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様相論理によるマルチクロック同期回路の形式検証体系
- 2. 背景・目的
形式検証*の多くは単一クロック同期回路が対象である.
時相論理ベース⇒ “次”が一種類⇒ 単一クロック
マルチクロック同期回路の形式検証としては,それぞれのク
ロック間の関係を条件として与えた上でモデル検査を適用
する方法がある.
⇒ 時間軸を含めた状態空間の制限が可能に
本研究では,クロック間の条件を定めることなくマルチクロッ
ク同期回路の形式検証を可能とする検証体系を提案する.
2 * : 本研究ではプロパティ・チェッキングを対象とする.
- 3. もくじ
3
様相論理による回路記述
公理の定義
検証体系の位置付け
検証例
まとめ
- 4. 様相論理
必然性や可能性を扱う論理.
□P : Pが必然的に真
「先祖代々仏教だ」⇒ 私の先祖は仏教,その先祖も仏教,その先祖も…
□仏教
◇P : Pである可能性がある
(◇P := ¬□¬P : Pでないことが必然ではない)
「キリスト教の方もいた」
◇ キリスト教
私
父
母
私
父
母
4
- 8. 回路記述
様相記号を使って同期回路を表現することができる.
(clk0/clk1 の様相記号をそれぞれ⓪/① とする)
f
g0
g1
clk0
clk1
a
s0
s1
out
out = f(a, s0, s1)
⓪ s0 = g0 (a, s0, s1)
① s1 = g1 (a, s0, s1)
8
検証体系の要素(1/2)
- 20. 検証例:回路記述
20
clk0
sel1
clk1
en0
en1
out
様相論理による回路記述は下のようになる.
out = en0 & clk0 | en1 & clk1
⓪ en0 = sel1 & en1
① en1 = sel1 & en0
- 21. 検証例:仕様
求められる振るまいは:
仕様1:選択された方のクロックが出力されること
仕様2:グリッチ・ノイズが発生しないこと.
以下,仕様1について示す.切替え中かもしれないので,
仕様1-0:clk0を選択し続ければそのうちclk0が出力されること
仕様1-1:clk1を選択し続ければそのうちclk1が出力されること.
様相記号を用いて,
仕様1-0:□(sel1 = 0) ⇒ ◇□(out = clk0)
仕様1-1:□(sel1 = 1) ⇒ ◇□(out = clk1).
21
- 23. 証明の概要:
sel1=1
⓪en0=0 ∴ ⓪①en1=1
⓪①en0=0, ⓪①en1=1 ∴ ⓪①(out = clk1)
⓪①□(out = clk1)
◇□ (out = clk1)
検証例:証明
23
⓪ en0 = sel1 & en1
① en1 = sel1 & en0
回路の定義(右)より
前ページの補題よりen0かen1のどちらかが0
公理V4など
公理VN2など
en0=0
en1=1
out
clk0
clk1
- 24. まとめ
マルチクロック同期回路の形式検証を可能とする検証体系
多重様相論理に基づく演繹的な体系
得られる結果について正当性が保証される(健全である)
課題
健全性は言えるが,完全性(成立する命題のすべてが導かれ
ること)は不明
証明を人手で行っていては厳密性が担保できない
自動証明
証明は人が行うが,その整合性を計算機でチェック
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