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小嶋志之(のりゆき)
    小嶋診療所
  2012年5月24日
   がんについての事実
       がん統計 死亡率、罹患率、生存率
       がんはなぜできる
       人のがんにかかわる要因
   がんの予防
       禁煙、食生活の改善が重要
   がん検診
       有効ながん検診と方法は?(例:胃がん、大腸がん)
   がんの診断
   がんの治療
   がんと言われた場合にどう対処するか?
       基本的な考え方
       情報の収集方法
 2009年にがんで死亡した人は344,105例
  (男性206,352例、女性137,753例)。
 2005年に新たに診断されたがん(罹患全
  国推計値)は676,075例(男性390,835例、
  女性285,240例)。
  2009年
  死亡 34万人
  新たに診断 67万人
がんの年間死亡数は34
万人。日本では毎年100
万人の人が亡くなってい
るので3人に1人ががんで
亡くなっている。
   2009年の死亡数が多い部位は順に
      1位     2位   3位    4位     5位

男性     肺     胃    肝臓    結腸    膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3位

女性     肺     胃    結腸    膵臓    乳房 結腸と直腸を合わせた大腸は1位

男女計    肺     胃    肝臓    結腸    膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3位

   2005年の罹患数(全国推計値)が多い部位は順に
      1位     2位   3位     4位     5位

男性     胃     肺    前立腺   結腸      肝臓   結腸と直腸を合わせた大腸は2位


女性    乳房*1   胃    結腸     肺     子宮*1 結腸と直腸を合わせた大腸は2位


男女計    胃     肺    結腸    乳房*1    肝臓   結腸と直腸を合わせた大腸は2位
   男性では、40歳以上で消
    化器系のがん(胃、大
    腸、肝臓)の死亡が多く
    を占めるが、70歳代以上
    ではその割合はやや減少
    し、肺がんと前立腺がん
    の割合が増加する。
   女性では、40歳代では乳
    がん、子宮がん、卵巣が
    んの死亡が多くを占める
    が、高齢になるほどその
    割合は減少し、消化器系
    (胃、大腸、肝臓)と肺
    がんの割合が増加する。
   全がん
       男女とも、おおよそ60歳代から増加し、高齢になるほど高い。
       60歳代以降は男性が女性より顕著に高い。
   累積罹患リスクと
    は…ある年齢まで
    にある病気に罹患
    する(その病気と
    診断される)おお
    よその確率
   生涯でがんに罹患
    する確率は、男性
    54%、女性41%。
 日本人のほぼ2人に1人ががんになる。
 男性は6割、女性は4割ががんになる。
    これは喫煙率の差(男性4割、女性1割)に
     よるものとされている。
 かつて日本人の死因の第1位は「結核」
だったが、抗生物質により治るようにな
り、替わって脳卒中が死因の1位になり
1981年からはずっと「がん」が死因の1位
である。
   男性では、40歳以
    上で消化器系のが
    ん(胃、大腸、肝
    臓)の罹患が多く
    を占めるが、70歳
    以上ではその割合
    は減少し、前立腺
    がんと肺がんの割
    合が増加する。
   女性では、40歳代
    では乳がん、子宮
    がん、卵巣がんの
    罹患が多くを占め
    るが、高齢になる
    ほどその割合は減
    少し、消化器系の
    がん(胃、大腸、
    肝臓)と肺がんの
    割合が増加する。
   男女とも50歳代くらいから増加し、高齢になるほど高い。
   30歳代後半から40歳代で女性が男性よりやや高く、60歳代以降は男性が女性より顕
    著に高い。
 5年相対生存率
    あるがんと診断された場合に、治療でどのく
     らい生命を救えるかを示す指標。あるがんと
     診断された人のうち5年後に生存している人
     の割合が、日本人全体で5年後に生存してい
     る人の割合に比べてどのくらい低いかで表し
     ます。100%に近いほど治療で生命を救える
     がん、0%に近いほど治療で生命を救い難い
     がんであることを意味します。
 部位別では、女性の乳房と子宮が70%以
上で高く、胃、大腸、直腸、結腸が約60
~70%、肝臓と肺は20%前後で低い。
1993年から1996年にがんと診断
された人の5年相対生存率は男性
45.1%、女性54.8%。

  半分のがんは治る。
日本人の2人に1人はがんにな
 る。
3人に1人はがんで死ぬ。


がんの半分は治る。
 健康な人の体の中でも毎日5000個のがん
細胞ができている。
 免疫細胞(リンパ球)がその都度癌細胞
を退治している。
 我々の体は60兆個の細胞からできている。
 毎日数千億個の細胞が死に替わりに新し
  い細胞が生まれる。
 新しい細胞は細胞の分裂でできる。この
  際コピーミスが生じ突然変異が起きる。
 コピーミスによりたいていの細胞は死ぬ
  が、時に死ぬことができなくなって増え
  続ける細胞ができる。この「死なない細
  胞」が「がん細胞」である。
 通常の細胞は52回しか分裂できないが、がん
  細胞は無限に分裂を繰り返し増殖していく。
 がん細胞が1cmの大きさになるには30回ぐら
  いの分裂を繰り返し10億個の細胞が必要。
  1cmのがんは検査で見つかる最小の大きさ。
 30回分裂には10~15年かかる。

   がん細胞ができてから検査で発見できる大き
    さになるには10年以上の時間が必要。
 がんは細胞の老化の一種。
 長寿国ほどがんが多くなる。
 アジア型がん(感染症型がん、胃がん、
子宮頸がん、肝臓がん)が減少し、欧米
型がん(喫煙や動物性脂肪の摂り過ぎ、
運動不足など生活の欧米化が原因、肺が
ん、乳がん、子宮体がん、前立腺がん、
大腸がん)が増えている。
イギリスの疫学研究者DollとPetoは、数多くの科学論文をま
とめ、アメリカ人のがん死亡の原因として、どの要因がどれ
くらいの割合を占めているかという寄与割合を推定し、1981
年に発表しました 。

   食生活の改善により予防できるがん死亡の割合を35%(許容推計
    範囲:10~70%)
   喫煙が寄与する割合、言い換えると、禁煙により予防可能な割合
    を30%(25~40%)と推計しています。
   ウイルスや細菌などの感染が10%以上(少なくても1%)
   生殖要因、性行為7%(1~13%)
   職業4%(2~8%)
   飲酒3%(2~4%)
   自然放射線や紫外線などの地球物理環境3%(2~4%)
   大気や水質などの汚染2%(1%未満~5%)
   医薬品、医療行為1%(0.5~3%)
   食品添加物と産業生産物をおのおの1%と続きます。
その後、ハーバード大学(アメリカ)のがん予防センターも同様の推計を試
み、1996年に発表しています。喫煙、食事、運動、飲酒という代表的な生活
習慣要因が68%を占める一方、他の多くの要因も努力次第で改善することが可
能なものです。


