1. ⾮参照テスト⽤ブラウザと
数値ランダム化問題を利⽤した
数学科⽬の授業デザイン
樋⼝三郎 (⿓⾕⼤学 先端理⼯学部)
https://hig3.net/
Moodle + STACK + Safe Exam Browser で対⾯期末試験
PCC2020(2020-08-19) ⾮参照…数値ランダム化…数学科⽬…(樋⼝三郎)
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2. この発表の構造
• 動機
1. 複数の学習⽬標(i=1,..,n)
2. 事後テストの複数回受験(j=1,..,m)
• ⽬的: 数学で多⼈数多数回の期末試験級テスト T(i,j)
• ⽅法: 数値ランダム化問題と⾮参照テスト⽤ブラウ
ザで⾃動採点テスト
• 「確率統計及び演習I」(2019)での実践
• Moodle + STACK + Safe Exam Browser
• 実践の結果
• 考察:
• 「オンライン授業」での使い道?
PCC2020(2020-08-19) ⾮参照…数値ランダム化…数学科⽬…(樋⼝三郎)
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3. 動機1:
複数の学習⽬標
例
• ⽬標1:微分できる
かつ
• ⽬標2:積分できる
• 期末試験(100点)
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東邦⼤学理学部物理学科
JABEE認定物理エンジニアコース
https://www.toho-u.ac.jp/sci/ph/course/physical_engineer/edu_goal/index.html
微分 積分
合格点
(カリキュラムの)

4. 複数の学習⽬標の達成判定?
• 案1: 学習⽬標(微分,積分)で科⽬を分割する
• 案2: 「区分(微分,積分)ごとに基準を満たせ」
「100点満点で60点を合格とする」上位規定
• 案3: 科⽬=min(微分,積分)
• ⼀般に, 区分の点T(i)で
科⽬の点数 Ttotal= mini=1,..,n T(i)
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5. 動機2
事後テストの複数回受験
• 前提テスト
• 事前テスト(=事後テスト) j=1
• 学習
• 事後テストj=2
• 学習
• 事後テストj=3
• 事後テストの受験練習
• 事後テスト j=m
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同等な複数回の
事後テスト
• 同じ学習⽬標を測定
• 同じ形式
• 同⼀問題と限らない
• 記憶効果は防ぐ
コースの進⾏

6. この発表の構造
• 動機
1. 複数の学習⽬標(i=1,..,n)
2. 事後テストの複数回受験(j=1,..,m)
• ⽬的: 数学で多⼈数多数回の期末試験級テスト T(i,j)
• ⽅法: 数値ランダム化問題と⾮参照テスト⽤ブラウ
ザで⾃動採点テスト
• 「確率統計及び演習I」(2019)での実践
• Moodle + STACK + Safe Exam Browser
• 実践の結果
• 考察:
• 「オンライン授業」での使い道?
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7. 動機1と動機2の組合せと関係
• 動機1⽅法3
• n ⼤ 合格判定は「厳しい」
• 動機2⽅法
• m ⼤ 合格判定は「緩い」
• T(i,j) 学習⽬標 i の, j 回⽬の事後テスト
Ttotal=mini=1,…,n maxj=1,..,m T(i,j)
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8. 多数回定期試験級テストのコスト
• 学習者の受験に要する時間 n × m
• 学習者ごとに異なる受験回数 m
• 問題作成の教授者労⼒ n × m
• テスト実施の労⼒n × m
• (速い)採点の教授者労⼒ n × m × Nstudent
→ CBT (Computer-based Test)で解決?
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9. 先⾏実践
• 古川ら,コース管理システムのテスト機能を⽤いた
定期試験の実践, 情報処理学会研究報告. CE86, 51-
57, 2006
• n=1, m=1
• 完全習得型反転授業「何回トライしてもいいから,
各回のテストに必ず合格すること」
• n=15, m=∞
• Richard Gratwick, Using specifications grading in a fully
online course (EAMS Conference, 2020)
• Ttotal= #{ i | 1≦i≦10, maxj=1,2 T(i,j)≧80% }
• Moodle + STACK
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10. この発表の構造
• 動機
1. 複数の学習⽬標(i=1,..,n)
2. 事後テストの複数回受験(j=1,..,m)
• ⽬的: 数学で多⼈数多数回の期末試験級テスト T(i,j)
• ⽅法: 数値ランダム化問題と⾮参照テスト⽤ブラウ
ザで⾃動採点テスト
• 「確率統計及び演習I」(2019)での実践
• Moodle + STACK + Safe Exam Browser
• 実践の結果
• 考察:
• 「オンライン授業」での使い道?
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11. 実践:確率統計及び演習I(2019)
• ⿓⾕⼤学 理⼯学部 数理情報学科2年次
• 学⽣105名, TA1名, 教員1名
• 必修でないが履修率は⾼い
• 週1回90分 ×15回
• 講義室と計算機実習室(Windows)を利⽤可能
• 近未来にBYODに移⾏予定
• ⾃宅PC+スマホによる学習を要求可能
• Moodle + STACK をもともと使⽤
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12. 学習⽬標とT(i,j)
実験・観察により取得した量的1
変数データを統計的に整理して表
現し, 他者に対して説明できる.
•記述統計 i=1
データから数理モデルのパラメタ
を推測して, 根拠とともに他者に
説明できる.
•推測統計 i=2
データから仮説を⽴てて検証し,
他者を説得できる.
•推測統計(仮説検定) i=2
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必要な確率論
T(1,*) 平常点
T(2,*)
100= 70 + 30
証明できる, でなく, 実際の
データに定義や定理を運⽤で
きること
T(i,j)の1⽇後に問ごとの正誤を公開
T(i,j)
学習⽬標 i=1,2(=n)
複数回受験 j=1,2(=m)

