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医療領域を対象としたサー
ビ
ス
デ
ザ
インの試み(2) 

八王子の医療サー
ビ
スの
デ
ザ
イン
2017.7.1
吉橋昭夫(多摩美術大学)
長田純一・稲舩仁哉(日本電気株式会社)
浜崎千賀・亀田佳一(医療法人社団 KNI)
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
●ICT 医療機関 美術大学の共同プロジェクト
●医療サービスの未来の姿を描く
●フェーズ1:シナリオ・プランニング+UX
       未来の八王子の街の姿
●フェーズ2:具体的なサービスのデザイン
       演習授業
概 要
2
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
日本電気株式会社
3
http://jpn.nec.com より
共創型ワークショップ
スペース
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
医療法人社団 KNI
4
http://www.kitaharahosp.com/ より
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
多摩美術大学 情報デザイン学科
情報デザインコース 
3年後期 演習科目
期間:  2016年9月∼2017年1月(15週)
テーマ: 八王子の未来の医療サービス
履修学生:24名
担当教員:長田純一(非常勤講師)・吉橋昭夫
演習:サービスデザイン
5
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
●課題:
「2035年の八王子市の医療サービスのデザイン」
●条件:
 ・八王子で情報デザインを学ぶ学生の視点から


 ・住民に医療や健康を提供するサービスを提案
 ・「メディカルランド」シナリオを参照
   日常生活の中に健康知識が溶け込む


 ・サービスの具体的なかたちを示す


 ・「経験価値」を重視する
課題設定
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
 2035年の八王子市の医療サービスのデザイン
 2035年、八王子市は医療を起点とした「メディカル
ランド」として発展しています。あなたはこの街の住
民で情報デザインを学んでいます。
 この街(メディカルランド)で、あなたは何をする
ことができますか? 情報デザインを学ぶ学生として、
この街に対して「できること」を考え、表現してくだ
さい。
課題文
7
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
1. オリエンテーション
2. シナリオ「メディカルランド」の解説


  KNIの取り組み事例の紹介
3. ブレーンストーミング
4. アイデア展開、ペルソナ、UXマップ作成
5. プロトタイピング(一部アイデアの試作)
6. 病院でのフィールドワーク(観察とヒアリング)
7. サービスの詳細検討、プロトタイピング


  医療者からのアドバイス
8. サービス提案(オブジェクト作成・ビデオ制作)
授業のプロセス
8
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
・オリエンテーション、仮チーム分け、ブレスト
・メディカルランドの紹介、アイデアの発表
・アイデア展開、ペルソナ、UXマップ
・ペルソナ作成、UX作成
・ペルソナ・UXマップ発表、観察の報告
・オブザベーションと企画・仮説の検討
・中間プレゼンテーション、医療サイドからのアドバイス(KNI)
・北原理事長 講演、KNI(北原国際病院)見学
・サービスアイデアの詳細検討、作品制作
・進捗報告
・プレ・プレゼンテーション
・最終プレゼンテーション
・後期末展覧会 展示・発表
・成果報告会 NEC本社
授業のプロセス(詳細版)
9
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
・プロジェクトの初期にKNIの様々な取り組みにつ
 いてレクチャーを受けた
医療の提供にとどまらず患者さんやご家族の生活全般
に対する目配りやサービスの提供、地域との連携、海
外での病院設立などの取り組みについて
 ↓


・学生たちが医療について考えるため
  医療と自分との関わりは?
  デザインが貢献できる点は何か?
授業設計のポイント
10
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
・視点を未来に置き医療サービスを考える


・通常、初期に行なうフィールドワークや調査を
 ブレストやアイデア出しの後に実施
→問題解決型ではない課題の設定
 制約の多い医療の現実にとらわれ過ぎぬよう、
 自由な発想を促す 
11
授業設計のポイント
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
・アイデアや仮説がどのような価値を持つか観察を
 通じて確認する。


・デザインするために必要な情報を医療従事者から
 ヒアリング。ステークホルダーの目線で見る。
 (看護師、リハビリテーションスタッフ、管理栄
  養士、医療相談員など)
・アイデアの本質を確認し優れた点や問題点などを
 把握する。
12
病院でのフィールドワーク
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
● 八王子健康ごはん 病院食ビュッフェで美味しく楽しく健康に
● めでぃくま 暮らしに寄り添う薬の配達ロボット
● シルバーシェアハウス 一人暮らしのお年寄りと学生のシェア
  ハウスサービス
● 心の喫茶店 カウンセラーが店員で相談に乗ってくれるカフェ
● ナースアイドルプロジェクト ナースアイドルをきっかけに
  健康を意識する計画を
● Silent Cafe ちゃんと見てちゃんと聞く
● alca(アルカ)簡単アルコール計測カード
● げんきのこ 八王子のスーパーフード
● お寺寝 八王子のお寺で心身をリフレッシュするサービス
13
サービス提案:作品リスト
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
・病院内レストランで病院食をビュッフェ形式で提供