                               いずれも膨大な
                                数の疫学研究
                                (人を対象とし
                                た研究)を根拠
                                としていますが、
                                肺、大腸、乳房、
                                前立腺等の部位
                                のがんが主要な
                                死因であるアメ
                                リカでの推計値
                                であって、日本
                                人とは事情が異
                                なることに注意
                                が必要です。
   1)がんの原因に占める遺伝素因と環境要因
       血縁者に同じがんの発生率が高いという場合には、
        その要因としてまず遺伝子の類似性(遺伝素因)が
        考えられますが、生活習慣の類似性(環境要因)に
        ついても考慮する必要があります。また、飲酒行動
        のように、一人一人のアルコールを代謝する酵素の
        働きを決める遺伝素因によって、飲める、飲めない
        という体質の違いが生じ、そのために生活習慣が決
        まることがあります。さらに発がん化学物質の代謝
        については、特定の代謝酵素の遺伝子多型という一
        人一人の体質を決める遺伝素因が、関連する発がん
        物質への接触という環境要因の影響を強めたり弱め
        たりすることがわかっています。
   2)ほとんどのがんでは、遺伝素因の占める割合は小さい
       スウェーデン、デンマーク、フィンランドの同性の双子4万5
        千組についてがんの発生を追跡調査し、一卵性と二卵性で同一
        部位のがんにかかる率の差から、遺伝素因の影響の大きさを推
        定した研究があります。

       検討した11部位のがんのうち、大腸がん、乳がん、前立腺がん
        の3部位で、遺伝素因の寄与が統計的に有意に検出されました。
        その割合は、大腸がん35%、乳がん27%、前立腺がん42%とさ
        れています。あとの残りが環境要因の影響となります。ただし、
        遺伝素因の中にも環境要因の影響を強めたり弱めたりする部分
        があるので、大部分は環境要因を変えることで予防できると考
        えられます。また、双子の1人がその3部位のうちいずれかの
        がんにかかった場合に、もう1人が75歳までに同じがんにかか
        るリスクも推計されています。一卵性と二卵性のそれぞれの場
        合、大腸がんが11%と5%、乳がんが13%と9%、前立腺がん
        が18%と3%になっています。遺伝素因の影響の強いこれらの
        がんでも、たとえ遺伝子が100%一致していても、同じがんにな
        る確率は1~2割に過ぎないことが示されています。
   喫煙や飲酒、欧米型の食事などでがんのリスクが増す。
   タバコ
       細胞のコピーミスを引き起こす要因の第一。
       がんが女性より男性に多いのは喫煙率の差によるものと言われ
        る。
   飲酒
       アルコールは、口やのど食道の粘膜を傷つけ肝臓にも負担をか
        ける。
   欧米型の食事→動物性脂肪が多い。
       コレステロール→性ホルモンの原料
       過剰な性ホルモンの分泌→前立腺がん、乳がんなどと関連
       脂肪の多い食事は大腸の粘膜に突然変異を起こしやすくする。
   塩分
       胃の粘膜に突然変異を起こしやすくする。
   タバコを吸う人は吸わない人に比べるとがんになるリスクが
    1.6倍になる。
   タバコを吸う日本人男性
       喉頭がんになる確率33倍
       肺がん4.5倍
       食道がん2.3倍
       すい臓がん、肝臓がん、胃がんのリスクも高まる。
   間接喫煙の問題
       肺がんのリスクが20~30%増える。
       周囲の人にはフィルターを通さない煙が行く。
       タバコの煙は温度が下がるほど発がん性が高くなる。
       家族をがんにしたくないならただちにタバコはやめるべき。
   タバコをやめて5年で肺がんのリスクが半分に減り、10年で
    「がんになる前段階の細胞」が修復される。
   第1条:バランスのとれた栄養をとる。
   第2条:毎日変化のある食生活を。
   第3条:食べ過ぎをさけ、脂肪はひかえめに。
   第4条:お酒はほどほどに
   第5条:タバコは吸わないように。
   第6条:食べ物から適当量のビタミンと繊維質のものを多くと
    る。
   第7条:塩辛いものはは少なめに、熱いものはさましてから。
   第8条:焦げたものはとらない。
   第9条:かびの生えたものに注意。
   第10条:日光に当たりすぎない。
   第11条:適当にスポーツする。
   第12条:体を清潔に。
   日本人の生活において主に次のことを注意すべきです。
   第1条:食事を植物性食品中心にする(さまざまな種類の野菜、果
    物を一日400~800グラムは食べるように心がけましょう)
   第2条:太り過ぎ、やせ過ぎを避ける(適正な体重を維持するよう
    に心がけましょう)
   第3条:体を動かす生活をする(1日1時間でも早歩きをしたり、有
    酸素運動を日常的におこなうように心がけましょう、過度な運動は
    逆効果になるので注意)
   第4条:アルコール飲料は控える(男性であれば日本酒で一日一合、
    女性ならその半分に抑えてください)
   第5条:赤身の肉を控える(牛肉、豚肉は1日80グラム以下にして、
    白身の魚や肉を食べるようにしましょう)
   第6条:脂肪の取り過ぎを避ける(動物性油脂を使わずに、植物性
    油脂で料理したものを食べるようにしましょう)
   第7条:塩分を控える(塩分は1日6グラム以下に抑えてください)
 タバコを吸う人は吸わない人に比べると
  がんになるリスクが1.6倍になる。
 喫煙ががんに寄与する割合が30%と推測
  される。
 受動喫煙の問題がある。

 考えてみれば意図すれば最も除去しやす
い発がん要因である。
 動物性脂肪と塩分を控え、飲酒はほどほ
どにして休肝日を!
 少し汗をかく程度の運動で、大腸がん、
乳がんの予防になる。
 激しい運動をやるよりは軽めの運動を続
けた方がよい。
 特殊な遺伝性のがんも存在するが5%以
下。
    これらは遺伝カウンセリングが必要。
 その他のがんでは環境、生活習慣の要因
も大きい。
  喫煙、食事、運動、飲酒という代表的な生活
   習慣要因が68%を占める一方、他の多くの要
   因も努力次第で改善することが可能なもので
   す。
  特に喫煙は重要ながんの要因。
 リスクを半分程度にすることはできるが
ゼロにすることはできない。
 現代生活の中では、やむを得ず生活習慣
の乱れを許容せざるを得ない場合がある。
 がん対策の仕上げは検診で!


