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グローバルサイトの可能性
Blog「コミュニケーションの実験室」連載
“グローバルサイトの可能性(全8回)まとめ
>> http://www.caps-association.co.jp/lab/

企業のグローバルサイトの構築や運用をお手伝いするかたわら、日本や海外企業のグロ
ーバルサイトを観察してきました。それらを通して、グローバルサイトには「円滑なコ
ミュニケーションは、あらゆる課題を解決する」手段として、様々な可能性を感じてい
ます。私なりに気付いたことを事例と共に紹介してまいります。

光岡 太郎
第1営業部 プランナー
Story
「ウチの工場もグローバルサイトを作りませんか?」
オイルのにおいが染みついた作業場に、さわやかな新緑の風が吹き抜

誇りのコミュニケーション

けるある日の午後、入社5年目の小野はいきなり社長に切り出した。

「何をバカな・・・。ウチみたいな社員15人の町工場にそんなもの

は必要ないだろう。」社長は即座に言い放った。

「そもそもホームページなら、英語の会社概要があるからそれで充分
じゃないか?」

すると、我が意を得たりというように小野の目がキラリと光った。
グローバルサイトの定義とは何でしょうか? 一般的に、日本企業のコ
ーポレートサイトでは日本語の構成やコンテンツをそのまま英語に翻
訳したものを、英語版としているケースを非常に多く見かけます。し
かし、日本人向けに設計されたコミュニケーションやコンテンツが、
そのまま外国の方に伝わるかというとやはり無理があります。

グローバルサイトの定義
1−1

・「誰が、誰に、何を」の一部が省略されて書かれている
・日本人にしか理解できない文化が背景になっている
・論理的に説明されていない etc
日本人が理解しやすい話し方や興味を持つポイントを踏まえて設計さ
れたコミュニケーションは、外国人には理解ができなかったり、意図
するところが正確に伝わらなかったりします。
したがってグローバルサイトとは「世界と語る」ことを前提に、「グ
ローバル基準でコミュニケーションすることを目的に設計されたサイ
ト」というように定義したいと思います。
実は、日本語版をそのまま英訳したコーポレートサイトが、そのまま
グローバルサイトとして通用する業種があります。その代表格が総合
商社です。 例えば三菱商事や豊田通商などは、コーポレートサイトそ
のものをグローバルサイトと位置づけています。

グローバル基準の
コミュニケーションとは?
2−1

なぜ総合商社の場合、コーポレートサイトの英語版がグローバルサイ
トとして通用するのでしょうか?
第1の理由としてあげられるのは、総合商社のビジネスフィールドは
グローバルを前提としている点です。日本と海外だけでなく、例えば
中国と東欧など日本をまったく介さないビジネスも展開されています。
こうしたビジネスの全体像を紹介していくために、特に日本や日本人
に偏らず、世界の誰が見ても理解できるようにという意識を持つこと
ができるのだと思います。

グローバル基準の
コミュニケーションとは?
2−2

さらに、もうひとつ大きな理由があります。それは、総合商社の最大
のアピールポイントは「人」であり、これを描くと企業の“誇り”が伝
わりやすい点です。
総合商社の場合、企業文化や組織力、企業ブランドなどの看板を背負
い、ひとりひとりが現場で仕事しています。そのバイタリティやビジ
ネスにおけるクリエイティビティを伝えようとするので、「人」に
フォーカスする部分が多くなります。そこでは必然的に、自分たちの
文化やポリシー、そして“誇り”が語られることになります。
日本人と外国人のリアルなビジネス会話で、よく指摘されるのは日本
人の自己主張のなさです。ありがたいことに、最近は「謙譲の美徳」
や「つつしみ自体に“誇り”がある」ことをよく理解している外国人が
増えています。
しかし、日本文化をよく理解していない外国人には「何を考えている
のか、よく分からない謎の東洋人」という印象を与えてしまうのです。

グローバル基準の
コミュニケーションとは?
2−3

グローバル基準のコミュニケーションにおいて、自己主張の源泉とな
るのは、やはり自分たちの“誇り”です。
・自分たちの企業文化や経営理念への“誇り”
・技術や品質への“誇り”
・オリジナリティへの“誇り” etc.
そうした“誇り”を、誰もが素直に納得できるように、筋道をたてて表
現できていることが、グローバルサイトには必要不可欠だと考えてい
ます。
皆さんのWebサイトには、誇りが表現されていますか?
Story
「ウチの工場も世界に誇れるかも知れない、それなりの技術があるわ
けですから。

誇りが伝わるトップページと
は?

