「今日のチューリング賞」はチューリング賞受賞者を簡単に紹介するシリーズです。 今回は公開鍵暗号方式の発明者として知られているマーティン・ヘルマンとホイットフィールド・ディフィーを紹介します。

1. 今日のチューリング賞
7.マーティン・ヘルマン
ホイットフィールド・ディフィー(2015年受賞)

2. コンピュータ・サイエンス分野において、
大きな功績を挙げた人物に対して送られる賞。
1966年開始。
受賞者は一年に一人のみ。
2018年6月現在、52名(組)。
よって、チューリング賞受賞者を知れば
コンピュータの歴史が大体わかる。
チューリング賞とは

3. ホイットフィールド・
ディフィー
今日紹介するチューリング賞受賞者
1945-
アメリカの暗号研究者
2015年チューリング賞受賞
1944-
マーティン・ヘルマン

4. 代表的な暗号研究者
1930 19501940
1958ゴールドワッサ
※青枠はチューリング賞受賞者
1938ブラム 1947リベスト1912チューリング
1939ホップクロフト1931ラビン
1944ディフィー
1945ヘルマン

5. 公開鍵暗号方式の発明
ディフィー&ヘルマンの主な功績

6. ディフィー&ヘルマン登場前の暗号
前5世紀:スパルタのスタキュレー暗号
・棒に巻きつけて解読する
・棒の太さが鍵となる
前1世紀:カエサル暗号
・アルファベットを
鍵となる数値でシフトする
スタキュレー
カエサル

7. ディフィー&ヘルマン登場前の暗号
15世紀:ヴィジュネル暗号
19世紀:無線の登場により
暗号の重要性が向上
20世紀:複雑な計算ができるように
なり、エニグマなどの暗号機が
登場
ヴィジュネル
エニグマ

8. ディフィー&ヘルマン登場前の暗号
15世紀:ヴィジュネル暗号
19世紀:無線の登場により
暗号の重要性が向上
20世紀:複雑な計算ができるように
なり、エニグマなどの暗号機が
登場
※エニグマを解読したのが
チューリング
ヴィジュネル
エニグマ

9. ディフィー&ヘルマン登場前の暗号
課題:
・鍵をいかに共有するか
・鍵は何らかの方法で受け渡す必要がある
・鍵が盗まれたらNG
・鍵のパターンをいかに増やすか
・計算機の登場後、総当たり攻撃が可能に
※エニグマの解読

10. ディフィー&ヘルマンの功績：公開鍵暗号
• 1976年、2種類の鍵を用いた
非対称の暗号化アルゴリズムを発表。
• 公開鍵は暗号化可能/復号化不可能
• 秘密鍵は複合化可能
公開鍵
秘密鍵
送信者 受信者
①公開鍵を取得
②公開鍵で暗号化
④送信
④受信
⑤秘密鍵で解読
○ 取得可
× 取得不可

11. ディフィー&ヘルマン登場後の暗号
1978:リベスト、シャミア、
アドルマンによる
RSA公開暗号方式の開発
↓
しかし、政府の介入により
規制される(FBIの盗聴のため)
1991:ジマーマンによるPGPの配布
↓
回収不可能なほど流通したことで
公開鍵暗号が一般化
リベスト
ジマーマン

12. まとめ

13. 公開鍵暗号の発表により、
情報セキュリティと
プライバシーが大きく向上した。
現在では、
理論上無限の計算能力を持つ
量子コンピュータの登場により、
新たな暗号化方式の登場が
望まれている。
ディフィー&ヘルマンまとめ