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お茶の水女子大学附属高校「新教養基礎」での講演

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本講演はお茶の水女子大学附属高等学校にて、大学教員が研究職に就くまでのキャリアを紹介し、その過程で出会った「問い」「探求したいコト」を紹介する、という主旨の授業科目にて講演した内容です。

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お茶の水女子大学附属高校「新教養基礎」での講演

  1. 1. 情報科学で音楽を「見る」 ~好きなコトをたくさん大切にする人生のススメ~ 伊藤貴之 お茶の水女子大学 理学部情報科学科 教授 お茶の水女子大学附属高等学校 「新教養基礎」 2019年12月26日 itot@is.ocha.ac.jp http://itolab.is.ocha.ac.jp/ Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  2. 2. ここで働いています 1 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 附属高校 理学部3号館 こんなドアの 部屋にいます
  3. 3. 講演者の経歴 2 Itoh Laboratory, Ochanomizu University • 1990年 早稲田大学理工学部 卒業 • 1992年 早稲田大学大学院 修士課程修了 日本アイ・ビー・エム(株)入社・東京基礎研究所配属 • 1997年 早稲田大学にて博士(工学) • 2005年 お茶の水女子大学 理学部情報科学科 助教授(准教授) • 2011年 お茶の水女子大学 理学部情報科学科 教授
  4. 4. 講演者の経歴 3 Itoh Laboratory, Ochanomizu University • 中学で作曲に興味をもつ/大学でアマチュア指揮者 • 1990年 早稲田大学理工学部 卒業 • 1992年 早稲田大学大学院 修士課程修了 日本アイ・ビー・エム(株)入社・東京基礎研究所配属 • 1997年 早稲田大学にて博士(工学) • 会社員生活の傍らで音楽自主制作活動 (FM放送テーマ曲制作/CD発売/TV出演など) • 2005年 お茶の水女子大学 理学部情報科学科 助教授(准教授) • 2011年 お茶の水女子大学 理学部情報科学科 教授
  5. 5. 講演者の研究分野 4 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 情報可視化 ~ 情報を画面上でわかりやすく表示する技術 ~
  6. 6. 情報可視化 ~ 情報を画面上でわかりやすく表示する技術 ~ 講演者の研究分野 5 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 気体の流れ 生命情報(タンパク質) 写真による生活記録 人間関係 店の購買情報 人の動き そして…音楽
  7. 7. 6 講演者の進路選択の経緯 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  8. 8. 音楽が好きな子供に生まれた 7 Itoh Laboratory, Ochanomizu University • 音楽が流れると無条件に 喜ぶ幼児だったらしい • しかし家に楽器はなく 楽器を習うこともなく … 単に「音楽が好きな子」 だった
  9. 9. 電気・情報に目覚める 8 Itoh Laboratory, Ochanomizu University • 小学5年の時に親せきが 間違えて買った電気・情報の 趣味の雑誌にハマる • 電子工作でラジオや オーディオ機器を作り始める • プログラミングを独学する • 秋葉原の電気街に月1回通う
  10. 10. 中学校で吹奏楽部へ 9 Itoh Laboratory, Ochanomizu University • 意中の部活動がなかったので友人に誘われた部へ • 「男子は大きめの楽器を」という理由でトロンボーンに • 他の楽器も弾いてみたくなる →お年玉をはたいてポータブルキーボードを買う • 楽譜を読むうちに音楽理論に興味をもつ →専門教育を受けなくても作曲ができることを知る
  11. 11. 自作曲を録音して人に聞かせる 10 Itoh Laboratory, Ochanomizu University • カセット2台による『ピンポン録音』 …とても地道な作業 ① ② ② ② ③ ③ ③ 電子工作したミキサー
  12. 12. 問いが始まる:進路をどうする? 11 Itoh Laboratory, Ochanomizu University • 音楽に関係ある仕事がしたかった…が 音楽大学への進学は考えなかった ↓ • 電気・情報の技術を活かした 音楽の仕事に興味を持つ – 例1: オーディオ機器や電子楽器の開発 – 例2: コンサートホールの設計 – 例3: サウンドエンジニア • 電気・情報の学科に音響の教授がいる 大学を受験する
  13. 13. 学生時代には美術鑑賞も好きで ヨーロッパで20か所の美術館を訪問した 研究室選びで転機を迎える • 音響の教授が定年を迎え 後任教員も来ないことが判明 ↓ • CGの研究に従事する (音楽の次に好きな美術に 関係ありそうだったから) 12 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 大学では指揮者を経験
