グリーにおける
AWS移行の必然性
平成30年9月25日 『ZDNet Japan & AWS Partner Network』講演資料
開発本部 大久保 将
大久保 将
グリー株式会社開発本部
インフラストラクチャ部
シニアマネージャ
・ネットワーク機器開発
・(金融系)システム共通基盤開発
・インフラ設計及び構築運用
・海外インフラのインテグレーション
・全社システム費用削減PJ
・社内情報システム開発管理
・全社予算管理、管理会計設計
・オンプレ/クラウド購買管理
・70人規模の組織管理
会社概要
社名 : グリー株式会社
代表者 : 代表取締役会長兼社長 田中 良和
設立 : 2004年12月7日
資本金 : 23億5100万円(2018年6月末現在)
事業内容: ゲーム事業、ライブエンターテインメント事業、メディア事業、広告事業、投資事業
従業員数: 1,531人(グループ全体・2018年6月末現在)
売上高 : 77,925百万円(グループ全体・2018年6月期)
営業利益: 9,421百万円(グループ全体・ 2018年6月期)
モバイルゲーム事業(グリー)
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グリーは世界初のモバイルソーシャルゲーム「釣り★スタ」を2007年に公開して以降、さまざまなゲ
ームを開発、運営しています。また、GREE Platformを通じてパートナーさまにもゲームを提供してい
ただいたり、自社で開発したゲームを、App Store、Google Play™を通じて配信したり、より多くの
お客さまに楽しんでいただけるよう努めています。
釣り★スタ
探検ドリランド
踊り子クリノッペ ハコニワ
海賊王国コロンブスモンプラ 戦国キングダム BLEACH 卍解バトル
ガンダムマスターズ NEWSに恋して
モバイルゲーム事業(グループ会社)
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消滅都市2
戦姫絶唱シンフォギア
XD UNLIMITED
ららマジ
AKB48
ステージファイター2
バトルフェスティバル
株式会社Wright Flyer Studios
株式会社ポケラボ
武器よさらば
SINoALICE
ダンまち
~メモリア・フレーゼ~
アナザーエデン
時空を超える猫
LibraryCross∞
(ライブラリー
クロスインフィニット)
ぷちぐるラブライブ!
バーチャルYouTuberに特化したライブエンターテインメント事業です。声優やタレントが3Dア
バターをまとい演じるバーチャルYouTuberを発掘・育成・マネジメントし、動画番組を企画・制
作・配信したり、配信スタジオ・システムを開発・提供したり、資金面でクリエイターやスタート
アップを支援するなど、業界の発展に貢献していきます。
ライブエンターテインメント事業
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グリーは「インターネットを通じて、世界をより良くする。」というミッションのもと、日々の生
活がより豊かになるような事業を幅広く展開しています。サービスやメディアを通じて人々のコミ
ュニケーションを豊かにし、お客さまの毎日をより良いものにしていきます。
メディア事業
メディア事業
LIMIA
(リミア株式会社)
MINE
(株式会社3ミニッツ)
ARINE aumo
(アウモ株式会社)
グリーでは、インターネットを通じた広告やマーケティング事業において、テクノロジーを基軸と
し、アドテクノロジー事業、アドバタイジングクラウド事業、マーケティングクラウド事業、制作
運営事業等、総合的なソリューションをクライアントに提供しています。
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広告事業
アドテクノロジー事業
WOOZ
(Glossom株式会社)
アドフリくん
(株式会社ADFULLY)
GREE Ads Reward
(Glossom株式会社)
制作運営事業アドバタイジングクラウド事業
GREE Ads DSP
(Glossom株式会社)
GREE Advertising
(グリーアドバタイジング株式会社)
AdCorsa
(Glossom株式会社)
マーケティングクラウド事業
QUANT
(クオント株式会社)
モニタリング
ホスティング
24/365
バージョンアップ
管理会計
技術組織
リソース管理
パートナー管理
評価/検証
スケジュール
財務会計
意思決定プロセス
