SlideShare a Scribd company logo
1 of 84
Download to read offline
青幎心理孊研究で掻かす
マルチレベル分析
浅野 良茔
久留米倧孊文孊郚心理孊科
2017/11/25 (土) 第25回青幎心倧䌚@岐阜聖埳孊園倧孊
青幎心理孊研究法セミナヌ
埡 瀌
❖芪密な関係研究䌚
金政 祐叞 先生
(远手門孊院倧孊)
叀村 健倪郎 先生
(匘前倧孊)
❖ARMS研究䌚
吉田 俊和 先生
(岐阜聖埳孊園倧孊)
吉柀 寛之 先生
(岐阜倧孊)
吉田 琢哉 先生
(岐阜聖埳孊園倧孊)
玉井 颯䞀 氏
(名叀屋倧孊・孊振)
30秒バヌゞョン
❖マルチレベル分析
階局デヌタを扱うための分析手法
集団・関係性が個人に䞎える圱響を怜蚎できる
✓ 階局線圢モデル (HLM)
✓ マルチレベル構造方皋匏モデル (MSEM)
✓ 個人的には、HLM < MSEM
本発衚の構成
1. 入門線 (45分)
階局デヌタずサンプルの非独立性
階局線圢モデルずマルチレベルSEM
2. 事䟋線 (45分)
小䞭孊校の孊玚デヌタを甚いお
倫婊カップルデヌタを甚いお
3. 補足 (10分)
入門線:
マルチレベル分析ずは
マルチレベル分析の動向
実隓瀟䌚心理孊研究
2018幎
6月
2018幎
12月
どんなずきに䜿う
アむデンティティ
(自我同䞀性)
家族
どんなずきに䜿う
アむデンティティ
(自我同䞀性)
仲間集団
どんなずきに䜿う
アむデンティティ
(自我同䞀性)
恋愛関係
どんなずきに䜿う
❖集団・関係性党䜓が青幎に䞎える圱響
集団・関係性䞊䜍レベルの芁因
個人1人ひずりの「こころ」を越えた珟象
✓ 雰囲気、颚土、凝集性、共有期埅
個人を扱うだけではずらえきれない
階局デヌタを集めよう
いろいろな階局デヌタ
❖集団―個人
小孊校
1組
31名
2組
28名
3組
33名
4組
29名
クラスタ
(Level 2)
個人
(Level 1)
事䟋1
いろいろな階局デヌタ
❖ペア―個人
倫婊
田䞭家
倫1 劻1
䌊藀家
倫2 劻2
山田家
倫3 劻3
クラスタ
(Level 2)
個人
(Level 1)
事䟋2
いろいろな階局デヌタ
❖個人―時点 (瞊断デヌタ)
倧孊生
è¿‘è—€
T1 T2 T3
土方
T1 T2 T3
沖田
T1 T2 T3
個人
(Level 2)
時点
(Level 1)
今回は
扱わない
階局デヌタの特城ず問題
❖ふ぀うのデヌタ
個人ID 性別 自我同䞀性 仲間集団の質
1 0 88 5.0
2 1 92 4.8
3 1 85 5.0
4 1 100 4.8
5 0 20 0.2
6 0 33 0.4
7 1 42 0.1
8 1 37 1.1
・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・
階局デヌタの特城ず問題
❖階局デヌタ (4人集団)
個人ID 孊玚ID 性別 自我同䞀性 仲間集団の質
1 1 0 88 5.0
2 1 1 92 4.8
3 1 1 85 5.0
4 1 1 100 4.8
5 2 0 20 0.2
6 2 0 33 0.4
7 2 1 42 0.1
8 2 1 37 1.1
・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・
階局デヌタの特城ず問題
❖サンプルの非独立性 (non-independence)
個人がクラスタに「ネスト」されおいる
同䞀クラスタの個人は互いに圱響し合っおいる
✓ 集団や関係性に特有の性質がみられる
→クラスタ内に類䌌性が生じる
✓ 統蚈分析におけるサンプルの独立性仮定
✓ 階局デヌタは基本的前提を逞脱しおいる
玠朎な解決法
1. 個人単䜍のデヌタずみなす (N = 個人数)
クラスタ内の類䌌性を無芖する
仮定された独立性の゚ラヌ (Gonzalez & Griffin, 2000)
✓ 関連がないのに関連があるず刀断しおしたう
– 第1皮の誀り
– 通垞の分散分析や重回垰分析などは䜿えない
✓ クラスタレベルの倉数を扱えおいない
– 階局デヌタを集めた意味がない
玠朎な解決法
2. クラスタごずに平均する (N = クラスタ数)
クラスタ単䜍の分散ず個人単䜍の分散を混ぜる
レベル暪断の゚ラヌ (Gonzalez & Griffin, 2000)
✓ 2぀の分散による圱響を区別できない
分析単䜍の゚ラヌ (Gonzalez & Griffin, 2000)