 がん検診の受診で早期発見なら完治の可
能性大!
 がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切
  な治療を行うことでがんによる死亡を減少さ
  せることです。単に多くのがんを見つけるこ
  とが、がん検診の目的ではありません。
 検診の対象は症状のない人
       無症状のうちに「がん」を早期に発見し治療する
        ことが大切です。無症状の人には進行がんが少な
        く、早期のうちにがんを発見することができます。
        そのがんを治療することにより、がんによる死亡
        のリスクを軽減することができます。
 検診は特定の病気を発見し、早期に治療
を行うことが目的です。具体的には、が
ん検診や糖尿病検診等があります。
 健診は健康かどうかを確認し、健康上の
問題がなく、社会生活が正常に行えるか
どうかを判断します。学校健診や就職時
の健診がこれに当たります。
1.   がんになる人が多く、また死亡の重大な原因で
     あること
2.   がん検診を行うことで、そのがんによる死亡が
     確実に減少すること
3.   がん検診を行う検査方法があること
4.   検査が安全であること
5.   検査の精度がある程度高いこと
6.   発見されたがんについて治療法があること
7.   総合的にみて、検診を受けるメリットがデメ
     リットを上回ること
 がん検診のメリット
     がん検診の目的は、早期発見により、そのが
      んで死亡する可能性を減少させることです。
 がん検診のデメリット
 1.   がん検診でがんが100%見つかるわけではな
      いこと
 2.   結果的に不必要な治療や検査を招く可能性
      があること
 3.   検査に伴う偶発症の問題
 4.   受診者の心理的影響
   途中で精密検査や治療を受けない場合は、
    がん検診の効果はなくなってしまいます。
対象臓器   効果のある検診方法


 胃     胃X線


子宮頸部   細胞診


 乳房    視触診とマンモグラフィ(乳房X線)の併用


 肺     胸部X線と喀痰細胞診(喫煙者のみ)の併用


 大腸    便潜血検査、大腸内視鏡
 男女ともに、40歳以上は年に1回、胃がん検
  診を受けましょう。
 胃がん検診の方法
       胃の検査方法として一般的なものは、「胃X線検
        査」、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、
        「ヘリコバクターピロリ抗体検査」です。この中
        で胃がん検診の方法として、“効果がある”と判定
        されている検査は、「胃X線検査」です。胃がん
        検診として、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン
        検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」は
        “効果不明”と判定されています。
   胃X線検査では、約10%の人が「精密検査が必要」と
    いう判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受け
    ることが求められます。精密検査の方法は2種類あり
    ますが、その方法は“疑わしい病変の部位”、“悪性の可
    能性の程度”により選択されます。
    1.   胃内視鏡検査
         病変が疑われた部位を、内視鏡によって詳しく観察しま
         す。現在、精密検査には主にこの方法が用いられます。
         必要に応じて胃の粘膜に色素をつけたり、細胞を採る検
         査ができます。採取した細胞は、悪性かどうかを病理学
         的に診断します。
    2.   胃X線検査
         病変が疑われた部位を詳しく撮影します。このため検査
         に時間がかかったり、撮影のため、おなかを圧迫したり
         することがあります。
   検査で異常なしの場合
     40歳以上の方は、年1回、胃X線による胃がん検診
      を受けましょう。
     変形などで毎年要精密検査になってしまう方は、最
      初から内視鏡検査を医療機関で受けるのも一つの方
      法です。
   精密検査でがん以外の病気が指摘された場合
       治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談
        してください。
        治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は
        不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査を
        受けてください。
 男女ともに、40歳以上は年に1回、大腸
  がん検診を受けましょう。
 大腸がん検診の方法
    大腸がん検診の方法として、「効果がある」
     と判定されている検査は「便潜血検査」、
     「全大腸内視鏡検査」です。がん検診の中で
     も効果が最もよくわかっている検診です。
   検査で異常なしの場合
       40歳以上の方は、年1回、便潜血検査による大腸
        がん検診を受けましょう。

   精密検査でがん以外の病気が指摘された場合
       治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相
        談してください。
        治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診
        は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検
        査や治療を受けてください。
大腸がん検診、便潜血検査
で陽性と言われたらどのく
らいがんである可能性があ
るのでしょうか?
 言われた年齢によって癌である可能性は
変わってきます。

 免疫便潜血検査2日法
    感度
      病気がある人のうち検査で陽性に出る人の割合

    特異度
      病気でない人のうち検査が陰性に出る人の割合

    文献では感度85%、特異度96%とされる
 40歳男性の有病率
    100000人に30人
 70歳男性の有病率
    100000人に400人
癌あり   癌なし
   40歳男性
       有病率0.03%            便潜血   26    3998    4024
                            陽性
       便潜血陽性と出た場合
                            便潜血   4     95972   95976
       26/4024×100=0.63%   陰性
        が癌                        30    99970   100000


   70歳男性                         癌あり   癌なし
       有病率0.4%             便潜血   340   3984    4324
       便潜血陽性と出た場合          陽性
                            便潜血   60    95616   95676
       340/4324×100=8.5%
                            陰性
        が癌
                                  400   99600   100000
   画像診断
       がんの存在、進展診断、転移診断に用いる。
       内視鏡検査、超音波検査
       単純X線検査、CT検査、MRI検査
       RI、PET検査
   腫瘍マーカー
       がん細胞がつくる物質やがん細胞と反応して正常の細胞がつく
        る物質を血液、尿などから採取し検出する。
       がん細胞の目印になる。がんのタイプの判別や、治療効果の判
        定、再発の検出に用いる。
   病理検査
       実際に取りだした細胞、組織(生検、手術標本)を顕微鏡で調
        べ、がんのタイプや進展範囲、転移を判定する。
       ある意味、最終診断。
 画像診断、腫瘍マーカー、病理検査を組
み合わせ がんであるかどうか?、がん
の種類、がんの進展(局所浸潤、転移)
を判定する。
 がんの種類とステージから治療法が選択
される。
 画像診断、腫瘍マーカー、病理検査は治
療の判定、経過観察にも用いられる。
   手術
       局所療法
       がんとまわりのリンパ腺をとる
   放射線治療
       局所療法
       がんとその周囲のリンパ腺に放射線をあてる
   化学療法(抗がん剤)
       全身療法
       がんがが全身に転移する場合、局所療法では追いつかない。
       局所療法の身では目に見えない転移の可能性がある場合、予防的に抗
        がん剤を投与する場合もある。
   ホルモン療法
       前立腺がんや乳がんなどのホルモン依存性に増殖するがんに行われる
        ことがある。

   緩和ケア
 手術のメリット
    たとえば早期の胃がんなど転移がなく確実に
     局所にがんがとどまる場合は100%治すこと
     ができる。
 手術のデメリット
  切り取った臓器の機能の欠損による身体機能
   の低下。
  傷が残る。(顔面、頚部、乳房etc)

  これらのデメリットも縮小手術や機能温存手
   術により克服されつつあるものもある。
   放射線治療のメリット
     手術とほとんど同等の治癒率であるものもある
      (初期の喉頭がんなど)。同じ治癒率なら機能面
      や美容面のメリットが大きい。
     手術や抗がん剤と組み合わせることでより良い治
      療結果が得られることがある。
     3つのがん治療の中で最も副作用が少ない。

   デメリット
     専門医の数が日本にはまだ少なく施行できる施設
      が限られる。
     粒子線治療などは保険適応外なので高額である。
   メリット
       睾丸腫瘍や白血病では完治に結びつくこともある。
       転移がある場合あるいは可能性がある場合に行わ
        れる。
       分子標的薬:がん細胞に見られる分子レベルの特
        徴を標的にする薬のため副作用も少ない。
   デメリット
       副作用が他の二者と比較して問題になる。効果と
        副作用のバランスを見ながら慎重に行うことが必
        要になる。
 「つらさをやわらげる治療」
  痛み、吐き気、食欲不振、だるさ
  気分の落ち込み、不眠、孤独