移行
個人情報
セキュリティ
組織文化
モニタリング
ホスティング
24/365
バージョンアップ
管理会計
技術組織
リソース管理
パートナー管理
評価/検証
スケジュール
財務会計
意思決定プロセス
移行
個人情報
セキュリティ
組織文化
多くの考慮要素が
ありつつも決行
アジェンダ
Part2:移行の実態
・移行の実態
・移行影響
Part4:今後について
・グリーにおける残課題
・移行に向けて
Part1:AWS移行のもたしたもの
・移行の成果
・BtoCとBtoB
・移行当時の背景
Part3:移行成功の要素
・意思決定
・組織編制
・事前準備
Part1
AWS移行がもたらしたもの
グリー AWS移行成果
• 平均39.1%のサーバ費用削減
• 合計月3,000万円以上、年間3.8億円以上
• 年間での移設台数 約2,000台
削減効果
グリー AWS移行成果
• 在庫リソース、調達リードタイムからの解放
迅速な調達なため、約20%の有休サーバを保持していた
• レガシーシステムからの脱却(旧OS、旧実行環境の排除)
一律で chef/cookbook・AMIイメージの導入を行うことができた
その他効果
運用コスト、管理コストが大きく減少した
ENのモチベーションも向上
BtoCとBtoB
AZ-1
AZ-2
batch
end user developer
log
S3
support
gateway
S3
staging
Database & Cache (production) Database & Cache (staging)
memcache
d
slave master
batch
slave master
standby
CDN
slave
RDS
RDS
www
memcached
ElastiCache
BtoCとBtoB
ユーザアカウント
の作成
サーバ台数
の決定
ソフトウェア
の選定
システム特性
運用特性
不特定多数の「消費者」が
サービス規約に沿って自ら登録
サービスの「負荷予測や状況」に
合わせて柔軟に決定
利用環境に合わせてソースコードレベルで改変
が可能で、ライセンス費用も不要な
「オープンソースソフトウェア」を選定
システムの一部に障害が発生しても
ユーザ影響を限定できる「可用性重視」
ユーザのサービス利用を極力妨げないために
「無停止メンテナンス」を前提とした運用
情報システム部門が特定の「利用者」または
「連携システム」に対して払い出し
「サービス導入時に要件」に
合わせて決定
サービス導入時に要件に合致する機能と性能を
満たし不具合時にはサポートを依頼できる
「ベンダー製ソフトウェア」を選定
システムに障害が発生すれば、それ以前に巻戻
る等、ユーザの混乱を抑えられる「一貫性重
視」
ユーザの混乱を抑えられるために
計画的に「メンテナンスウインドウ」の設置を
前提とした運用
従来の典型的なBtoCサービス 従来の典型的なBtoBサービス
移行当時の背景
+ メンテナンスコストの上昇
+採算性の測定における納得感
+クラウド事業社の値下傾向
+サーバリソースの効率的な利用に向けた柔軟性の訴求
• 経営方針/事業方針の転換
• サーバの老朽化
• コスト削減
移行当時の背景
+ メンテナンスコストの上昇
+採算性の測定における納得感
+クラウド事業社の値下傾向
+サーバリソースの効率的な利用に向けた柔軟性の訴求
• 経営方針/事業方針の転換
• サーバの老朽化
• コスト削減
マネージメント課題・反対意見はありながらも
時代傾向に合わせて、大規模なクラウド移行を決行
Part2
AWS移行の実態
移行の実態
• テスト不足による不具合箇所
テストパターン不足
• メンテナンスを実施中にテストが行えない
• 移行後の負荷増大
余裕を持った台数に移行を行ったが、負荷が高まった際に想定以上
のサーバ追加を大半のプロジェクトで実施(深夜対応増加)
• 移行環境数は、大小50以上を1年間で実施
(多くの犠牲がでましたw
移行影響
・可用性
・柔軟性
・安全性
・拡張性
・組織と人の変化
・運用面の変化
6つの観点における組織レポート
移行影響
• 可用性
AWSのEC2としては、99.95%以上のサービスコミットメント
となっているが、元々のオンプレは、サーバおよびネットワーク
的にかなり冗長化されていたため、
実際の運用実績から見ても 悪くなっている面がある
データベースに関しては、社内にて開発した機能で冗長化が図ら
れているため、移設前後にて可用性についての大きな変化は見ら
れないラック障害のような大規模障害が発生しなくなった
移行影響
• 柔軟性
