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プログラミングを取り入れた
「データの活用」の授業プログラムの開発
古林 智美1) 2) 藤川 大祐2) 阿部 学3)
和田 翔太1) 竹内 正樹1) 脇坂 亜希1) 今野 奈穂子4)
NPO法人企業教育研究会1) 千葉大学2)
敬愛大学3) 日鉄ソリューションズ株式会社4)
日本教育工学会2019年秋季全国大会
一般研究2 P2-1F-08
1. はじめに
2020年度新学習指導要領 第6学年 算数「D(1)データの活用」
(1)データの収集とその分析に関わる数学的活動を通して、次の事項を身につけることができるよ
う指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 代表値の意味や求め方を理解すること。
(イ) 度数分布を表す表やグラフの特徴及びそれらの用い方を理解すること。
(ウ) 目的に応じてデータを収集したり適切な手法を選択したりするなど、統計的な問題解決の方法
を知ること。
イ 次のような思考力、判断力、表現力等を身に付けること。
(ア) 目的に応じてデータを集めて分類整理し、データの特徴や傾向に着目し、代表値などを用いて
問題の結論について判断するとともに、その妥当性について批判的に考察すること。
「従来と比べ格段に統計教育的な内容が盛り込まれていることが見込まれる」
富永(2017)
課題:授業内での考察時間の確保
・従来は児童の手作業で表やグラフを作成している。
・しかし、統計的考察まで行おうとすると限られた授業時間内では困難だろう。
提案:コンピュータの利用
・文部科学省「コンピュータなどを用いてグラフを作成するよさに触れることも
大切である」(学習指導要領解説より)
・中学校ではコンピュータを活用した実践が行われている。(森光(2018)など)
しかし小学校では未だ数が少ない。
・新学習指導要領に向けた、プログラミング教育の授業開発の必要性。
データを考察するためにはどのような処理やグラフ等の表示をコンピュータに
させればよいかを考えていくことは、プログラミング的思考の一つ。
<データの処理と相性の良いツール>
K3Tunnel (ケイサントンネル)
HP: https://k3tunnel.com/index.html#
計算することを得意としたビジュアル・プロ
グラミング・アプリケーション 。
PCにどのような指示を出すのか視覚的に理解
しやすい。
インターネット環境があればどの端末からで
もアクセスが可能。
2. 授業プログラムの開発
現行の教科書
学習内容が表・グラフの作成に終始。課題に対して結論を出すことは稀。
→ 統計的考察を重視のためには
● 児童がデータを考察し、結論を出すような課題を設定することが必要。
* 意欲を喚起するような課題の工夫も。
プログラミングの導入
→ 児童の様々なプログラミング経験を想定。
● プログラミングにほとんど触れたことのない児童でも、
プログラムを組み、データの考察まで到達できるような工夫が必要。
2.1. 方針
富永(2017)
日鉄ソ リ ュ ーショ ンズ株式会社
通し ょ う : NSSOL
役職: システムエンジニア
名前: 今野奈穂子
とある小学校の「探偵クラブ」の一員となって、
依頼解決をするためにデータ分析をしていこう!
2.2. 教材の開発
児童らの興味を喚起するために,クラブ活動が盛んな架空の小学校の「探偵クラ
ブ」の部員となり,依頼者の相談にのるというストーリーに沿って課題を提示。
依頼(課題)はアニメーションで提示
これまでプログラミングに触れたことのない児童でもデータの考察まで
到達できるようチュートリアルを設ける。
・基本的な操作方法を伝えれば、自分
たちのペースで進めることができる。
・「ヒント動画」や「出来上がり例」
を参考にして進められるので教師の補
助も少なくて済む。
・チュートリアル後は児童自身で自由
にブロックを組み,より複雑なプログ
ラミングをすることも可能 。
2.3. 児童の活動について
【1時間目】
ねらい
・代表値について学ぶ。
・コンピュータを使うことで、効率
良くデータ分析をすることができる
ことを理解する。
時配 授業の内容
3分 本時のテーマを知る
・導入のアニメーションを視聴する。
5分 依頼1「新聞マニアからの依頼」
・依頼1のアニメーションを視聴する。
・依頼に関わる情報を知る。
7分 代表値について学ぶ
・最小値、平均値、中央値、最頻値につ
いて学習する。
25分 K3Tunnelを使って代表値を求める
・基本的な使い方を全体で学んだ後、ペ
