オンライン講義・学会発表に
おけるセキュリティ問題
立命館大学情報理工学部 上原哲太郎
@ 2020年度 第1回DBSJセミナー「コロナ時代のデータお作法」
自己紹介
上原哲太郎(うえはらてつたろう)
• 専門はシステム管理・セキュリティ・
デジタル・フォレンジックなど何でも屋
• 神は細部に宿るというがセキュリティ的には
悪魔が細部に宿ると信じている
• 大学のシス管・事務情報化経験20年
自治体セキュリティ20年以上
総務省勤務(2011~13 通信規格とセキュリティ)
• (一財)情報法制研究所理事
NPOデジタル・フォレンジック研究会副会長
NPO情報セキュリティ研究所理事
• 京都府警・和歌山県警・滋賀県警
サイバー犯罪対策のアドバイザー
• 芦屋市CIO補佐官
• 政府系委員はいろいろ
公文書管理委員会専門委員
CRYPTREC各委員
総務省自治体セキュリティポリシー改訂
経産省サイバーフィジカルセキュリティガイドライン
内閣府接触確認アプリ
2020年度 第1回DBSJセミナー
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パンデミックは「ついに」やってきた
2020年度 第1回DBSJセミナー
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想定されて
いなかった?
準備が十分では
なかった!
突然はじまる「新しい日常」
2020年度 第1回DBSJセミナー
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遠隔会議・講義&オンライン学会
…プロトコルで見ると
2020年度 第1回DBSJセミナー
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H.323 WebRTC 独自
標準は確立
マルチベンダ可
ほぼ拠点間専用
家庭内に不向き
FW問題多々
Webブラウザのみ
で接続可能
仕様・実装が未熟
NAT/FW問題もあり
会議・講義等には
他の標準も必要
接続トラブル
極小
クライアント
アプリが必要
相互接続性なし
どれにする?問題
2020年度 第1回DBSJセミナー
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画質?音質?
安定性?
挙手…
投票…
価格!
ユーザ登録?
認証連携?
クライアントの
使いやすさ
セキュリ
ティ!
利用者や接続
相手は繋がる?
※ロゴ・サービス名は
各社の商標です
何故セキュリティが問題になった?
• Zoom bombing
• 会議番号の
桁数が当初小さく
総当たりで簡単に
会議に潜り込めた
• 悪戯…だが
「誰でも会議に
割り込める」
これでよいのか
2020年度 第1回DBSJセミナー
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Zoomに続々みつかる脆弱性
• 2019年7月 Mac版クライアントに
乗っ取り可能な脆弱性
• 2020年3月 iOS版クライアントが
FacebookにAnalyticsデータを送信
• 2020年3月 Mac版クライアントがOSの
セキュリティ機能を回避するほか複数の脆弱性
• 2020年4月 Windows版クライアントに
認証情報を詐取されかねない脆弱性
• 2020年7月 Windows版クライアントに
ゼロデイ脆弱性
• 細かいものはさらにいっぱい…
2020年度 第1回DBSJセミナー
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Zoomは大丈夫なのか??
• 2020年4月3日
Citizen Labの暴露
• 暗号はAESだが
暗号運用モードに
ECBを使っている!
• ZoomはE2E暗号化を
標榜していたが
サーバで復号できる
• しかもその暗号鍵が
(限られた場合だが)
中国のサーバに
転送されている?!
2020年度 第1回DBSJセミナー
https://citizenlab.ca/2020/04/move-fast-roll-your-own-crypto-
a-quick-look-at-the-confidentiality-of-zoom-meetings/
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あちこちで…
2020年度 第1回DBSJセミナー
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Zoomは米上院も
米XXX州の学校も
あの米有名企業も
この日本企業も
禁止したと言うぞ?
ウチで採用して
大丈夫なのかね?!
ここでアンケートとります!
Zoom Eric S. Yuan CEOの
ブログ投稿(4月)
• セキュリティと
プライバシーの
問題をお詫び
• End-to-End暗
号化(E2EE)に
取り組むことを
約束
• そして、昨日…
2020年度 第1回DBSJセミナー
11https://blog.zoom.us/ja/a-message-to-our-users/
Zoom 5.4以降にE2EE実装
• Zoom
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クライアントを5.4.0以上にして
アカウント管理者がE2EEを
有効にすれば使える
SIP/H.323連携や
Lync/Skype連携は無効になる
(E2EEだから!)
…そういう問題だっけ?
• 暗号化しても
鍵を持っていれば復号可能
• …鍵は誰が持ってるの?
どうやって確かめるの?
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暗号化ヨシ!
そもそもWeb会議システムとは
• サーバで通信品質・画質音質を判定
場合によっては再変換
• なので普通はサーバは通信を見ている
• 暗号化するにしても鍵管理が必要
メンバが増減すれば
鍵更新が必要なので煩雑
• 「暗号鍵はクライアントにしか
ありません!」を確かめる方法は?