それをアピールして、世界とビジネスがしたいんですよ!」
小野はグローバルサイトがその糸口になると考えていた。

社長もその考えには納得したが、すぐに疑問が浮かんできた。
「でも、ウチの誇りはカタチのない“技術”だから、そんなのどうやっ
て表現するんだ?」

「そうなんですよね~。トップページである程度伝えたいんですけど
ね・・・」
ふたりとも、そこで考え込んでしまった。
トップページに求める役割は来訪者によって違ったとしても、否応な
しに目に飛び込んでくるのはメインビジュアルです。特に海外の企業
サイトは、全面を1枚の写真ビジュアルで構成しているものをよく見
かけます。企業によっては、複数の写真を組み合わせてメインビジュ
アルに設定することをブランドマニュアルで禁じている場合もありま
す。

トップページのメインビジュアル
3−1

優れたメインビジュアルからは以下のような点で、誇りを感じること
ができます。
・ビジュアルそのものが強いメッセージを発信している
・発信したいメッセージに自信がある(迷いがない)
・独自のバリューが具体化され、見た者が共有できる etc
グローバルサイトは多言語サイトと表現されることがあるように、言
葉を超えたメッセージが伝えられるようなトップページのビジュアル
は、“誇り”を伝えるための有用な要素であることは間違いありません。
例えばこちらのカワサキZ250スペシャルサイト

トップページのメインビジュアル
3−2

ソリッドで重厚感のあるビジュアルからは気高さが伝わってきます。
私自身もカワサキのバイクに乗っていたことがあるので、特徴あるエ
ンジンのフィーリングとともに、何かしら“誇りの暗号”のようなもの
を受け取ってしまいます。たぶん、ママチャリしか興味のない女性の
方でも、独特のカッコよさを感じていただける筈です。
しかし、どんな製品やサービスでも“誇り”をビジュアル化できるで
しょうか?
残念ながら、それはデザイナー泣かせの注文かも知れません。
バイクはものがあるから表現しやすいのですか?
たぶん、形のあるなしは関係ないでしょう。
“誇り”は、ビジュアル1枚で表現できるほどシンプルでない場合が多
いのです。
私は、トップページで誇りを伝えるために最も重要な要素はタグライ
ンだと考えます。
グローバルサイトのトップページの左上には、9割以上の確率でブラ
ンドロゴが配置されています。その下や周辺にある短いメッセージが
タグラインです。ほとんどの場合、そのブランドがお客様に提供する
バリューや具体的なサービス内容、目指しているゴールなどがシンプ
ルに表現されています。

タグラインが活きている
トップページ構成
4−1

例えば、このCAPS WebにはMarketing and Communicationと書か
れています。「CAPSはマーケティング理論に基づいた考え方に沿っ
て、多種多様で効果的なコミュニケーションをご提案・創造する」こ
とを誇りを持って宣言しているのです。
実は、マイクロソフトやトヨタ自動車、コカコーラなど、世界的に有
名な企業の場合、誰でもそのブランド価値を理解しているので、あえ
てトップページにタグラインを表示する必要はありません。CAPSの
ように知る人ぞ知る・・・というような企業にこそ、タグラインは効
果があります。
SAPのトップページは“The Best-Run Business Run SAP”という
タグラインが、ひとつのメインビジュアルとキャッチフレーズと連動
して、躍動感あふれた誇りあふれるメッセージを発信しています。

タグラインが活きている
トップページ構成
4−2
SAPはタグラインが必要ないほど、ERPの分野では有名な企業で
す。誰でも名前だけは聞いたことがあるでしょう。ただ、SAPの製
品やソリューションの良さを正確に理解している方は、直接ERPに
何かしら関わりのある人に限られるかも知れません。
ERPは経営者層に導入ベネフィットの高いソリューションです。I
CTの知識が浅いことが多い経営者の方に、常にアプローチを続けた
いと考えるなら、経営者視点のベネフィットをシンプルに言い切った
タグラインは有効な手段になります。
このようにトップページで誇りを表現する場合には、タグラインに軸
足を置いて、メインビジュアルやキャッチコピーなどを組み合わせ、
ページ全体で伝える誇りやメッセージを構成する。つまり、ある程度
ブランディングの考え方をベースに置いたほうが、意味的にも、視覚

タグラインが活きている
トップページ構成
4−3

的にも効果的にまとまります。
また、ブランド戦略をとっていない企業でも、顕在化していないブラ
ンド資産を洗い出して、これをお客様の視点だけでなく、社員の視点
でも同じに見えるように組み立てていく(構造化する)ことにより、
誇りあふれるトップページが構成できるはずです。
皆さんは、タグラインをうまく活用できていますか?
Story
「なるほど、タグラインか。要はウチの心意気を表すキャッチフレー
ズみたいなもんだな」東京の下町育ちである社長は嬉しそうに言った。
小野はすぐに作れそうな気がした。

誇りを伝える下準備

「これだったら、みんなにもアイデアを出してもらえば何とかなりそ

うですね。」
「作るだけならそうかも知れないが、実際はその後が問題なんだ
な・・・これが。」社長は急に醒めた目で語り始めた。
「この間、初めて会う銀行の人が来たが、彼が最初に知りたかったの
はウチの技術力じゃない。何年に創業して、どのくらいの業績で、ク
ライアントがどこ・・・っていう基本的な情報だったんだ。強みとか
そういう話を聞く前に、まず信用できる企業か?ってとこが大事なん
だな。」

「なるほど!」最近、趣味で映像の編集に凝りはじめた小野にアイデ
アが浮かんだ。
最近、海外で使う見込客向けのプレゼンテーション用ムービーや営業
ツールを制作する仕事をいくつか手がけました。クライアントの皆さ
んは異口同音に、海外では以下のような話を最初に聞かせてくれとい
うリクエストがあるので、イントロダクションの部分に入れて欲しい
とおっしゃいます。
・創業のきっかけやその後の発展(沿革)
・国内外を含めた販売・生産拠点(数)
・最近の業績推移や従業員数 etc

