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質的なデータの分析方法
授業の感想
• 生徒児童が自由に書いた毎回の授業の感想
  文が束になっている。
               授業のフィードバックや感想
               を、どのようにしたら客観的に
                 分析できるだろうか?

 – 自由に書いている
 – 感想文のようなもの
教師は集めるだけ
• 生徒児童の感想文を集めて、眺めるだけ
                        やったー!

 – 良い意見があれば喜び
 – 悪い意見があれば反省する



• 感想の抜粋で判断   明日こそは・・・
客観的な評価ができない
• しかし、
  クラスの全体的な考えの傾向が把握できていない。
• また、クラスの評価の際、客観的な評価ができな
  い。
           しかし、良い感想と悪い感想が混ざってる。
            全体的にはうまくいっているのだろうか?
2つのまとめ方


1. カテゴリー分類

2. 似た物同士で分類
1.カテゴリー分類

これは、あらかじめカテゴリーを設定して、
各感想文をカテゴリーに分類する方法である。
カテゴリー分類の進め方1
• カテゴリーを決める。

例
 カテゴリー
 肯定的
 否定的
 中立
 判断不可
カテゴリー分類の進め方2
• 感想文をカテゴリーで分類し、カウントする。

例
カテゴリー     カウント
肯定的       正正正
否定的       正正一
中立        正正
判断不可      正
カテゴリー分類の進め方3
• 感想文をカテゴリーで分類し、カウントする。

例
カテゴリー     カウント
肯定的       15
否定的       11
中立        10
判断不可      5
カテゴリー分類の進め方4
• 感想文をカテゴリーで分類し、カウントした数
  値データを表やグラフで表す。

例 表で表す
  カテゴリー   回答数
  肯定的     15    (37%)
  否定的     11    (27%)
  中立      10    (24%)
  判断不可    5     (12%)
カテゴリー分類の進め方4
• 感想文をカテゴリーで分類し、カウントした数値デー
  タを表やグラフで表す。

例 グラフで表す            回答数
              12%
                            肯定的
                      37%
                            否定的
        24%
                            中立

                            判断不可
                27%
カテゴリー分類のまとめ
例で示した肯定的、否定的程度の分類
  から、少し深く、「教師似関すること」、
  「授業内容に関すること」、などで分     カテゴリー
  けた上で分類してもよい。          教師に関    肯定的
基本的には、各教師が知りたいことでカ      すること    否定的
 テゴリーを決めるのが望ましい。
                                中立
                        授業内容    肯定的
                        に関するこ   否定的
                        と
                                中立
                        判断不可
2.似た物同士の分類

似た物同士の分類は、カテゴリー分類とは異なり、
あらかじめカテゴリーを設定しない。

似た感想を述べている感想文ごとに分類して
カウントする方法である。
似た物同士の分類の進め方1
• 似ている感想の自由記述データごとに分ける。(紙ベース
  で)

例
• 「先生の声が大きい」、「先生の声が聞き取りやすい」・・・
• 「黒板の字がわからない」、「字が汚い」・・・
• 「関ヶ原の戦いが面白い」、「石田光成の最後がよくわかっ
  た」・・
• 「参勤交代についてわからなかった」、「なんで江戸と地方
  を行ったり来たりしたのかがはっきりとわかった。」・・・
似た物同士の分類の進め方2
• 集まった自由記述データから、ふさわしい名
  前を付ける。
• 名前をつけづらいときは、コメントを付記して
  もよい。

例               授業内容1
                (関ヶ原の
        教員の声に   戦い)に言   授業内容2
黒板の表記    言及             (参勤交代)
 に言及              及
                          に言及
似た物同士の分類の進め方3
• 各まとまりの回答数をカウントする。



例
分類
黒板の表記に言及           正
教員の声に言及            正一
授業内容1(関ヶ原の戦い)に言及   正正正正
授業内容2(参勤交代)に言及     正正
似た物同士の分類の進め方3
• 各まとまりの回答数をカウントする。



例
分類                 回答数
黒板の表記に言及           5
教員の声に言及            6
授業内容1(関ヶ原の戦い)に言及   20
授業内容2(参勤交代)に言及     10
似た物同士の分類の進め方4
• 各分類でカウントした数値データを表やグラ
  フで表す。

例 表で表す
         分類         回答数
         黒板の表記に言及 5
         教員の声に言及    6
         授業内容1(関ヶ   20
         原の戦い)に言及
         授業内容2(参勤   10
         交代)に言及
似た物同士の分類の進め方4
• 各分類でカウントした数値データを表やグラ
  フで表す。

例 グラフで表す   回答数

 25
 20
 15
 10
  5
  0
似た物同士の分類のまとめ

• 似た物同士の分類は、カテゴリー分類とは異な
  り、あらかじめカテゴリーを設定しない。

• つまり、似た感想ごとにグループ化するのは教
  師の調べたいことにもとづくとよい。

• また、カテゴリー分類のカテゴリーの数の設定
  にも言えるが、グループが多くなりすぎないよう
  にする必要がある。
参考になる文献やサイト
• TTM: TinyTextMiner
  – http://mtmr.jp/ttm/

  – 上記のフリーソフトのための参考文献
    松村真宏・三浦麻子 著
     「人文・社会科学のためのテキストマイニング」
    誠信書房

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