  14. 14. 語学留学でさらに転機を迎える • 1カ月間の語学留学で 外国人との交流にハマる →国際的な仕事を志願 • IBMの日本人の研究者が その年のCGの世界的な 学会の表紙を飾る • 「僕もIBMに行きたい」 といって就職する 13 Itoh Laboratory, Ochanomizu University ※当時のIBMは世界最大の 国際的なコンピュータ企業だった 留学先(アメリカ)の 語学クラスと観光 学会の表紙画像
  15. 15. 学生時代のまとめ • 音楽に関係ある技術の仕事がしたい → かねてから興味のあった電気・情報の学科へ進学 • 音響系の研究室がなくなった → 2番目に好きだった絵画に関係ありそうなCGの研究へ • 語学留学で海外諸国に友人ができる → 国際的な仕事を志す • IBMのCGの研究部門に就職する 14 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  16. 16. 企業勤務で現在の研究テーマに出会う • IBMではCGのグループに就いたが 一般的なCGとは違う仕事に就いた • 産業的な研究の業務 – 自動車の設計支援 – 情報の可視化 • 会社の業務で博士号を取得 • 音楽を仕事にすることは忘れていた 15 Itoh Laboratory, Ochanomizu University https://www.computerhistory.org/makesoftware/exhibit/car-crash-simulation/ ウェブサイトのアクセス分布の可視化の例
  17. 17. コンピュータで音楽制作を始める • トロンボーンでバンドに参加している うちにインディーズ活動が始まる – CDの販売 – テレビ/ラジオへの出演 • 自分でもコンピュータで作曲を始める – FM放送の番組テーマ曲制作 – ラジオへの定期的出演 • 音楽のための情報技術を 会社の仕事とは別に独学し始める 16 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  18. 18. 大学への転職を志す • 博士号取得後にいくつかの大学で 授業を担当する ※大学の授業の一部は学外の先生が担当している • 授業に対する学生の感想を読んで 教員という職業に興味をもつ • お茶大への応募を薦められて 試しに応募したら採用された →IBMからの転職 17 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  19. 19. 会社員時代のまとめ • CGの部門といっても産業的な研究に従事 (自動車の設計支援/データの可視化) • インディーズ音楽活動にかかわる →コンピュータ音楽技術に興味をもつ • 大学で授業をもつ →教育という職業にあこがれる • お茶の水女子大学に転職 18 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  20. 20. 大学では多様な可視化の研究に着手 19 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 気体の流れ 生命情報(タンパク質) 写真による生活記録 人間関係 店の購買情報 人の動き 音楽
  21. 21. 国際的な経験を拡げる • 大学赴任後の可視化の研究で世界に仲間ができる 20 Itoh Laboratory, Ochanomizu University ※共同学会発表者、共同会議主催者、学生留学先研究者など …学生時代の語学留学後の目標が徐々に形になる
  22. 22. 自分の経歴が研究として一体化する 21 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 音楽に関係ある 仕事がしたい 可視化の研究で 社会に貢献したい 音楽の可視化が 研究テーマの一部に
  23. 23. ここまでのまとめ 若き日の自分の問い 「電気・情報の知識をもって新しい音楽の仕事を拓きたい」 大学赴任時の答え 「コンピュータを使って音楽を可視化する」 22 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  24. 24. 23 本日紹介する研究課題: 音楽を可視化する Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  25. 25. 私達は音楽を「見て」いる 24 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 楽譜: 演奏するため 演奏を理解するため ビジュアルエフェクト: 印象を付与するため プレイリスト: 楽曲を探すため・まとめるため
  26. 26. 「見る」ことがなぜ効果的なのか • 人間は知識の80~90%を目から得ている • 目は 【多様な情報を瞬時に理解する】 のに向いている 25 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 例: 音を瞬時に聞き分けるよりも、顔を瞬時に見分けるほうが容易である
  27. 27. 音楽を「見る」ことが何につながるのか • 1曲の全体像を見る • たくさんの曲の存在を見る 26 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 楽曲の構成や技法を知る 楽曲の練習工程を考える 楽曲群の変遷や流行を知る いま聞きたい曲を探し出す
  28. 28. Colorscore:大きな1曲の構造を可視化する • 何十段もあるクラシック音楽の楽譜(スコア)を 色に置き換えて要約表示する • メロディの種類で小節を色分けする 27 木管楽器 金管楽器 打楽器 弦楽器 前半 後半 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  29. 29. 事例:チャイコフスキー「花のワルツ」 28 28 主旋律 伴奏(和音) 伴奏(低音) その他(装飾) 青紫色の主旋律に着目 Itoh Laboratory, Ochanomizu University ※アニメーション+音楽再生