About Usの役割
5−1

プレゼンテーションでは、「あれができます、ウチならこんなバ
リューが提供できます」とアピールするのですが、それを聞いてもら
う前にこういった企業の信用力に関する情報を伝えます。
これらの情報を元に、聴く側はアピール内容を額面通り受け取るのか、
それとも少し距離を置いて冷静に話を聞こうとするのかを決めるとい
うわけです。
グローバルサイトでは、こうした信用力に関わる情報がAbout Usや
About XXXX(企業名)というタイトルでまとめられています。
トップページで“誇り”のメッセージを受け取った後、さらに詳細な強
みやバリューといった“誇り”を理解する下準備として、こうした情報
を読んでもらうのです。このAbout Usのタイトルは、探しやすいよ
うにグローバルナビの左か右端にあるケースがほとんどです。
さて、優れたAbout Usとはどういうものでしょうか?
富士フイルムのAbout Us扉ページは、ほとんどのAbout Usがそうで
あるように、トップメッセージから経営理念、財務状況などの項目が
整然と並べられ、企業の信用力の目安になるような項目が迷いなく選
べるようになっています。

魅力的、よりも整然かつ簡潔が
優先されるAbout Us
6−1

企業側としては、なるべく短時間で信用力を認めてもらい、強みや製
品・サービスを紹介したページに早く移動して欲しいわけですから、
About Usでご覧いただく情報はなるべくコンパクトに構成する必要
があります。
このように情報を選ぶ側の立場に立って構成されたAbout Usが多い
中、自社の信用力や規模をアピールし、尚かつ、見る側のニーズにも
的確に応えているコンテンツもあります。
こちらは海外市場への展開数、従業員数、そして創業年数の3つの数
字をキーワードに企業の信用力をコンパクトに伝えています。

魅力的、よりも整然かつ簡潔が
優先されるAbout Us
6−2

これは、武田薬品工業のABOUT TAKEDA内にある「Expressing
Takeda in Numbers」というコンテンツですが、企業を魅力的に伝
えようとするのではなく、1分以内で企業の信用力を簡潔に伝えてし
まおうという意欲が感じられます。トップページのかなり目立つ位置
にも、このコンテンツへ誘導するバナーが設置されています。
さて、About Usの情報に動画を使う選択肢はあるのでしょうか?
動画は表現力が豊かで、かつ魅力的に情報を伝えることができるので、
短時間で企業の信用力や規模を把握して欲しいAbout Usには適した

魅力的、よりも整然かつ簡潔が
優先されるAbout Us
6−3

手法に思えます。
よくグローバルサイト構築の注意事項として、ナローバンドで見てい
る地域への配慮があげられます。確かにそうしたことも重要ですが、
最近はデバイス側の処理能力も向上したので、About Usでも動画コ
ンテンツを見かけることが多くなりました。
こちらのDuPontのOur CompanyにあるOur Commitment to
Inclusive Innovationという動画は約2分という長さですが、かなり
見ごたえがあります。

魅力的、よりも整然かつ簡潔が
優先されるAbout Us
6−4

DuPontが取り組んでいるエネルギーや食糧問題、そして安全・安心
の3点をシンプルな言葉で具体的に語られている点が、グローバルを
強く意識したものであることを感じさせます。また、そこには自信と
“誇り”があふれています。
DuPontが取り組んでいるエネルギーや食糧問題、そして安全・安心
の3点をシンプルな言葉で具体的に語られている点が、グローバルを
強く意識したものであることを感じさせます。また、そこには自信と
“誇り”があふれています。

魅力的、よりも整然かつ簡潔が
優先されるAbout Us
6−5

このようにAbout Usは一見地味な存在のようですが、企業の強みや
バリューを紹介するうえで、そのリアリティを担保する重要な情報と
なります。つまりAbout Usのコンテンツは、その企業がグローバル
サイトで発信したいメッセージにしたがって構成していく必要がある
のです。
皆さんのAbout Usには、何か工夫がありますか?
Story
小野が思いついたのは、彼が尊敬する先輩社員の仕事風景をショート
ムービーにすることだった。先輩社員が工作機械を操作する手元は、ま

企業戦略との関係

さに日本の匠の世界だった。

「そういう映像を背景に、ウチの会社の創業年とか、基本的な情報を伝

えていこうと思うんです。」

「それはいいかもしれないな。日本企業としての文化性が伝えられるか
も知れないしな。」社長もすぐに賛同した。

「ええ、できたらとりあえず YouTubeにアップしてみます!」小野の鼻
の穴が大きくふくらんだ。
以前、BtoB企業のお客様からこんなことを聞かれたことがあります。
「ウチのコーポレートカラーはブルーなんだけど、中国の拠点は、縁
起がいい赤を中国サイトで全面的に使いたいと言うんだよね。どうし
たらいいかな?」。