アでチュートリアルに沿ってプログラム
を組んでいく。
・組んだプログラムを使って、4人の選
手の代表値を求める。
5分 依頼1の振り返り
2.4. 授業プランについて
依頼解決の鍵
各新聞クラブが「一番速い人」をどんな代表値を使って決めたのか
→ 代表値(最小値、平均値、中央値、最頻値)の学習へ
プログラミングについて
チュートリアルを通して組むプログラム 表示される結果
4人分の最小値、平均値、中央値、最頻値を
求めるプログラムを組む。
プログラミングを利用することで、一気に
データを処理できる。
そのため「1番速い人」の基準が異なれば、
使う代表値も異なることの学習が可能。
時配 授業の内容
3分 依頼2「水泳クラブからの依頼」
・依頼2のアニメーションを視聴する。
・依頼に関わる情報を知る。
5分 ヒストグラム(柱状グラフ)について学ぶ
28分 K3Tunnelを使ってヒストグラムをかいた
り代表値を再計算したりし、代表選手を
選ぶ
・ペアでチュートリアルに沿ってプログ
ラムを組んでいく。
・プログラムによって出されたヒストグ
ラム・代表値を参考にしながら、それぞ
れの選手の分析を行い、代表選手を選ぶ。
5分 意見共有(発表)を行う
・誰を代表選手にすると考えたのか、理
由も含めて全体で共有する。
5分 依頼2と本時の振り返り
ねらい
・ヒストグラム(柱状グラフ)につ
いて学ぶ。
・データ分析は身の回りのさまざま
な場面で活用されていることを知り、
目的に応じて適切に行うことが重要
であることを理解する。
【2時間目】
それぞれの選手の特徴を分析し、大会にマッチした選手を選ぶ
→ ヒストグラム(柱状グラフ)の学習へ
依頼解決の鍵
プログラミングについて
チュートリアルを通して組むプログラム 表示される結果
4人分のヒストグラムと代表値を表示するプ
ログラムを組む。
表示された結果から選手の特徴を分析したら、
代表選手を1人選び、全体で発表する。
45分内でデータの処理からそれぞれの選手の
特徴の分析・判断までが可能。
3. 検証授業 *不備なく回収できた31名分のアンケート結果をもとに分析
対象:千葉県船橋市の公立小学校 6年生33名
プログラミング経験があると事前
アンケートで回答したのは8名
だったが、どの児童も大きな問題
なく進められていた。
Q データを分析するときにプログラミングは
役に立つと思いますか?理由も教えてください。
プログラミング活動の設定は概ね適切であった。またデータ分析におけるプログ
ラミングの有用性を一定程度、児童に感じさせることができると言える。
しかし、すべての児童に感じさせるにはこのような授業を継続的に行う必要があ
るだろう。
理由では「素早く正確に計算・分析できるか
ら」という内容がほとんどであった。
( n = 31 ) ( n = 31 )
Q あなたは、授業で取り上げた次の内容について、どれくらい理解できましたか。
依頼2「誰を代表選手に選べばよいか?」
全17ペアの結果
アキラ:0 イクト:1 ウシオ:2 エリカ:1
どのペアも分析までたどり着き、話し合うことがで
きていた。一方、児童たちの分析結果は「エリカ」
に偏った。この点については分析対象となるデータ
の見直しが必要。
児童の内容理解に関する自己評価は高かった。WSや授業の様子からも扱った内容は妥当だ
と考えられる。一方でヒストグラムに関する理解が比較的低かった。実践は2時間で展開し
たが、実態に即してより多くの時間を割いて展開することも必要である。
( n = 31 ) ( n = 31 ) ( n = 31 ) ( n = 31 ) ( n = 31 )
参考文献
・富永雅(2017)「次期学習指導要領での新領域「データの活用」における一考察―小学校算数第6学年の『データの考
察』を通して―」,岡山大学算数・数学教育学会誌『パピルス』,第24号,pp.47-52
・森光優(2018)「ICTを積極的に活用した中学校統計授業の実践」,日本科学教育学会研究会研究報告,Vol.33,No.5,
pp.11-14
・文部科学省(2017a)『小学校学習指導要領』 ・文部科学省(2017b)『小学校学習指導要領解説』
Q 授業では新聞マニアや水泳クラブからの依頼に応えながら学習しました。
その感想として当てはまるものすべてに丸をつけてください。
面白
かった
面白くな
かった
依頼が
単純
依頼が
難しい
わかりや
すい
わかりに
くい
やる気が
出た
やる気が
下がった
もっとやってみ
たい
もうやりた
くない
29 0 5 5 20 1 16 1 25 0
