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1. 「キャリアデザインの理理論論」
そのウラ・オモテ
1限⽬目：⼼心理理とキャリアデザイン
⽥田澤 実
（法政⼤大学キャリアデザイン学部 准教授）

2. 授業の予定（全8回）
1. ⼼心理理とキャリアデザイン
2. 認知特性とキャリアデザイン
3. 学校とキャリアデザイン
4. 家族とキャリアデザイン
5. キャリアデザインはなぜ難しいのか
―ぬるま湯環境が⽣生む脅威と焦燥―
6. キャリアデザインはなぜ難しいのか
―突然変化する興味関⼼心―
7. キャリアデザインの難しさを乗り越えてゆく
8. キャリアデザインのオモテとウラ-‐‑‒整理理と統合

3. 授業の流流れ
1. 導⼊入
⼈人⽣生をどの程度度⾃自由に動かすことができるか？
（受講している皆さんへの質問）
2. 「意識識」⇒「⾏行行動」
動機づけ
3. 「⾏行行動」⇒「意識識」
帰属理理論論
4. 最後に

4. ⾃自分の⼈人⽣生を
どの程度度 ⾃自由に
動かすことができるか？

5. 質問1
u ⼈人⽣生は⾃自分の思い通りに動かすことができると
いう⼈人もいれば、どんなにやってみても⾃自分の
⼈人⽣生は変えられないという⼈人もいます。
u あなたは、ご⾃自分の⼈人⽣生をどの程度度⾃自由に動か
すことができると思いますか。
u 「１」は「⼈人⽣生は全く⾃自由にならない」を、
u 「10」は「⼈人⽣生は全く⾃自由になる」を
⽰示すとします。
u １から10までの数字で当てはまるものを
１つお答え下さい。

6. この質問の出典
u World Values Survey (2010-‐‑‒2014)
u 第6回世界価値観調査
u 今回の項⽬目は50か国以上が回答している。
u 各国1,000〜～2,000名前後の回答数

7. ⽇日本⼈人男性の結果
平均：5.79

8. ⽇日本⼈人⼥女女性の結果
平均：5.72

9. ⽶米国男性の結果
平均：7.60
0
50
100
150
200
250
300
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
（単位：人）

10. ⽶米国⼥女女性の結果
平均：7.86
0
50
100
150
200
250
300
350
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
（単位：人）

11. あなたは、ご⾃自分の⼈人⽣生をどの程度度
⾃自由に動かすことができると思いますか
Mexico 8.44
Trinidad and Tobago 8.17
Colombia 8.16
United States 7.73
China 7.13
Germany 6.80
Morocco 6.18
Russia 5.95
Japan 5.76
注）50か国以上の回答があったが、ここでは上位下位3か国と、中位から任意の3か国を抜き出した。

12. 2つの視点
意識識 ⾏行行動

13. 「意識識」⇒「⾏行行動」

14. 質問2
u あなたは、なぜこの講義を
受講しましたか？

15. 意識識 ⾏行行動

16. 内的な要因
欲求（need）
u ⼈人間が⾏行行動を駆り⽴立立てられるもの
u ⾏行行動を発現させる内的状態
例例）空腹を満たすための⾷食事
欲求 ⾏行行動
「何か⾷食べたい」 ⾷食事をする

17. マズローの欲求分類
1. ⽣生理理的欲求・・・⾷食欲・睡眠欲など
2. 安全の欲求・・・安全性、健康維持などの欲
3. 愛の欲求・・・・他者に受け⼊入れられたい欲
4. ⾃自尊の欲求・・・価値ある存在と承認されたい欲
5. ⾃自⼰己実現の欲求・⾃自分の能⼒力力を発揮したい欲

18. マズローの欲求分類
出典：Maslow, A．⼩小⼝口忠彦（監訳）1971『⼈人間性の⼼心理理学』産業能率率率⼤大学出版部
「たぶん⼀一般の⼈人の
⽣生理理的欲求の 85％
安全の欲求の 70％
愛の欲求の 50％
⾃自尊⼼心の欲求の 40％
⾃自⼰己実現の欲求の 10％
は満たされているであろう」
⇒ひとつの欲求が100％満たされて
初めて次の欲求が起こるというわけではない

19. 2つの動機づけ
外発的動機づけ
u 報酬や賞罰によって⾏行行動に取り組む場合
u 「○○をすればご褒美がもらえるから」
内発的動機づけ
u その⾏行行動⾃自体が⽬目的
u 「⾯面⽩白いから」「楽しいから」
自
己
決
定
性

20. 「⾏行行動」⇒「意識識」

21. 帰属理理論論
u ⼊入試、就職活動、資格試験などの結果に
ついて「なぜそうなったのか」という原
因について考えることがある。
u このように、物事の原因について⼈人間が
どのように推測するかは帰属理理論論として
研究がなされてきた。