-オンプレに関してはサーバ調達のリードタイムが長く、
決まったサイズ(CPU、HDD)のサーバしか存在しなかった
スケールアウト・イン、コスト削減によるサーバ削減や
最適化について大きな制約が存在していた
-AWSに関しては 調達のリードタイム短さ、
多種のインスタンスタイプが存在しており
その時々に合ったサーバ構成を取ることができ、
一層のサーバ費用削減を進められるようになった
移行影響
• 安全性
-柔軟に設定でき、環境毎の裁量である程度の
セキュリティレベルを設定することができるようになった
-環境が分かれているために被害を限定的にとどめることが
できるようになった
-AWS の操作には社員権限で利用することができるようになった
-mysql のパスワードを個別に導入できるようになった
移行影響
• 拡張性
-EBSとS3を利用することにより、オンプレで存在したストレージ
の制限を大幅に かつ 安価に 緩和することができるようになった。
-S3にて バックアップファイル、ログを 安く・
大量に置くことが可能になった。ディスクが足りなくなった
データベースなど、オンラインでディスク拡張可能
移行影響
• 技術要素の変化
-AWSの技術は一般的なので 資料が多く外部セミナーも
利用できようになった
-GUIでの操作が増えたため、多くの人がインフラ作業を
行えることが増えた
移行影響
• 運用の変化
-AWSでのメンテナンス・アラートが増えた
(インスタンス、ネットワーク共に)
-マネジメントサービスでは自動復旧ができる場合があり、
操作しなくても復旧する場合もある。マネージドサービスが
適応できる部分では作業がほぼなくなった
-サーバ料金が月額から従量制となり、さらなる コスト削減が可能
-スナップショットからの復旧が可能になり、運用が楽になった
Part3
成功の要素
システム特性、プロジェクト数、
期間などありつつも成功に至った要点
意思決定
• 計画書レビュー後、CTO直轄で進行
• ステークホルダーが限定され、各プロジェクトが
AWS移行に専念できた
組織編制
縦型組織でプロジェクトマネージメント
横串組織で高度技術課題を対応
Teams under DevOps Group
ServiceInstallation1team
ServiceInstallation2team
ServiceInstallation3team
ServiceEngineeringteam
ServiceOperationsteam
OperationsPlanningteam
DepartmentManagementteam
Development Environment Unit
TechnicalUnits
insideDevOpsGroup
Infra Platform Unit
Monitoring Unit
Fronend+Image Unit
KVS Unit
RDBMS Unit
DC / Network Unit
Cloud Unit
事前準備
• 歴史あるオンプレ環境同等の運用ツールを準備
• 運用文化に合うモニタリングシステムを開発
Part4
AWSクラウド移行に向けて
グリーにおける残課題
1
2
3
残存サーバのクラウド移行
マルチクラウド対応
更なるコスト削減
-共通系サーバ(管理ツール,バッチ等)
- PFサービス
-Disaster Recovery対策(Multi AZ 化も検討)
-インスタンス枯渇対策
-障害対策
-AutoScale導入
-RDS/Aurora導入
-ツールの充実
オンプレ AWS移行に向けて
● グリーにおけるAWS移行は成功であった 当初目標を全て達成
● (当時)マニュアルやサポートもあり、AWSがbestであった
● 経営と組織マネージメントとエンジニアの相互理解と協力が必
須であった
● BtoB/BotC 社外/社内関わらず、システムの特性を理解の前提
ありつつもやるべき対応は同じ
● 一気に移行(する必要はなく)、中長期の視点が必要
• システム特性を把握
• 負荷測定
• 移行不可能な資産があるか
• 分離不能な通信経路があるか
• トランザクション
• レイテンシー
• クラウド導入影響
• 段階的なクラウド移行
• 中長期のアプリ改修
• 移行期でも開発運用を上回るメリット
グリーではAWSクラウドへの移行実績や技術力
を背景に、コンサルティング/技術支援サービ
スを提供しております。
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グリーにおけるAWS移行の必然性