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【No.15】「エシカル・ファッションを通した自己実現」の可能性(その1)
- 3. 中間報告書 リサーチ・プロジェクト 100 事務局 2010 年 10 月 8 日版 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.
- 6. 1.1. 現状整理 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 中間報告事項① 中間報告事項② ヒアリング内容 ( 第 1 回ヒアリング実施結果 ) 現行事業プランの課題 要検討事項 /TODO ターゲット 設定 ・モードに関心がある男女 ・年齢は問わない ① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない 起業家が目指すブランドイメージに沿ったターゲットの絞込みを行う 社会課題の 理解と共有 エチオピアは、主輸出商品として羊皮を輸出しているが、国際価格競争に晒され、買い叩かれており、安定的な外貨獲得手段が無いため貧困状態から抜け出せない ② 当該事業プランが、貧困削減に寄与できるのか明確でない 当該事業が貧困削減に寄与できる仕組みを検討する必要がある 事業の 訴求方法 モード / ハイブランド = 先進国というイメージを覆し、エチオピア発のハイファッションを立ち上げることにより、アフリカのものづくりに携わる人の意識改革し、安定的な外貨獲得機会を提供する ③ 当該事業プランが安定的な外貨獲得機会を提供できるのか明確でない ④ アフリカのものづくりに携わる人々の意識改革方法の詳細が検討されていない ・安定的な外貨獲得機会を提供できる仕組み、方法を検討する必要がある ・具体的な意識改革方法を検討する必要がある 商品・サービス シープレザーを使った商品を日本市場で販売する 女性向けには、アパレル製品 男性向けには、小物等 ⑤ 日本市場で、エチオピアにて製造した商品で収益が上げられるかが不明 ⑥ エチオピアで安定した製造が可能か不明 ・エチオピアでの製造原価の見積 ・エチオピアで、安定的に、高品質な製品が製造可能性の検討 提供価値 ・エチオピアへの安定的な外貨獲得手段の提供による貧困削減 ・先進国に住む人への、アフリカ = 貧困、後進国等悪イメージの改革 ⑦ 先進国に住む人の意識改革へ寄与できるか不明 ・先進国に住む人へ、どのようにアプローチし、意識改革を促進するかを検討する必要がある
- 7. 1.2. 調査設計 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. ヒアリング 対象者 収集できる情報 対応する 事業プラン課題 (1) 製品製造者 ( 在エチオピア ) ・現在エチオピアで生産している製品の品質 ・エチオピアでの生産原価 ⑤ 日本市場で、エチオピアにて製造した商品で収益が上げられるかが不明 ⑥ エチオピアで安定した製造が可能か不明 (2) 業界精通者 ・エチオピアの皮革産業 ・日本の製品購入者像 ① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない ⑥ エチオピアで安定した製造が可能か不明 (3) 流通業者 ・セレクトショップで高級商材を購入する層 ・商材の仕入れ方法 ・マージン ① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない ⑤ 日本市場で、エチオピアにて製造した商品で収益が上げられるかが不明 (4) 想定消費者 ( エシカルファッション購入者 ) ・主要な購入チャネル ・エシカルに対する印象 ・エシカルは購入銘柄決定に寄与するのか ① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない ⑦ 先進国に住む人の意識改革へ寄与できるか不明 文献調査 文献 収集できる情報 対応する 事業プラン課題 統計 データ ・市場規模とトレンド ・競合の動向 ・チャネルの状況 ・消費者の購買行動 ① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない ⑤ 日本市場で、エチオピアにて製造した商品で収益が上げられるかが不明 web 検索 ・ファッション性と社会メッセージを兼ねそろえた商品は どのようなものか ・その際にフックとなるファクトは何か ② 当該事業プランが、貧困削減に寄与できるのか明確でない
- 8. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 2. 調査結果報告
- 9. 2.1. ヒアリング報告 1/2 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 対象者・ プロフィール ① 製品製造者 (在エチオピア ) 業界精通者 社会課題における 立場・要望 ・当該事業に製品製造、指導者として参画予定 ・皮革デザイナーとして参画予定。 社会課題に対する取組みの現状 ・エチオピアの貧困削減等の社会課題への取り組みは行っていないが、現在、日本人政府関係者向けの革製品をオーダーメードで生産している ・安定的に受注しており、高品質な革製品の製造が可能 ・エチオピア皮革製品製造技術の指導経験あり。 事業領域・商品・サービスの認知 ・エチオピア発の西欧市場向けハイブランドの革製品に関する知見あり ・ 7 年前まで靴業界で企画の仕事に従事。その後、 JOCV->JICA 技術顧問員という経歴を持っており、製品の企画・製造段階に対する知識や理解は深い。 対象事業の印象 ・エチオピアにて高品質な製品を製造するにあたり、安定した品質を保つため、工房員への技術指導が課題であると認識している ・高品質な製品を製造するための、高品質かつ多岐に渡る原材料確保が困難であると認識している ・皮革製品は元来エシカルなので、今更訴求することでもない。 ・エチオピアの革製品を卸しているところは既にあるが、検品の技術や在庫の問題があり、高品質だとは言い難い。 ・皮革製品購入者は皮革製品が欲しくて購入するケースが多いが、最近の合皮技術の質は侮れず、潜在的には競合。
