把握する取組を進めるとともに、国民の
科学技術に対する理解と信頼と支持を得ることができるよう
、科学技術コミュニケーション活動等の取組を促進していく必
要がある。
(文部科学省 2011: 『第4期科学技術基本計画』)
第4期科学技術基本計画(2011~2015)
Ⅴ.社会とともに創り進める政策の展開
1.基本方針(抜粋)
• 東日本大震災、特に東京電力福島第一原子力発電所の事
故によって、我が国のリスクマネジメントと危機管理の不備が
明らかとなり、これが科学技術に対する国民の不安と不信を
生んでいる。
• (中略)科学技術イノベーション政策を「社会及び公共のため
の政策」の一環と明確に位置付け、これを政策推進の基本と
して、社会と科学技術イノベーションの関係の深化に向けて、
国民の政策過程への参画、リスクコミュニケーションも含めた
科学技術コミュニケーション活動を一層促進する。
(文部科学省 2011: 『第4期科学技術基本計画』)
第4期科学技術基本計画(2011~2015)
Ⅴ.社会とともに創り進める政策の展開
2.社会と科学技術イノベーションとの関係深化
(1)国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推進
③ 社会と科学技術イノベーション政策をつなぐ人材の養成及び確保
<推進方策> (抜粋)
• 国は、国民と政策担当者や研究者との橋渡しを行い、研究活
動や得られた成果等を分かりやすく国民に伝える役割を担う科
学技術コミュニケーターを養成、確保する。
(文部科学省 2011: 『第4期科学技術基本計画』)
第4期科学技術基本計画(2011~2015)
Ⅴ.社会とともに創り進める政策の展開
2.社会と科学技術イノベーションとの関係深化
(2)科学技術コミュニケーション活動の推進(抜粋)
• 科学技術イノベーション政策を国民の理解と信頼と支持の下
に進めていくには、研究開発活動や期待される成果、さらに
は科学技術の現状と可能性、その潜在的リスク等について、
国民と政府、研究機関、研究者との間で認識を共有すること
ができるよう、双方向のコミュニケーション活動等をより一層
積極的に推進していくことが重要である。
• このため、研究者による科学技術コミュニケーション活動、科
学館や博物館における様々な科学技術に関連する活動等を
これまで以上に積極的に推進する。また、これにより、科学技
術に関する知識を適切に捉え、柔軟に活用できるよう、国民
の科学技術リテラシーの向上を図る。
(文部科学省 2011: 『第4期科学技術基本計画』)
第4期科学技術基本計画(2011~2015)
Ⅴ.社会とともに創り進める政策の展開
2.社会と科学技術イノベーションとの関係深化
(2)科学技術コミュニケーション活動の推進
<推進方策> (抜粋)
• 国は、大学や公的研究機関等と連携して、科学技術の現状、
可能性とその条件、潜在的リスクとコスト等について、正確な
情報を迅速かつ十分に、国民に提供していくよう努める。
• また、国は、海外の事例を参考にしつつ、国民との間で、こうし
た問題に関する多層的かつ双方向のリスクコミュニケーション
活動を促進する。
• 国は、国民が科学技術に触れる機会を増やすため、地域と共
同した科学技術関連のイベントの開催、科学技術週間を活用
した研究施設の一般公開、サイエンスカフェの実施等を通じて
、双方向での対話や意見交換の活動を積極的に展開する。
(文部科学省 2011: 『第4期科学技術基本計画』)
第4期科学技術基本計画(2011~2015)
Ⅴ.社会とともに創り進める政策の展開
2.社会と科学技術イノベーションとの関係深化
(2)科学技術コミュニケーション活動の推進
<推進方策> (抜粋)
• 国は、各地域の博物館や科学館における実験教室や体験活
動等の取組を支援する。また、科学技術に関わる様々な活動
を行う団体等を支援する。
• 国は、大学や公的研究機関における科学技術コミュニケーショ
ン活動に係る組織的な取組を支援する。
