数学的な理論に基づく厳密な検証が可能となることから,各種の形式検証手法が広がりつつあるが,その検証対象は同期回路に限られている.非同期回路については,遅延値が不明な回路記述のみを対象としての検証は意味をなさないからである.本稿では形式検証の対象を同期回路以外にも広げるべく,タイミング制約を含んだ回路記述方式とその意味論を提案する.提案の記述方式は,プログラミング言語のクラスArrowの概念を用いて構成要素中心の考え方を可能にする.また,その意味論は様相論理のクリプキ意味論を用い,抽象的な遅延の概念を導入する.提案の回路記述とその意味論により,非同期回路についても形式検証が可能となることを示す.また,実用化に向けた試みとして定理証明言語Agda上の実装もあわせて示す.