薬剤性を疑う下眼瞼向き眼振
JR 東京総合病院 耳鼻咽喉科
鴨頭輝
症例 46 歳男性
• 2020年4月頃
体調不良で内分泌受診、男性更年期障害疑いで、
男性ホルモンの注射開始。この頃から一瞬の浮動性めまい症状が悪化。
• 2020年7月中旬
精神科の内服飲み忘れて2-3時間するとちょっと気持ち悪くて一瞬
くらっとくる。飲んでちょっとするとおさまる。
座っていて右から左に視線を動かすとくらっとくることがある。
頭を動かさなくても手前から遠くに視線を移したとき出る。
電車で動く風景をみる時、車の運転で景色が動く時はつらい。
スーパーで人が動くのを見るときはくらっとくる。
テレビで動くのを見るのはOK。
• 2020年8月
当院耳鼻科紹介受診。
• 朝の寝起きは大丈夫だが、夕方になるとくらっとするのが強くなる。
寝っ転がっていて、カレンダーに目をやるとくらっとくる。
• 【生活歴】喫煙:15本/day×20歳~、飲酒:週7日ビール700mL/day
• 【併存】精神科
• 【既往歴】 8年前に頭の母斑の手術、頭部MRIで問題なし
• 【内服】スルピリド・カルマバゼピン・エチゾラム・リバロ・モサプリドクエン酸
エナルモンデポー/男性ホルモンの注射(1週間前開始)
初診時所見
• 歩行:問題なし
• Stepping(50 歩 ) :右 90 度 staggering なし
• 回内・回外試験:正常
• 鼻指鼻試験:正常
• 注視眼振:なし
• 頭位眼振・頭位変換眼振
下眼瞼向き眼振
• DHI:38 、 HADS:8(A)7(D) 、 SDS:48
2020/08/18
重心動揺検査
総軌跡長
開眼 50.11cm
閉眼 92.31cm
速度ロンベルグ率
2.82
閉眼ラバー 3.21
Ab 判定
VNG – 注視眼振
• 眼振なし
VNG – 頭位眼振
• 下眼瞼向き眼振
VNG – 頭位変換眼振
• 下眼瞼向き眼振
VNG - OKN
• 解発良好
VNG – カロリック
• 左 45 度 /sec VS 67% 右 47 度 /s VS 57% CP な
し
cVEMP
P13 14.6ms
N23 22.1ms
P13-N23 176.2μV
背景筋電図
954.4μVms
P13 12.3ms
N23 19.7ms
P13-N23 167.4μV
背景筋電図
513.3μVms
P13 13.9ms
N23 20.9ms
P13-N23 179.9μV
背景筋電図
810.9μVms
P13 13.4ms
N23 19.3ms
P13-N23 116.8μV
背景筋電図
523.7μVms
oVEMP
N1 11.8ms
P1 14.3ms
N1-P1 4.2μV
背景筋電図
14.5μVms
N1 11.4ms
P1 14.0ms
N1-P1 13.0μV
背景筋電図
23.2μVms
N1 10.4ms
P1 14.1ms
N1-P1 9.2μV
背景筋電図
37.5μVms
N1 10.2ms
P1 13.7ms
N1-P1 15.7μV
背景筋電図
523.7μVms
結果のまとめ
• カロリック 正常
– 左 45 度 /sec VS 67%
– 右 47 度 /s VS 57% CP なし
• cVEMP ・ oVEMP
– 左右共に正常
• 頭位眼振・頭位変換眼振
– 下眼瞼向き眼振
経過
• 先行疾患がなく慢性の浮遊感ではないため、 PPPD ではない。
• 心因性めまいに対し半夏白朮天麻湯開始。
• 再評価の頭部 MRI では問題なし。
• 一ヶ月後再診
• 半夏白朮天麻湯を始めて、一日の回数は減り、
だいぶ調子改善したとのこと。
• めまいと同時に目が霞むので眼科受診し、
乱視の診断にて眼鏡を変え霞み症状は改善。
• 初診時は休職中だったが再開予定。
高所作業があり問題ないかと質問あり、非耳性なので問題なく、
疲れたら休む程度で問題ないと説明。
• 手の震え、転倒症状が出現しカルバマゼピン中止を提案。
• 二ヶ月後再診
• 頭位眼振・頭位変換眼振での下眼瞼向き眼振は依然残存。
• プロラクチンが 200 を超えたため、スルピリドを中止し、症状は更に改善。

薬剤性を疑う下眼瞼向き眼振 カルバマゼピン スルピリド 心因性めまい 半夏白朮天麻湯

  • 1.