グローバルブランディング
における戦略
7−1

製品やターゲットによって様々な色調やトーン&マナーを使い分ける
BtoC企業と違い、BtoB企業の場合はコーポレートカラーを基調にサ
イトデザインを考えることが多いと思います。
同じ基調色を使ってグローバルサイトと各国のサイトに統一感を持た
せることは、グローバル市場でひとつの企業や製品・サービスのブラ
ンドイメージを形成していく上で有効な手段です。
日経BPコンサルティングによる「企業グローバルサイト・ユーザビリ
ティ調査」で1位の評価を受けている富士通グループのグローバルサ
イトは、そうしたグローバルブランディングがよく考えられています。
グローバルブランディング
における戦略
7−2
デザイン面だけでなく、運用面でも以下のような優れた仕組みがある
と言われています。
コンテンツの質やゴール設定についてのガイドラインがある
サイトの価値を金額換算し、経営者層にも分かりやすい
グローバルでの情報発信を均一でスピーディーにする取り組みがある
実は、冒頭で紹介したお客様の質問に対して、「赤を使うことで“誇
り”が伝えられるなら、それもありなんじゃないのかな?」という考
えが頭をよぎりました。(実際は、その企業の各国サイトの状況を知らなかっ
たので、よく調べさせてくださいと返答したのですが・・・。)
グローバルブランディング
における戦略
7−3

「グローバルにある程度の統一感を出したいが、エリアの文化特性や
展開するビジネスの違いも勘案したい」というのはある意味ジレンマ
かも知れません。しかしながら、この富士通グループのようにコンテ
ンツ制作に関する明確なガイドラインがあれば、各国の担当者もその
中でエリアの特性を考えればよいわけですから、きっとやりやすいで
しょう。
今年の6月に日本版がリリースされた日本コカ・コーラのコーポレー
トサイトCoca-Cola Journeyには、そういったグローバル戦略と各国
文化との融合という点でひとつの答えを見ることができます。

地域の文化にとけ込む
グローバル戦略
8−1

日本コカ・コーラのプレスリリースには、このサイトの特長が3点あげら
れています。
・ウェブマガジン型コンテンツ「コカ・コーラ ストーリー」の展開
・グローバルな連携による「コカ・コーラ ストーリー」の海外への発信
・ソーシャルメディアアカウント(Facebook/Twitterなど)との連携
このように従来のコーポレートサイトにはない、斬新で意欲的な試み
が展開されていますが、グローバルサイトとして見ても興味深い点が
いくつかあります。
現在Coca-Cola Journeyは日米を含む6ヶ国で展開されており、メイ
ンコンテンツである「コカ・コーラ ストーリー」は各国オリジナルの
ものが中心になっています。それは地域の生活や文化性に深く関わる
ものが多く、やはり世界各国で浸透している飲料ならではのスタンス
を感じさせます。
また、Coca-Cola Journeyの日本サイトは、日本の生活者が関心を持

地域の文化にとけ込む
グローバル戦略
8−2

ちそうな話題を中心に構成されています。例えば、グローバルのコン
テンツ構成は以下のようになっています。
STORIES

OPINIONS

BRANDS

VIDEOS

BLOGS

これが、日本サイトではSTORIESとOPINIONSが合体して「ストー
リー」になっています。また、以下のような要素がメインのナビゲー
ションに独自に追加されています。
自動販売機

知る・学ぶ

企業情報

お客様相談室

確かに「自動販売機」なんて、日本でしかできない話題です。内容も
省エネ型や災害支援型自動販売機が取り上げられ、これも日本らしさ
が出ています。
地域の文化にとけ込む
グローバル戦略
8−3

広報の方のブログを読むと、サイトのリリースまでの10ヶ月間、米国
本社のプロジェクトスタッフと何度も打ち合わせした経緯が描かれて
います。一読するとあまり苦労した印象は受けませんが、コンテンツ
構成をここまで日本仕様にローカライズする過程では、かなり激しい
議論があったのだろうと想像します。
しかし、最終的にはリリースされたような姿になっていることを考え
ると、コカ・コーラというグローバルブランドの懐の深さと先進性を
感じずにはいられません。
Story
次の日、小野は自分のカメラを持ち込み、先輩社員である岡崎の作業を
撮影し始めた。
「こんなことを映すだけで、本当に技術の凄さが伝わるのか?」

グローバルに技術語りを

「確かに、誰にでも分かるように・・・っていうのは無理かも知れませ
ん。でもウチの場合、見て欲しい人がはっきりしているので、ターゲッ
トに向けたメッセージや演出をいろいろ考えているんです。台本がある
ので岡崎さんも協力してくださいよ。」

「そりゃあいいけど、YouTubeにアップするだけで見てもらえるの
か?」
小野の目が、またキラリと光った。
「いえ、TwitterとかFacebookとか、ソーシャルメディアも使って、

見てもらえる方法をいろいろ考えているんですよ!」
改めて言うまでもなく、日本の技術や品質の高さは世界に認められて
います。例えば、テレビやスマートフォンなどの端末機器では衰退基
調にある日本の電子産業も、電子材料や部品といった分野になるとま
だまだ他国の追随を許さない、独自の技術があると言われています。
電子産業だけでなく様々な製造業において、自社の技術をグローバル
にアピールし、新たなビジネスチャンスを開拓したいと考えている企
業は多いはずです。グローバルサイトは、そうしたアピールの場とし
て活用されるべきでしょう。
今回は、グローバルサイトで技術を表現する時の必要条件や課題をご
紹介します。