• また、一定額以上の国の研究資金を得た研究者に対し、研究
活動の内容や成果について国民との対話を行う活動を積極的
に行うよう求める。
(文部科学省 2011: 『第4期科学技術基本計画』)
第4期科学技術基本計画(2011~2015)
Ⅴ.社会とともに創り進める政策の展開
2.社会と科学技術イノベーションとの関係深化
(2)科学技術コミュニケーション活動の推進
<推進方策> (抜粋)
• 国は、大学及び公的研究機関が、科学技術コミュニケーション活動の普及、
定着を図るため、個々の活動によって培われたノウハウを蓄積するとともに
、これらの活動を担う専門人材の養成と確保を進めることを期待する。また
、研究者の科学技術コミュニケーション活動参加を促進するとともに、その
実績を業績評価に反映していくことを期待する。
• 国は、学協会が、研究者による研究成果の発表や評価、研究者間あるいは
国内外の関係団体との連携の場として重要な役割を担っていることを踏ま
え、そうした機能を強化するとともに、その知見や成果を広く社会に普及し
ていくことを期待する。
• また、国は、研究者コミュニティーの多様な意見を集約する機能を持つ組織
が、社会と研究者との橋渡しや、情報発信等において積極的な役割を果た
すことを期待する。
(文部科学省 2011: 『第4期科学技術基本計画』)
第4期科学技術基本計画(2011~2015)
Ⅴ.社会とともに創り進める政策の展開
3.実効性のある科学技術イノベーション政策の推進
(4)科学技術イノベーション政策におけるPDCAサイクルの確立
②研究開発評価システムの改善及び充実
<推進方策> (抜粋)
• 国及び資金配分機関は、ハイリスク研究や新興・融合領域の
研究が積極的に評価されるよう、多様な評価基準や項目を設
定する。
• 研究開発課題の評価においては、研究開発活動に加えて、人
材養成や科学技術コミュニケーション活動等を評価基準や評
価項目として設定することを進める。
• また、それが有効と判断される場合には、世界的なベンチマー
クの適用や海外で活躍する研究者等の評価者としての登用を
促進する。
(文部科学省 2011: 『第4期科学技術基本計画』)
日本の科学技術コミュニケーションの課題
藤垣・廣野(2007)の議論を以下に紹介することをもって、日本の科学技術コ
ミュニケーションの課題を考える材料としたい。
• 欧州では、①反公害、反原発、科学技術批判からTAへ、②TAへの市民参加手
法へ、③市民運動の担い手がTA機関の担い手へ、④市民運動論が科学コミュ
ニケーション論へ、というようにつながっている。一方日本ではこれらの間にや
や不連続性がみられる。
• これは、日本の市民運動論や科学批判の中で、反体制図式と公共空間モデル
による現代の様式との間で整合性がとれていないこととも対応する。
• さらに欧州では、市民運動論と社会構成主義と「科学と民主主義」の三者の議
論が連動しているのに対し、日本では別々の文脈で語られる傾向がある。
• これらが、日本の現場における様々な論争の数々と、「科学コミュニケーション」
概念とが比較的離れたものとして語られてしまう状況を作り出し、日本の「科学
コミュニケーション」の痛みの欠如という意味での「生ぬるさ」につながっていると
考えられる。
(藤垣 廣野編 2007: 『科学技術コミュニケーション論』)
たとえば、日本のサイエンス・カフェは・・・
• 「253分の1」→2005年から福島原発事故の直前までに東
北地方において開催されたサイエンス・カフェのうち、原発を
話題とするカフェの頻度。
• その1回は、六ヶ所村で原子力をめぐる産学連携のテーマで
開催。原発の安全性の話題ではない。
• 安全性を話題にすると、問題が様々な事柄に否応なしに波
及せざるをえないことを、話題を提供する側の官、産、学セク
ターの関係者が承知していたという可能性を示唆する。
(松本 2012: 「構造災 科学技術社会に潜む危機」)
改めて、
科学技術コミュニケーションとは?
