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[印刷用] 診療ガイドラインとライブラリアン(JMLA第3回医療・健康情報サービス研修会講演資料)
- 1. 1
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
診療ガイドラインと
ライブラリアン
小嶋 智美 KOJIMA, Satomi
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会 [講演]
@大阪大学銀杏会館
2018年1月24日[90分]
本日のキーワード
「主体性」
2018/1/24 2
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
本日の内容
1. 診療ガイドラインの前に
– EBMを知る
– 臨床の場の情報収集
– 医学系ライブラリアンによる情報検索
2. 診療ガイドラインを知る
– 定義
– 作成方法
3. 診療ガイドラインとライブラリアン
– 作成に参画する
– 利用・提供する
2018/1/24 3
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
1. 診療ガイドラインの前に
2018/1/24 4
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
EBMを知る
2018/1/24 5
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
EBMは
患者/医療者/研究成果の三位一体
2018/1/24 6
Haynes RB. et al. Evid Based Med 2002;7:36-38. http://ebm.bmj.com/content/7/2/
“臨床医の価値観より患者の価値観をできるだけ最初に検討すべき”“臨床医の価値観より患者の価値観をできるだけ最初に検討すべき”
患者の価値観や行動患者の価値観や行動
臨床の状態や環境臨床の状態や環境
研究の成果研究の成果
臨床の熟達臨床の熟達
になるかも
しれない人も含む
になるかも
しれない人も含む
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
- 2. 2
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
Shared Decision Making [SDM]
2018/1/24 7
“SDMは患者中心のコミュニ
ケーションスキルとEBMの
交差点であり、最適な患者
ケアの頂点に位置する”
“SDMは患者中心のコミュニ
ケーションスキルとEBMの
交差点であり、最適な患者
ケアの頂点に位置する”
Hoffmann TC, Montori VM, Del Mar C.
JAMA. 2014 Oct 1;312(13):1295 -6. doi: 10.1001/jama.2014.10186 .
協働による意思決定
患者中心の
コミュニケーションスキル
患者中心の
コミュニケーションスキル
EBM
[患者・医療者・研究]
EBM
[患者・医療者・研究]
SDMSDM
最適な患者ケア最適な患者ケア
“最良の研究成果は医療技術
をアップデートさせるが、
患者理解の視点がなければ
適切に活用できない”
“最良の研究成果は医療技術
をアップデートさせるが、
患者理解の視点がなければ
適切に活用できない”
「患者の価値観を優先」
するための能力
「患者の価値観を優先」
するための能力
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
「エビデンス=文献」
「信頼性=エビデンスレベル」の怪
2018/1/24 8
• 個別の文献を見るだけでは判断できない
– 同じ目的・方法でも結果が異なる場合がある
– 有意差あり≠臨床の成果(アウトカム)
• 研究デザインだけでは判断できない
– 研究目的に合う研究方法がある
– 質の低いRCTやコホートもある
• 資金や研究対象などと著者の関係が結果に影響?
– 利益相反
• 倫理面に配慮されていない研究もある
– ヘルシンキ宣言
• 有効性が示せなかった研究は公表されにくい
– 出版バイアス
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
“新しいエビデンスピラミッド“?
2018/1/24 9
Murad MH, Asi N, Alsawas M, et al
New evidence pyramid. BMJ evidence-based medicine 2016;21:125 -127.
doi: 10.1136/ebmed-2016-110401 [2018-1-7]
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
2018/1/24 10
A「伝統的なピラミッド」
エビデンスレベルで信頼性の高低を区分したピラミッドは、
B「修正されるピラミッド」
研究デザインを信頼度で分ける線が
波状に(明確には分けられない)、
システマティックレビューとメタア
ナリシスは切り離され、
C「改訂されたピラミッド」
システマティックレビューとメタアナリシスが、
エビデンスを見る(適用を考える)レンズとなる
システマティックレビューの重要性
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
システマティックレビューとは
2018/1/24 11
• 特定の課題に対する文献を網羅的に収集
• 客観的・公正な基準で文献を選定
• 明確(科学的)な手法を用いて分析
• 分析結果を統合して結論を出す
公益財団法人日本医療機能評価機構EBM普及推進事業(Minds)患者・市民専門部会.
2.5 システマティックレビュー (よくわかるガイドライン第 2部 : 診療ガイドラインの作成プロセス) .