 がんの時期にかかわらずがんに伴う体と
心の痛みをやわらげるのが目的。
  進行して治療ができない場合のみに行われる
   わけではない。
  治療の初期から並行して行うことで、他の治
   療が有効におこなわれ、治療の有効性が高ま
   る可能性もある。
 医療用麻薬
  日本での使用量はアメリカの20分の1、フ
   ランスの7分の1 ⇒ 日本人はがんの痛み
   に耐えている!
  患者さんや家族の誤解
      「麻薬は体に悪い」「中毒になる」「命が縮ま
       る」
      副作用がないわけではないが、医師の管理のもと
       に対策をたてて調節すれば安全性は高い。
      痛みの治療に用いた場合中毒にはならない。

      痛みの治療をきちんとすることでむしろ寿命は延
       びるというデータがある。
 メリット
  ホルモンに感受性のあるがんに効く(乳がん、
   前立腺がん、子宮体がんなど)
  副作用は抗がん剤に比べ少ない。

 デメリット
    ホルモン療法だけで完治させることは難しい。
 情報を取得し整理
    自分のがんの現在の状態を知る。
    どのような治療選択肢があるのかに関する情
     報。
  どこでどのような治療が受けられるかに関す
   る情報。
  治療に関する社会制度などに関する情報。

 がん治療に関する治療原則を知る
   診断された病院で必要な情報を得る。
       まずは診断された病院・医院の担当医とじっくり話すことが必要。
       気が動転してよくわからない場合は、何回かに分けて訊いてもよい。
       必要なことはメモを取りながら、難しい用語などは医師に紙に書いて
        もらう。
       冷静に話を一緒に聞いてもらえる人に付き添ってもらうのもよい。
   上記を踏まえた上で、自分でも情報収集してみる。
       書籍、インターネット、知人の話などがあるが現代は情報が氾濫して
        おり玉石混淆であることに留意する。
       がん診療連携拠点病院の相談支援センターなども活用できる。
   かかりつけ医がいる場合は情報を整理して相談してみるのもよい。
    その分野の専門でなくても病気に関する考え方の基本には共通する
    ことが多くよい意見が聞ける可能性がある。また、専門家のみがア
    クセスできる情報が得られる場合がある。

   セカンド・オピニオンをとったほうがよいケースもある。
 第2の意見
 主治医以外の医師に診断や治療方針について
  聞くこと
 一つのがんであっても手術、放射線治療、抗
  がん剤など様々な治療があり、しかも高度に
  専門化しているため一人の医師がすべてに精
  通することが困難。
 複数の医師に意見を聞き、自分の事情や価値
  観に合った治療方法を選択するためにセカン
  ドオピニオンが必要。
 必ず主治医にその旨を伝え必要な検査情
報をもらい紹介状を書いてもらうこと。
 『担当医に遠慮せず、他の専門性を有す
る医師や医療機関において、治療法の選
択等に関して主治医以外の医師による助
言(セカンドオピニオン)を受けられる
体制を整備していく』(2007年がん
対策基本法)
    患者の権利である。
1.   どの臓器のがんか?
2.   がんのタイプは?(病理型)
3.   がんの進行度は?(ステージ)

    上記の三つは必ず理解しメモしておく。気が動転
     してよくわからない場合は医師に書いてもらって
     もよい。

    別の医師に相談する時(セカンドオピニオン)の
     際にも少なくともこの3点がわからなければ意見
     を言うことは無理。
 根治が期待できるか否か?

 根治ができるならどこまでやるか?(個
  人の認容性を鑑みて。根治が望めても高
  齢で体力がない場合は徹底的にはやらな
  い。逆に若くて体力がある場合は徹底的
  に戦うべし。)
 根治が望めない場合も戦略はある。
 がんのステージは1-4であらわされる。
 ザックリ言ってステージ1,2(がんが局所
  に留まる場合)は根治が望める。
 その場合は予想される進展範囲まで適切
  な局所療法を施行すべし。
    手術切除が確実なケースに、体の負担が軽い
     からと無理に内視鏡手術を選んだりしない!
 最初の治療が肝心!
 がんの治療は「完治」「延命」「症状緩
和」
 転移があった場合は残念ながら「完治」
は望めないことが多い。その場合は「延
命」が中心の治療になる。
 「症状緩和」(緩和ケア)に関しては末
期のみならず、初期から併用することで
むしろ治療が有効に行える。
 インターネット
 書籍
 身近な人からの情報
    上記2つにくわわえての情報になるが、意外
     と最有力の情報になることが多い
がん情報をさがすときに、心がける10個のポイントをまとめてみました。

   1.情報は"力"。あなたの療養を左右することがあります。活用しましょう。
       いのち、生活の質、費用などに違いが生じることもあります。
   2.あなたにとって、いま必要な情報は何か、考えてみましょう。
       解決したいことは?知りたいことは?悩みは?メモに書き出して。
   3.あなたの情報を一番多く持つのは主治医。よく話してみましょう。
       質問とメモの準備をして。何度かに分けて相談するのもよいでしょう。
   4.別の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用しましょう。
       他の治療法が選択肢となったり、今の治療に納得することも。
   5.医師以外の医療スタッフにも相談してみましょう。
       看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師なども貴重な情報源です。
   6.がん拠点病院の相談支援センターなど、質問できる窓口を利用しましょう。
       がん病院、患者団体などに、あなたを助ける相談窓口があります。
   7.インターネットを活用しましょう。
       わからないときは、家族や友人、相談支援センターに頼みましょう。
   8.手に入れた情報が本当に正しいかどうか、考えてみましょう。
       信頼できる情報源か、商品の売り込みでないか、チェックして。
   9.健康食品や補完代替医療は、利用する前によく考えましょう。
       がんへの効果が証明されたものは、ほぼ皆無。有害なものもあり要注意。
   10.得られた情報をもとに行動する前に、周囲の意見を聞きましょう。
       主治医は?家族は?患者仲間は?あなたの判断の助けになります。

                         国立がんセンター がん対策情報センター 2008年2月

       http://ganjoho.jp/public/qa_links/card/10.html
   1.情報は"力"。あなたの療養を左右することがあります。活用しま
    しょう。
      いのち、生活の質、費用などに違いが生じることもあります。
   2.あなたにとって、いま必要な情報は何か、考えてみましょう。
      解決したいことは?知りたいことは?悩みは?メモに書き出して。
   3.あなたの情報を一番多く持つのは主治医。よく話してみましょう。
      質問とメモの準備をして。何度かに分けて相談するのもよいで
    しょう。



まずこの三つが基本です。
   4.別の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用しましょ
    う。
      他の治療法が選択肢となったり、今の治療に納得することも。
   5.医師以外の医療スタッフにも相談してみましょう。
      看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師なども貴重な情報源です。
   6.がん拠点病院の相談支援センターなど、質問できる窓口を利用
    しましょう。
      がん病院、患者団体などに、あなたを助ける相談窓口がありま
    す。
 全国すべてのがん診療拠点病院にあり、
  がんのこと、治療のこと、今後の療養生
  活のことなど、がんにかかわる質問や相
  談に応えてもらえます。
 姫路赤十字病院、姫路医療センター
   インターネットには多くの情報があるが玉石混交。
   多くの情報がヒットする。
       怪しげな民間療法やサプリメントの類の情報も多くヒットする。
       体験談などもヒットするがあくまでも個人の体験談であることが多く一概に参考にできると
        はいえない。
   インターネットの場合は公的機関や団体が運営しているサイトが比較的信用できる。




