日本シーサート協議会
シーサートワークショップ in 関西
証拠保全とは?
立命館大学情報理工学部 上原哲太郎
(デジタル・フォレンジック研究会副会長)
インシデントレスポンス
コンピュータやネットワーク等
の資源及び環境の不正使用、
サービス妨害行為、 データの破
壊、意図しない情報の開示等、
並びにそれらへ至るための行為
(事象)等への対応等を言う。
平時の対応とインシデント対応
平時の対応 緊急時の対応
情報システム
管理者
システム管理者
又は外部の専門家
分析・
整理
された
証拠
管理者や
専門家へ:
原因究明と
再発防止
被害拡大抑止
弁護士等へ:
法的交渉や
民事訴訟
捜査機関へ:
刑事訴訟
信頼できる認証基盤の確立
通信や操作記録の収集・保管
記録やログの消去改竄抑止
ログや記録の定常的検査に
よるインシデント発見 など…
電磁的証拠の保全と収集・解析
収集過程と解析結果の文書化
証拠改竄・毀損の有無の確認・立証
証拠保全後のシステムの速やかな回復
など…
法的対応
従来のインシデント
レスポンス
事件・事故の
発生
インシデントや訴訟係争の
発生/情報漏えい・
内部不正の発覚など
デジタル・フォレンジックとは
インシデントレスポンスや法的
紛争・訴訟に際し、電磁的記録
の証拠保全及び調査・分析を行
うとともに、電磁的記録の改ざ
ん・毀損等についての分析・情
報収集等を行う一連の科学的調
査手法・技術を言う
そもそもForensicsって…
• The application of scientific
knowledge to legal
problems; especially :
scientific analysis of physical
evidence (as from a crime
scene) (by Webster)
•Forensic Medicine 「法医学」
•Forensic Chemistry 「法化学」
01011101
10101101
111101・・・
被害現場
鑑識 警察
検察
裁判官
被疑者
??
Forensically
sound?
犯罪・不正
情報解析 警察
検察
これが大切
•Forensically-Sound
「法科学的に見て健全な」
•法的紛争・訴訟に利用可能か?
•法廷に提出された証拠が適切な
手続きに基づいたものである
ことが確認できるか??
誰がどうやっているのか?
対象特定
Identify
証拠保全
Preserve
Collect
調査分析
Analyze
報告
Report
PC等の押収
PCのBIOS設定確認・変更
証拠保全・解析用HDDの準備
関連するファイル等の確認、印字
PCのCD起動等/HDDをDF用
PCに外付け
HDDの物理コピー(保全用・解析用)
削除・隠蔽データの復元、内容
確認、印字
報告書(鑑定書)作成
証拠取得
解析
DoD等の規格に基づく消去
パスワードリカバリーを含む
Tag & Bag押収
報告書作成
複製元HDDへの書込み防止
ハッシュ値による検証
タイムスタンプ等の書換え防止
内蔵HDD起動→CD起動等
基本的なプロセスは「現状保存」
ストレージの複製、内容解析
舟橋信氏資料より
証拠保全に求められるもの
• 証拠の改ざんや滅失の防止
• そこで対象特定から報告までの手続
きが追跡・検証可能な形で記録され
ることが求められる
•Chain of Custody (CoC)と言われる
•ハッシュや電子署名が活用される
• 保全の段階で完全な複製が理想
•Imagingなどとも
必要なのはコンセンサス
•「自由心証主義」by Wikipedia
•訴訟法上の概念で、事実認定・証
拠評価について裁判官の自由な判
断に委ねることをいう。裁判官の
専門的技術・能力を信頼して、そ
の自由な判断に委ねた方が真実発
見に資するという考えに基づく。
証拠保全の流れ
• 動作状況の記録
• 揮発性の証拠収集
•Live Forensics(メモリダンプなど)
• Tag & Bag
• HDDなどストレージの完全複製
• 証拠のハッシュ値計算
電子署名・タイムスタンプ
• これらの過程の記録
課題はファーストレスポンダ
• 対象の特定と証拠保全までは
ファーストレスポンダが行う場合が多い
• ファーストレスポンダは…
•高い技量は望めない
•多くは事前準備が出来ていない
• よってFree/OpenSourceな
ツールが望まれている
• しかも「信頼」が必要…
「証拠保全ガイドライン」
https://digitalforensic.jp/home/act/products/df-guideline-6th/
デジタル・フォレンジック
研究会技術分科会により
策定・更新が進んでいる
このところ1年ごとに更新
現在第6版で
夏までには第7版になる予定
約80ページ
証拠保全ガイドラインの内容
本編
1 事前に行う準備
1.1 インシデントレスポンスを想定した初動対応、証拠保全プロセスの検討及び
体制の確立
1.2 インシデントレスポンスに関連する情報収集、情報共有及び分析
1.3 インシデントレスポンス(初動対応、証拠保全)時に必要と考えられる資機
材等の選定及び準備