・利用者に健康的な食事を意識させる
14
八王子健康ごはん


病院食ビュッフェで美味しく楽しく健康に
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
15
八王子健康ごはん
摂取カロリーの目安や栄養情報の書かれたメニュー
主菜用と副菜用に分かれたお皿
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
16
八王子健康ごはん
ウェブサイトでの
情報提供
持ち帰れる


レシピカード
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
17
八王子健康ごはん(試作版)
試作版:11.29の北原フェスにて試験的に実施
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
18
めでぃくま


暮らしに寄り添う薬の配達屋さん
・患者さんの経験価値を高める薬の提供サービス


・時間がない時でも、必要な薬を購入ことができる
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
19
めでぃくま
プロペラ型:スマホアプリと連動したドローン型ロボット
      が患者さんの元へ薬を届ける
スマホアプリ画面
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
バリエーション


・巡回型:
 市販薬を常備して街を巡回している  
 移動小型ロボット


・自動販売機型:
 駅などに設置され、タッチパネルに
 症状を入力して薬を受け取れる
 自販機型ロボット
20
めでぃくま
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
・未来からのバックキャスティング
 規制や制約が多い医療分野の現状、変化の方向
性を読みながら、「あるべき姿」を考え見出すた
めの手法として採用した。
・医療の分野における「表現して見えるように
 する」ことの意味と価値
 一見あり得ないように思えるアイデアでも、絵
や形にすると市民や医療者に受け入れられるとい
うことが多かった。
21
考察:アプローチの方法
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
ICT企業・医療機関・美術大学(情報デザイン)
による「共創」プロジェクトを実施した。


「未来の医療サービス」をテーマとしたサービ
スデザインに取り組み、具体的なサービスを提
案した。


利用者の視点で医療サービスをデザインするこ
との有効性について一定の手応えを得た。


22
まとめ
JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio
・医療というテーマの難しさもあり、デザインの
 方法論も、授業設計もまだまだ課題が多い
 →デザイン方法論・授業設計の精緻化


  実践を重ねながら、医療サービスのデザイン
  のための知見を蓄積する


  2017年度も同テーマによる継続研究を予定  
23
今後の課題

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医療領域を対象としたサービスデザインの試み(2) 八王子の医療サービスのデザイン

