Takeaki Uno, NII

1. 大学の研究というもの
2014年9月17日 未来研究トーク
宇野 毅明 （国立情報学研究所
＆総合研究大学院大学）
http://research.nii.ac.jp/~uno/index-j.html

2. ＋ 大学は日本の知のエンジン。ここから新しい研究が生まれる
＋ 当然、社会を、日本を、世界を良くするべく、日夜研究が行われ
ている
＋ 研究は、質の高い研究者により、堅実に行われている
● …というようなものでもありません
大学での研究というもの

3. ● 実は、研究の主体は学生。有名教授は手を動かさない
 本業は授業。研究は10%未満
● よって、全ての納期は4月
 質も追って知るべし
● 研究費は、意外とない。スタッフは雇用できない
 でかいファンドを取れるのはごくわずか
● 能力にばらつきが大きい、意外と視野が狭い
 アスリートみたいなものですから、それが普通です
大学の研究体制

4. ● 独立した研究者の群れ。上意下達はない
 よって、チームプレーもほぼなし
 みんなで代表を推すようなこともない
● お金は欲しいが、金額が大きいので国からもらいたい
● 評価は研究でされるので、優秀な研究は欲しい
 でも、こういう研究をしよう、と旗をふってもうまくいかない
 優秀な研究にインセンティブを与えるのも難しい
大学という組織

5. ● 意外と頭が固い。目線が内向き
 測りやすいように、自分専用の物差しを持っている
● 寄り合い所帯なので、主体的に動くことは少ない
 当然、世界や社会に対する戦略もない
● 研究の現場ではない
 人と情報が集まっているだけ
学会という組織

6. • やはり日本の研究期間である以上、日本の役に立つ、日本が求
めている研究をして欲しい
 社会性、公共性、実用性の高い研究
 意味があり、興味深い研究
• そうしてみると、あまり進展のなさそうな研究や、自己完結型の
研究、どこが面白いのか分からない研究がずらずら
こんな研究している場合なんでしょうか？
そうはいっても

7. • 必要がありそうな研究など、いくらでもある
＋ 老人を介護しやすいベッド
＋ 鬱病患者の数、生活弱者の実態と解決法
＋ 犯罪を検出する監視カメラ
＋ 健康食品の有効性
＋ 絶滅危惧種の人工飼育法
＋ STAP細胞の類似品、STOP細胞
• 意味・意義がある。重要。役に立つ。社会的要請もある。
何より面白そう
• 少しくらい環境要因悪くても、研究すべきじゃないですか？
意味のある研究

8. • さて、そこで戦いです。
● 大学以外の方、大学の人を問い詰めて下さい
ただし、論理的に。説明した大学の事情を鑑み、その上で説得力
のある理由を付けて、研究すべき課題を提示して下さい
※一つのトピックがあまり長くならないように
● 大学の方、きっちりと、できない、難しい、意味が無い、大学で
やるべきことではない、価値がない、ということを説明して下さい
屁理屈をこねるのではなく、しっかりと芯がある反論をお願いしま
す
• 評価者の方、両方の意見をしっかり判断して下さい
戦いの火ぶた

9. まとめ
● 大学の人が反論できなくなり、プロジェクトの価値が見いだ
せたら、民間側の勝ちです
● 大学の人が、きちんとなっとくできる理由を出せたら、大学
側の勝ちです
• この判定は、評価者の方にお願いします
そんなにきっちりやる必要はありません。感覚的に、主観に基
づいた判断をお願いします
※ 民間側に勝ってほしいですね。