✓ 「玔粋な」クラスタレベルの倉数ではない
玠朎な解決法
❖問題の敎理
個人単䜍の分析
✓ クラスタ内の類䌌性を無芖しおいる
クラスタ単䜍の分析
✓ クラスタ単䜍個人単䜍の分散が混ざる
分散を分解しよう
新たな解決法
❖4人集団の分散の分解 (むメヌゞ)
cf. 因子分析
個
人
単
䜍
の
分
散
ID = 1
ID = 2
ID = 3
ID = 4
ク
ラ
ス
タ
単
䜍
の
分
散
類䌌性
新たな解決法
❖玚内盞関係数 (ICC)
クラスタ内の類䌌性の皋床
玚内盞関係数が高いほど・・・
✓ クラスタ内の類䌌性が高い
✓ クラスタ間の違いが倧きい
クラスタ単䜍の分散
個人単䜍の分散クラスタ単䜍の分散
新たな解決法
❖玚内盞関係数は分析の指針になる
非垞に䜎い堎合
✓ クラスタ単䜍の分散を無芖できる
✓ N = 個人数で分析しおもよい (狩野・䞉浊, 2002)
非垞に高い堎合
✓ 個人単䜍の分散を無芖できる
✓ N = クラスタ数で分析しおもよい
䞭皋床の堎合
✓ マルチレベル分析ぞ
マルチレベル分析
❖階局線圢モデル (HLM)
Raudenbush & Bryk (2002)
結果倉数をLevel 1/Level 2に分解する
✓ Level 1: 個人レベル
✓ Level 2: クラスタレベル
階局デヌタに察する回垰分析
マルチレベル分析の䞭で最も有名
マルチレベル分析
自我同䞀性
自我同䞀性
自我同䞀性
Level 2
Level 1
❖階局線圢モデルがしおいるこず
仲間集団の質
(クラスタ平均)
仲間集団の質
マルチレベル分析
❖文脈効果 (contextual effect)
個人レベルよりもクラスタレベルの説明倉数が
結果倉数に匷く圱響しおいるか
✓ Level 2の回垰係数 − Level 1の回垰係数
文脈効果が認められるず、マルチレベル分析の
意矩をより䞻匵しやすい
階局線圢モデルの問題
❖Level 2の説明倉数がクラスタ平均
説明倉数に個人単䜍の分散が混入したたた
文脈効果にバむアスが生じやすくなる (LÃŒdtke et
al., 2008, 2011)
✓ 䞻に、Level 2の回垰係数がゆがむ
バむアスを生じさせる芁因
✓ クラスタ数の少なさ
✓ クラスタサむズの小ささ
✓ 玚内盞関係数の䜎さ
クラスタ信頌性を
䜎䞋させる
階局線圢モデルの問題
❖クラスタ信頌性
クラスタ平均が「真の」埗点を衚しおいる皋床
クラスタ信頌性が高いほど・・・
✓ クラスタ平均には誀差が含たれおいない
✓ cf. 尺床の内的敎合性
クラスタサむズ × 玚内盞関係数
 (クラスタサむズヌ) × 玚内盞関係数
階局線圢モデルの問題
LÃŒdtke et al. (2011)
❖Level 2の回垰係数のシミュレヌション
 = クラスタサむズ
バむアスは
抂しお倧きい
階局線圢モデルの問題
æž…æ°Ž (2017; ペアデヌタ, βB = 0ず仮定)
❖Level 2の回垰係数のシミュレヌション
玚内盞関係数 (+Level 1の回垰係数) に
応じおバむアスが倧きくなっおいる
階局線圢モデルの問題
❖問題の敎理
Level 2の回垰係数にバむアスが生じやすい
玚内盞関係数が䜎い堎合
✓ 孊校デヌタには適甚しにくい (事䟋1)
クラスタサむズが小さい堎合
✓ ペアデヌタには適甚しにくい (事䟋2)
説明倉数の分散も分解しよう
マルチレベル分析
❖マルチレベル構造方皋匏モデル (MSEM)
Muthén (1989, 1997; Muthén & Asparouhov, 2011)
階局デヌタをWithin/Betweenに分解する
✓ Within: 個人レベル
✓ Between: クラスタレベル
構造方皋匏モデルによる階局線圢モデル
✓ より柔軟なモデルを仮定できる
– 朜圚倉数、耇数の結果倉数、媒介倉数
✓ モデル適合床を参照できる
マルチレベル分析
自我同䞀性
自我同䞀性
自我同䞀性
Between
Within
仲間集団の質
仲間集団の質
仲間集団の質
❖マルチレベルSEMがしおいるこず
マルチレベル分析
❖マルチレベルSEMの特城
党倉数を個人単䜍ずクラスタ単䜍に分解する
✓ 階局線圢モデルは結果倉数だけ
クラスタ信頌性の䜎さによる問題を回避する
✓ 玚内盞関係数が䜎くおもよい
– 孊校・組織・地域の倧芏暡デヌタ (事䟋1)
✓ クラスタサむズが小さくおもよい
– ペア・家族・小集団の小芏暡デヌタ (事䟋2)
結果を数匏ではなく図で瀺せる
✓ 階局線圢モデルよりも芪しみやすい

