振動スピーカを利用した
上肢・下肢振動覚の閾値測定の試み
朝倉 信之介 ・ 鴨頭 輝
Shinnosuke Asakura / Teru Kamogashira
JR 東京総合病院 臨床検査科・耳鼻咽喉科
東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
第 71 回日本医学検査学会
利益相反の有無:無
演題発表に関連し、
開示すべき利益相反 (COI) 関係にある企業・団体等はありませ
ん
はじめに
 めまい平衡機能検査の一環として振動覚検査を行うことが多い。
 振動覚の測定は、一般的に 128Hz 音叉を用いて施行することが多いが、実施毎の変動が
大きく、閾値の評価が困難である。
 わが国では、リオン株式会社製の AU-02 振動覚計による Force choice method での振動
覚閾値検査が行われているが、 ISO 規格では、 von Bekesy 法が推奨されている。
Force choice method は振動が一定であり、何度も強度の異なる刺激を提示して閾値を測
定する方法なので検査に時間がかかる。
 振動覚検査は保険収載されておらず、また高価な機械を利用した検査は一般的には行わ
れていない。
 市販の振動スピーカを用いて、振動の感覚閾値を定量的に評価する方法を考案し、若年
健常者の手首・足首での振動覚の平均閾値を評価することを試みた。
測定機器
BoCo 社 docodemo Speaker SP-1
イコライザ補正等の音響処理を全て無効化したものを用いた ( 購入後に製造元で再設定を
行った )
BoCo docodemo Speaker SP-1
方法
測定部位は左右の手首・足首の内果
とし、
それぞれ臥位、座位、立位で測定し
た。
方法
刺激は最小刺激から 5dB/ 秒で刺激強度が連続的に上昇す
るよう振動出力をスマートフォンより Bluetooth でスピー
カーに送信し、
被検者の測定部位にあてた。
刺激を感知したら「はい」と答えるよう指示し、計測は 1 回の
みとした。
各周波数の刺激強度
AU-02 振動覚計 (RION 製 ) 換算 「 0 dB = 308 mm/s2
(peak) 」
刺激強度
 63Hz -41dB ~ 46.5dB
 64Hz -41dB ~ 46.5dB
 128Hz -18.6dB ~ 68.9dB
 256Hz -25.6dB ~ 61.9dB
対象
若年健常者17名
男性 7名 女性 1 0名
29.1±5.6 歳 最高: 41 歳 最低: 23 歳
対象と解析方法
解析方法
統計解析は JMP 9 (SAS Institute Inc. 、 Cary 、 NC 、 USA) を用い
多変量分散分析を行った。統計学的有意水準は p<0.05 とした。
内訳
平均年齢
結果
-10
0
10
20
30
40
dB
F M
Sex
 男性: 17.3±10.3dB
 女性: 14.4±10.5dB
*
平 均 ー 性別 ー
女性 男性 p<0.05
*
結果
-10
0
10
20
30
40
dB
臥位 座位 立位
Position
 臥位: 13.2±10.5dB
 座位: 16.2±10.2dB
 立位: 17.4±10.8dB
*
*
平 均 – 体位 ー
p<0.05
*
結果
-10
0
10
20
30
40
dB
手首 足首
Parts
*
 手首: 12.2±8.6dB
 足首: 16.2±10.2dB
平 均 – 部位 ー
p<0.05
*
全ての群間で p<0.05
*
-10
0
10
20
30
40
dB
128 256 63 64
Hz
128 256 63 64
Hz
128 256 63 64
Hz
 63Hz : 3.7±6.1dB
 64Hz : 12.6±6.5dB
 128Hz : 24.1±6.6dB
 256Hz : 22.1±7.6dB
平 均 – 周波数 ー
結果
*
* * *
-10
0
10
20
30
40
dB
L R
L-R
結果
*
 左: 16.1±10.9dB
 右: 15.2±10.1dB
平 均 – 左右 ー
p<0.05
*
-10
0
10
20
30
40
dB
同側 反対
利き足か
-10
0
10
20
30
40
dB
同側 反対
利き手と同じ
結果
*
*
 利き手: 15.2±10.2dB
 反対手: 16.0±10.9dB
平 均 – 利き手と反対の手 ー
 利き足: 15.5±10.0dB
 反対足: 15.8±11.0dB
平 均 – 利き足と反対の足 ー
p<0.05
*
p<0.05
*
• 多変量解析でもいずれの項目も有意差を認めた
• 性別 男性>女性
• 部位 足首>手首
• 体位 立位>座位・臥位
• 周波数 128Hz > 256Hz > 64Hz > 63Hz
• 左右 左>右
• 利き手か 反対の手>利き手
• 利き足か 反対の足>利き足
結果のまとめ
考察
 今回の方法で振動覚閾値の測定・評価が可能であった。
 刺激周波数・刺激部位・刺激体位・左右により振動覚閾値が異なることが明
らかとなった。
 閾値を鋭敏に測定するには臥位・右側手首で測定することが望ましい。
 音叉では明らかにできない振動覚閾値をスピーカーを用いた検査で客観的に
評価できる可能性が示唆された。
 今回用いた上昇法以外に減弱法による提示方法があり、上昇法より閾値が低
く評価されると報告されており、年齢別や提示方法別の評価が今後の検討課
題と考えられる。
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Thanks
ご視聴ありがとうございました
Shinnosuke Asakura
Department of Clinical examination, JR Tokyo General Hospital
Teru Kamogashira
Department of Otolaryngology, Faculty of Medicine, University of Tokyo

振動スピーカを利用した上肢・下肢振動覚の閾値測定の試み 2022年 第71回 日本医学検査学会