成功する技術語りとは
9−1

まず、私がPerfect!と思える技術語りがこちらです。

http://www.siemens.com/entry/cc /en/#/underwaterwind-hd
このたった60秒の動画には人に技術を伝えるために必要な要素がすべ
て入っています。
技術の原理が分かりやすく説明されている

成功する技術語りとは
9−2

実験もしくはそれに近いことを行い、リアリティが増幅されている
他の技術や従来品と比較し、明確な違いを提示している
私はこれまで「潮力発電」という技術の存在や原理ぐらいまでは知っ
ていましたが、この動画により、初めてこの技術の価値に気づかされ
ました。「知っている」ことと「価値が分かる」のはまったく別次元
の話で、大きな違いがあります。
恐らくすべての技術について言えることですが、技術はより魅力的に、
分かりやすく伝えるコミュニケーションによって、その本当の価値が
引き出されるのだと考えます。
SiemensのようなBtoB企業と違い、BtoC企業にとって技術そのもの
の魅力を消費者に伝えることは簡単ではありません。製品にもよりま
すが、消費者に対して難しい物理や化学の授業のようなコンテンツを
提供しても、興味を持ってもらうのは難しいかも知れません。

技術語りの地域差
10−1

時には子どもでも直感的に分かり、納得できるような表現が必要にな
ります。やはり、ここでも映像は有効な手段ですが、その前提として
技術ブランドが確立されていると、より大きな効果を上げることがあ
ります。

自転車のパーツメーカーであるSHIMANOは、完成車メーカーではな
いのに、世界中の自転車ファンによく浸透している技術ブランドです。
そのパーツはギア、ブレーキ、サドル、ホイールからウェアやシュー
ズまで、多岐にわたっています。
その品質の素晴らしさは、SHIMANOのパーツを自分の自転車に組み
込んでみると、素人にもはっきりと違いが分かると言われています。
こうした技術ブランドは1980年代からロードやマウンテンバイクの
レースでの実績や信頼性とともに培われてきました。技術ブランド、
つまり技術の価値を体感している上で動画を見てもらえると、個々の
技術への理解もスムーズになります。
しかしながら、SHIMANOの技術を訴求する動画は、米国と欧州で
トーン&マナーがかなり違います。
例えばこちらの米国サイトでのブレーキの技術表現をご覧ください。

技術語りの地域差
10−2

http://bike.shimano.com/publish/content/global_cycle/en/us/i
ndex/videos/disc_brake.html
この動画だけでなく、他の多くの動画でも高い耐久性や防水性などの
高機能面の訴求や、ダイナミズムの表現が基調になっています。
逆に欧州ではスタイリッシュでインテリジェンスが感じられる動画が
多くなる傾向にあります。

技術語りの地域差
10−3
http://cycle.shimanoeu.com/publish/content/global_cycle/en/nl/index/technologies
/dynasys.html
このように技術語りをする際には、地域文化やクリエイティブの違い
(何が消費者の心を動かすか)も考える必要があります。分かりやすく、
時計のクリエイティブで例えると以下のようになります。
日本:全体像が見える正面から撮影した均一なビジュアル
米国:防水性を訴求する水しぶきや、時計が水中にある機能ビジュアル
欧州:スーツの男が身につけているスタイリッシュなビジュアル
最後になりますが、日本企業の技術語りには未開拓の部分があること
をご紹介します。
日本の技術の強みは工程間でのすり合せであったり、俗に「品質のつ
くり込み」と言われるこだわりなど、なかなか表現しにくい部分が多
いのが現実です。長い間、そうした部分の表現にチャレンジしている
グローバルサイトの事例を探していますが、残念ながら成功している
と思えるコンテンツと出会ったことがありません。

技術語りの地域差
10−4

また、日本語サイトではよくある「開発ストーリー」的なコンテンツ
もグローバルサイトではほとんど見かけません。グローバル市場であ
まり受け容れられないという前提か、先入観があるのかも知れません。
日本の技術の特長は、日本人の気質や美意識、そして伝統から生み出
されたものです。技術は、魅力的に分かりやすく伝えることで本当の
価値が引き出されるなら、これを誇りのコミュニケーションでもっと
伝えるべきではないでしょうか。
そうした技術語りで価値が引き出される可能性が、グローバルサイト
にはまだまだたくさん残されているように感じられてなりません。
Story
ある日の朝、小野が出社すると、玄関前に東南アジア系の男性が
立っていた。その男性は小野に気づくと顔がパッと明るくなった。

「小野サン、ですね?私、ベトナムから来たクオンです。YouTube
観ました。ぜひ一度、工場を見学させてください。」

人材採用もグローバルに

さっそく社長に引き合わせたところ、日本で技術を習得して、将来
ベトナムで事業を興したいという夢があることをつたないが熱い
言葉で語った。社長はその姿勢が気に入ったみたいで、思い切った
ようにこう言った。