  • 2. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ●ICT 医療機関 美術大学の共同プロジェクト ●医療サービスの未来の姿を描く ●フェーズ1:シナリオ・プランニング+UX        未来の八王子の街の姿 ●フェーズ2:具体的なサービスのデザイン        演習授業 概 要 2
  • 3. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 日本電気株式会社 3 http://jpn.nec.com より 共創型ワークショップ スペース
  • 4. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 医療法人社団 KNI 4 http://www.kitaharahosp.com/ より
  • 5. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 多摩美術大学 情報デザイン学科 情報デザインコース  3年後期 演習科目 期間:  2016年9月∼2017年1月(15週) テーマ: 八王子の未来の医療サービス 履修学生:24名 担当教員:長田純一(非常勤講師)・吉橋昭夫 演習:サービスデザイン 5
  • 6. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ●課題: 「2035年の八王子市の医療サービスのデザイン」 ●条件:  ・八王子で情報デザインを学ぶ学生の視点から 
  ・住民に医療や健康を提供するサービスを提案  ・「メディカルランド」シナリオを参照    日常生活の中に健康知識が溶け込む 
  ・サービスの具体的なかたちを示す 
  ・「経験価値」を重視する 課題設定
  • 7. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio  2035年の八王子市の医療サービスのデザイン  2035年、八王子市は医療を起点とした「メディカル ランド」として発展しています。あなたはこの街の住 民で情報デザインを学んでいます。  この街(メディカルランド)で、あなたは何をする ことができますか? 情報デザインを学ぶ学生として、 この街に対して「できること」を考え、表現してくだ さい。 課題文 7
  • 8. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 1. オリエンテーション 2. シナリオ「メディカルランド」の解説 
   KNIの取り組み事例の紹介 3. ブレーンストーミング 4. アイデア展開、ペルソナ、UXマップ作成 5. プロトタイピング(一部アイデアの試作) 6. 病院でのフィールドワーク(観察とヒアリング) 7. サービスの詳細検討、プロトタイピング 
   医療者からのアドバイス 8. サービス提案(オブジェクト作成・ビデオ制作) 授業のプロセス 8
  • 9. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ・オリエンテーション、仮チーム分け、ブレスト ・メディカルランドの紹介、アイデアの発表 ・アイデア展開、ペルソナ、UXマップ ・ペルソナ作成、UX作成 ・ペルソナ・UXマップ発表、観察の報告 ・オブザベーションと企画・仮説の検討 ・中間プレゼンテーション、医療サイドからのアドバイス(KNI) ・北原理事長 講演、KNI(北原国際病院)見学 ・サービスアイデアの詳細検討、作品制作 ・進捗報告 ・プレ・プレゼンテーション ・最終プレゼンテーション ・後期末展覧会 展示・発表 ・成果報告会 NEC本社 授業のプロセス(詳細版) 9
  • 10. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ・プロジェクトの初期にKNIの様々な取り組みにつ  いてレクチャーを受けた 医療の提供にとどまらず患者さんやご家族の生活全般 に対する目配りやサービスの提供、地域との連携、海 外での病院設立などの取り組みについて  ↓ 
 ・学生たちが医療について考えるため   医療と自分との関わりは?   デザインが貢献できる点は何か? 授業設計のポイント 10
  • 11. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ・視点を未来に置き医療サービスを考える 
 ・通常、初期に行なうフィールドワークや調査を  ブレストやアイデア出しの後に実施 →問題解決型ではない課題の設定  制約の多い医療の現実にとらわれ過ぎぬよう、  自由な発想を促す  11 授業設計のポイント
  • 12. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ・アイデアや仮説がどのような価値を持つか観察を  通じて確認する。 
 ・デザインするために必要な情報を医療従事者から  ヒアリング。ステークホルダーの目線で見る。  (看護師、リハビリテーションスタッフ、管理栄   養士、医療相談員など) ・アイデアの本質を確認し優れた点や問題点などを  把握する。 12 病院でのフィールドワーク
  • 13. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ● 八王子健康ごはん 病院食ビュッフェで美味しく楽しく健康に ● めでぃくま 暮らしに寄り添う薬の配達ロボット ● シルバーシェアハウス 一人暮らしのお年寄りと学生のシェア   ハウスサービス ● 心の喫茶店 カウンセラーが店員で相談に乗ってくれるカフェ ● ナースアイドルプロジェクト ナースアイドルをきっかけに   健康を意識する計画を ● Silent Cafe ちゃんと見てちゃんと聞く ● alca(アルカ)簡単アルコール計測カード ● げんきのこ 八王子のスーパーフード ● お寺寝 八王子のお寺で心身をリフレッシュするサービス 13 サービス提案:作品リスト
  • 14. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ・病院内レストランで病院食をビュッフェ形式で提供 
 ・利用者に健康的な食事を意識させる 14 八王子健康ごはん 
 病院食ビュッフェで美味しく楽しく健康に
  • 15. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 15 八王子健康ごはん 摂取カロリーの目安や栄養情報の書かれたメニュー 主菜用と副菜用に分かれたお皿
  • 16. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 16 八王子健康ごはん ウェブサイトでの 情報提供 持ち帰れる 
 レシピカード
  • 17. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 17 八王子健康ごはん(試作版) 試作版:11.29の北原フェスにて試験的に実施
  • 18. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 18 めでぃくま 
 暮らしに寄り添う薬の配達屋さん ・患者さんの経験価値を高める薬の提供サービス 
 ・時間がない時でも、必要な薬を購入ことができる
  • 19. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio 19 めでぃくま プロペラ型:スマホアプリと連動したドローン型ロボット       が患者さんの元へ薬を届ける スマホアプリ画面
  • 20. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio バリエーション 
 ・巡回型:  市販薬を常備して街を巡回している    移動小型ロボット 
 ・自動販売機型:  駅などに設置され、タッチパネルに  症状を入力して薬を受け取れる  自販機型ロボット 20 めでぃくま
  • 21. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ・未来からのバックキャスティング  規制や制約が多い医療分野の現状、変化の方向 性を読みながら、「あるべき姿」を考え見出すた めの手法として採用した。 ・医療の分野における「表現して見えるように  する」ことの意味と価値  一見あり得ないように思えるアイデアでも、絵 や形にすると市民や医療者に受け入れられるとい うことが多かった。 21 考察:アプローチの方法
  • 22. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ICT企業・医療機関・美術大学(情報デザイン) による「共創」プロジェクトを実施した。 
 「未来の医療サービス」をテーマとしたサービ スデザインに取り組み、具体的なサービスを提 案した。 
 利用者の視点で医療サービスをデザインするこ との有効性について一定の手応えを得た。 
 22 まとめ
  • 23. JSSD2017 TAMABI , yoshihashi.akio ・医療というテーマの難しさもあり、デザインの  方法論も、授業設計もまだまだ課題が多い  →デザイン方法論・授業設計の精緻化 
   実践を重ねながら、医療サービスのデザイン   のための知見を蓄積する 
   2017年度も同テーマによる継続研究を予定   23 今後の課題