極めて多様な立場、多様な目的
1. 科学技術社会論
2. 理科教育
3. 研究者
4. 大学経営
5. 科学技術政策
6. 経済産業政策
7. ジャーナリズム・メディア
8. 一般市民
等々
科学技術社会論の立場から(1)
•科学に対する社会の意識の変化
– フェーズ1:科学技術による社会の発展
– フェーズ2:公害・薬害などの問題化、成熟社会化
– フェーズ3:科学技術は絶対善でもなければニュートラルで
もない
•科学の“負の側面”への対処
– 研究開発予算配分の妥当性検証(=入口制御)
– 研究倫理(=プロセス制御)
– 研究開発の帰結についての評価(=出口制御)
– リスクコミュニケーション
•社会構築主義に基づいた科学観
– 科学・技術は様々な意味において、「人間の価値観や社
会やから独立したもの」ではない
科学技術社会論の立場から(2)
•「双方向性」の重視
– 科学だけでは解決できない問題(=トランスサイエンス)
– 欠如モデルに対する批判
– 専門家と市民の双方向性のコミュニケーション
•「よき批判者」であるための市民の科学技術リテラシ
ーの向上
•科学者の「社会リテラシー」の重要性
•科学技術ガバナンスへの多様なステークホルダーや
市民の参加
理科教育の立場から(1)
•様々な問題に教育がどう応答するか
– 教育システム内部の問題
•子どもの理科離れ、学力低下、理科系学部への進学
率低下(←※これらは事実確認が必要)
– 教育システム周辺の問題
•国民の科学嫌い・無関心
•ニセ科学
•オウム問題 (地下鉄サリン事件(1995))
– 教育システム外部の問題
•欧米に対する基礎研究の遅れ
•科学技術立国としての日本の国際競争力の低下
科学技術についてのニュースや話題に関心があるか
(平成16年版科学技術白書)
資料
あなたは、科学技術についてのニュースや話題に関心が
ありますか。
内閣府「科学技術と社会に関する世論調査」(平成22年1月調査)
資料
科学技術に対して関心のある人の年齢別割合の推移
(平成16年版科学技術白書)
資料
「科学に触れることの面白さや楽しさが感じられなくな
っている」という意見についてどう思うか
(平成16年版科学技術白書)
資料
あなたは、機会があれば、科学者や技術者の話
を聞いてみたいと思うか?
(平成16年版科学技術白書)
資料
科学技術基礎概念の理解度
(平成16年版科学技術白書)
資料
以下のそれぞれの問題の最近の動向について、あなたがどの程度知っているか
を聞かせてください。
科学技術政策研究所「日・米・英における国民の科学技術に関する意識の比較分析―インターネットを利用した比較調査―」(平成23年3月)
資料
以下のそれぞれについて、「正しい」か、「誤っている」かをお答えください。
もし、あなたが知らない時や、自信がない時は、「わからない」とお答えください。
科学技術政策研究所「日・米・英における国民の科学技術に関する意識の比較分析―インターネットを利用した比較調査―」(平成23年3月)
資料
我が国における習熟度レベル別の科学的リテラシーの状況
(平成23年版科学技術白書)
資料
科学的リテラシーの習熟度レベルの分布(PISA2009)
(平成23年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
国名
次のことについて「そうだと思う」または「全くそうだと思う」と回答した生徒の割合(%)
問12 科学を学ぶことの楽しさ
(1)科学の話題について学んでいる時は、たいてい楽しい (2)科学についての本を読むのが好きだ (3)科学についての問題を解い
ている時は楽しい (4)科学についての知識を得ることは楽しい (5)科学について学ぶことに興味がある
平均 (1) (2) (3) (4) (5)
メキシコ 83 94 82 60 92 85
トルコ 73 79 75 53 78 78
ポルトガル 73 73 66 52 87 84
ハンガリー 65 75 61 46 71 72
イタリア 65 61 59 57 73 73
カナダ 64 73 54 49 73 72
フィンランド 64 68 60 51 74 68
フランス 63 73 48 43 75 77
ギリシャ 60 62 59 40 71 69
ニュージーランド 59 62 43 55 71 65
ベルギー 58 61 45 53 64 68
ノルウェー 58 64 48 47 69 62
日本(全国標本中3) 58 69 43 44 71 62
OECD平均 57 63 50 43 67 63
米国 57 62 47 41 67 65
スロバキア 56 70 51 34 71 57
英国 56 55 38 53 69 67
アイスランド 56 60 53 45 66 56
オーストラリア 56 58 43 49 67 61
チェコ 55 59 47 36 70 62
ルクセンブルグ 54 67 48 42 59 55
スイス 54 67 45 42 60 55
デンマーク 53 63 48 37 55 63
アイルランド 53 48 45 39 68 64
スペイン 53 59 45 27 63 69
スウェーデン 53 62 49 34 61 57
ドイツ 51 63 42 38 52 60
韓国 49 56 45 27 70 47
オーストリア 47 58 42 39 51 44
ポーランド 46 44 47 37 60 44
日本 45 51 36 29 58 50
オランダ 44 46 41 33 56 46
(PISA2006及
び日本の中3
調査結果より)
資料
当該科目を好きだと思う児童生徒の割合
(平成16年版科学技術白書)
資料
当該科目の勉強は入学試験や就職試験に関係
なくても大切だと思う児童生徒の割合
(平成16年版科学技術白書)
資料
科学技術についてのニュースや話題への関心と、
小中学校のころの理科の好き嫌いとの関係
(平成16年版科学技術白書)
資料
理科教育の立場から(2)
•科学技術コミュニケーションに、学校教育の補
完・支援・増強効果を期待
•教育関係者の動機は?