マルチレベル分析
❖Betweenの回垰係数のシミュレヌション
æž…æ°Ž (2017; ペアデヌタ, βB = 0ず仮定)
階局線圢モデルよりも
バむアスが小さい
ここたでのたずめ
❖マルチレベル分析
階局デヌタはサンプルの非独立性を特城ずする
クラスタ内の玚内盞関を正しく扱う必芁がある
✓ 階局線圢モデル
– 説明倉数にクラスタ単䜍の平均を投入する △
✓ マルチレベルSEM
– 説明倉数にクラスタ単䜍の分散を投入する ○
– 図瀺できる
事䟋線はマルチレベルSEMのみ
質問タむム
事䟋線:
孊玚デヌタ
Between/Withinで
回垰係数の正負が逆になる
マルチレベルSEMの実際
❖研究の流れ
1. 仮説の構築
2. 階局デヌタの収集
3. 玚内盞関係数・クラスタ信頌性の確認
4. マルチレベル盞関係数の確認
5. マルチレベルSEMによる分析の実斜
6. 考察
事䟋1問題
❖颚土倉数 (Marsh et al., 2012)
仲間集団が圢成する孊玚党䜓の颚土・雰囲気
子どもの瀟䌚化に重芁な圹割を果たす
✓ 理論からみた孊玚レベルの意矩
マルチレベル分析が実蚌研究を可胜にする
✓ 方法論からみた孊玚レベルの意矩
事䟋1問題
❖集合的道埳䞍掻性化 (Gini et al., 2015)
集合的
道埳䞍掻性化
いじめ被害者
ぞの攻撃
集合的
道埳䞍掻性化
孊玚レベル
個人レベル
+
+
事䟋1問題
❖集合的道埳䞍掻性化 (Gini et al., 2015)
集合的
道埳䞍掻性化
いじめ被害者
の擁護
集合的
道埳䞍掻性化
孊玚レベル
個人レベル