「オレもやる気のある外国人を雇って、自分も新しい発想に触れた
りしたかったんだよ。よかったら、ウチでインターン生として働く
か?」
自分がグローバルに発信したムービーが予想もしない方向へ展開し
たことで、小野は改めてインターネットのチカラを実感した。
海外の安い労働力の獲得や成長し続けるマーケットの開拓を目指して、
日本企業の海外展開が進んでいます。その中で、海外に進出した日本
企業が抱える主な課題は人材の採用や育成だと言われています。

採用情報こそ
“誇り”のコミュニケーションを
11−1

アジア圏だけで見ても、日本よりも豊かで高い報酬が期待できそうな
国は増えています。技術力が同水準にある場合、単に日本企業だから
というだけで働く魅力はアピールできるはずもありません。企業独自
の“誇り”あふれる独自のメッセージ発信が必要でしょう。
そうした発信の場としてグローバルサイトは、国内と同様にインター
ネットによる情報提供や応募へのきっかけづくりにおいて有効に機能
します。
ファーストリテイリングは、海外展開を強化するために1,500 人規模
の新卒採用に対して半分から8 割を外国人とし、3~5 年後に東京本
部の社員の半数を外国人にする計画を立てている日本を代表するグ
ローバル企業です。

採用情報こそ
“誇り”のコミュニケーションを
11−2

一般的に採用情報は熱いメッセージを発信することになりがちですが、
ファーストリテイリングの場合はファッションの持つ可能性を踏まえ
た、以下のような“誇り”のメッセージに満ちあふれています。
・服を変え、常識を変え、世界を変えていく
・いっしょに世界を変えていきたい。経営者を志すあなたと。
・どの国でも、誰でも、可能性は無限大。
これらのメッセージは「2020年に世界一のアパレル製造小売業にな
る」というゴールを社員全員が共有し、そのために何をするべきか、
どんな人に来て欲しいか、という視点で構成されている部分が、他の
採用情報サイトの“熱さ”と根本的に違うところです。
ファーストリテイリングのように、日本人向けに海外への雄飛を呼び
かける例はありますが、一般的にグローバルサイトで採用情報を発信
する場合、以下のように現地在住の方を現地の拠点の募集に応募して
いただく形になります。

ポイントは
キャリアパスへの理解促進
12−1

働く企業を選ぶ立場に立てば、様々な選択ポイントがあります。
・働くステータス性があり、自分の希望する仕事内容に就けるか
・魅力ある賃金や正当な評価をしてもらえ、安定して雇用してもらえるか
・希望する勤務地で、適切な勤務時間や休日があるか など

こうした中で現地企業への応募と決定的に違う点は、応募者にとって
外国の異文化を持つ企業で働くことになる点です。したがってグロー
バルサイトで採用情報を発信する場合は、実際に入社した後にどのよ
うに自分の能力が活かされ、成長し、やりがいのあるポジションや高
い報酬に恵まれるのかをクリアにする必要があります。
ダウケミカルのグローバルサイトで見られる採用情報は、そうした
キャリアパスに関わる情報量がかなりのウエイトを占めており、この
あたりは一般的な日本企業の国内向け採用情報と大きく異なる点です。

ポイントは
キャリアパスへの理解促進
12−2

ダウケミカルに限らず欧米諸国の企業サイトでは、働く魅力や入社後
の可能性がすべて従業員や応募希望者の視点で語られているケースを
多く見かけます。つまり日本企業の国内向け採用情報サイトのように
「こういう人が欲しい」を言うのではなく 、ダウケミカルのA Place
to Grow and Thrive(成長し、成功する場)というキャッチフレー
ズにある通り、「働いたらこんなやりがいが生まれるよ」というスタ
ンスに立っていることです。
キャリアパスが一般論に留まっている、あるいはちゃんと提示されな
いといった点は、日本企業特有の雇用慣例としてよく指摘されていま
す。部署間での業務量の調整や事業戦略の変更に柔軟に対応するため
に、将来的に行なわれる人事異動に足かせとなるような言質は取られ
たくないと考えるのがその理由としてあげられます。

ポイントは
キャリアパスへの理解促進
12−3

そもそも人事戦略は企業の成長に大きく関わります。グローバル市場
への進出を目的にグローバルサイトを構築する時点では、グローバル
企業である必要はありません。しかし、グローバルサイトで人材採用
を計画するのであれば、名実ともにグローバル企業である必要がある
のです。
グローバル人材で可能性を広げませんか?
Story
クオンが正式に研修生として毎日姿を見せるようになってから、
グローバルサイトを立ち上げようという機運が一気に高まった。