– 児童・生徒・学生のため
– 社会のため
– 科学のため(科学という優れた文化を伝えたい)
理系研究者の立場から
•研究(特に基礎研究)の魅力や重要性のアピール手段
•リソース(理系学部・研究室のポスト、研究費、人材)獲
得のためのコミュニケーション戦略
•後継人材育成のため
•ポスドクのキャリア多様化のため
– ポスドク支援(文部科学省 キャリアパス多様化促進事業)
•ルールへの対応
– 研究費の一定割合をアウトリーチ活動に
•研究倫理(研究プロセス責任、研究結果責任)
•科学のため(科学という優れた文化を伝えたい)
「科学者や技術者は身近な存在であり親しみを
感じる」という意見についてどう思うか?
(平成16年版科学技術白書)
資料
国民への説明機会の増減
(平成16年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成16年版科学技術白書)
資料
研究者のアウトリーチ活動に対する意識
(平成16年版科学技術白書)
大学経営の立場から
•大学の広報戦略の一環
– 受験生獲得
– 外部資金・寄付金の獲得
– ブランディング
•広報・研究支援人材の増強
•産学連携の促進
•新分野創設による資金獲得・ポスト確保
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
科学技術政策の立場から
•科学技術イノベーションのため
•研究開発人材育成のため
•研究支援人材の育成のため
•文部科学省の予算獲得のため
– 国民の理解・支持
– 財務省の理解・支持
社会・経済的ニーズの把握について
(平成16年版科学技術白書)
資料
社会・経済的ニーズの把握方法について
(平成16年版科学技術白書)
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
経済産業政策の立場から
•国家財政の悪化、国際競争力の低下への対応
•「科学技術イノベーション立国」の実現
– 科学教育の充実
– 若年層への理工系キャリアのアピール
– 国民の科学技術への理解増進
– 「役に立つ研究」「課題達成型研究」の促進
– 「基礎研究→応用研究→ビジネス」のプロセス促進
– 科学技術イノベーション推進
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
(平成25年版科学技術白書)
資料
ジャーナリズム・メディアの立場から
•マーケット
– 国民の科学技術への関心増大
→科学雑誌、科学書の売り上げ増
– 国民の科学技術リテラシーの向上
→「よい読者」「よいマーケット」の醸成
•コンテンツ
– 研究サイドからの質の高い科学コンテンツの供給
•人材
– より多くの、質の高い科学ジャーナリストやサイエン
スライターの供給
科学・自然関係テレビ番組の視聴頻度
資料
一般市民の立場から(1)
•科学技術に対する知的好奇心
•合理的・文化的な市民生活をおくるための学
習機会
•子どもへの理数系教育機会の提供
•進路選択・職業選択のために必要な科学技
術関連キャリアの情報
•国民として、経済発展や生活水準の維持向
上への期待
我が国の科学館・博物館の数・職員・入館者の推移
(平成16年版科学技術白書)
資料
あなたは、機会があれば、科学者や技術者の話を聞いてみ
たいと思いますか。
(平成23年版科学技術白書)
資料
あなたは、このような科学技術への関心と理解を深める機
会や場は十分にあると思いますか。
(平成23年版科学技術白書)
資料
あなたは、ふだん科学技術に関する情報をどこから得てい
ますか。(複数回答可)
(平成23年版科学技術白書)
資料
ふだん科学技術に関する知識をどこから得ているか?
(平成16年版科学技術白書)
資料
緊急事態が発生した場合の最も信用できる情報源
(平成16年版科学技術白書)
資料
「科学技術に関する知識はわかりやすく説明され
ればたいていの人は理解できる」と思うか?
(平成16年版科学技術白書)
資料
科学技術について知りたいことを知る機会や情報を提
供してくれるところは十分にあると思いますか?
(平成16年版科学技術白書)
資料
「科学技術は、人類に新たな知識をもたらすという意味
で不可欠である」という意見についてどう思うか?
(平成16年版科学技術白書)
資料
「日本が国際的な競争力を高めるためには、科学技術を発展さ
せる必要がある」という意見についてどう思うか?