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サーバ ?
パブリッククラウドサービスは
「信頼」して使うしかない
• なので認証制度がある
•従来のISMSおよびPマーク制度
•ISO27017、SOC1/2/3等、FedRAMP
•「政府情報システムにおける
クラウドサービスの
セキュリティ評価制度」
• あとは判る範囲でやる
•クライアントの脆弱性発見と修正ペース
•その他「事故頻度」など
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サービスはまず機能と質で選ぶ
そこにセキュリティの視点を
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サービスに
求める機能
参加対象 発表
講演者
セキュリティ
オンライン会議 特定少数 全員 参加者の特定・限定
秘匿性を保つ方法
資料共有の方法・秘匿維持
オンライン講義 特定多数 基本1人 参加者の特定・限定
講義資料の保護(著作権法35条)
参加者同士の対話の制御
オンライン学会
Webinar
不特定多数 特定少数 参加者の特定・限定
匿名・仮名参加者の扱い
質問の取り方(荒し対策)
オンライン講義や学会に限れば
一番厄介なセキュリティ問題は避けられる
参加者限定・特定の手法
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次の講義は
https://xxx…
にアクセス!
共通鍵方式
次の講義は
受講登録者
A,B,C君に
個別認証方式
A
B
C
D
共通鍵だと
URL等の
「鍵」管理が
必要
個別認証は
参加者管理が
煩雑に
オンライン講義の
セキュリティ諸問題
• 「野良聴講者」問題
• 例えば共通鍵方式の場合…
• 学生がTwitterでURL呟く→漏洩→野良発生
• 大学では教務システムと認証連携が理想
• 講義資料の著作権問題
• 配布手法を間違えると35条適用除外に
• 配布URL等がちゃんと管理できる?
• 聴講者のコミュニケーショントラブル
• 参加者同士でワークショップ等させたく
なることがある一方でトラブルの元にも
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オンライン学会の
セキュリティ諸問題
• 「野良参加者」問題(特に有料の場合)
•共通鍵は漏洩しやすい
•個別認証には利用者登録が必要であるが煩雑
利用者IDの本人確認のレベル
(アイデンティティ保証レベルLoA)によっ
ては問題になるかも?
• 匿名・仮名参加を許すと
「荒し」のリスクが高まるがどうする?
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「URLクリック慣れ」問題
• 特に個別認証方式の場合
フィッシングの温床に
•「講義のURLが変更になりました
新URLはこれです!」
→URLクリック
→認証サイトに移行
しかしこれがフィッシング
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実際にはオンライン講義・学会
システムの「外」の問題が多い
• オンライン講義にかかる通信に備え
LANの構成を変更
(教務システムとクラウドの連携)
Firewallのルールを変更
VPN整備
→大学への攻撃リスク高まる
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我々がずっと頼ってきたもの
• 境界線防衛モデル
Perimeter Defense Model
Intranet Internet
Gateway
安全なLAN 危険な
ネットワーク
境界線を作り
通信を制限/遮断する
ここなら
安心
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安全に壁の中に
入れるのか?
• 境界線防衛の延長vs
新しいパラダイム
Intranet
Internet
Gateway
危険な
ネットワーク業務の
データ
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VPN接続のリスク
• VPNアクセスポイントは
攻撃者の最大の狙い目
• LAN内に入れると色々オイシイ
• LAN内に大したものがなくとも…
• 認証はID/PWだけでは不十分
多要素認証を導入するべき
• VPNを使う端末の
「無防備な瞬間」に注意
• VPN前にインターネット接続が必要
• 端末にネット接続手段が複数ないか?
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VPNさえ越えられれば…
• 実は大学でも
VPN踏み台事案は
多い
• 企業等では大問題
大学でも
研究の機微性に
よっては問題
20.5.8 朝日新聞
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今年7月発表された事案
BYOD端末を
入り口に
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VPN装置そのものの脆弱性に起因する問題
• 特定のVPN装置の
脆弱性情報が
闇で出回り
一気に危殆化
• 被害は
確認されて
いないが…
20.8.27 産経新聞2020年度 第1回DBSJセミナー
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そもそも現時点の脅威は…
• バタバタで動かしてしまったこと
システム変更
いつまで?
突然の
ポリシー変更
データ持出し
許可制へ
本人確認が
難しく
サイバー攻撃
凡ミス増加
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まとめ
• オンライン講義・学会の
セキュリティ問題は…
•どのサービスを利用するのかの選定問題
•サービス固有のトラブルへの不安
•そのサービス利用にあたっての
システム変更が生み出した問題
•サービス運用に伴い増加した
リスクの問題
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Dbsj2020 seminar