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空家データベースの作成と応用に関する研究
-データベースを利用した住民のQOL向上策の検討-
Research on Creation and Application of Vacant House Database
Consideration of Method to Improve QOL of Residents by Using Database
北海道大学
建築環境学研究室
岩間雄介
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
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2,000
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4,000
5,000
6,000
7,000
全国総住宅数、空家数及び空家率の推移
総住宅数 空家数 空家率
(万戸) (%)
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
危険な空家の除却
国や地方自治体も
対策に乗り出して
いる
空家を改修し利活用する
空家の位置と実態
が正確に把握でき
ていない
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
スマートフォンやタブレット端末を用
い、歩いて空家の実態を把握する
位置情報を地図に登録する
空家の状態をデータベース
に保存し、整理する
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
空家データベースを住民のQOL向上に役立てる
人口:約18000人
世帯数:約9000戸
空家数:約1200戸
積雪量が多い
少子高齢化
住み替え支援
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
市の中心市街地
市街地の広範囲に
渡って空家が点在す
ることがわかる
空家
利活用可能な空家
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
改修が必要な空家
除却すべき空家
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
y = 0.44x + 0.04
R² = 0.15
0%
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15%
20%
25%
30%
0% 10% 20% 30% 40%
空家率
高齢化率
S市地区別の高齢化率と空家率の相関図
広範囲に点が存在して
おり、高齢化率と空家
率の相関が高いとはい
えない
高齢化率=
その地区に75歳以
上の人がいる割合
N=143
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0%
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1990
1995
2000
2005
2010
2015
建築年
空家、全戸建住宅建築年頻度分布図
空家 全ての住居
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0%
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20%
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2005
2010
2015
建築年
空家、全戸建住宅建築年頻度分布図
空家 全ての住居
現在、1975~80年に
建てられた住宅が最
も空家化している
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
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2010
2015
建築年
空家、全戸建住宅建築年頻度分布図
空家 全ての住居
現在のペースで空家
化が進行すると、
1980年代前半に建て
られた住宅が空家化
すると推察される
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0%
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2000
2005
2010
2015
建築年
空家、全戸建住宅建築年頻度分布図
空家 全ての住居
この年代に建てられ
た住宅もいつ空家化
してもおかしくない
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
建築年から空家化がある程度推察できる
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
調査対象 S市内の戸建住宅の居住者
配布時期 2016年10月下旬
配布数 1500件
回答数 237件(11月11日現在)
回答率 15.8%
調査項目 回答者の属性、住居の属性、窓性能
建て替え・改修状況、転出の意思
温熱環境、電気・ガス・灯油代 等
アンケート概要
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
38.4%
50.6%
11.0%
世帯主の職業
就業者
年金生活
無職
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
38.4%
50.6%
11.0%
世帯主の職業
就業者
年金生活
無職
回答者の6割が年金
生活者もしくは無職
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
19.4%
50.0%
24.5%
5.6% 0.5%
世帯年収
200万円未満
200~400万円未満
400~800万円未満
800~1500万円未満
1500万円以上
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
19.4%
50.0%
24.5%
5.6% 0.5%
世帯年収
200万円未満
200~400万円未満
400~800万円未満
800~1500万円未満
1500万円以上
回答者の7割が年収
400万円未満
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
9.3%
21.2%
54.7%
3.8%
10.2%
0.8%
暖房費の節約を意識しているか
非常に強く意識している
強く意識している
ほどほど意識している
どちらともいえない
あまり意識していない
全く意識していない
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
9.3%
21.2%
54.7%
3.8%
10.2% 0.8%
暖房費の節約を意識しているか
非常に強く意識している
強く意識している
ほどほど意識している
どちらともいえない
あまり意識していない
全く意識していない
8割以上の世帯が
暖房費を意識した
生活をしている
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
2.7%
12.6%
27.0%
21.6%
19.4%
9.9%
6.8%
住宅の建築年
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
2.7%
12.6%
27.0%
21.6%