(平成16年版科学技術白書)
資料
一般市民の立場から(2)
•科学技術関連情報が適切に与えられていな
い不満・不安・不信
– 科学技術に関連するさまざまな社会問題への関
心/科学技術への不信感
– 納税者としての科学技術関連予算の適正配分/
適正使用への関心
•食・医療・環境分野などでの自己決定のため
の情報ニーズ
•科学技術に関する意思決定への参画
理解増進に必要な取り組み
(平成16年版科学技術白書)
資料
国民の科学技術情報の入手先と
科学者等の情報発信場所について
(平成16年版科学技術白書)
資料
科学技術情報に関して信頼する提供元(英国)
(平成16年版科学技術白書)
資料
自然と人間の関係
(統計数理研究所「国民性の研究 第11次全国調査」)
資料
科学技術の発展には、プラス面とマイナス面があると言われてい
るが、全体的に見た場合、あなたはそのどちらが多いと思うか
(平成23年版科学技術白書)
資料
科学者や技術者に、科学技術のどのような話を聞いてみたいか
(平成23年版科学技術白書)
資料
「国民生活選好調査」における「安全・安心」に関連する項目の
順位の推移
(平成23年版科学技術白書)
資料
科学技術に関する政策形成には、専門家だけ
でなく国民自身の参画がより一層必要となって
くるか?
(平成16年版科学技術白書)
資料
科学技術コミュニケーションの定
義は、極めて難しい!
極めて多様な立場、多様な目的
「呉越同舟」
科学自体の価値
科学の客観性
科学技術の促進
プロ・サイエンス
役に立つ科学
科学の社会構築性
科学技術の規制
アンチ・サイエンス
共有できる最小限の前提は?
日本においては、科学技術コミュニケ
ーションという名の下に
•従来それぞれの分野でそれぞれの目的の下に
行われてきた活動が、ある時期(2005年頃)を
境に突然「科学技術コミュニケーション」という
言葉でグルーピングされている状況。
多様な立場の共存
•科学技術に関するコミュニケーションが量的・
質的に充実することで、様々な課題が解決さ
れる(事態がよりよい方向に進展する)という
仮説の下に、共存している。
•民主主義や市場経済の意思決定機能・計算
機能に対する基本的信頼のようなものかもし
れない。
– ※もちろん、同時にこれらのシステムの欠点も受け継いで
いる可能性がある。
•あるいは、「インターネット」に対する全体的に
ポジティブな期待のようなものかもしれない。
このことをふまえて、
あえて科学技術コミュニケーションを
定義するとしたら・・・
3つの視点
1.成立過程
– 個々の実践者の視点から見たとき、どのよ
うにして成り立つ(べき)ものなのか
2.機能
– どのような機能を果たすことを期待されて
いるか
3.目的
– 最終的に何を目指すのか
科学技術コミュニケーションの定義(1)
―「成立過程」の視点から
1. 「メタレベルの視点」を獲得する
2. 「文脈への敏感さ」を身につけ、他者の文脈を発見する
3. 他者の文脈を理解し、「上位の共通文脈」を発見する
4. 協同的に問題解決にとりくむ
1.「メタレベルの視点」を獲得する
•科学技術に多様な立場で関わる人々が、
•単に自らの置かれた立場にとどまるのではなく、
•メタレベルの視点から俯瞰することにより、
•自らの立場を規定していた枠組みを越える視野を持ち、
2.「文脈への敏感さ」を身につけ、
他者の文脈を発見する
•自らの立場の周囲に広がる文脈を観察し、
•「文脈への敏感さ」を身につけると同時に、
•さらに、文脈を異にする他者を発見し、
3.他者の文脈を理解し、
「上位の共通文脈」を発見する
•互いが、他者の特有の文脈を自らの文脈との関連で
理解することにより、
•それらの他者と共有できる「上位の共通文脈」を発見
する。
4.協同的に問題解決にとりくむ
•その「上位の共通文脈」を前提として、(互いの元々
の立場の違いは認めつつも)協同的に問題解決にと
りくむ。
•科学技術に関する社会システムの「集合的意思決定機能」を向上
させるための、多様なアクターの参加によるコミュニケーション実践
1. 科学技術の適正な研究・開発・利用を促進する人的・情報的基盤整備
• 人材育成→科学教育(フォーマル/インフォーマル)
• 情報流通→科学報道、科学書・科学雑誌の出版
2. 科学技術に関する政策立案・政策執行
• 科学技術政策(研究開発への資金配分、研究(/研究関連)人材育成)
• 産業政策、イノベーション政策、知財戦略