             国立がんセンターの『がん情報サービス』
                 http://ganjoho.jp/public/index.html
             日本対がん協会
                 http://www.jcancer.jp/
             がん情報サイト
                 http://cancerinfo.tri-kobe.org/
             癌研有明病院の「がん医療・サポートに関する御相談」
                 http://www.jfcr.or.jp/hospital/conference/index.html
   編著 国立がん研究センター
           がん対策情報センター
   インターネットでPDFが入手可能
     http://ganjoho.jp/public
      /qa_links/hikkei/hikkei0
      1.html
   書籍版は1200円
 インターネットがん情報サイト
 がん情報ビデオライブラリーなども豊富


 http://www.cancernet.jp/
 がんへの効果が証明されたものは、ほぼ
皆無。有害なものもあり要注意。
 健康食品や補完医療にのみ頼り、本来行
われたら有効な治療の機会が損なわれる
ことがあってはならない。
 どうしても受けたい場合は主治医にも相
談すること。条件付きで許可されるケー
スも多い。
   8.手に入れた情報が本当に正しいかどうか、考えてみ
    ましょう。
       信頼できる情報源か、商品の売り込みでないか、
    チェックして。
   10.得られた情報をもとに行動する前に、周囲の意見を
    聞きましょう。
       主治医は?家族は?患者仲間は?あなたの判断の助
    けになります。
 正確ながんの情報を入手し活用してくだ
さい。
    いのち、生活の質、費用などに違いが生じる
     こともあります。
    情報源はいろいろありますがよく吟味してく
     ださい
    基本的な考え方を理解し立ち止まって情報を
     整理してください。
 このスライドはインターネット上に公開
しますので活用ください。

