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読む論文が多すぎて、困ったことはありませんか?
そんなあなたに役立つ・・・
システマティック・レビューSystematic review
システィマテックレビュー(SR)とは?
インターネットがない時代・・・
http://blogs.lshtm.ac.uk/library/2014/04/03/how-do-i-search-medline-before-1946/
1997年6月26日
PubMed無料化http://www.nlm.nih.gov/archive/20040423/pubs/nlmnews/maraug97.html
1997年6月26日:米国の国会議事堂での
副大統領アル・ゴアのPubMedの最初の検索
(PD) Photo: National Center for Biotechnology Information
情報洪水
この数年、1年間で40万以上の病気の論文がアップされています。1時間に、40本です。歯科関
係の論文でも、毎年1万3千本、1時間に1.5本です。こんなビデオ、みている時間ありませんよ。
早くいろいろ、調べなきゃ。どんどん増えて行きます。忙しい、臨床の現場で、どうすればよいか、悩
んでしまいます。そこで、効率よく医療を行うために、いろいろな試みが行われてきました。それを、ま
とめたものが、EBMということです。EBMが、情報洪水にどのように対応しているのかを次で考えま
す。誤解がないようにして欲しいのが、いかに早く、素晴らしい情報を手に入れ、臨床の現場に適
応するかがEBMであり、論文至上主義ではありません。この文章も多すぎで読みにくいですね。
自分で、調べ・考え・実践する
(Knowing・ Understanding・Doing)
EBMとは、効率的に
ための手順書
Assess the information 情報の評価
Ask specific
questions
疑問を提起
Acquire
evidence
エビデンスを手
に入れる
Appraise the
data for validity
吟味
Apply
evidence to
patient care
適用
JAMAevidence
EBMのステップ
Assess the information 情報の評価
Ask specific
questions
疑問を提起
Acquire
evidence
エビデンスを手
に入れる
Appraise the
data for validity
吟味
Apply
evidence to
patient care
適用
JAMAevidence
エビデンスを手に入れるといっても・・・
どうするの・・・
Assess the information 情報の評価
Ask specific
questions
疑問を提起
Acquire
evidence
エビデンスを手
に入れる
Appraise the
data for validity
吟味
Apply
evidence to
patient care
適用
JAMAevidence
一部を外注してしまおう⇒これがシステマティックレビュー
システマティックレビューのための目的を臨床から選びます
システマティックレビューをつくるには?
詳細な、計画書を作ります
ああやって、こうやって、こうする
そうすると、
こうなるから、こうしよう!
世界中の論文を集めます
論文が目的と合っているか選択して、
各研究の結果をまとめて図にします
フォレストプロットforest plot :またの名を串刺し図
EBM:効率的に、ピンポイントで
システマティックレビューも含めて良
いエビデンスを検索。
SR:エビデンスをまとめるために、網
羅的・系統的にすべての研究を検
索する。
以前は:Jadadスコアといわれるもので、論文が妥
当かどうかを判定し、それを「論文の質」と呼んでいた。
現在は:一つ一つの論文は、バイアスと呼ばれる偏り
のリスクがあるかどうかをチェックする。そして、各論文
を集めたエビデンス全体の質を判定する。上記の「論
文の質」と混乱しないように、「エビデンスの確信性」
と呼ぶようになった。
以前は:各論文の結果をまとめる統計手法であるメタ分析と
システマティックレビューの用語の使い方が混乱していた。また、
メタ分析の数字を示すだけでよかった。
メタ分析を初めて提唱したGene V Glass
現在は:システマティックレビューの中に、メタ
分析を行った場合と行わない場合がある。
すなわち、メタ分析を行わない(各論文の
結果を数字でまとめることができない)シス
テマティックレビューもある。
また、メタ分析を行った場合、必ず、「エビデ
ンスの確信性」を併記することが必要となっ
た。
しかし、そんなシステマティックレビューも多いので、
どれを読んで良いかわからない・・・
システマティックレビューの質を評価する
PRISMA というチェックがある
このチェックで、必ず高得点を得ていて、安心して使
えるのが、コクランのシステマティックレビューである。
http://www.grade-jpn.com/PRISMA-QUOROM-1.pdf
以前は:システマティックレビューならば、すべてエビデ
ンスレベルが高いと誤解されていた(本邦では、エビデンス
レベルという用語が、ほぼ誤用のため、使わない方が良いだろう)。
現在は:PRISMA というチェックで、質が低いシステ
マティックリスクもある。また、混乱しやすい点として、
チェックで質が高いとされるシステマティックレビューで
で得られた結果の「エビデンスの確信性」が低い場合
もある(エビデンスの確信性が低いと言うことが、質の高いシステマ
ティックレビューの結果わかった)。

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システマティックレビューとは2015

Editor's Notes

  1. さすがに、スライドのような、パソコン通信の時代ではなかったですが。 まだ、インターネットがダイアルアップで、キーガガガキーの時代ででした。 その時は、気がつかなかったのですが、彼のミッションは、この世の中を、EBMで、変えることだったのです。 壮大な計画ですね。 それでは、彼は、EBMで、どのような世界に、変えたかったのでしょうか。 それは、「EBMを使うことで、世界の最新の情報を、患者と共有する医療」を、あたりまえに、みんなが実践できる世界にしたかったのです。 本日は、彼から、教わった、いろいろなことを、わかりやすくお伝えできればと思っています。
  2. まず、ここでは、まったく違う点から話をすすめます。 一般市民は、医療のプロの担い手である、医療従事者が、どのようなエビデンスに基づいて治療していると、どう思っているでしょうか。 講演会を聞いただけの知識で治療していると思っているでしょうか。 複数の英語論文を読みこなし、最新の知識を常に手に入れていると信じているのが普通でしょう。 一般市民は、勉強していると信じています。 まさか、学会と称して、観光旅行をしているとは、夢にも思っていません。 その勉強が、講演会だけとは思っていません。 ましては、読んでいる論文が、日本語の商業雑誌の記事のみとも、思っていません。 世界的な論文も読まずに、治療をしているとは、思ってないでしょう! 少なくとも、私には、世界の最新の情報を勉強して、それで医療行為をしようとしているはずだと、信じています。 でも、忙しい臨床の中で、なかなか時間が足らない!
  3. それでは、そのEBMとは、どのようなものなのでしょうか? EBMとは、先ほどより述べている、情報化時代で、効率的に、自分で、調べ、考え、実践する手順書にしかすぎません。 本日は、この手順書の具体的な内容を、紹介することになります。
  4. それを、わかりやすくしようと、JAMAが提唱し始めたのであります。 矢印は、一方向のみではありません。 今後は、このエビデンスサイクルという図が、多くなってくると思います。 ここで、EBMをよく知っている方へ、話題提供です。
  5. それを、わかりやすくしようと、JAMAが提唱し始めたのであります。 矢印は、一方向のみではありません。 今後は、このエビデンスサイクルという図が、多くなってくると思います。 ここで、EBMをよく知っている方へ、話題提供です。
  6. しかし、現実的には、診療ガイドラインがない場合も多いでしょう。
  7. それを、わかりやすくしようと、JAMAが提唱し始めたのであります。 矢印は、一方向のみではありません。 今後は、このエビデンスサイクルという図が、多くなってくると思います。 ここで、EBMをよく知っている方へ、話題提供です。