• 納税者へのアカウンタビリティー(例:研究者・研究機関のアウトリーチ活動、各
種報告書、関連統計、研究成果、政策に関する意思決定プロセスの公開)
3. 「社会の中の科学技術」に対する参加型評価
• 参加型テクノロジーアセスメント(例:コンセンサス会議、討論型世論調査)
• 規制科学(regulatory science) (参照:ELSI(倫理的・法的・社会的問題))
•→ 「参加」による「計算」機能の向上
科学技術コミュニケーションの定義(2)
―「機能」の視点から
1. 科学技術によって私たちの社会
にもたらされる正の価値を最大
化し、負の価値を最小化する。
2. 科学技術が深く埋め込まれた現
代の社会システムに対する市民
の信頼を向上させる。
正当性の実現
正統性の実現
以下の二つの目的を持つ、コミュニケーション領域に
おける実践全般
科学技術コミュニケーションの定義(3)
―「目的」の視点から
≠「言いくるめる」
=「信頼せよ、しかし検証せよ(Trust, but verify.)」
科学技術コミュニケーションの「構成要素」分類試案
促進的 調整的 規制的
理
論
科学教育学、技術経営学、情報デザイ
ン論、博物館学、高等教育学
科学技術社会論、規制科学
政
策
科学技術研究政策、イノベーション政策
産業政策、知財政策
教育政策
許認可・規制政策
リスクマネージメント政策
実
践
科学教育、科学博物館等の活動、科学
イベント、サイエンスカフェ
サイエンスアート、科学の可視化
アウトリーチ活動、研究機関広報
研究助成
技術系企業の事業活動そのもの
技術系ベンチャー、ベンチャー支援
環境教育
行政による監督(許認可・規制・検査等)
リスクコミュニケーション
参加型テクノロジーアセスメント
サイエンスショップ
市民科学、市民運動
(研究助成組織)
政策のための科学、科学史、科学哲学、科学基礎論、科学社会学、情報科学
エスノグラフィー、コミュニケーション論、社会心理学、サービスサイエンス
科学ジャーナリズム、科学技術に関する出版・放送・インターネットメディア
大学経営、FD、URA、科学技術に関するNPO・NGO
科学技術コミュニケーション政策
(※各要素は、必ずしも配置されているマスのみに該当するものではない。
また、この分類は、「本質論」「規範論」というよりは「現状記述」として用いるのがよい。)
科学技術コミュニケーションの
三つの次元(例)
促進的 規制的
理論
実践
政策
ミクロ
マクロ
メゾプレゼンテーション
等のスキル活用
情報デザ
イン論
科学技術社会論
エスノグラフィー
調整的
イノベーション
政策
コミュニケー
ション論・
社会情報学
交渉術
•各要素は、三次元の図の内部に
描けないので、必ずしも適切に配
置されているわけでは無い。また、
必ずしも配置されている位置のみ
に該当するものではない。
•また、この分類は、「本質論」「規範
論」というよりは「現状記述」として
用いるのがよい。
科学技術コミュニケーションにおける
理論・政策・実践の関係性
理論
政策 実践
•必ずしも理論→政策→実践という直線
的な因果関係を主張するものではない。
•特定の理論を前提としない政策立案に
基づいた実践、理論に基づいた、政策を
経由しない実践、特定の理論・政策にも
基づかない内発的動機に基づく実践な
ど、様々なケースがありうる。
•また、実践から政策・理論へのフィード
バック、政策から理論へのフィードバック
も存在する。
•この場合の「フィードバック」とは、観察に
よる現状把握と状態記述、ニーズの把握、
批判的検討、形式知化・体系化などを指
す。
「理科離れ」「科学嫌い」
問題を考えてみる
ちょっと角度を変えて
「理科離れ」「科学嫌い」
•何が起こっていることを「理科離れ」「科学嫌
い」と呼ぶのか?
•それは本当に起こっているのか?
•それが起こることは悪いことなのか?誰にとっ
て、なぜ悪いのか?
•悪いとしたら、どうすべきなのか?
•そもそもどうにかできることなのか?
「理科離れ」「科学嫌い」の実態は?
•国際調査ROSE(The Relevance of Science
Education, 2004)
•日本の中学三年生
– 「理科好き」「理科嫌い」「興味はあるけど他の教科
のほうが好き」→ほぼ3分の1ずつ
•「理科好き」の生徒
– 科学者やテクノロジー関係の仕事には就きたくな
い→3分の2
「理科離れ」「科学嫌い」の実態は?