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  • 2. がんについての事実  がん統計 死亡率、罹患率、生存率  がんはなぜできる  人のがんにかかわる要因  がんの予防  禁煙、食生活の改善が重要  がん検診  有効ながん検診と方法は?(例:胃がん、大腸がん)  がんの診断  がんの治療  がんと言われた場合にどう対処するか?  基本的な考え方  情報の収集方法
  • 3.  2009年にがんで死亡した人は344,105例 (男性206,352例、女性137,753例)。  2005年に新たに診断されたがん(罹患全 国推計値)は676,075例(男性390,835例、 女性285,240例)。 2009年 死亡 34万人 新たに診断 67万人
  • 5. 2009年の死亡数が多い部位は順に 1位 2位 3位 4位 5位 男性 肺 胃 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3位 女性 肺 胃 結腸 膵臓 乳房 結腸と直腸を合わせた大腸は1位 男女計 肺 胃 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3位  2005年の罹患数(全国推計値)が多い部位は順に 1位 2位 3位 4位 5位 男性 胃 肺 前立腺 結腸 肝臓 結腸と直腸を合わせた大腸は2位 女性 乳房*1 胃 結腸 肺 子宮*1 結腸と直腸を合わせた大腸は2位 男女計 胃 肺 結腸 乳房*1 肝臓 結腸と直腸を合わせた大腸は2位
  • 6. 男性では、40歳以上で消 化器系のがん(胃、大 腸、肝臓)の死亡が多く を占めるが、70歳代以上 ではその割合はやや減少 し、肺がんと前立腺がん の割合が増加する。
  • 7. 女性では、40歳代では乳 がん、子宮がん、卵巣が んの死亡が多くを占める が、高齢になるほどその 割合は減少し、消化器系 (胃、大腸、肝臓)と肺 がんの割合が増加する。
  • 8. 全がん  男女とも、おおよそ60歳代から増加し、高齢になるほど高い。  60歳代以降は男性が女性より顕著に高い。
  • 9. 累積罹患リスクと は…ある年齢まで にある病気に罹患 する(その病気と 診断される)おお よその確率  生涯でがんに罹患 する確率は、男性 54%、女性41%。
  • 10.  日本人のほぼ2人に1人ががんになる。  男性は6割、女性は4割ががんになる。  これは喫煙率の差(男性4割、女性1割)に よるものとされている。  かつて日本人の死因の第1位は「結核」 だったが、抗生物質により治るようにな り、替わって脳卒中が死因の1位になり 1981年からはずっと「がん」が死因の1位 である。
  • 11. 男性では、40歳以 上で消化器系のが ん(胃、大腸、肝 臓)の罹患が多く を占めるが、70歳 以上ではその割合 は減少し、前立腺 がんと肺がんの割 合が増加する。
  • 12. 女性では、40歳代 では乳がん、子宮 がん、卵巣がんの 罹患が多くを占め るが、高齢になる ほどその割合は減 少し、消化器系の がん(胃、大腸、 肝臓)と肺がんの 割合が増加する。
  • 13. 男女とも50歳代くらいから増加し、高齢になるほど高い。  30歳代後半から40歳代で女性が男性よりやや高く、60歳代以降は男性が女性より顕 著に高い。
  • 14.  5年相対生存率  あるがんと診断された場合に、治療でどのく らい生命を救えるかを示す指標。あるがんと 診断された人のうち5年後に生存している人 の割合が、日本人全体で5年後に生存してい る人の割合に比べてどのくらい低いかで表し ます。100%に近いほど治療で生命を救える がん、0%に近いほど治療で生命を救い難い がんであることを意味します。
  • 19.  我々の体は60兆個の細胞からできている。  毎日数千億個の細胞が死に替わりに新し い細胞が生まれる。  新しい細胞は細胞の分裂でできる。この 際コピーミスが生じ突然変異が起きる。  コピーミスによりたいていの細胞は死ぬ が、時に死ぬことができなくなって増え 続ける細胞ができる。この「死なない細 胞」が「がん細胞」である。
  • 20.  通常の細胞は52回しか分裂できないが、がん 細胞は無限に分裂を繰り返し増殖していく。  がん細胞が1cmの大きさになるには30回ぐら いの分裂を繰り返し10億個の細胞が必要。 1cmのがんは検査で見つかる最小の大きさ。  30回分裂には10~15年かかる。  がん細胞ができてから検査で発見できる大き さになるには10年以上の時間が必要。
  • 23.
  • 24. イギリスの疫学研究者DollとPetoは、数多くの科学論文をま とめ、アメリカ人のがん死亡の原因として、どの要因がどれ くらいの割合を占めているかという寄与割合を推定し、1981 年に発表しました 。  食生活の改善により予防できるがん死亡の割合を35%(許容推計 範囲:10~70%)  喫煙が寄与する割合、言い換えると、禁煙により予防可能な割合 を30%(25~40%)と推計しています。  ウイルスや細菌などの感染が10%以上(少なくても1%)  生殖要因、性行為7%(1~13%)  職業4%(2~8%)  飲酒3%(2~4%)  自然放射線や紫外線などの地球物理環境3%(2~4%)  大気や水質などの汚染2%(1%未満~5%)  医薬品、医療行為1%(0.5~3%)  食品添加物と産業生産物をおのおの1%と続きます。
  • 25. その後、ハーバード大学(アメリカ)のがん予防センターも同様の推計を試 み、1996年に発表しています。喫煙、食事、運動、飲酒という代表的な生活 習慣要因が68%を占める一方、他の多くの要因も努力次第で改善することが可 能なものです。  いずれも膨大な 数の疫学研究 (人を対象とし た研究)を根拠 としていますが、 肺、大腸、乳房、 前立腺等の部位 のがんが主要な 死因であるアメ リカでの推計値 であって、日本 人とは事情が異 なることに注意 が必要です。
  • 26. 1)がんの原因に占める遺伝素因と環境要因  血縁者に同じがんの発生率が高いという場合には、 その要因としてまず遺伝子の類似性(遺伝素因)が 考えられますが、生活習慣の類似性(環境要因)に ついても考慮する必要があります。また、飲酒行動 のように、一人一人のアルコールを代謝する酵素の 働きを決める遺伝素因によって、飲める、飲めない という体質の違いが生じ、そのために生活習慣が決 まることがあります。さらに発がん化学物質の代謝 については、特定の代謝酵素の遺伝子多型という一 人一人の体質を決める遺伝素因が、関連する発がん 物質への接触という環境要因の影響を強めたり弱め たりすることがわかっています。
  • 27. 2)ほとんどのがんでは、遺伝素因の占める割合は小さい  スウェーデン、デンマーク、フィンランドの同性の双子4万5 千組についてがんの発生を追跡調査し、一卵性と二卵性で同一 部位のがんにかかる率の差から、遺伝素因の影響の大きさを推 定した研究があります。  検討した11部位のがんのうち、大腸がん、乳がん、前立腺がん の3部位で、遺伝素因の寄与が統計的に有意に検出されました。 その割合は、大腸がん35%、乳がん27%、前立腺がん42%とさ れています。あとの残りが環境要因の影響となります。ただし、 遺伝素因の中にも環境要因の影響を強めたり弱めたりする部分 があるので、大部分は環境要因を変えることで予防できると考 えられます。また、双子の1人がその3部位のうちいずれかの がんにかかった場合に、もう1人が75歳までに同じがんにかか るリスクも推計されています。一卵性と二卵性のそれぞれの場 合、大腸がんが11%と5%、乳がんが13%と9%、前立腺がん が18%と3%になっています。遺伝素因の影響の強いこれらの がんでも、たとえ遺伝子が100%一致していても、同じがんにな る確率は1~2割に過ぎないことが示されています。
  • 28.
  • 29. 喫煙や飲酒、欧米型の食事などでがんのリスクが増す。  タバコ  細胞のコピーミスを引き起こす要因の第一。  がんが女性より男性に多いのは喫煙率の差によるものと言われ る。  飲酒  アルコールは、口やのど食道の粘膜を傷つけ肝臓にも負担をか ける。  欧米型の食事→動物性脂肪が多い。  コレステロール→性ホルモンの原料  過剰な性ホルモンの分泌→前立腺がん、乳がんなどと関連  脂肪の多い食事は大腸の粘膜に突然変異を起こしやすくする。  塩分  胃の粘膜に突然変異を起こしやすくする。
  • 30. タバコを吸う人は吸わない人に比べるとがんになるリスクが 1.6倍になる。  タバコを吸う日本人男性  喉頭がんになる確率33倍  肺がん4.5倍  食道がん2.3倍  すい臓がん、肝臓がん、胃がんのリスクも高まる。  間接喫煙の問題  肺がんのリスクが20~30%増える。  周囲の人にはフィルターを通さない煙が行く。  タバコの煙は温度が下がるほど発がん性が高くなる。  家族をがんにしたくないならただちにタバコはやめるべき。  タバコをやめて5年で肺がんのリスクが半分に減り、10年で 「がんになる前段階の細胞」が修復される。
  • 31.
  • 32. 第1条:バランスのとれた栄養をとる。  第2条:毎日変化のある食生活を。  第3条:食べ過ぎをさけ、脂肪はひかえめに。  第4条:お酒はほどほどに  第5条:タバコは吸わないように。  第6条:食べ物から適当量のビタミンと繊維質のものを多くと る。  第7条:塩辛いものはは少なめに、熱いものはさましてから。  第8条:焦げたものはとらない。  第9条:かびの生えたものに注意。  第10条:日光に当たりすぎない。  第11条:適当にスポーツする。  第12条:体を清潔に。