1.4 インシデントレスポンス時に使用する資機材等の熟達
1.5 Webで提供されているサービスの保全
1.6 クラウド環境の保全
2 インシデント発生(又は発覚、以下同じ)直後の対応
2.1 インシデントレスポンスが未実施の場合の活動
2.2 インシデントレスポンスが着手済みである場合の活動
2.3 インシデントレスポンスを円滑に進めるための活動
証拠保全ガイドラインの内容
3 対象物の収集・取得・保全
3.1 対象物の状態の把握
3.2 収集・取得・保全するための
対象物の処置
3.3 その他、収集・取得・保全する
必要性がある対象物
4 証拠保全機器の準備
4.1 複製先(コピー先、以下同じ)に
用いる媒体(記憶装置)
4.2 証拠保全機器に求められる機能
4.3 証拠保全ツールに関する要件
4.4 その他、証拠保全に必要な機器・
機材・施策の準備
5 証拠保全作業中・証拠保全作業後
5.1 代替機・代替ツール・代替手段の準備
5.2 立会人等
5.3 同一性の検証
5.4 証拠保全の正確性を担保する作業内容の記録
5.5 複製先の取扱い
5.6 Webで提供されているサービスに係る収集
・取得・保全
5.7 ネットワークログからの証拠データ抽出
付録
1 チェックシート(デスクトップPCの場合)
2 証拠保全ガイドライン用語集(Glossary)
3 デジタル・フォレンジックに関連する我が国の
主な刑事法
4 関連資料紹介
5 Chain of Custody(CoC)シート例
6 刑事・民事におけるデータ収集と
解析フローイメージ図
7 参考資料
2.インシデント発生直後の対応
2.1 インシデントレスポンスが未実施の場合の活動
2.1.1 発⽣したインシデントの内容の把握
2.1.1.1 発⽣したインシデントの内容
① 情報流出・データ破壊
② 不正プログラム(マルウェア、悪意のあるスクリプト等)
の実⾏
③ 不正アクセス・不許可の持ち出し、コンプライアンス違反
④ 設定ミス、操作ミス、物理的故障
⑤ システム悪⽤、破壊⾏為、内部犯⾏
•図2が重要
•対象特定後
対象の種類と
状態により
読むべき
章が変わる
3.2.1 対象物がコンピュータで、
電源がOFF の状態の場合
① 原則として電源をON にしてはならない。
• HDD/SSD 全体暗号化等、やむを得ず電源を
ON にしなければ証拠保全ができない場合を除く。
但 し、その場合も証拠保全作業の責任者の指揮
の下、電源をON にした時のリスク(ファイルの
タイムスタンプや内容の変更などの影響)を受容
して、証拠保全作業を実施する。
• ファームウェアのマルウェア感染や意図的な改ざ
んが行われる可能性がある場合は、電源をON
… … … … …
チェックリスト(抜粋)
CoCシートの例
証拠保全ガイドラインの目的と限界
•この手順に則って行うと
Forensically-Soundであると
保証するものではない
•コンセンサス形成に資するもの
•具体的には裁判例
•明らかに不足している部分あり
•メモリフォレンジックなど
証拠保全段階のツール
• メモリダンプはOSの機能を
使う場合が多い
•いわゆるクラッシュダンプ
• ストレージの証拠保全は
商用ツールのものが無料公開
•FTK Imager
•EnCase Forensic Imager
•OSSでは dd が広く使われる
• dd形式がデファクト標準
dd形式で良いのか?という
議論はある
• HDD等の型番、シリアル番号、
ファームウェアの状態も欲しい
• HDDの代替セクタ部分は??
•PARADISE問題
(by 大阪データ復旧 下垣内太氏)
• DFRWSで議論
https://www.dfrws.org/
•Common Digital Evidence Storage
Format (CDESF)を提唱
•The Sleuth Kitなどが対応
Autopsy & The Sleuth Kit
高まるLive Forensicsへの要求
•Volatility Framework
次はFast Forensics?
• Imagingの時間の増大が深刻
• SSD普及のおかげでどうせ
スラック領域から出てくる
証拠は望めない
• それなら一部保全で十分では?
• ただしコンセンサスなし
ツールも十分ではない
•長井・上原「Windows PC向け最小証
拠保全システムの試作」@CSS2017
証拠保全の後は調査分析
• ログ分析
•そのPC内ではいつ誰によって何が行われてい
たのか?
• タイムライン分析
• データの分析
•ファイル変更・削除の痕跡調査
•削除されたファイルの復活
• 原則は証拠保全後プロが行うが
状況によっては「ハズレ」を弾くため
ファーストレスポンダにも必要かも
商用Forensic toolsあれこれ
Guidance Software
EnCase Forensic
AccessData
Forensic Toolkit (FTK)
X-Ways Forensics Oxygen Forensics
その他ツール検索は
ForensicsWikiが便利
http://forensicswiki.org/

証拠保全とは?