- 10. 2.1. ヒアリング報告 2/2 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 顧客層 (3) 流通業者 (4) 想定消費者 社会課題における 立場・要望 ・最終製品の販売、顧客との接点 ・最終製品の購入者 社会課題に対する取組みの現状 ・現状エシカル製品の販売実績はないが、以前に無名ブランドを展示会で発掘し、成功を収めた経験があり、今後も同じような状況に置かれたブランドの発掘や支援を行い、成功体験を共有したいと考えている。 ・若年層向けに仕入れた商品は中高年にも受け入れられるので、基本はデザイン性の高い商品を仕入れている。 ・ご本人がそもそもエシカルやフェアトレードに強い関心をいだいていらっしゃるようで、ロンドンでのエシカル製品の事例やハイブランドの向きあい方にも精通。 ・ただし、エシカルだからと言ってアパレル関連製品を購入することはない。 事業領域・商品・サービスの認知 ・かつては、アパレル製造メーカーでの勤務経験があり、川上工程にまで深い知見を持っている。 ・ファッション関与度が高く、各セレクトショップに対しても具体的なイメージをお持ちで、目的に合わせて購入経路をチョイスしている。 対象事業の印象 ・長年アパレル業界に携わっている経験からデザインと素材のクオリティに対しては厳しい見解を持ており、それなしでは売れないと断言。 ・コンセプト構築に先んじて製造現場の技術力向上を提言された。 ・エシカルであるからと言って製品は購入しない。あくまでもデザイン性や素材の質、コストを鑑みて購入製品は決定する。 ・自分が購入した製品が結果的にエシカルであれば良いとは思う。
- 21. 2.3. 調査結果まとめ Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. ヒアリング総括 文献調査総括 現行事業プランの課題に対する示唆 ・エチオピアではオーダーメイドが主流だが、 その中で (1) 製品製造者は安定的に受注することができて おり、その技術力はある程度担保されている。 ・エシカル訴求による売上拡大は困難。 ただし、コアファン獲得のファクトとしては依然重要。 ・そもそも感性に訴えかける商材であるため デザインや素材の質感が最も重要。 ・若年層向けの製品でも中高年に受け入れられる。 その逆は考えられない。 ・販売チャネルにもそれぞれコンセプトがあり、 ELP のコンセプトと方向性が近いチャネルを選択しなければ 将来的にブランド構築に支障をきたす可能性がある。 ・コンセプトの近いショップのバイヤーに展示会等で 現物を見せてアピールしていく必要がある。 ・市場規模はリーマンショックの影響を顕著に受け、縮小。 ・一方、プレーヤーの数は既に飽和状態で、各ブランドが それぞれの方向性を模索している。 ・全般的にはカジュアルな路線に向かっている傾向がある。 ・各ブランドとも主要な製品ラインとは異なる 社会性やナチュラルリュクスをテーマにしたラインを展開。 ・従来までの主力チャネルであった百貨店の地位は低下。 一方で、アウトレットが勢力拡大。 ・コアファンの多い直営店や専門店はプレゼンスを維持。 ・各ブランドとも既存の販売チャネル以外の消費者接点の 獲得に努めている。 ・消費者はデザイン性を重視しつつも価格関与度も高く ハイブランドやファストファッション双方とも嗜好。 ・エシカルやフェアトレードのみで勝負することは商材的に厳しい。 ・カジュアル方向に流れる市場でのターゲットを同定し、競合との差別化ポイントを明確化する必要がある。 ・デザイン性の高さを担保すると同時に適正価格を見極め、価格設定を行う必要がある。 ・ブランドの価値を増幅させうるチャネルを選別し、販売してもらう必要がある。
- 22. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 3. マーケット分析
- 23. 3.1. マーケット分析 - 4C 分析 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 顧客 ( Customer ) ・ファッションで自己実現をしたい ・皆が持っているものではなく、特別な価値があるものが欲しい。しかし、いき過ぎたデザインは嫌 ・デザインに拘り、少々高くても買う ・価格に関してはシビア(価格同等もしくはそれ以上の価値が欲しい) 競合 ( Competitor ) ・限定された販路(セレクトショップ、自社ショップ(高級ショップ)) ・独創的なデザイン ・保障されている品質 ・エンドユーザーへの認知度とブランド位置の格付けの明確さ ・手の届く価格帯(外資系ブランドと比較して) 自社 ( Company ) ・エチオピアレザーのクオリティーの良さ ・エチオピアと日本のコラボレーションによる、デザインの独創性 ・少量生産による希少価値の高さの煽り ・生産ラインが柔軟が故のデザイン変更の容易さ(流行に柔軟に対応できる) 協力者 ( Cooperator ) ・全国展開するセレクトショップの協力による販売網の確保 ・エコ、エシカルリテラシーが高い人からの情報発信 ブランドが 提供する価値 20 ~ 30 代のファッションにお金をかける女性をターゲットにし、 「カジュアル&リュクス」を提供する