  • 33. 日本人の生活において主に次のことを注意すべきです。  第1条:食事を植物性食品中心にする(さまざまな種類の野菜、果 物を一日400~800グラムは食べるように心がけましょう)  第2条:太り過ぎ、やせ過ぎを避ける(適正な体重を維持するよう に心がけましょう)  第3条:体を動かす生活をする(1日1時間でも早歩きをしたり、有 酸素運動を日常的におこなうように心がけましょう、過度な運動は 逆効果になるので注意)  第4条:アルコール飲料は控える(男性であれば日本酒で一日一合、 女性ならその半分に抑えてください)  第5条:赤身の肉を控える(牛肉、豚肉は1日80グラム以下にして、 白身の魚や肉を食べるようにしましょう)  第6条:脂肪の取り過ぎを避ける(動物性油脂を使わずに、植物性 油脂で料理したものを食べるようにしましょう)  第7条:塩分を控える(塩分は1日6グラム以下に抑えてください)
  • 34.  タバコを吸う人は吸わない人に比べると がんになるリスクが1.6倍になる。  喫煙ががんに寄与する割合が30%と推測 される。  受動喫煙の問題がある。  考えてみれば意図すれば最も除去しやす い発がん要因である。
  • 35.
  • 36.
  • 37.
  • 38.
  • 39.
  • 40.
  • 43.  特殊な遺伝性のがんも存在するが5%以 下。  これらは遺伝カウンセリングが必要。  その他のがんでは環境、生活習慣の要因 も大きい。  喫煙、食事、運動、飲酒という代表的な生活 習慣要因が68%を占める一方、他の多くの要 因も努力次第で改善することが可能なもので す。  特に喫煙は重要ながんの要因。
  • 46.
  • 47.  がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切 な治療を行うことでがんによる死亡を減少さ せることです。単に多くのがんを見つけるこ とが、がん検診の目的ではありません。  検診の対象は症状のない人  無症状のうちに「がん」を早期に発見し治療する ことが大切です。無症状の人には進行がんが少な く、早期のうちにがんを発見することができます。 そのがんを治療することにより、がんによる死亡 のリスクを軽減することができます。
  • 49. 1. がんになる人が多く、また死亡の重大な原因で あること 2. がん検診を行うことで、そのがんによる死亡が 確実に減少すること 3. がん検診を行う検査方法があること 4. 検査が安全であること 5. 検査の精度がある程度高いこと 6. 発見されたがんについて治療法があること 7. 総合的にみて、検診を受けるメリットがデメ リットを上回ること
  • 50.  がん検診のメリット  がん検診の目的は、早期発見により、そのが んで死亡する可能性を減少させることです。  がん検診のデメリット 1. がん検診でがんが100%見つかるわけではな いこと 2. 結果的に不必要な治療や検査を招く可能性 があること 3. 検査に伴う偶発症の問題 4. 受診者の心理的影響
  • 51. 途中で精密検査や治療を受けない場合は、 がん検診の効果はなくなってしまいます。
  • 52. 対象臓器 効果のある検診方法 胃 胃X線 子宮頸部 細胞診 乳房 視触診とマンモグラフィ(乳房X線)の併用 肺 胸部X線と喀痰細胞診(喫煙者のみ)の併用 大腸 便潜血検査、大腸内視鏡
  • 53.
  • 54.  男女ともに、40歳以上は年に1回、胃がん検 診を受けましょう。  胃がん検診の方法  胃の検査方法として一般的なものは、「胃X線検 査」、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、 「ヘリコバクターピロリ抗体検査」です。この中 で胃がん検診の方法として、“効果がある”と判定 されている検査は、「胃X線検査」です。胃がん 検診として、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン 検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」は “効果不明”と判定されています。
  • 55. 胃X線検査では、約10%の人が「精密検査が必要」と いう判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受け ることが求められます。精密検査の方法は2種類あり ますが、その方法は“疑わしい病変の部位”、“悪性の可 能性の程度”により選択されます。 1. 胃内視鏡検査 病変が疑われた部位を、内視鏡によって詳しく観察しま す。現在、精密検査には主にこの方法が用いられます。 必要に応じて胃の粘膜に色素をつけたり、細胞を採る検 査ができます。採取した細胞は、悪性かどうかを病理学 的に診断します。 2. 胃X線検査 病変が疑われた部位を詳しく撮影します。このため検査 に時間がかかったり、撮影のため、おなかを圧迫したり することがあります。
  • 56. 検査で異常なしの場合  40歳以上の方は、年1回、胃X線による胃がん検診 を受けましょう。  変形などで毎年要精密検査になってしまう方は、最 初から内視鏡検査を医療機関で受けるのも一つの方 法です。  精密検査でがん以外の病気が指摘された場合  治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談 してください。 治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は 不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査を 受けてください。
  • 57.  男女ともに、40歳以上は年に1回、大腸 がん検診を受けましょう。  大腸がん検診の方法  大腸がん検診の方法として、「効果がある」 と判定されている検査は「便潜血検査」、 「全大腸内視鏡検査」です。がん検診の中で も効果が最もよくわかっている検診です。
  • 58. 検査で異常なしの場合  40歳以上の方は、年1回、便潜血検査による大腸 がん検診を受けましょう。  精密検査でがん以外の病気が指摘された場合  治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相 談してください。 治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診 は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検 査や治療を受けてください。
  • 60.  言われた年齢によって癌である可能性は 変わってきます。  免疫便潜血検査2日法  感度  病気がある人のうち検査で陽性に出る人の割合  特異度  病気でない人のうち検査が陰性に出る人の割合  文献では感度85%、特異度96%とされる
  • 61.  40歳男性の有病率  100000人に30人  70歳男性の有病率  100000人に400人
  • 62. 癌あり 癌なし  40歳男性  有病率0.03% 便潜血 26 3998 4024 陽性  便潜血陽性と出た場合 便潜血 4 95972 95976  26/4024×100=0.63% 陰性 が癌 30 99970 100000  70歳男性 癌あり 癌なし  有病率0.4% 便潜血 340 3984 4324  便潜血陽性と出た場合 陽性 便潜血 60 95616 95676  340/4324×100=8.5% 陰性 が癌 400 99600 100000
  • 63.
  • 64. 画像診断  がんの存在、進展診断、転移診断に用いる。  内視鏡検査、超音波検査  単純X線検査、CT検査、MRI検査  RI、PET検査  腫瘍マーカー  がん細胞がつくる物質やがん細胞と反応して正常の細胞がつく る物質を血液、尿などから採取し検出する。  がん細胞の目印になる。がんのタイプの判別や、治療効果の判 定、再発の検出に用いる。  病理検査  実際に取りだした細胞、組織(生検、手術標本)を顕微鏡で調 べ、がんのタイプや進展範囲、転移を判定する。  ある意味、最終診断。
  • 65.  画像診断、腫瘍マーカー、病理検査を組 み合わせ がんであるかどうか?、がん の種類、がんの進展(局所浸潤、転移) を判定する。  がんの種類とステージから治療法が選択 される。  画像診断、腫瘍マーカー、病理検査は治 療の判定、経過観察にも用いられる。
  • 66.
  • 67. 手術  局所療法  がんとまわりのリンパ腺をとる  放射線治療  局所療法  がんとその周囲のリンパ腺に放射線をあてる  化学療法(抗がん剤)  全身療法  がんがが全身に転移する場合、局所療法では追いつかない。  局所療法の身では目に見えない転移の可能性がある場合、予防的に抗 がん剤を投与する場合もある。  ホルモン療法  前立腺がんや乳がんなどのホルモン依存性に増殖するがんに行われる ことがある。  緩和ケア
  • 68.  手術のメリット  たとえば早期の胃がんなど転移がなく確実に 局所にがんがとどまる場合は100%治すこと ができる。  手術のデメリット  切り取った臓器の機能の欠損による身体機能 の低下。  傷が残る。(顔面、頚部、乳房etc)  これらのデメリットも縮小手術や機能温存手 術により克服されつつあるものもある。
  • 69. 放射線治療のメリット  手術とほとんど同等の治癒率であるものもある (初期の喉頭がんなど)。同じ治癒率なら機能面 や美容面のメリットが大きい。  手術や抗がん剤と組み合わせることでより良い治 療結果が得られることがある。  3つのがん治療の中で最も副作用が少ない。  デメリット  専門医の数が日本にはまだ少なく施行できる施設 が限られる。  粒子線治療などは保険適応外なので高額である。
