バイオリンは有名で人気の高い楽器の1 つだが，習得は難しく時間がかかる．特に右手の運弓動作は音色を決定づける重要な要素であるが，複雑で練習や再現，指導が困難である．そこで，練習支援や記録を目的として，バイオリンの運弓動作の測定や分析が多く研究されてきた．本研究では運弓動作のうち弓圧に着目する．初心者と経験者の運弓動作を計測し，比較することにより，初心者への適切なフィードバック方法を検討する．

1. バイオリンの運弓動作計測による
初心者と経験者の差異分析
瑞穂ゆりな 杉浦裕太
慶應義塾大学
01 開発の経緯
02 方法
弓圧計測
• 駒の下にロードセルを設置
• バイオリンの習得は困難
• 運弓動作は音色に強く影響
（弓圧、弓位置、弓速度）
背景
• 多くの演奏者は経験と感覚によって
演奏動作を調整
• 弓圧のフィードバック方法は未検討
課題 アプローチ
04 結果
インタラクション2024 インタラクティブ発表 問い合わせ先 info-lcl-group@keio.jp
• 初心者と経験者の運弓動作を計測
• 弓圧、弓位置、弓速度の差異を分析
• 適切なフィードバック方法を検討
弓位置計測
• 楽器に光学式マーカを設置
• モーションキャプチャで得た
座標から弓位置を計算
• 弓元 0、弓先1として記述
• 経験者 5人, 初心者5人
• 75bpm 8拍で往復
• 開放弦A線
• 60fpsで1500フレーム
03 実験
参加者
• 経験者 5名 (6年以上)
• 初心者 5名
データ計測
• 75bpm 8拍で弓を往復
• 開放弦のA線を弾く
• 60fpsで1500フレームを取得
経験者は初心者に対して
• 一定以上の弓圧の大きさを維持
• 必要最低限の力で弓先まで弓圧を保つ
• 弓の返しがスムーズ
• 弓速度が安定
左：経験者 右：初心者
弓圧
弓位置・弓速度
経験者
弓元 弓先 弓元 弓先
• 弓の方向転換（返し）が急激
• 弓速度が安定（有意差あり）
まとめ
フィードバックシステムの確立
• 弓圧の閾値（最小値）を設定
• 他の位置での弓圧と比較
• 弓速度をリアルタイムに提示
<弓の方向と弓圧>
• ダウン（弓元→弓先）：
急激に弓圧が減少
弓先まで一定に保とうとする
• アップ（弓元←弓先）：
弓元に向かって線形に増大
(初心者/経験者 あまり差がない)
＜大きさ＞
• 最低0.5Nの圧力を常にかける
＜周期 (1往復)＞
• 自己相関：有意差なし
＜範囲 (最大値、最小値、範囲) ＞
• ばらつきが小さい（有意差なし）
今後の課題
ダ
ウ
ン
ア
ッ
プ
初心者