  • 2.
    症例 46 歳男性 •2020年4月頃 体調不良で内分泌受診、男性更年期障害疑いで、 男性ホルモンの注射開始。この頃から一瞬の浮動性めまい症状が悪化。 • 2020年7月中旬 精神科の内服飲み忘れて2-3時間するとちょっと気持ち悪くて一瞬 くらっとくる。飲んでちょっとするとおさまる。 座っていて右から左に視線を動かすとくらっとくることがある。 頭を動かさなくても手前から遠くに視線を移したとき出る。 電車で動く風景をみる時、車の運転で景色が動く時はつらい。 スーパーで人が動くのを見るときはくらっとくる。 テレビで動くのを見るのはOK。 • 2020年8月 当院耳鼻科紹介受診。 • 朝の寝起きは大丈夫だが、夕方になるとくらっとするのが強くなる。 寝っ転がっていて、カレンダーに目をやるとくらっとくる。 • 【生活歴】喫煙:15本/day×20歳~、飲酒:週7日ビール700mL/day • 【併存】精神科 • 【既往歴】 8年前に頭の母斑の手術、頭部MRIで問題なし • 【内服】スルピリド・カルマバゼピン・エチゾラム・リバロ・モサプリドクエン酸 エナルモンデポー/男性ホルモンの注射(1週間前開始)
  • 3.
    初診時所見 • 歩行:問題なし • Stepping(50歩 ) :右 90 度 staggering なし • 回内・回外試験:正常 • 鼻指鼻試験:正常 • 注視眼振:なし • 頭位眼振・頭位変換眼振 下眼瞼向き眼振 • DHI:38 、 HADS:8(A)7(D) 、 SDS:48 2020/08/18
  • 4.
  • 5.
  • 6.
    VNG – 頭位眼振 •下眼瞼向き眼振
  • 7.
    VNG – 頭位変換眼振 •下眼瞼向き眼振
  • 8.
    VNG - OKN •解発良好
  • 9.
    VNG – カロリック •左 45 度 /sec VS 67% 右 47 度 /s VS 57% CP な し
  • 10.
    cVEMP P13 14.6ms N23 22.1ms P13-N23176.2μV 背景筋電図 954.4μVms P13 12.3ms N23 19.7ms P13-N23 167.4μV 背景筋電図 513.3μVms P13 13.9ms N23 20.9ms P13-N23 179.9μV 背景筋電図 810.9μVms P13 13.4ms N23 19.3ms P13-N23 116.8μV 背景筋電図 523.7μVms
  • 11.
    oVEMP N1 11.8ms P1 14.3ms N1-P14.2μV 背景筋電図 14.5μVms N1 11.4ms P1 14.0ms N1-P1 13.0μV 背景筋電図 23.2μVms N1 10.4ms P1 14.1ms N1-P1 9.2μV 背景筋電図 37.5μVms N1 10.2ms P1 13.7ms N1-P1 15.7μV 背景筋電図 523.7μVms
  • 12.
    結果のまとめ • カロリック 正常 –左 45 度 /sec VS 67% – 右 47 度 /s VS 57% CP なし • cVEMP ・ oVEMP – 左右共に正常 • 頭位眼振・頭位変換眼振 – 下眼瞼向き眼振
  • 13.
    経過 • 先行疾患がなく慢性の浮遊感ではないため、 PPPDではない。 • 心因性めまいに対し半夏白朮天麻湯開始。 • 再評価の頭部 MRI では問題なし。 • 一ヶ月後再診 • 半夏白朮天麻湯を始めて、一日の回数は減り、 だいぶ調子改善したとのこと。 • めまいと同時に目が霞むので眼科受診し、 乱視の診断にて眼鏡を変え霞み症状は改善。 • 初診時は休職中だったが再開予定。 高所作業があり問題ないかと質問あり、非耳性なので問題なく、 疲れたら休む程度で問題ないと説明。 • 手の震え、転倒症状が出現しカルバマゼピン中止を提案。 • 二ヶ月後再診 • 頭位眼振・頭位変換眼振での下眼瞼向き眼振は依然残存。 • プロラクチンが 200 を超えたため、スルピリドを中止し、症状は更に改善。