19.4%
9.9%
6.8%
住宅の建築年
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
約4割の住宅が1981
年の新耐震基準制
定より前に建てら
れたもの
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
建築年別住み替え希望調査
住み続けたい 何も考えていない 引っ越ししたい
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
建築年別住み替え希望調査
住み続けたい 何も考えていない 引っ越ししたい
全ての年代で住み続けたいと
いう世帯が8割以上を占めた
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
建築年別住宅の延床面積
50㎡未満 50~75㎡未満 75~100㎡未満 100~125㎡未満
125~150㎡未満 150~175㎡未満 175~200㎡未満 200㎡以上
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
建築年別住宅の延床面積
50㎡未満 50~75㎡未満 75~100㎡未満 100~125㎡未満
125~150㎡未満 150~175㎡未満 175~200㎡未満 200㎡以上
ほぼ全ての年代で100㎡以上の住
宅が半数以上を占めた
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
建築年別冬季の温熱環境
許容範囲内である どちらともいえない 不快である
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
建築年別冬季の温熱環境
許容範囲内である どちらともいえない 不快である
不快であると回答したの
は2000年以前に建てられ
た住宅の居住者のみ
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
建築年別結露発生状況
ない 時々ある よくある
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1960年以前
1961~1970年
1971~1980年
1981~1990年
1991~2000年
2001~2010年
2011年以降
建築年別結露発生状況
ない 時々ある よくある
「時々ある」「よくある」
の回答率を見ると古い
住宅の温熱性能が劣る
ことは明らか
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
空家データベースとアンケート結果の分析
比較的広い住宅 住み続けたい
温熱性能や耐震性
能が十分ではない
古い住宅が多い
数年後にはさらに空家が
増加すると予測される
現状のままでは買手や借手を見つけることが難しい
状況を改善するには改修が望ましいが、住民に資金がない
ではこのまま何も手を打たないでいいのか?
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
対策
空家データベースの範囲を空家化可能性が高い
住宅まで広げる
データベース内には住民の生活実態、住宅の状
態、継続居住の意向等を加える
住み替えを希望する人たちの要因を明確にする
住み続けたい人たちにも、住環境が向上する具
体的な対案を提示することが必要である
はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括
本研究により得られた知見
1)タブレット端末を使用した空家調査によって、市内
の空家の分布状況と、空家の予備軍が大量に存在するこ
とが明らかになった。
2)住民が自身の住居の空家化の進行に対して有効な対
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3)空家の予備軍とされる住宅の性能が劣ることが明ら
かになった。

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  • 2. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0 2 4 6 8 10 12 14 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 全国総住宅数、空家数及び空家率の推移 総住宅数 空家数 空家率 (万戸) (%)
  • 3. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 危険な空家の除却 国や地方自治体も 対策に乗り出して いる 空家を改修し利活用する 空家の位置と実態 が正確に把握でき ていない
  • 4. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 スマートフォンやタブレット端末を用 い、歩いて空家の実態を把握する 位置情報を地図に登録する 空家の状態をデータベース に保存し、整理する
  • 5. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 空家データベースを住民のQOL向上に役立てる
  • 7. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 市の中心市街地 市街地の広範囲に 渡って空家が点在す ることがわかる 空家
  • 8. 利活用可能な空家 はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 改修が必要な空家 除却すべき空家
  • 9. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 y = 0.44x + 0.04 R² = 0.15 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 0% 10% 20% 30% 40% 空家率 高齢化率 S市地区別の高齢化率と空家率の相関図 広範囲に点が存在して おり、高齢化率と空家 率の相関が高いとはい えない 高齢化率= その地区に75歳以 上の人がいる割合 N=143
  • 10. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 5% 10% 15% 20% 25% 1930 1935 1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 建築年 空家、全戸建住宅建築年頻度分布図 空家 全ての住居
  • 11. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 5% 10% 15% 20% 25% 1930 1935 1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 建築年 空家、全戸建住宅建築年頻度分布図 空家 全ての住居 現在、1975~80年に 建てられた住宅が最 も空家化している
  • 12. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 5% 10% 15% 20% 25% 1930 1935 1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 建築年 空家、全戸建住宅建築年頻度分布図 空家 全ての住居 現在のペースで空家 化が進行すると、 1980年代前半に建て られた住宅が空家化 すると推察される