+
事䟋1問題
❖集合的道埳䞍掻性化 (Gini et al., 2015)
集合的
道埳䞍掻性化
いじめの傍芳
集合的
道埳䞍掻性化
孊玚レベル
個人レベル
+
事䟋1問題
❖怜蚎事項
1. 孊玚レベルの肯定的・吊定的仲間集団はいじめ
加害経隓に圱響するかどうか
2. 個人レベルの肯定的・吊定的仲間集団はいじめ
加害経隓に圱響するかどうか
3. 孊玚レベルの肯定的・吊定的仲間集団の圱響は
個人レベルよりも匷いかどうか (文脈効果)
事䟋1参加者
❖岐阜県内の小䞭孊生95孊玚2,573名
党䜓 女子 男子
小孊5幎生 548 288 260
小孊6幎生 514 265 249
äž­å­Š1幎生 520 281 239
äž­å­Š2幎生 469 242 227
äž­å­Š3幎生 522 247 275
合蚈 2,573 1,323 1,250
事䟋1枬定内容
❖仲間集団の質
肯定的仲間集団 (Laird et al., 1999)
✓ 5項目3件法: M = 2.57, SD = 0.44, ω = .82
吊定的仲間集団 (Bukowski et al., 1994; 4項目3件法)
✓ 4項目3件法: M = 1.32, SD = 0.41, ω = .75
❖いじめ加害経隓 (岡安・高山, 2000; 3項目4件法)
3項目4件法: M = 1.53, SD = 0.58, ω = .63
事䟋1玚内盞関・クラスタ信頌性
Note. N = 95孊玚2,573名。** p < .01, *** p < .001
玚内盞関係数 クラスタ信頌性
肯定的仲間集団 .050 *** .588
吊定的仲間集団 .026 ** .420
いじめ加害経隓 .061 *** .638
玚内盞関係数の小ささが
クラスタ信頌性を䜎䞋させる
事䟋1マルチレベル盞関分析
1 2 3
1. 肯定的仲間集団 — .084 −.360
2. 吊定的仲間集団 −.138 *** — .444 **
3. いじめ加害経隓 .030 .223 *** —
Note. N = 95孊玚2,573名。䞊䞉角行列はペアレベル盞
関係数、䞋䞉角行列は個人レベル盞関係数を衚しお
いる。** p < .01, *** p < .001
事䟋1マルチレベルSEM結果
いじめ加害経隓
肯定的仲間集団
吊定的仲間集団
Between (孊玚レベル)
いじめ加害経隓
肯定的仲間集団
吊定的仲間集団
Within (個人レベル)
ロバスト最尀法による掚定: χ2 (df = 0) = 0.00
事䟋1マルチレベルSEM結果
Between Within
b 95%信頌区間 β b 95%信頌区間 β
肯定的仲間集団 −0.815*** [−1.560, −0.070] −.402 0.081* [0.024, 0.138] .062
吊定的仲間集団 0.764*** [0.172, 1.356] .480 0.328*** [0.260, 0.396] .231
Note. N = 95孊玚2,568名。* p < .05, *** p < .001
文脈効果 = −0.896,
95% CI [−1.654, −0.137], p = .021
事䟋1マルチレベルSEM結果
Between Within
b 95%信頌区間 β b 95%信頌区間 β
肯定的仲間集団 −0.815*** [−1.560, −0.070] −.402 0.081* [0.024, 0.138] .062
吊定的仲間集団 0.764*** [0.172, 1.356] .480 0.328*** [0.260, 0.396] .231
Note. N = 95孊玚2,568名。* p < .05, *** p < .001
文脈効果 = 0.436,
95% CI [−0.154, 1.025], p = .147
事䟋1考察
❖孊玚レベル
肯定的仲間集団が高いクラスほど、いじめ加害
経隓が少ない (文脈効果あり)
吊定的仲間集団が高いクラスほど、いじめ加害
経隓が倚い
❖個人レベル
同じクラス内の子どもよりも肯定的仲間集団が
高い子どもほど、いじめ加害経隓が倚い
同じクラス内の子どもよりも吊定的仲間集団が
高い子どもほど、いじめ加害経隓が倚い
事䟋1考察
❖孊玚レベルの効果が䞀貫しお瀺された
肯定的仲間集団→いじめ加害経隓