  30. 30. どこで使うの? • 指揮者の勉強と練習計画 • 作曲・編曲の支援 • 音楽の歴史考証 • もうちょっと単純に音楽鑑賞 の資料の一部として 29 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  31. 31. MusiCube: 好みの音楽を集めるために 30 Itoh Laboratory, Ochanomizu University ※ビデオ +音楽再生
  32. 32. MusiCube: 音楽推薦結果の可視化 31 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 音楽特徴のうち 2軸を選んで 楽曲をプロット 自動生成した プレイリスト 音楽特徴の選択タブ 未評価 提示中 反対 賛成 [テンポ:] 速い or 遅い [音量平均:] 電子的 or アコースティック [高音/低音比:] はなやか or シンプル [不協和音比:] 伝統的 or 近代的 [長和音/短和音比:] 明るい or 暗い
  33. 33. MusiCubeから見える音楽嗜好パターン • 被験者A・Bは嗜好がよく似ている – 音量平均が小 → 音量変化のあるアコースティック系? – 高音/低音比が小 → キラキラ音の少ないシンプルな編成? • 被験者Cは大きく異なる – 不協和音比が小 → 昔ながらの作曲技法? 32 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 音量 平均 音量 平均 音量 平均 高音/低音比 高音/低音比 不協和音比 被験者A 被験者B 被験者C
  34. 34. どこで使うの? • 漠然と「こんな感じのいろんな人の好きな曲を集めたい」 – 印象にもとづく音楽検索 – 1人1人の「曖昧な好み」に応える音楽検索 • なぜそれらの曲が好きな曲として集まったのかを知りたい – リスナー本人も、あるいは音楽を売る業者の人も… 33 Itoh Laboratory, Ochanomizu University https://kiite.jp/
  35. 35. ここまでのまとめ 大学に就職してからの問い 「音楽を可視化して何ができるのか」 ここまでの答え 「1曲の構造を理解する」 「ユーザの選曲を支援する」 現在追求中の可視化(未完成) 「ユーザの日常生活と音楽鑑賞の関係」 「多数の歌唱者のクセの違い」 「人工知能が音楽をどう理解するか」 34 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  36. 36. 35 締めくくりのメッセージ Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  37. 37. 探求したいコトが既にある人へ • 好きなコトを【たくさん】大切にしてほしい – たくさんあれば、何かが皆さんの将来の役に立ちます – 好きなコトの組み合わせが皆さんを強くします • 探求が止まっても落ち込む必要はありません – 視野を広く持てば、きっと他の探求を見つけられます • 「やりたいコト」と「できるコト」の間に答えがあります – 情熱を向けられる話題と、実現可能なコト・得意なコトを 結び付けてみましょう 36 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  38. 38. 探求したいコトがまだない人へ • 慌てる必要はありません – 大学に入学してからでも「探求したいコト」は探せます • たくさん話して、たくさん出かけてみましょう – 探求は自分ひとりで探すものとは限りません • 基礎力をしっかりつけましょう – 例えば理系なら数学やプログラミング – いろんな分野で共通に使える力が将来の自分を救うかもしれません 37 Itoh Laboratory, Ochanomizu University
  39. 39. 情報科学に進学してよかったこと • 進路選択の幅が広い – IT業界の研究者・開発者 – コンピュータや情報処理を扱うあらゆる業界 • 研究課題選びの幅が広い – コンピュータや情報処理を 自分の好きなコトと結び付けられる – 情報処理自体の研究もまだ課題がたくさん • 風土や習慣が新しい – 自分で切り拓けることがたくさんある – 男女平等色が強い • 世界規模の仕事がたくさんある 38 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 情報科学への進学について こちらでも伊藤の個人的見解を 説明しています http://www.is.ocha.ac.jp/~itot/ message/forexaminees.html
  40. 40. ありがとうございました 39 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 伊藤貴之 お茶の水女子大学 理学部情報科学科 教授 itot@is.ocha.ac.jp http://itolab.is.ocha.ac.jp/
  41. 41. 40 Itoh Laboratory, Ochanomizu University 本講演はお茶の水女子大学附属高等学校にて、 大学教員が研究職に就くまでのキャリアを紹介し、 その過程で出会った「問い」「探求したいコト」を紹介する、 という主旨の授業科目にて講演した内容です。

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