ハッカー中心の企業文化
 を日本に根づかせる
  TechLION vol.5
    2011/12/14
  楽天株式会社 技術理事 よしおかひろたか




                         1
アジェンダ

•   民族誌的な自己紹介
•   ハッカー中心の企業文化とは
•   なぜ、それが必要か
•   日本で根付かせるためには




                    2
今日のゴール

• 自分が素晴らしいと思っている事
  (企業文化とか)を紹介する
• それを実現するためにどうしたらよ
  いのかみなさんと考えるきっかけを
  つくる。
• 技術者がゆたかで活き活きとした社
  会を作るにはどうしたらいいのだろ
  うか?

                     3
本日のハッシュタグ

• #hccjp – Hacker Centric Culture in
  Japan
• #techlion
• @hyoshiok




   http://twitter.com/#!/hyoshiok/status/36707387737903104
                                                             4
自己紹介


•   よしおかひろたか
•   楽天株式会社、技術理事
•   http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok
•   コミュニティ活動
     – カーネル読書会主宰者
     – 勉強会勉強会
• DEBUG HACKS (共著)、 ISBN9784873114040


                      5刷が決まりました
                                        5
自己紹介


•   よしおかひろたか
•
•
    楽天株式会社、技術理事
                   ら い
    http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok
•   コミュニティ活動
               っ ぱ
             よ
     – カーネル読書会主宰者
            の
         ロ (共著)、
     – 勉強会勉強会
• DEBUGプ
 自  称  HACKS                   ISBN9784873114040



                      5刷が決まりました
                                                   6
アジェンダ

•   民族誌的な自己紹介
•   ハッカー中心の企業文化とは
•   なぜ、それが必要か
•   日本で根付かせるためには




                    7
ハッカー中心の企業文化

• ハッカーって
  –   コンピュータ技術に精通した人(辞
      書的な定義)
  –   ちょっとした技巧(ハック)を操る
      人
  –   社会を変えた人
  –   (なんでもかんでもハッカー?)




                         8
ハッカー中心の企業文化

• ハッカーって
  –   コンピュータ技術に精通した人(辞
      書的な定義)
  –   ちょっとした技巧(ハック)を操る
      人
  –   社会を変えた人
  –   (なんでもかんでもハッカー?)



       行動するエンジニアになりたかった
                          9
ハッカー

• 共通の価値観
• 企業文化
• どう根付かせるか




              10
ハッカー倫理

• スティーブン・レビー「 ハッカーズ 」で次のように記してい
  る。
  ISBN978-4875931003
• コンピュータへのアクセス、加えて、何であれ、世界の機能の
  仕方について教えてくれるものへのアクセスは無制限かつ全面
  的でなければならない。実地体験の要求を決して拒んではなら
  ない。
• すべての情報は自由に利用できなければならない。
• 権威を信用するな--反中央集権を進めよう。
• ハッカーは、学歴、年齢、人種、地位のような、まやかしの基
  準ではなく、そのハッキングによって判断されなければならな
  い。
• 芸術や美をコンピュータで作り出すことは可能である。
• コンピュータは人生をよいほうに変えうる。
• 60年代~70年代の民族誌



                                  11
共通の価値観

• コンピュータによって社会をよくす
  る
• 管理より自由、反権威的
• ラフなコンセンサスと動くコード
• 許可を求めるな、謝罪せよ




                     12
伊藤穣一


インターネットの信念体系とは、誰も
 が接続する自由、イノベーションす
 る自由、そして誰の許可を得ずとも
 あれこれといじくる自由を与えられ
 るべきだ、というものだ。
中央集権的に管理することは不可能で
 、イノベーションはネットワークの
 「外縁」で、小規模なグループに
 よってもたらされる。
http://joi.ito.com/jp/archives/2011/12/08/005520.html
                                                        13
事例:Yahooに起きてしまったこと

• ポールグレアム、Yahooに起きてし
  まったこと 
http://d.hatena.ne.jp/lionfan/20100815#1281830975

• (Yahooの問題は)簡単に儲かりすぎ
  てしまったことと、ハイテク企業にな
  ろうという強い意志がなかったことだ。
   
 – Yahooには最初から「ハイテク企業にな
   ろう」という強い意志が欠けていた。 

                                                    14
• どんな企業にはハッカー中心の文化
  が必要となるのだろう? 
• 「良いソフトウェアを必要とするす
  べての企業」
 – Yahooが発見したように、このルールが
   適用される領域は、ほとんどの人々が
   思っているより広い。




                          15
http://tctechcrunch.files.wordpress.com/2011/06/talent_traffic.gif   16
ハッカー中心の文化

• インターネット時代のソフトウェア
  開発
 – 最高のプログラマを雇う
 – 少数精鋭
 – 最高のプログラマは最高のプログラマ
   と働きたがる




                       17
なぜ必要か

• 共通善(社会をよくする)
• 企業の競争力
• ベストプラクティス




                 18
なぜ必要か

• ハッカー中心の企業文化の方が、自分に
  は心地良いから(利己的な理由)
• その他の理由は、偉い人に説明するため
  の理屈。
 – 共通善(社会をよくするという価値観の共
   有)
 – 企業の競争力(会社がつぶれたら元も子もな
   い)
 – ベストプラクティス(ソフトウェアを楽しく
   作る。デスマーチ知らず)