  • 70. メリット  睾丸腫瘍や白血病では完治に結びつくこともある。  転移がある場合あるいは可能性がある場合に行わ れる。  分子標的薬:がん細胞に見られる分子レベルの特 徴を標的にする薬のため副作用も少ない。  デメリット  副作用が他の二者と比較して問題になる。効果と 副作用のバランスを見ながら慎重に行うことが必 要になる。
  • 71.  「つらさをやわらげる治療」  痛み、吐き気、食欲不振、だるさ  気分の落ち込み、不眠、孤独  がんの時期にかかわらずがんに伴う体と 心の痛みをやわらげるのが目的。  進行して治療ができない場合のみに行われる わけではない。  治療の初期から並行して行うことで、他の治 療が有効におこなわれ、治療の有効性が高ま る可能性もある。
  • 72.  医療用麻薬  日本での使用量はアメリカの20分の1、フ ランスの7分の1 ⇒ 日本人はがんの痛み に耐えている!  患者さんや家族の誤解  「麻薬は体に悪い」「中毒になる」「命が縮ま る」  副作用がないわけではないが、医師の管理のもと に対策をたてて調節すれば安全性は高い。  痛みの治療に用いた場合中毒にはならない。  痛みの治療をきちんとすることでむしろ寿命は延 びるというデータがある。
  • 73.  メリット  ホルモンに感受性のあるがんに効く(乳がん、 前立腺がん、子宮体がんなど)  副作用は抗がん剤に比べ少ない。  デメリット  ホルモン療法だけで完治させることは難しい。
  • 74.
  • 75.  情報を取得し整理  自分のがんの現在の状態を知る。  どのような治療選択肢があるのかに関する情 報。  どこでどのような治療が受けられるかに関す る情報。  治療に関する社会制度などに関する情報。  がん治療に関する治療原則を知る
  • 76. 診断された病院で必要な情報を得る。  まずは診断された病院・医院の担当医とじっくり話すことが必要。  気が動転してよくわからない場合は、何回かに分けて訊いてもよい。  必要なことはメモを取りながら、難しい用語などは医師に紙に書いて もらう。  冷静に話を一緒に聞いてもらえる人に付き添ってもらうのもよい。  上記を踏まえた上で、自分でも情報収集してみる。  書籍、インターネット、知人の話などがあるが現代は情報が氾濫して おり玉石混淆であることに留意する。  がん診療連携拠点病院の相談支援センターなども活用できる。  かかりつけ医がいる場合は情報を整理して相談してみるのもよい。 その分野の専門でなくても病気に関する考え方の基本には共通する ことが多くよい意見が聞ける可能性がある。また、専門家のみがア クセスできる情報が得られる場合がある。  セカンド・オピニオンをとったほうがよいケースもある。
  • 77.  第2の意見  主治医以外の医師に診断や治療方針について 聞くこと  一つのがんであっても手術、放射線治療、抗 がん剤など様々な治療があり、しかも高度に 専門化しているため一人の医師がすべてに精 通することが困難。  複数の医師に意見を聞き、自分の事情や価値 観に合った治療方法を選択するためにセカン ドオピニオンが必要。
  • 79. 1. どの臓器のがんか? 2. がんのタイプは?(病理型) 3. がんの進行度は?(ステージ)  上記の三つは必ず理解しメモしておく。気が動転 してよくわからない場合は医師に書いてもらって もよい。  別の医師に相談する時(セカンドオピニオン)の 際にも少なくともこの3点がわからなければ意見 を言うことは無理。
  • 80.  根治が期待できるか否か?  根治ができるならどこまでやるか?(個 人の認容性を鑑みて。根治が望めても高 齢で体力がない場合は徹底的にはやらな い。逆に若くて体力がある場合は徹底的 に戦うべし。)  根治が望めない場合も戦略はある。
  • 81.  がんのステージは1-4であらわされる。  ザックリ言ってステージ1,2(がんが局所 に留まる場合)は根治が望める。  その場合は予想される進展範囲まで適切 な局所療法を施行すべし。  手術切除が確実なケースに、体の負担が軽い からと無理に内視鏡手術を選んだりしない!  最初の治療が肝心!
  • 82.  がんの治療は「完治」「延命」「症状緩 和」  転移があった場合は残念ながら「完治」 は望めないことが多い。その場合は「延 命」が中心の治療になる。  「症状緩和」(緩和ケア)に関しては末 期のみならず、初期から併用することで むしろ治療が有効に行える。
  • 83.  インターネット  書籍  身近な人からの情報  上記2つにくわわえての情報になるが、意外 と最有力の情報になることが多い
  • 84. がん情報をさがすときに、心がける10個のポイントをまとめてみました。  1.情報は"力"。あなたの療養を左右することがあります。活用しましょう。 いのち、生活の質、費用などに違いが生じることもあります。  2.あなたにとって、いま必要な情報は何か、考えてみましょう。 解決したいことは?知りたいことは?悩みは?メモに書き出して。  3.あなたの情報を一番多く持つのは主治医。よく話してみましょう。 質問とメモの準備をして。何度かに分けて相談するのもよいでしょう。  4.別の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用しましょう。 他の治療法が選択肢となったり、今の治療に納得することも。  5.医師以外の医療スタッフにも相談してみましょう。 看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師なども貴重な情報源です。  6.がん拠点病院の相談支援センターなど、質問できる窓口を利用しましょう。 がん病院、患者団体などに、あなたを助ける相談窓口があります。  7.インターネットを活用しましょう。 わからないときは、家族や友人、相談支援センターに頼みましょう。  8.手に入れた情報が本当に正しいかどうか、考えてみましょう。 信頼できる情報源か、商品の売り込みでないか、チェックして。  9.健康食品や補完代替医療は、利用する前によく考えましょう。 がんへの効果が証明されたものは、ほぼ皆無。有害なものもあり要注意。  10.得られた情報をもとに行動する前に、周囲の意見を聞きましょう。 主治医は?家族は?患者仲間は?あなたの判断の助けになります。  国立がんセンター がん対策情報センター 2008年2月  http://ganjoho.jp/public/qa_links/card/10.html
  • 85. 1.情報は"力"。あなたの療養を左右することがあります。活用しま しょう。 いのち、生活の質、費用などに違いが生じることもあります。  2.あなたにとって、いま必要な情報は何か、考えてみましょう。 解決したいことは?知りたいことは?悩みは?メモに書き出して。  3.あなたの情報を一番多く持つのは主治医。よく話してみましょう。 質問とメモの準備をして。何度かに分けて相談するのもよいで しょう。 まずこの三つが基本です。
  • 86. 4.別の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用しましょ う。 他の治療法が選択肢となったり、今の治療に納得することも。  5.医師以外の医療スタッフにも相談してみましょう。 看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師なども貴重な情報源です。  6.がん拠点病院の相談支援センターなど、質問できる窓口を利用 しましょう。 がん病院、患者団体などに、あなたを助ける相談窓口がありま す。
  • 87.  全国すべてのがん診療拠点病院にあり、 がんのこと、治療のこと、今後の療養生 活のことなど、がんにかかわる質問や相 談に応えてもらえます。  姫路赤十字病院、姫路医療センター
  • 88. インターネットには多くの情報があるが玉石混交。  多くの情報がヒットする。  怪しげな民間療法やサプリメントの類の情報も多くヒットする。  体験談などもヒットするがあくまでも個人の体験談であることが多く一概に参考にできると はいえない。  インターネットの場合は公的機関や団体が運営しているサイトが比較的信用できる。  国立がんセンターの『がん情報サービス』  http://ganjoho.jp/public/index.html  日本対がん協会  http://www.jcancer.jp/  がん情報サイト  http://cancerinfo.tri-kobe.org/  癌研有明病院の「がん医療・サポートに関する御相談」  http://www.jfcr.or.jp/hospital/conference/index.html
  • 89. 編著 国立がん研究センター がん対策情報センター  インターネットでPDFが入手可能  http://ganjoho.jp/public /qa_links/hikkei/hikkei0 1.html  書籍版は1200円
  • 92. 8.手に入れた情報が本当に正しいかどうか、考えてみ ましょう。 信頼できる情報源か、商品の売り込みでないか、 チェックして。  10.得られた情報をもとに行動する前に、周囲の意見を 聞きましょう。 主治医は?家族は?患者仲間は?あなたの判断の助 けになります。
  • 93.  正確ながんの情報を入手し活用してくだ さい。  いのち、生活の質、費用などに違いが生じる こともあります。  情報源はいろいろありますがよく吟味してく ださい  基本的な考え方を理解し立ち止まって情報を 整理してください。  このスライドはインターネット上に公開 しますので活用ください。