- 24. 3.2. マーケット分析 - SWO T 分析 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 市場セグメント・競合分析に基づき、具体的な参入市場を想定し、事業プランが持つ強み、弱み、外部環境に対する競争要因を整理する。 強み 弱み 機会 ・エチオピア × 日本という類を見ない(物珍しい)ブランド ・ エコ、エシカル商品への意識の高まり ・価格コンシャスなエンドユーザーへの訴求 ・おしゃれ!でもエシカルというギミック的な演出ができる。 ・ブランド不認知が故のイメージ作りが可能 ・他のブランドとの融和 脅威 ・良質な革であるエチオピアレザーの マジョリティー化(それまでにやる必要あり) ・エシカルブランドの台頭 ・商品の供給不安定 ・商品デザイン ・販路の確保 ・ロス率等の物流不安定 想定参入市場 セレクトショップでの販売を行い、ブランド価値を高めていく、また商品は価格以上の価値を提供できる市場に参入する。
- 25. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 4. ステークスホルダー分析
- 26. 4.1. 重要ステークホルダーの検証 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 重要ステークホルダーと対象事業との関連性を分析する。 ステーク ホルダー 社会課題における 立場・見解 規模 (人数その他) ニーズ 対象事業との 関わり 製品製造者 (在エチオピア) ELP メインデザイナー 1 人 ・事業の立ち上げによる経済的なもの ・エチオピア発のブランドを立ち上げることで、デザイナーとしての地位確立 ・ ELP のメインデザイナー ・彼女が中核となる事業 ・クオリティーコントロール、デザイン含め、 ELP の要 製品製造者(在エチオピア)と働く メンバー ELP 商品製作者 複数名 ・事業の立ち上げによる経済的なもの ・(ハンドメイドブランドということであれば)彼らの技術力 UP が、 ELP のクオリティに直接作用する ELP メンバー ELP メンバー 3 人 ・ ELP の立ち上げにおいて、日本での事業創立に大きく関わってくる セレクトショップ ・エンドユーザーへ商品を提供する情報発信者 ・重要販売チャネル 企業によって異なるが、 100 店舗前後まで拡大可能 ・各セレクトショップにしかないというブランドをそろえること ・クオリティーは非常に重要 ・自社ブランドにイメージが合っているか ・商品の安定供給が出来るようになれば、販売チャネルとしたい。 ・ブランディング、商品販売という意味では非常に重要。 日本の技術者 日本伝統工芸の職人 各見地から、 複数人 ・日本の伝統工芸の認知、継承 ・日本以外の国での技術伝承による新たな需要の掘り起こし ・日本の伝統工芸とのコラボレーションを検討するのであれば、日本の技術をエチオピアに持っていってもらい、それを ELP に生かす
- 27. 4.2. ターゲット分析 参考資料 ELP 提供資料 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. ⇒ ELP のターゲットイメージから仮説を立てると、次ページのエンドユーザーがターゲットになると想定できる
- 28. 4.2. ターゲット分析 エンドユーザー(レザー購入想定者) Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. ・ 20 ~ 30 代女性 ・年収 500 万円前後 ・ファッションで自己実現をしたい ・自分はおしゃれだと思われたい ・革に関しては少々値が張っても自分の好きなブランドのものが欲しい ・人と同じものは嫌だ ・信頼できるブランドにはお金を使う (ファストファッションと、一点豪華を使い分けている)
- 29. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 5. 製造原価把握
- 30. 5.1. 製造原価の暫定見積り Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.
- 31. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 6. 中間報告まとめ
- 32. 6. 中間報告まとめ Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 事業プランの検証結果 ターゲット設定:ファッションで自己実現をしたい 皆が持っているものではなく、特別な価値があるものが欲しい。 しかし、いき過ぎたデザインは嫌。デザインに拘り、少々高くても買う。 社会課題の構造:エチオピアは、主輸出商品として羊皮を輸出しているが、 付加価値が低く、国際価格変動の影響を受けやすい原皮に依存しており 貧困状態から抜け出せない 事業の訴求方法:中長期的には自信のブランド力で独自にポジションを獲得すべきだが ローンチ直後は、コンセプトの近いセレクトショップにブランドの 代弁者になってもらう。 商品・サービス:エチオピア産の皮革を使用し、エチオピアで最終製品に仕上げた レザージャケット、バッグ、皮小物 提供価値:「カジュアル&リュクス」 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.