                          19
なぜ必要か

• ハッカー中心の企業文化の方が、自分に
  は心地良いから(利己的な理由)
• その他の理由は、偉い人に説明するため
  の理屈。
 – 共通善(社会をよくするという価値観の共
   有)
 – 企業の競争力(会社がつぶれたら元も子もな
   い)
 – ベストプラクティス(ソフトウェアを楽しく
   作る。デスマーチ知らず)
   http://d.hatena.ne.jp/LibrePDM/20110301 
「ハッカー中心の企業文化」を偉い人に説明する
                                              20
なぜ必要か

• ハッカー中心の企業文化の方が、自分に
  は心地良いから(利己的な理由)
   – 幸せなプログラマーがいいサービス
      を作る
   – 幸せなプログラマを作るにはどうし
      たらいいのか←いまここ




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どう企業文化を作るのか

• 企業文化は、暗黙的、明示的につく
  られる。
• 外から知られることはない。(民族
  誌が必要)




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どうハッカー中心文化を作るか

• 暗黙知の継承
 – 材料:パッション、仲間
 – 方法:勉強会、ランチ、飲み会、合宿
• 形式知の継承
 – 戦略、ガイドライン、ルール




                       23
文化の衝突

•   商用ソフトとオープンソース
•   レガシーとWeb2.0
•   ウォーターフォールとアジャイル
•   高い稼働率とスケーラビリティ




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組織の限界

• 組織が肥大化すると
 – 蛸壺(他の事業部なにする人ぞ)
 – 横串(クロスファンクション)は言う
   ほど簡単ではない
• 文化の融合が必要、対立ではなく
• そこで、社内コミュニティ




                       25
社内コミュニティ

•   コミュニティ・オブ・プラクティス
•   組織:縦割り
•   プロジェクト:横串
•   社内コミュニティ:縦でも横でもな
    い
    – 志を共有するメンバーによってドライ
      ブ
    – コミュニティは組織を活性化するビタ
      ミン
• そこで勉強会
                          26
勉強会の隆盛

 300件/月以上開催IT勉強会カレンダー




id:hanazukinと愉快な仲
間達による人力作業に
よって編集公開されてい
る。




                             27
勉強会のイメージ

• 主催者が個人的興味の延長で開催
• ボランティアによって運営
• 無償ないしは廉価
 – 商用セミナー、教育コースとの違い
• 技術者の人的ネットワーク、 知識獲
  得のプラットフォーム、キャリア形
  成のツール



                      28
事例:カーネル読書会

• Linuxおよびオープンソース技術に関
  する勉強会
 – 1999年4月から。10年以上続いている。
  • 第100回開催した。Linusも参加してくれた。
 – 中学生から50代まで、素人からカーネル
   ハッカーまで、毎回数十人参加
 – よしおかが主宰。横浜Linux Users Group
   (YLUG)有志と運営
   http://ylug.jp



                                 29
カーネル読書会ってなに?

きっかけ
やりたかったこと
やったこと
これからやりたいこと
 – よしおかの野望



                  30
きっかけ

1998年末にシリコンバレーから帰国。
Linuxのカーネルを読みたかっ
た。YLUGのメーリングリストで
system callの実装について質問した。




                          31
技術者コミュニティ

シリコンバレー:技術者が闊達に会社
や組織の壁を乗り越えて自由に議論し
ている。
 – いろいろなSIG (Special Interest Group)
 – Stanford大学のDB研究会。毎週金曜日3
   時すぎ。
日本でも、東京でも…

                                       32
やりたかったこと

ソフトウェアの仕組みについて日本語で
議論したかった。
 – ソースコードを読みたかった。
  • Linuxは丁度いい題材。
 – オープンソースについて語りたかった。




                        33
やったこと

第一回:1999年4月28日
~
第108回:2011年11月04日
本日
歴史は下記を参照

http://www.ylug.jp/modules/pukiwiki/index.php?history

                                                        34
進化中

当初は、コードを読んでいた。
カーネルそのものの勉強もした。
いろいろな小ネタの披露の場になった。
海外からも発表者がでてきた。
 – Andrew Morton, GregKH, Dan Aloni,



                                       35
進化中

カーネル以外のネタ
 – mixiのスケーラビリティ(7/6/'06)
 – YARV(12/27/'07)
ビデオ配信
 – mallocの実装(9/22/'06) Google Video
 – SE-PostgreSQL(5/7/'07)ニコ動


                                      36
インターネットの奇跡

カーネルを読みたいやつなんているか
と思った。
それを肴に集まる奴なんているかと
思った。
それを楽しむやつなんているかと思っ
た。


                    37
インターネットの奇跡

いろいろな奴がいる。
インターネットのおかげで、君達と出
会った。
楽しい。




                    38
これから

オープンソースのおかげで
 –   Linux
 –   Apach
 –   MySQL/PostgreSQL
 –   Perl/Python/PHP/Ruby/...
 –   自由に議論できる。