個人レベルのいじめ促進効果よりも匷かった
✓ 集合的道埳掻性化 (Gini et al., 2015)
吊定的仲間集団→いじめ加害経隓
✓ 集合的道埳䞍掻性化 (Gini et al., 2015)
質問タむム
事䟋線:
ペアデヌタ
Between/Withinの
因子負荷量に等倀制玄を眮く
事䟋2問題
❖2者関係そのものの性質
2者関係は1人ひずりに還元できない性質をも぀
(Berscheid, 1999)
2者関係は2人の間䞻芳性からなる (Ickes et al., 2004)
2者関係における特有性の怜蚎が重芁である
(Finkel et al., 2017)
✓ これたでの研究では怜蚎が䞍十分だった
事䟋2問題
❖共有された関係効力性 (浅野, 2015; 浅野・五十嵐, 2015)
望たしい成果を埗るため互いに協力し合えるか
どうかに関する2人の効力期埅
ペアレベルの抂念
cf. 知芚された関係効力性
✓ 䞊蚘に関する個人1人ひずりの効力期埅
✓ 個人レベルの抂念
事䟋2問題
❖恋愛・同性友人関係 (Asano et al., 2016)
知芚された
関係効力性
人生満足床
共有された
関係効力性
ペアレベル
個人レベル
+
+
事䟋2問題
❖仮説
1. 共有された関係効力性が高い倫婊カップルは、
幞犏感が高い (ペアレベル)
2. 知芚された関係効力性が高い個人は、幞犏感が
高い (個人レベル)
3. 共有された関係効力性は知芚された関係効力性
よりも幞犏感を高める (文脈効果)
事䟋2参加者
❖倫婊ペア814組
クロス・マヌケティングのモニタ本人 & 配偶者
✓ 倫: 平均49.9 ± 11.8æ­³ (26–76)
✓ 劻: 平均47.8 ± 11.2æ­³ (26–69)
✓ 婚姻幎数: 平均19.8 ± 13.1幎 (0–47)
✓ 子どもの数: 平均1.38 ± 1.10人 (0–6)
事䟋2枬定内容
❖関係効力性 (Murray & Holmes, 1997; 浅野蚳, 2009)
9項目5件法: M = 3.57, SD = 0.79, ω = .97
❖幞犏感
人生満足床 (Diener et al., 1985; 倧石蚳, 2009)
✓ 5項目7件法: M = 20.87, SD = 6.19, ω = .95
ポゞティブ感情 (Mroczek & Kolarz, 1998)
✓ 6項目5件法: M = 3.35, SD = 0.75, ω = .95
抑う぀ (鈎朚ら, 1989)
✓ 10項目3件法: M = 15.50, SD = 5.36, ω = .93
心理的幞犏感 (Morozink et al., 1995)
✓ 21項目7件法: M = 4.51, SD = 0.65, ω = .89
事䟋2玚内盞関・クラスタ信頌性
Note. N = 814組1,628名。*** p < .001
玚内盞関係数 クラスタ信頌性
関係効力性 .600 *** .750
人生満足床 .472 *** .641
ポゞティブ感情 .457 *** .627
抑う぀ .306 *** .469
心理的幞犏感 .236 *** .382
クラスタサむズの小ささが
クラスタ信頌性を䜎䞋させる
事䟋2マルチレベル盞関分析
1 2 3 4 5
1. 関係効力性 — .718 *** .776 *** −.627 *** .478 ***
2. 人生満足床 .390 *** — .850 *** −.701 *** .566 ***
3. ポゞティブ感情 .340 *** .530 *** — −.790 *** .583 ***
4. 抑う぀ −.268 *** −.466 *** −.543 *** — −.430 ***
5. 心理的幞犏感 .281 *** .246 *** .278 *** −.404 *** —
Note. N = 814組1,628名。䞊䞉角行列はペアレベル盞関係数、䞋䞉角行列は
個人レベル盞関係数を衚しおいる。*** p < .001
事䟋2マルチレベルSEM結果
幞犏感関係効力性
Between (ペアレベル)
ロバスト最尀法による掚定: χ2 (df = 13) = 99.18, CFI = .963,
RMSEA = .064, SRMR (Between) = .046, SRMR (Within) = .057
人生満足床
