ベルトモデルの要件
- 6. 1次元多様体としての道路 2
(参考)
1次元多様体としての道路は、道路中心線で代表させてよい
道路中心線も、原則微分可能な曲線として引くべきものである
道路中心線から法線を引いて、所定の距離に杭を置くことが、
幅杭測量の本質である
道路中心線が微分可能だから、法線が引ける
幅杭(群)で規定される領域の内側に、ベルトがある
道路敷設工事の手順を考えると、あたりまえのことである
中心線を決めれば、幅杭やベルトも規定できることを意味する
自動的に、ベルトモデルとネットワークモデルの位相が揃う
以下、議論を簡単にするために、1次元道路ネットワーク構造
を道路中心線で代表させるものとする
- 7. 1次元多様体としての道路 3
(参考)
1次元道路モデルでは、任意の点で法線を引ける
ここまで見てきた通り
幅杭の位置は、経度緯度を使わずに、一意的に指定できる
中心線上の1点を、道路の基点からの距離で表現する
幅杭の位置を、中心線上の点からの法線方向の長さで表現する
経度緯度(無名数)の代わりに、距離の次元2つで表現できた
これが、実際の道路工事でも使いやすい「座標系」である
実は、上の標記方法は「線形位置参照」である
- 8. 道路のベルトモデル 1
(参考)
線形位置参照を使って、幅杭の位置を指定できた
ベルトモデルのサイドラインの位置も、線形位置参照を使えば
全く同様に指定可能である
ベルトが何本あっても同じこと
交差点のところだけは工夫が必要(複数のベルトが重なるので)
交差点では複数のベルトが重なる
同時に進入できる自動車は1台だけ
現実の排他処理は、交通信号などで対応している
数学モデルとしては、場所の同一視で対応可能(接着写像)
この部分が「共通領域」の例
2本のベルトが「接着」されている
ベルトは別だが実際の場所は同じ
- 9. 道路のベルトモデル 2
(参考)
もっと複雑な交差点でも同じこと
接着されるベルトの本数が増え、接着箇所が増えるだけ
自動車が進行可能な方向とベルトの数とは、常に一緒
これで、ベルトをはずれて移動する自動車はなくなる
交差点
複数のベルトが同一の領域を共有している場所として定式化できる
1次元道路のノードの周辺と必ず一致する
- 11. 高さの再現 1 (この項も参考)
3次元ベクトルバンドル
回転楕円体とジオイド面
ともに2次元の可微分多様体だった
どちらも面上のいたるところで法線を定義可能
回転楕円体上の1点(経度緯度で場所が決まる)で法線を引く
どこかでジオイド面にぶつかる
その点でジオイド面の法線(鉛直線)が決まる
これを回転楕円体上の点に持ってくる(数学的には「引き戻し」)
これは、誰でも無意識に行っている処理を数学的に書いただけのこと
これが、現実の3次元空間の正体
測量法で言う「地理学的経緯度と平均海面からの高さ」
2次元多様体と、法線ベクトル群でつくるベクトルバンドル
- 12. 高さの再現 2 (この項も参考)
3次元ベクトルバンドル 2
なぜ、わざわざ回転楕円体とジオイド面を持ち出す?
地球が均質ではないから
鉛直線方向が、回転楕円体面の法線方向と一致しないから
地球物理学的には、既知の情報
なぜ、両方いる?
回転楕円体は、経度緯度をスッキリ決めるために重要
ジオイド面は、接平面が水平面なので重要
両者の良いとこ取りをしなければならない
- 13. 高さの再現 3 (この項も参考)
ベルトモデルと3次元空間
ベルトを、1次元多様体(つまり、道路中心線)で代表させる
3次元空間の中に「埋め込む」
道路中心線の各点で、高さ(標高)が決まる
ベルトを、2次元多様体(道路中心線+法線)で表現する
法線方向は、3次元空間内では水平とは限らない
鉛直線との交角を計算すると、それがバンク角になる
- 14. 結論
道路ネットワークは、1次元多様体でモデル化する
ベルトは、2次元多様体でモデル化する
道路ネットワークと、その法線ベクトルバンドルで表現可能
道路ネットワークが維持される(実はホモトピーである)
この意味で、道路ネットワークの1次元多様体は、ベルトモデルの
2次元多様体に「埋め込まれている」
ベルトは、3次元多様体内に実装する
3次元空間は、回転楕円体とジオイド面で定式化できる
地図投影を考えると、回転楕円体(経度緯度と連動)とジオイド面
の法線ベクトルバンドル(標高に連動)で3次元空間を捉えるべき
ベルトモデルは、この3次元多様体に「埋め込まれている」
だからこそ、立体交差が適切に表現できる