                                39
わたしの野望
   技術を日本語で議論したかった(Done)
   Linux kernelへの貢献(Done)
   カーネル読書会+他の勉強会とのコラボ(Done)
   Linusを呼ぶ
   技術者が楽しく生き生きとして豊かな社会


                             40
わたしの野望
   技術を日本語で議論したかった(Done)
   Linux kernelへの貢献(Done)
   カーネル読書会+他の勉強会とのコラボ(Done)
   Linusを呼ぶんだ、2009年10月22日達成
   技術者が楽しく生き生きとして豊かな社会


                               41
社外勉強会を社内で開催

• 楽天でカーネル読書会を開催した
 – 大変だったこと
  • 申請書類がいっぱい。(空調、ゲストカード、イベ
    ント申請、エレベータ、会場、開錠…)
  • 社内ワークフロー、誰に何を頼めばいいかわからな
    い
 – うれしかったこと
  • ボランティアがいっぱい立候補してくれた(多分10
    人以上)
    楽天カーネル隊を結成♪
  • 社内ワークフローとか、教えてくれる人がいた
  • エライ人が理解を示してくれた(社内スポンサー)
  • ビアバッシュ(ピザとビールのパーティ)ができた

                               42
カーネル読書会@楽天

• 社外勉強会を社内でやると…
• メリット(社員にとって、会社にとって)
 – 自社での開催なので、参加の敷居が低い。最新技術動
   向の入手。議論の場の提供。外部からの刺激による開
   発者の活性化。モチベーションアップ。外部人材との
   交流。企業イメージ向上。
• リスク、コスト
 – 情報流出⇒会場以外には入れない
 – 会場提供⇒直接的な費用はほとんど発生しない
 – 勤務時間外⇒コストはほとんどかからない
• メリット>コスト




                              43
楽天社内コミュニティ

• ジャングル
 – LT大会
 – 開発合宿
• 勉強会(社内、
  社外)
• 楽天テクノロジーカンファレンス実行委員会
• 社内ソーシャルメディア委員会(Yammer)
• 社内SNS(Yammer)
• 社内報
• クリーンナップ大作戦
• CSR活動
• ランチ~(カフェテリアを
  利用したカジュアルな
  ミーティング)
• 勉強会同好会
                           44
勉強会
楽天TechTalk  毎月第3水曜日




勉強会 40~50人参加            資料



                      動画 100views
      レポート 80views                  45
技術者として

• オープンイノベーションの時代
 – 社外に価値の源泉を求めざるをえない
 – 会社に閉じこもっていてはいけない
 – コミュニティ的なノリ
• 技術は会社のものではない、社会の
  ものだ
 – 社会をよくしていくという価値観
 – コミュニティという道具


                       46
大規模社外カンファレンス




               47
勉強会
2010年4月 丸山先生レクチャーシリーズ第3回@楽天




 来場者数、約500名
  Ustreamの視聴者数=544名
  事務局運営スタッフ(ボランティアで運営)
                          48
Innovation Sprint 2011




2011年1月13日(木)

基調講演
Roots of Scrum
一橋大学 名誉教授 野中 郁次郎 氏
Chairman, the Scrum Training Institute ジェフ・サザーランド 氏
参加者360名ほど。ボランティアによる実行委員会
コミュニティによる価値の創造
                                                  49
勉強会:事例



    勉強会の法則

「開催のメリット > 開催のコスト」

 (よしおかの勉強会第一の法則)


                   50
勉強会をテコに

• モチベーションアップ
• 暗黙知の流通
• 人との出会い(同じ会社であって
  も)
• 組織の壁の破壊
• 新しい技術知識などを得ることはむ
  しろ副次的な効果
• 勉強会を通じて「技術の横串」をと
  おすコミュニティをつくる
                     51
もうひとつの方法

• 勉強会は極めて属人的
 – 情熱と仲間が必須
 – 暗黙知の共有
• 戦略、ガイドライン、ルール
 – 理事の立場を利用して、
 – OSS戦略の策定
 – コミュニティアライアンスプラン策定
 – 社内ルール作り
 – 形式知を共有
                       52
日本で根付かせるために

• ハッカー中心の企業文化の理 解
  –   民族誌的なアプローチ
• 価値観の共有
  –   コミュニティ
• 方法論
  –   勉強会、ランチ、飲み会、…、
      (暗黙知)
  –   戦略、ガイドライン、ルール、
      (形式知)

                       53
• エンジニアとして、社会をよりよく
  していきたい。
• 技術者がゆたかで生き生きとした社
  会をつくりたい。
• そのために、ハッカー中心の企業文
  化を日本に根付かせたい
• それが自分が幸せになる道だと思っ
  ている。

                     54

ハッカー中心の企業文化を日本で根付かせるには。TechLION vol.5 12/14/2011