ポゞ感情
抑う぀
心理的幞犏感
幞犏感関係効力性
Within (個人レベル) 人生満足床
ポゞ感情
抑う぀
心理的幞犏感
a
b
c
d
a
b
c
d
事䟋2マルチレベルSEM結果
Between Within
b 95%信頌区間 β b 95%信頌区間 β
幞犏感 (因子負荷量)
人生満足床 1.000 — .865 1.000 — .724
ポゞ感情 0.133*** [0.124, 0.142] .954 0.133*** [0.124, 0.142] .779
抑う぀ −0.795*** [−0.858, −0.732] −.855 −0.795*** [−0.858, −0.732] −.620
心理的幞犏感 0.063*** [0.055, 0.071] .665 0.063*** [0.055, 0.071] .374
関係効力性 4.630*** [4.097, 5.163] .801 3.181*** [2.641, 3.721] .480
Note. N = 814組1,628名。*** p < .001
文脈効果 = 1.449,
95% CI [0.638, 2.260], p < .001
事䟋2因子負荷に制玄なし
幞犏感関係効力性
Between (ペアレベル)
ロバスト最尀法による掚定: χ2 (df = 10) = 67.23, CFI = .976,
RMSEA = .059, SRMR (Between) = .018, SRMR (Within) = .045
幞犏感関係効力性
Within (個人レベル)
人生満足床
ポゞ感情
抑う぀
心理的幞犏感
人生満足床
ポゞ感情
抑う぀
心理的幞犏感
事䟋2因子負荷に制玄なし
Between Within
b 95%信頌区間 β b 95%信頌区間 β
幞犏感 (因子負荷量)
人生満足床 1.000 — .901 1.000 — .676
ポゞ感情 0.125*** [0.112, 0.139] .962 0.140*** [0.123, 0.157] .755
抑う぀ −0.581*** [−0.674,−0.488] −.793 −1.091*** [−1.259, −0.923] −.728
心理的幞犏感 0.047*** [0.035, 0.060] .583 0.085*** [0.066, 0.103] .449
関係効力性 5.107*** [4.511, 5.702] .815 2.803*** [2.215, 3.391] .464
Note. N = 814組1,628名。*** p < .001
文脈効果 = 2.304,
95% CI [1.336, 3.271], p < .001
事䟋2考察
❖ペアレベル
関係効力性が高いカップルほど、幞犏感が高い
(文脈効果あり)
❖個人レベル
同じカップル内のパヌトナヌよりも関係効力性
が高い個人ほど、幞犏感が高い
事䟋2考察
❖ペアレベルの効果が瀺された
共有された関係効力性→幞犏感
知芚された関係効力性の効果よりも匷かった
✓ 䞀方だけでなく、双方が効力期埅を共有する
こずが2人を幞せにする
✓ 䞍均衡な関係性は双方にずっおデメリット
事䟋2考察
❖Between/Withinの等倀制玄の意味
朜圚倉数を仮定しお文脈効果を掚定する堎合、
等倀制玄を眮くべき (LÃŒdtke et al., 2011)
回垰係数がレベル間で比范可胜になる
→文脈効果を解釈しやすくする
✓ 適合床が倚少悪化しおも (今回は蚱容範囲)
✓ 等倀制玄を眮かないず収束しない堎合もある
質問タむム
補足
階局線圢モデルは䞍芁
❖クラスタレベルの説明倉数による䜿い分け
(LÃŒdtke et al., 2008, 2011)
階局線圢モデル
✓ 瀟䌚孊的指暙: 幎霢・性別・SESの構成比率
✓ クラスタ平均が抂念的にマッチする
マルチレベルSEM
✓ 心理孊的指暙: 雰囲気・颚土・共有期埅
✓ 分解された分散が抂念的にマッチする
クラスタレベルの意味は
❖過去の理論や知芋に照らし合わせた解釈
分析䞊の議論
✓ Level 1 (Within) vs. Level 2 (Between)
抂念䞊の議論
✓ 個人レベル vs. 集団・ペアレベル
2぀の議論は分けお考える必芁がある
✓ Level 2は必ずしも集団・ペアレベルの抂念を
意味するわけではない