  • 13. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 5% 10% 15% 20% 25% 1930 1935 1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 建築年 空家、全戸建住宅建築年頻度分布図 空家 全ての住居 この年代に建てられ た住宅もいつ空家化 してもおかしくない
  • 14. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 建築年から空家化がある程度推察できる
  • 15. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 調査対象 S市内の戸建住宅の居住者 配布時期 2016年10月下旬 配布数 1500件 回答数 237件(11月11日現在) 回答率 15.8% 調査項目 回答者の属性、住居の属性、窓性能 建て替え・改修状況、転出の意思 温熱環境、電気・ガス・灯油代 等 アンケート概要
  • 16. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 38.4% 50.6% 11.0% 世帯主の職業 就業者 年金生活 無職
  • 17. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 38.4% 50.6% 11.0% 世帯主の職業 就業者 年金生活 無職 回答者の6割が年金 生活者もしくは無職
  • 18. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 19.4% 50.0% 24.5% 5.6% 0.5% 世帯年収 200万円未満 200~400万円未満 400~800万円未満 800~1500万円未満 1500万円以上
  • 19. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 19.4% 50.0% 24.5% 5.6% 0.5% 世帯年収 200万円未満 200~400万円未満 400~800万円未満 800~1500万円未満 1500万円以上 回答者の7割が年収 400万円未満
  • 20. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 9.3% 21.2% 54.7% 3.8% 10.2% 0.8% 暖房費の節約を意識しているか 非常に強く意識している 強く意識している ほどほど意識している どちらともいえない あまり意識していない 全く意識していない
  • 21. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 9.3% 21.2% 54.7% 3.8% 10.2% 0.8% 暖房費の節約を意識しているか 非常に強く意識している 強く意識している ほどほど意識している どちらともいえない あまり意識していない 全く意識していない 8割以上の世帯が 暖房費を意識した 生活をしている
  • 22. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 2.7% 12.6% 27.0% 21.6% 19.4% 9.9% 6.8% 住宅の建築年 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降
  • 23. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 2.7% 12.6% 27.0% 21.6% 19.4% 9.9% 6.8% 住宅の建築年 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 約4割の住宅が1981 年の新耐震基準制 定より前に建てら れたもの
  • 24. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 建築年別住み替え希望調査 住み続けたい 何も考えていない 引っ越ししたい
  • 25. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 建築年別住み替え希望調査 住み続けたい 何も考えていない 引っ越ししたい 全ての年代で住み続けたいと いう世帯が8割以上を占めた
  • 26. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 建築年別住宅の延床面積 50㎡未満 50~75㎡未満 75~100㎡未満 100~125㎡未満 125~150㎡未満 150~175㎡未満 175~200㎡未満 200㎡以上
  • 27. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 建築年別住宅の延床面積 50㎡未満 50~75㎡未満 75~100㎡未満 100~125㎡未満 125~150㎡未満 150~175㎡未満 175~200㎡未満 200㎡以上 ほぼ全ての年代で100㎡以上の住 宅が半数以上を占めた
  • 28. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 建築年別冬季の温熱環境 許容範囲内である どちらともいえない 不快である
  • 29. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 建築年別冬季の温熱環境 許容範囲内である どちらともいえない 不快である 不快であると回答したの は2000年以前に建てられ た住宅の居住者のみ
  • 30. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 建築年別結露発生状況 ない 時々ある よくある
  • 31. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1960年以前 1961~1970年 1971~1980年 1981~1990年 1991~2000年 2001~2010年 2011年以降 建築年別結露発生状況 ない 時々ある よくある 「時々ある」「よくある」 の回答率を見ると古い 住宅の温熱性能が劣る ことは明らか
  • 32. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 空家データベースとアンケート結果の分析 比較的広い住宅 住み続けたい 温熱性能や耐震性 能が十分ではない 古い住宅が多い 数年後にはさらに空家が 増加すると予測される 現状のままでは買手や借手を見つけることが難しい 状況を改善するには改修が望ましいが、住民に資金がない ではこのまま何も手を打たないでいいのか?
  • 33. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 対策 空家データベースの範囲を空家化可能性が高い 住宅まで広げる データベース内には住民の生活実態、住宅の状 態、継続居住の意向等を加える 住み替えを希望する人たちの要因を明確にする 住み続けたい人たちにも、住環境が向上する具 体的な対案を提示することが必要である
  • 34. はじめに S市の概要 空家データベース アンケート 総括 本研究により得られた知見 1)タブレット端末を使用した空家調査によって、市内 の空家の分布状況と、空家の予備軍が大量に存在するこ とが明らかになった。 2)住民が自身の住居の空家化の進行に対して有効な対 処法を持ち合わせていないことが明らかになった。 3)空家の予備軍とされる住宅の性能が劣ることが明ら かになった。