22. 質問3
最近の出来事で
うまくいかなかったこと
を思い出してください。
それらの原因は、以下の4つのうち
どれに該当しますか。
1. ⾃自分の能⼒力力が⾜足りなかった
2. ⾃自分の努⼒力力が⾜足りなかった
3. その課題が難しかった
4. 運が悪かった

23. ワイナー（B.Weiner）の帰属
安定性
安定的
（またあるだろう）
変動的
（もうないかも）
原
因
の
所
在
内的
（⾃自分）
能⼒力力 努⼒力力
外的
（⾃自分以外）
課題の難しさ 運

24. 例例）
ある資格試験に挑戦したものの
失敗してしまった場合

25. 失敗を「能⼒力力」に帰属した場合
安定性
安定的
（またあるだろう）
変動的
（もうないかも）
原
因
の
所
在
内的
（⾃自分）
能⼒力力 努⼒力力
外的
（⾃自分以外）
課題の難しさ 運
恥ずかしい・・・。⾃自分には無理理だ・・・。
次も同じ結果だろう。もう勉強するのはやめた。

26. 失敗を「努⼒力力」に帰属した場合
安定性
安定的
（またあるだろう）
変動的
（もうないかも）
原
因
の
所
在
内的
（⾃自分）
能⼒力力 努⼒力力
外的
（⾃自分以外）
課題の難しさ 運
恥ずかしい・・・。でも、次はわからない。
次こそ、名誉挽回で頑張るぞ。

27. 失敗を「課題の難しさ」に帰属した場合
安定性
安定的
（またあるだろう）
変動的
（もうないかも）
原
因
の
所
在
内的
（⾃自分）
能⼒力力 努⼒力力
外的
（⾃自分以外）
課題の難しさ 運
あの問題は本当に難しかった。⾃自分の⾝身の丈に
合わなかった。⽬目指す資格を変えようかな。

28. 失敗を「運」に帰属した場合
安定性
安定的
（またあるだろう）
変動的
（もうないかも）
原
因
の
所
在
内的
（⾃自分）
能⼒力力 努⼒力力
外的
（⾃自分以外）
課題の難しさ 運
会場で、隣隣の⼈人が気になってしょうがなかった。
今回は運に恵まれかなかった。次はこんなこと
ないだろう。

29. 何に「帰属」することが良良いのか
u 「能⼒力力」に帰属
Ž 次の⾏行行動への意欲（動機づけ）が低くなる
u 「努⼒力力」に帰属
Ž 次の⾏行行動への意欲（動機づけ）が⾼高くなる

30. 何に「帰属」することが良良いのか
u 努⼒力力を美徳とする社会においては、
すでに努⼒力力の重要性は強調されている。
u さらに努⼒力力を促すことが適切切でないこと
もあるだろう。

31. 何に「帰属」することが良良いのか
安定性
安定的
（またあるだろう）
変動的
（もうないかも）
原
因
の
所
在
内的
（⾃自分）
能⼒力力 努⼒力力
外的
（⾃自分以外）
課題の難しさ 運
「内的」で「変動的」であるだけでなく
「⾃自分でコントロールできるか」が⼤大事
例例）学習の仕⽅方を変えるなど

32. 最後に

33. ニーバーの祈り
神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受け⼊入れるだけの冷冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと
変えることのできないものとを
識識別する知恵を与えたまえ。
注）翻訳は以下の出典を⽤用いた。
⼤大⽊木英夫 1970『終末論論的考察』中央公論論社

34. 引⽤用されている⾃自伝
u マイケル・J・フォックス（俳優）
Ž 『ラッキーマン』 （2005年年）
Ž ソフトバンククリエイティブ
u ⼭山崎直⼦子（宇宙⾶飛⾏行行⼠士）
Ž 『何とかなるさ!』（2010年年）
Ž サンマーク出版

35. まとめ

36. まとめ
1. （主観的には）⼈人⽣生を⾃自由に動かせない⽇日本
Ž 政策的なもの？ 意識識的なもの？
Ž どんな状況下でどのような⼼心理理か？（第2回へ）
3. 「意識識⇔⾏行行動」で良良いとされていること
Ž 「内発的動機づけ」による「⾏行行動」
Ž 「⾏行行動の結果」を「努⼒力力」と帰属すること
5. 失敗を「努⼒力力」と帰属する際に
Ž 「変えることのできるもの」か？
Ž 「変えることのできないもの」か？
Ž ⾃自分で帰属したのか？ 他者からの強制か？

37. レポート課題
u 今⽇日の授業の感想、気づきを
送ってください。