クラスタレベルの意味は
関係効力性
関係効力性
Between
Within
❖分析䞊の議論 (マルチレベルSEM)
幞犏感
幞犏感
クラスタレベルの意味は
知芚された
関係効力性
共有された
関係効力性
ペアレベル
個人レベル
❖抂念䞊の議論
幞犏感
クラスタレベルの意味は
知芚された
関係効力性
共有された
関係効力性
ペアレベル
個人レベル
❖抂念䞊の議論
知芚された
幞犏感
共有された
幞犏感
Take-Home Messages
❖パラダむムシフトの可胜性
心理孊理論は個人の心理プロセスを扱っおきた
✓ 瀟䌚心理孊における集団錯誀 (Allport, 1924)
✓ 䞊䜍レベルを扱う方法論がなかったから
理論が先、方法論が埌 ○
方法論が先、理論が埌 ×
マルチレベル分析が
集団・関係性→個人の可胜にする
ありがずうございたした
Ryosuke ASANO (asano_ryousuke@kurume-u.ac.jp)
結果倉数
結果倉数
結果倉数
Between
Within
説明倉数
説明倉数
説明倉数
❖マルチレベル構造方皋匏モデル
結果倉数
結果倉数
結果倉数
Level 2
Level 1
❖階局線圢モデル
説明倉数
(クラスタ平均)
説明倉数
いじめ加害経隓 (3項目; 岡安・高山, 2000)
❖友だちずいっしょになっお、だれかを、仲間はず
れにしたり、無芖したり、かげで悪口を蚀った
❖友だちずいっしょになっお、だれかに、いやがら
せやいたずらをした (らくがきをしたり、物をかく
したりした、など)
❖友だちずいっしょになっお、だれかに、わざずぶ
぀かったり、遊ぶふりをしおたたいたり、けった
りした
仲間集団の質
❖肯定的仲間集団 (7項目; Laird et al., 1999)
できるかぎり自分の友だちず䞀緒にいる
友だちは楜しいこずをよく思い぀く
私 (僕) にずっお、仲間でいるこずはずおも重芁だ
❖吊定的仲間集団 (4項目; Bukowski et al., 1994)
友だちは私 (僕) が嫌がっおいるのに、いら぀かせよう
ずしたり、困らせようずする
友だちず私 (僕) はしょっちゅう蚀い争いになる
私 (僕) は友だちずケンカするこずがある
関係効力性 (9項目; Murray & Holmes, 1997; 浅野蚳, 2009)
❖私たちは、お互いに協力しお、2人の間で起こる問
題を解決できる
❖私たちは、問題の解決に向けお、ものごずがうた
く運ぶようにし合うこずが垞にできる
❖私たちは、お互いに協力しお、2人にずっお望たし
い理想の関係を築くこずができる
幞犏感
❖ポゞティブ感情 (6項目; Mroczek & Kolarz, 1998)
楜しい
機嫌がいい
❖抑う぀ (10項目; 鈎朚ら, 1989)
近ごろ元気がないですか
ゆうう぀なずきがありたすか
❖人生満足床 (5項目; Diener et al., 1985; 倧石蚳, 2009)
ほずんどの面で、私の人生は理想に近い
私は自分の人生に満足しおいる
幞犏感
❖心理的幞犏感 (21項目; Morozink et al., 1995)
私は、これたで人ずしお、ずおも成長しおきたず思う
(人栌的成長)
私は、人生の方向や目的に぀いお、考えをもっおいる
(人生の目的)
私はものを決めるずき、他のみんながするこずに圱響
されたりはしない (自埋性)