13. Moodle (の⼩テスト)とは
• オープンソースのLMS
• question type= 多肢選択, 数値, …
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14. STACK問題タイプって?
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ランダム出題
=類題出題
学習者の解答⼊⼒
類題の⾃動採点・
フィードバック
バックエンドの数
式処理システム
=CAS Maxima
Chris Sangwin らによるオープンソースで開発される question type

15. • Moodle の設定
• 部屋外受験禁⽌
• 他アプリ禁⽌
• Control + Alt + Delete されたら?
• 実習室ネットワーク・PC管理システムの設定
• 特定サイトアクセス禁⽌
• 特定アプリケーション起動禁⽌
• 個々の試験のために設定を変えてもらうのは…
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Moodle ⼩テストでの不正防⽌

16. SEB=Safe Exam Browser とは?
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設定⽤
SEB Config tool
• ETHでオープンソースで開発される受験⽤ブラウザ.
• アクセス可能なURL, 同時起動可能なアプリケーションなどを詳細に指定できる
• Control+Alt+Delete などOSのホットキーをマスクするなど

17. SEBを使った受験
学習者視点の動画, max 4 min
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18. コスト削減の⽅針
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Moodle によ
るテスト
SEBによる
実施
STACK
によるラ
ンダム出
題
STACKによ
る⾃動採点
作問コスト ◎「異な
る」問題
を⾃動⽣
成
実施コスト ○印刷不要 ◎⾮相談を保証
◎⾮参照を保証
○複雑な参照条件
をカプセル化
△複雑な受験指⽰
△計算機室に限定
◎⾮相談
を保証
採点コスト ○⾃動集計 ◎数式, 数
値⼊⼒

19. この発表の構造
• 動機
1. 複数の学習⽬標(i=1,..,n)
2. 事後テストの複数回受験(j=1,..,m)
• ⽬的: 数学で多⼈数多数回の期末試験級テスト T(i,j)
• ⽅法: 数値ランダム化問題と⾮参照テスト⽤ブラウ
ザで⾃動採点テスト
• 「確率統計及び演習I」(2019)での実践
• Moodle + STACK + Safe Exam Browser
• 実践の結果
• 考察:
• 「オンライン授業」での使い道?
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20. 結果(教員視点で主観的に)
• 初期の学⽣のコメント
• 「成績計算法がわからない/わかりにくい」T(*,2)直前まで
• 「不当である」という意⾒は聞こえてこなかった
• 学⽣ N=105のうち, ⼿を挙げる10名, 紙にフォールバック1名程度.
• 学⽣のSEB使⽤時の観察
• 予⾏練習を繰り返したが,
通常ブラウザで .seb をダウンロード→ .seb からSEBを起動→ログイン
という流れを理解せず混乱する学⽣は残った
• BYOD PCで Win/Mac/SEBバージョン混在状況への対処は簡単でない
• 採点→点数公開が即時に可能
• 合格率上昇. 学⽣は Ttotal 計算式に適合した⾏動をとった.
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21. T(i,2)を受験するか, 学⽣の判断
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表1
図1
学⽣は Ttotal 計算式に適合した⾏動
をとった.

22. T(i,1)対T(i,2)成績分布(N=105)
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47名が2回受験
差ΔT=21.5 /100
48名が2回受験
差ΔT=20.1 /100
T(1,j) T(2,j)
T(i,2)前に授業外に学習が⾏われたことを⽰唆
j=1回⽬
j=1回⽬
j=2回⽬
j=2回⽬

23. この発表の構造
• 動機
1. 複数の学習⽬標(i=1,..,n)
2. 事後テストの複数回受験(j=1,..,m)
• ⽬的: 数学で多⼈数多数回の期末試験級テスト T(i,j)
• ⽅法: 数値ランダム化問題と⾮参照テスト⽤ブラウ
ザで⾃動採点テスト
• 「確率統計及び演習I」(2019)での実践
• Moodle + STACK + Safe Exam Browser
• 実践の結果
• 考察:
• 「オンライン授業」での使い道?
PCC2020(2020-08-19) ⾮参照…数値ランダム化…数学科⽬…(樋⼝三郎)
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24. 「オンライン授業」との関係
• SEBでオンライン⾃宅受験できる?
• SEB で同PC上の他のアプリを封じても,
他のデバイスのアプリ
他の⼈
他の資料
を封じることはできない
• SEB のもともとの対象は
備付または個⼈ PCでの, 監督者のいる試験
• 専任監督者がいて常時受験できる
「学内テストセンター」⽤?
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25. メッセージ
• Moodle + STACK + SEB は, 数学科⽬の
⾮参照⾮相談の
設置PCでの定期試験レベルの対⾯受験を
多⼈数, 多数回実施する⽅法として適する.
• 多数回受験が役⽴つ状況がある.
• BYOD PCでの実施は, デバイスの多様性とイン
ストールにかなり注意が必要か?
• ⾃宅オンライン受験の監督には単独では役⽴た
ない. 「学内テストセンター」⽤?
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26. 今後の展望
• 学習⽬標の個数 n の増加
• 授業回数程度の n=13 まで
• 受験回数 m の増加
• 毎回の紙テストを事後テストと位置づけ
• 授業時間外の任意受験機会
• BYODの導⼊(2021-)
• BYOD PCにSEBを各⾃導⼊して利⽤可能なはず
• 普通教室で時間を限ってBYOD PCでテストできるよ
うになる
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