「どうせだったら12月でウチも創業20周年だから、それに合わせて
できればいいな。」という社長の無理なリクエストもあったが、小

周年サイトの多様な目的

野を中心に制作も順調に進んだ。

ところが完成プレビューを控えたある日、岡崎が血相を変えてやっ
てきた。「おいウチのメインクライアントのA社が倒産したらしい
ぞ。」

「ええっ!これからどうなるんですか?」
小野は不安な気持ちで心が浮つくだけで、何もできない自分が情け
なかった。
それから数日は社内も落ち着かず、「サイトアップ、しますか?」
というクオンの声にも「うん、頼むよ。」と生返事を返しただけ
だった。
企業にとって周年とは、既存のお客様には感謝の気持ちを表し、未来に
向けた決意表明をする節目になります。そうした気持ちやメッセージを
企業内外に伝えるために、周年記念パーティーや社史の編纂などを行う
ことがよくあります。
この周年事業と呼ばれる一連の展開の中で、最近は周年記念サイトが中
心的な役割を果たしていると思える事例をよく見かけるようになりまし
た。周年を機にしっかりとしたメッセージをより広く、あまねく伝えた
いと考えるなら、Webサイトの活用は当然だと言えます。

周年サイトで新規顧客開拓を
13−1

日本企業の周年サイトの場合、ほとんどが以下のような要素で構成され
ています。
・トップメッセージ(感謝と決意表明のごあいさつ)
・周年記念ロゴやステートメントの紹介や説明
・企業の歴史や沿革を紹介するビジュアルや年表
5−1の「About Usの役割」の項でご紹介したように、海外では企業
の成り立ちや規模、信頼性をまず知りたいというニーズがあります。上
記の3点の中で、歴史や沿革紹介が図らずしも、そのニーズを満たして
いるという事例をよく見かけます。
周年サイトで新規顧客開拓を
13−2

オムロンの「history」にあるOMRON 80th anniversary videoは企
業の技術の歴史だけでなく、未来への可能性も感じられる3分強の
ムービーになっています。
リンク先 >> http://www.youtube.com/watch?v=-LVCn72FdBs
このムービーは以下のような点で優れています。

周年サイトで新規顧客開拓を
13−3

・技術史からautomateというキーワードを導き、未来につなげてい
る。
・automateで社会のどんな場面で貢献できるかを具体的に示してい
る。
・「アジアに、世界に」と、ターゲットエリアを明らかにしている。
サイト内のコンテンツはこれから更新されるものが多いようですが、
初めてオムロンを知る者にとって「もっと知りたい」と思わせる充分
なチカラを備えています。またデザインのイメージや、様々な文化を
背景とした登場人物からもグローバルに向けて発信する意識がうかが
えます。
コンバージョンの設定がないので、周年サイトを通じて見込み客を開
拓をするという点はサイト運営本来の目的にはないと思われます。し
かしながら、その可能性は充分広がっているように見えてなりません。
一般的に、100周年など周年の大きな節目にあたる時は周年事業全体
の規模も大きくなります。それは日本も海外も同じです。
今年150周年を迎えたBayerは、グローバルサイト内で発信している
150 Years Science For A Better Life というステートメントにある
ように、研究開発型企業としての絶え間ないイノベーションにより、
より良い暮らしに貢献してきた“誇り”のメッセージを発信しています。

ファンの輪が広がる周年サイト
14−1
また“誇り”のメッセージだけでなく、特設コンテンツ内は祝祭感にあ
ふれています。3万人の従業員が集まった記念イベントや飛行船によ
る世界ツアー、各国の従業員がBayer で働く喜びを語るMy Bayer
Storyなど、日本企業の周年サイトと比較すると20倍以上のコンテン
ツボリュームがあります
この中で大人も子どもも楽しめる、以下のような企画が目を引きます。

ファンの輪が広がる周年サイト
14−2

・Anniversary Song:親しみ易いメロディでかなりストレートな意
味の歌詞である。
・E-cards:グリーティングカードの電子メール版でデザインがよく
更新されている。
・Play and Win:なぞなぞ風のクイズに答えるとiPadなどが当たる。
Bayerのような実績のある企業ならではのスケール感のある取り組み
と言えそうですが、その歴史を誇るだけでなく、共に祝おうとしてい
ます。とてもフレンドリーなイメージを強く受けるコンテンツ群の
トーン&マナーは、今後のグローバルサイトだけでなく、周年コンテ
ンツのあり方として大いに参考になります。
ファンの輪が広がる周年サイト
14−3

周年事業や周年サイトでは、その時にしかできないことがたくさんあ
ります。例えばそれは、歴史を振り返って自分たちの未来を考えてみ
ることであったり、改まった気持ちでお客様や従業員に感謝を表現す
ることです。
いつもとは少し違うコミュニケーションができて、新たな人々と出会
うことができるこうした機会を大いに活用すべきだと思います。
周年サイトでいろんなチャレンジをしてみませんか?
Story
A社倒産後の数ヶ月間、いつも現場で陣頭指揮を執っていた社長が新
規営業や資金繰りに忙しく、その姿が1週間以上見えないことも珍し

くなかった。
小野の頭の中からもグローバルサイトのことはすっかり消し飛んでい
た。

グローバルに技術語りを

そんなある日、クオンがPCの前で奇声を上げた。
「アメリカのボストンの、あの有名な大学から共同研究のオファーが
来ているよ!」

小野は信じられない気持ちで何度もそのメールを読み返した。気が付

くと、小野の肩を社長がつかんでいた。
「これなら、まず銀行を説得できそうだ・・・」社長がつぶやいた。

小野も、これがもっと大きな可能性をひらく、すべての始まりのよう

な気がした。
未知なる可能性を感じて
15−1

最終回は、グローバルコミュニケーションの新たな可能性を感じる事
例をご紹介しながら、“誇り”のメッセージの先にあるものを考えてい
きたいと思います。
吉田金属工業は社員100名の企業ですが、刃身から柄まですべてステ
ンレス製の包丁を世界で初めて開発し、その切れ味や使いやすさから
世界中の料理人から高い支持を得ています。英語版しかありませんが、
吉田金属工業のコーポレートサイトでは、その技術力やこだわりが詳
しく、分かりやすく紹介されています。