More Related Content

More from Ryosuke Asano

2020jssp seminar asano
2020jssp seminar asano2020jssp seminar asano
2020jssp seminar asanoRyosuke Asano
 
2017jaep sympo asano
2017jaep sympo asano2017jaep sympo asano
2017jaep sympo asanoRyosuke Asano
 
2017jpa sympo asano
2017jpa sympo asano2017jpa sympo asano
2017jpa sympo asanoRyosuke Asano
 
2015jpa sympo kito
2015jpa sympo kito2015jpa sympo kito
2015jpa sympo kitoRyosuke Asano
 
2015jpa sympo shimizu
2015jpa sympo shimizu2015jpa sympo shimizu
2015jpa sympo shimizuRyosuke Asano
 
2015jpa sympo ishimori
2015jpa sympo ishimori2015jpa sympo ishimori
2015jpa sympo ishimoriRyosuke Asano
 
2015jpa sympo shojima
2015jpa sympo shojima2015jpa sympo shojima
2015jpa sympo shojimaRyosuke Asano
 
2015jpa sympo asano
2015jpa sympo asano2015jpa sympo asano
2015jpa sympo asanoRyosuke Asano
 
2014jaep sympo asano
2014jaep sympo asano2014jaep sympo asano
2014jaep sympo asanoRyosuke Asano
 
2013jpa sympo asano
2013jpa sympo asano2013jpa sympo asano
2013jpa sympo asanoRyosuke Asano
 
2011jssp ws asano
2011jssp ws asano2011jssp ws asano
2011jssp ws asanoRyosuke Asano
 

More from Ryosuke Asano (11)

2020jssp seminar asano
2020jssp seminar asano2020jssp seminar asano
2020jssp seminar asano
 
2017jaep sympo asano
2017jaep sympo asano2017jaep sympo asano
2017jaep sympo asano
 
2017jpa sympo asano
2017jpa sympo asano2017jpa sympo asano
2017jpa sympo asano
 
2015jpa sympo kito
2015jpa sympo kito2015jpa sympo kito
2015jpa sympo kito
 
2015jpa sympo shimizu
2015jpa sympo shimizu2015jpa sympo shimizu
2015jpa sympo shimizu
 
2015jpa sympo ishimori
2015jpa sympo ishimori2015jpa sympo ishimori
2015jpa sympo ishimori
 
2015jpa sympo shojima
2015jpa sympo shojima2015jpa sympo shojima
2015jpa sympo shojima
 
2015jpa sympo asano
2015jpa sympo asano2015jpa sympo asano
2015jpa sympo asano
 
2014jaep sympo asano
2014jaep sympo asano2014jaep sympo asano
2014jaep sympo asano
 
2013jpa sympo asano
2013jpa sympo asano2013jpa sympo asano
2013jpa sympo asano
 
2011jssp ws asano
2011jssp ws asano2011jssp ws asano
2011jssp ws asano
 

2017jsyap seminar asano