授業中も真剣にアニメーションをみる様子が確認できた。また否定的な回答をしていた児
童も「面白かった」など肯定的な項目にも丸がついていた。ストーリーを導入した教材に
よって、多くの児童の授業へのモチベーションが高く保たれたと考えられる。
「授業が楽しかった」や「もっとプログラミングをする時間が欲しかった」とプロ
グラミングに対する関心や意欲が上がったとみられる感想が多かった。
( n = 31 )
「児童がストーリーに引き込まれながら、必然性を感じてプログラムの操作やデー
タ分析を行っていました。作業のヒント動画やペアワークなど、児童がつまずきを
感じにくいように授業が進められていきました。プログラミングと聞いて、私たち
教員もはじめは身構えていましたが、プログラミング教育の難しさが薄れたように
思います。」
参観していた
担任教諭
児童の
自由記述

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0905jset2019「プログラミングを取り入れた「データの活用」の授業プログラムの開発」

Editor's Notes

  1. 富永(2017)が指摘するように現行の教科書では,学習内容が表やグラフの作成に終始しているためにデータを柱状グラフなどで表し特徴を捉えたとしても,児童が課題に対して結論を出すことは稀である。しかし,統計的考察を重視するのであれば,児童がデータを考察し結論を出すような課題を設定するのが望ましい。その際,考察し結論を出したいと児童が思うような課題の工夫も必要だろう。 また,これまでプログラミングにほとんど触れたことのない児童もいると考えられる。そのような児童でもプログラムを組み,データの考察まで到達できるような工夫が必要となる。
  2. 富永(2017)が指摘するように現行の教科書では,学習内容が表やグラフの作成に終始しているためにデータを柱状グラフなどで表し特徴を捉えたとしても,児童が課題に対して結論を出すことは稀である。しかし,統計的考察を重視するのであれば,児童がデータを考察し結論を出すような課題を設定するのが望ましい。その際,考察し結論を出したいと児童が思うような課題の工夫も必要だろう。 また,これまでプログラミングにほとんど触れたことのない児童もいると考えられる。そのような児童でもプログラムを組み,データの考察まで到達できるような工夫が必要となる。
  3. 本教材は,小学校6年生の「データの活用」の単元の導入として位置付けている。児童らの興味を喚起するために,クラブ活動が盛んな架空の小学校の「探偵クラブ」の部員となり,依頼者の相談にのるというストーリーに沿って課題を提示していく。依頼(課題)はアニメーションで提示する。授業で扱う依頼は下記の2つである。 依頼1「新聞マニアからの依頼」では,4種類の学校新聞で,同じ記録データを使っていたにも関わらず「水泳クラブで1番速い人」が異なっていた理由を探っていく。この依頼の解決を通して,代表値(最小値,平均値,中央値,最頻値)について学習する。依頼2「水泳クラブからの依頼」では,4人の中から誰を代表選手にするべきか,データ分析をしてアドバイスをする。選手の特徴を分析するために,柱状グラフについて学習する。また,代表選手を選ぶためには,データの取捨選択やどのように分析をするかを考察する必要がある。そして選んだ選手と理由をそれぞれ発表することで,どのような分析が妥当か検討することができる。このようにして,新学習指導要領で重視されている統計的考察の活動を設けている。
  4. 本教材は,小学校6年生の「データの活用」の単元の導入として位置付けている。児童らの興味を喚起するために,クラブ活動が盛んな架空の小学校の「探偵クラブ」の部員となり,依頼者の相談にのるというストーリーに沿って課題を提示していく。依頼(課題)はアニメーションで提示する。授業で扱う依頼は下記の2つである。 依頼1「新聞マニアからの依頼」では,4種類の学校新聞で,同じ記録データを使っていたにも関わらず「水泳クラブで1番速い人」が異なっていた理由を探っていく。この依頼の解決を通して,代表値(最小値,平均値,中央値,最頻値)について学習する。依頼2「水泳クラブからの依頼」では,4人の中から誰を代表選手にするべきか,データ分析をしてアドバイスをする。選手の特徴を分析するために,柱状グラフについて学習する。また,代表選手を選ぶためには,データの取捨選択やどのように分析をするかを考察する必要がある。そして選んだ選手と理由をそれぞれ発表することで,どのような分析が妥当か検討することができる。このようにして,新学習指導要領で重視されている統計的考察の活動を設けている。