各種国内・国際調査の結果を概観すると
•児童・生徒の理数系科目の学力はそれほど落ち
ていない。
•理数系科目を学ぶモチベーションが高かったり、
理数系科目を楽しいと思っている児童・生徒は、
高学年になるほど少ない。また、諸外国に比べて
相対的に少ない。
•国民(18歳以上)の科学技術への関心や「楽し
いと感じる度合い」は、概していずれも高年齢層
の方が高い。
•国民(18歳以上)の科学技術リテラシーや科学
技術への関心は諸外国に比べて相対的に低い。
そもそも、理科・科学は役に
立つのだろうか?
理科・科学が「役に立つ」とは?
個人にとって
• 受験
• 生活 (市民の科学リテラシー)
• 仕事 (職業選択・スキル)
• 研究
• 頭を鍛える
• 精神生活を豊かにする (文化としての科学)
• いつかきっと何かの役に立つはず
• 「役に立たないこと」をやることに意味がある
理科・科学が「役に立つ」とは?
社会にとって
• 産業振興、経済発展、健康・医療・福祉水準の
向上、国力増強
• 地球環境問題、資源エネルギー問題、地球規模
の感染症、難病、人口問題、先進諸国の少子高
齢化問題等の解決
• それに伴う国民・人類の生活の質の向上
• 国民・人類のリテラシー向上による合理的・適切
な意思決定の促進
• 文化の醸成、人類の知的資産(叡智)の蓄積
さらにそもそも、
理科「教育」、科学「教育」とは?
「理科」は「科学教育」か?
•理科という教科の中には、科学的な自然世界の理
解の仕方とは異なった自然世界の理解の仕方が無
意識のうちに含まれている。
•「土着科学」
•地域の身近な自然との「かかわり」を重視
(小川 2006 『科学と教育のはざまで』)
「科学」はどこで教える?
•「国語」「英語」「社会」の教材に「科学的内容」
が数多く含まれている。
•これらを活用した科学教育はできないか?
科学教育を「理工系科目」の中だけに囲
い込まないほうがよいのかもしれない。
(小川 2006 『科学と教育のはざまで』)
さらにさらにそもそも、
「科学」とは何か?
そもそも「科学」とは何か?
•科学の本質とは?
•科学は何故大切なのか?
•「科学」と「理科」の関係は?
•人文科学や社会科学は自然科学と同じ意味で
の「科学」なのか?
•科学かどうかは方法で決まる?対象で決まる?
伝統的知識 vs 科学
•伝統的知識
– 自然環境との間での長年にわたる相互作用を行
ってきている人々によって開発され維持されてき
た知識、ノウハウ、実践表象の累積的総体
•科学
– 特定の世界観に立脚しており、文化的真空の中
に価値中立的に存在するものではなく、その点で
は伝統的知識との間に質的な違いはない
(国際科学会議(ICSU: International Council for Science)レポート 2002)
偽科学 vs 科学
•偽科学を科学から峻別する明確で十分な一
般性を持った切れ味鋭い一つの普遍的基準
を見いだそうという初期の希望は未だに達成
されていない。
•科学内部の学問分野に、過去に想起されて
いたよりもはるかに大きな非類似性が存在す
るようになっている。
•ある一つの科学的方法といったものによるア
ピールで科学というものの統一性を主張する
のはほとんど望み薄。
(国際科学会議(ICSU: International Council for Science)レポート 2002)
偽科学 vs 科学
•科学
– 認識論的側面で、その知識を改善・改良していこ
うとする動的力学がもともと内蔵されている。
•偽科学
– 必ずそれに対応し、しかも対立する科学の領域が
存在する。
– その知識は静的で、組織的にその知識を吟味しよ
うといった自己内省的な試みはなされないので保
守的である。
(国際科学会議レポート 2002)
伝統的知識 vs 偽科学
•伝統的知識
– 科学と争おうという意図を持たない。むしろ、科学
に対して情報を提供してきている。
•偽科学
– 科学と同等の認識論的地位を得ることによって現
存する科学的知識を少なくとも部分的には非合
法化させようとする。
(国際科学会議レポート 2002)
科学を教える場合の問題点
•「これが科学だ」と簡潔に言えるような定義は存在し
ない。
•「科学的見方」とか「科学的考え方」を身につけさせ
るのが理科の大きな目標になっている。
•統一的な「科学的見方」や「科学的な考え方」そのも
のが見出されていないとすれば、理科では何を科学
として教えればいいのか。
•科学のどのような側面が一般教養としての教育的価
値を持っているのか。
(小川 2006 『科学と教育のはざまで』)
「科学」の定義は可能か?