未知なる可能性を感じて
15−1

イメージストーリーにあるような、決して規模は大きくないが独自の
技術や創造力を持った企業は、グローバルサイトなどの自社メディア
を持ち、持続的な情報発信でビジネスや成長の可能性を広げるきっか
けづくりをするべきだと考えます。
また、企業だけでなく、自治体など公共団体も積極的なグローバルサ
イトの展開で地域活性化を促進することも考えられます。
こちらの大阪府のグローバルサイトは、大阪府国際化戦略実行委員会
が事業の一環として運営しています。運営の目的が海外の企業やビジ
ネス誘致、観光振興、留学生プロモートと比較的広い範囲に渡ってい
ます。規模の小さな自治体なら、もっと個性的で、狙いを絞ったサイ
ト運営が可能ではないかと思います。

未知なる可能性を感じて
15−1
また、サイト運営の目的は地域振興だけとは限りません。こちらの
「いわて復興ネット」は岩手県が運営する東日本大震災からの復興に
関する施策が英語で読めるアーカイブになっています。

未知なる可能性を感じて
15−1

本当は、市町村などの自治体、NPO・NGOはもちろん、生活者の方々
の復興に向けた取り組みや歩みが英語やその他の言語で発信できると、
グローバル社会の中で日本という国や文化の理解促進や共感獲得につ
ながると思います。しかし、やはり大変な状況は震災直後から変わら
ないようで、そこまで情報発信に労力はさけないのが現実だと思いま
す。
最後にご紹介する事例は、折形という日本に約700年前から伝わる贈
物の包み方を伝えるお宮を紹介したサイトです。

未知なる可能性を感じて
15−1

日本語、フランス語、英語で紹介されていますが、決してグローバル
サイトという位置づけではなさそうです。しかし、このお宮はパリに
あります。現地の方に伝統的な折形だけではなく、現代やフランスに
ふさわしい折形を広めていくというコンセプト自体は、日本文化を背
景としたグローバルコミュニケーションの試みとしては素晴らしく、
グローバルサイトも日本文化やその企業・団体の独自の文化が背景に
しっかりあるべきだと考えます。
第1回では、リアルな会話の中で日本人は自己主張が弱く、それが外
国人から見て日本を分かりにくくしていると書きました。また、その
自己主張の源泉として“誇り”を位置づけ、これを軸としたコミュニ
ケーションをご提案してきました。その“誇り”あふれるメッセージは
個性的で、より強烈であればあるほど、賛否両論が起こります。称賛
の声なら、きっと心地よいでしょう。しかし、問題は否定的な声があ
がった時なのです。

“誇り”の先にあるもの
15−2

日本人の特性として、自己主張した後に否定的なコメントを表明され
るとあわてたり、ひどい時にはその主張を簡単に撤回することがよく
あります。それでは外国人をますます混乱させるか、くみしやすいと
いう印象を与えるだけでしょう。グローバル社会で自己主張が必要な
ら、否定的なコメントが出るのは避けられません。異論反論があった
時は落ち着いて対応し、安易に自分たちの主張を変えることなく、互
いを理解し合う気持ちでコミュニケーションすることが重要だと思い
ます。自分たちが正しいと思っていても、立場や見方が変われば、そ
の人やその国にとっては間違っていることがよくあります。しかし、
それは単に文化の違いであり、自分たちの主張が間違っていることに
はなりません。
考えてみれば、国同士や企業、そして家庭内のもめごとまで、世の中
の課題の多くは互いをよく理解をしていないから起こっているように
見えます。また逆説的ですが、互いを理解することはたいへん難しく、
相互理解が生まれたからといってすべての問題が解決するわけではな
いので、これをゴールにするのは無理があるでしょう。しかしながら、

“誇り”の先にあるもの
15−2

互いを理解しようとする努力や意欲は、課題を解決に導く“チカラ”に
はなるでしょう。ビジネス的に見れば、共通する部分と異なる部分を
見つけて、互いの弱点を補ったり、強みを相乗効果で高めたりするア
イデアも見つかるかも知れません。
グローバルサイトで“誇り”のメッセージを発信するということは、課
題を解決する“チカラ”を生みだし、現在の状況をより良いものに変え
ていくための一歩を踏み出すことなのだと考えています。
8回に渡り、このコラムを読んでいただき、ありがとうございました。
8回の内容をもっと掘り下げた2クール目も予定しています。
もし、これは素晴らしい!と思えるグローバルサイトに出会った時は、ぜひお知らせください。
特に、社員15名くらいの企業サイトがあった時は・・・。

光岡 太郎

Blog「コミュニケーションの実験室」
>> http://www.caps-association.co.jp/lab/

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