科学の「境界設定問題」
•何が科学で、何が科学ではないか、という「境界設定問題
」は、古くから多くの学者によって問われ、現在においても
科学哲学の主要テーマの一つとなっている。
•裏返せば、それほど科学の定義は難しい。
•実験や証拠の妥当性や統計の扱い方、信頼性の担保など
、個別の科学、個別の問題解決領域毎に共有されている
基準が異なる。
•科学の実態は極めて多様であるので、あらゆる分野の科
学を統一的に扱えるような一般的境界(=定義)は存在し
ない、というのが現代の科学哲学の一応の常識。少なくと
も個別の科学毎に異なる。
※引用(一部改変) 伊勢田 2011: 「科学の拡大と科学哲学の使い道」, 『もうダマされないための「科学」講義』所収)
※参考 戸田山 2011『「科学的思考」のレッスン 学校で教えてくれないサイエンス』
科学の「境界設定問題」
•むしろ「個別科学毎の科学哲学」を目指した方が有望
との主張もある。
•「社会的な望ましさ」を判断基準に組み込む、「質保証
」として科学を用いる、などの方法が提案できる。
•一方で、殆ど全ての科学や問題解決領域に共通な中
間的な方法論のようなものはある程度想定できる。例
えば、それぞれの問題解決領域において、探求の目的
や利用可能な研究手法に由来する制約条件の下で、
最も信頼のおける手法を用いて情報を生産しようとし
ているかどうかという「態度」を問う。
※引用(一部改変) 伊勢田 2011: 「科学の拡大と科学哲学の使い道」, 『もうダマされないための「科学」講義』所収)
科学・技術・工学の「理念型」
•科学
– 自然の中に見つかるいろいろな事実とそれらの間に成り
立つ関係や法則性について研究し、明らかにする学問
– 功利的な目標、価値の追求に対する要求は無い
•技術
– 科学研究の成果を実用的な目的のために利用するもの
•工学
– 科学の成果を基礎として得られた技術を体系化した学問
(桜井 1995 『自然科学とは何か』一部改変)
科学・技術・工学・社会(試案)
科学
技術(※「社会技術」を含む)
工学
経験則
科学的根拠
学問的体系
支援
テクノロジー 実用性提供・産業創出
自然体験
社会
支援
支援
支援
文化
経験知
※図の各要素は必ずしも明確に
切り分けられるものではない。特
に、現代においては科学と技術は
一体不可分であるとする議論が
主流である。
科学は対象か?方法か?
科学は、“解けるものを解く技術(Art)”
-P. Medawar (1987)
1. 科学は方法
2. 科学的方法を適用できる対象は限られている
「対象」が科学的方法の「象徴」になった?
– 「宇宙」は「科学」か?
– 「人間の精神」は「科学」か?
科学・技術・工学の「社会的機能」
•元々は、物質から(人工物を介して)価値を生み出すこと
•価値とは?
– 食料、材料、エネルギー
– 別の人工物(物質・情報)、製品、機能、サービス、経験
•科学・技術・工学の発展によって、物質以外の環境(社
会・情報・心理環境等)が拡大
→「物質以外の環境から価値を生み出す方法」の重要性が増大
•科学的方法の「象徴」となっていた伝統的な「対象」が、
実態に合わなくなってきた?
再び「理科離れ」「科学嫌い」
について考える
何に取って代わられたのか?
•もし仮に「理科離れ」「科学嫌い」が事実として生じて
いるのであれば、人々は「理科・科学から離れた」代
わりに、何に関心を持ち、何に時間を費やし、何を学
んでいるのか?
•関心と時間は有限
•我々は関心や時間のポートフォリオを組んで生きてい
る。
関心の対象の変化
•個人や社会集団は、つねに関心の対象を変化させ
ている。
•環境への適応の結果。必ずしも悪いことではない。
•もしかして、「科学的方法の「象徴」となっていた伝統
的な「対象」」から関心が離れただけでは?
•我々は今までとは異なる新しい対象に「科学的方法
」を適用している?
•一方で、これまでと同じ対象に、「科学的方法」以外
の方法を適用している?
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸Ver.3(講義後修正)
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