http://minds4.jcqhc.or.jp/implementation/primer/pdf/CPGBasics_part2.pdf
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
EBM実践の5step
2018/1/24 12
情報収集情報収集
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
1.患者の問題点を抽出
2.解決のための情報を探す
3.集めた情報を吟味する
4.患者への適用を考える
5.1~4を評価する
- 3. 3
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
臨床の場で適切な情報を
効率的に収集するためには
どのようにすればよいのだろう
2018/1/24 13
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
臨床の場の情報収集
2018/1/24 14
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
Evidence-Basedな情報が
まとめられているものから
2018/1/24 15
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
6S pyramid model
2018/1/24 16
情
報
の
完
成
度
情
報
の
詳
細
さ
臨床の場におけるさまざまな
課題を解決するための情報源には
編集度による階層がある。
上位の情報源ほどすぐ役に立つが、
下位の情報源があるからこそ、
上位の情報源を作成できる。
個々の患者に適した情報が個々の患者に適した情報が
揃う理想的な状態 [将来的]
要点のまとめ
統合した結果のあらまし
複数の結果の統合
個々の研究のあらまし
個々の研究
McMaster University Health Science Library. Resources for Evidence-Based Practice:
The 6S Pyramid. http://hslmcmaster.libguides.com/ebm
研究デザインによるピラミッド(台形)
はこの位置にあたるとも言える
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
6S pyramid model:情報源の例
2018/1/24 17
完
成
度
の
高
い
も
の
か
ら
活
用
す
る論文データベース
(上位の情報源も含む)
論文データベース
(上位の情報源も含む)
個々の患者に適した情報が
揃う理想的な状態 [将来的]
要点のまとめ
統合した結果のあらまし
複数の結果の統合
個々の研究のあらまし
個々の研究
Cochrane Library ; EPC
Evidence-based Reportsなど
Cochrane Library ; EPC
Evidence-based Reportsなど
healthevidence.org ;
Cochrane Summaries など
healthevidence.org ;
Cochrane Summaries など
診療ガイドライン ; UpToDate,
今日の臨床サポート など
診療ガイドライン ; UpToDate,
今日の臨床サポート など
(まだ)登場していない(まだ)登場していない
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
CMECジャーナルクラブ ;
ACP Journal Club など
CMECジャーナルクラブ ;
ACP Journal Club など
個々の研究
論文を検索できるデータベース・索引誌 など
2018/1/24 18
• PubMed (画面は Clinical Queries)
世界最大のヘルスサイエンス
領域の文献データベース(雑誌
論文のみが対象ではない ; 6S
の上位の書誌事項も検索可能)。
Clinical Queriesでは、忙しい
臨床家の情報収集に配慮し、
治療や診断等のカテゴリや文
献ヒットの適合度をあらかじ
め指定することができる。
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
- 5. 5
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
2018/1/24 25
完
成
度
の
高
い
も
の
か
ら
活
用
す
る論文データベース
(上位の情報源も含む)
論文データベース
(上位の情報源も含む)
個々の患者に適した情報が個々の患者に適した情報が
揃う理想的な状態 [将来的]
要点のまとめ
統合した結果のあらまし
複数の結果の統合
個々の研究のあらまし
個々の研究
Cochrane Library ; EPC
Evidence-based Reportsなど
Cochrane Library ; EPC
Evidence-based Reportsなど
healthevidence.org ;
Cochrane Summaries など
healthevidence.org ;
Cochrane Summaries など
診療ガイドライン ; UpToDate,
今日の臨床サポート など
診療ガイドライン ; UpToDate,
今日の臨床サポート など
(まだ)登場していない(まだ)登場していない
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
CMECジャーナルクラブ ;
ACP Journal Club など
CMECジャーナルクラブ ;
ACP Journal Club など
ツール活用の基本は同じ
依頼者の質問内容やニーズをふまえて適宜選択する
ここまでのまとめ
2018/1/24 26
• EBMは
–患者と医療者の協働があって成立
• 文献や研究デザイン至上主義ではない
• 臨床における情報収集は
–EBMの観点でまとめた情報源を優先
• 医学系ライブラリアンは
– 臨床における情報収集の方法に配慮
• 依頼者のニーズに合わせて適宜選択・調整
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
2.診療ガイドラインを知る
2018/1/24 27
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
6S pyramid modelでの
診療ガイドラインの位置
2018/1/24 28
完
成
度
の
高
い
も
の
か
ら
活
用
す
る
PubMed ; CINAHL ;
医中誌Webなど
※論文データベースに
収録される書誌の
ほとんどはこちら
PubMed ; CINAHL ;
医中誌Webなど
※論文データベースに
収録される書誌の
ほとんどはこちら
個々の患者に適した情報が個々の患者に適した情報が
揃う理想的な状態 [将来的]
Cochrane Library ; EPC
Evidence-based Reportsなど
Cochrane Library ; EPC
Evidence-based Reportsなど
healthevidence.org ;
ACP Journal Club など
healthevidence.org ;
ACP Journal Club など
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
要点のまとめ
統合した結果のあらまし
複数の結果の統合
個々の研究のあらまし
個々の研究
診療ガイドライン ; UpToDate,
今日の臨床サポート など
診療ガイドライン ; UpToDate,
今日の臨床サポート など
ただし、
すべての診療ガイドラインが
この場所に位置する訳ではない
2018/1/24 29
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
診療ガイドラインとは
Minds ; Health and Medicine Division (旧IOM) による
2018/1/24 30
診療上の重要度の高い医療行為について
エビデンスのシステマティックレビューとその
総体評価、益と害のバランスなどを考量して、
患者と医療者の意思決定を支援するために
最適と考えられる推奨を提示する文書
Clinical Practice Guidelines We Can Trust.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedhealth/PMH0079468 /
公益財団法人日本医療機能評価機構EBM普及推進事業(Minds)患者・市民専門部会.
1.2 診療ガイドラインの役割(よくわかるガイドライン第 1部 : 診療ガイドラインとは) .
http://minds4.jcqhc.or.jp/implementation/primer/pdf/CPGBasics_part 1.pdf
該当する該当する
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
- 6. 6
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
作成方法に歴史あり
2018/1/24 31
• 初期
– 権威のある研究者・医療者の話合いで作成
• GOBSAT(Good Old Boy Sitting Around the Table)
• 数年前まで
– 各文献の研究デザインが評価基準のひとつ
• Minds:2007年版の作成マニュアルがこの方法
• 現在の診療ガイドライン
– システマティックレビューから推奨を作成
• Minds:2014年版の作成マニュアルから採用
– 最新版は2017年版
南郷栄秀. 信じていい診療ガイドライン、鵜呑みにしてはいけない診療ガイドライン .
診療ガイドラインが教えてくれないこともある . pp.2-9. 2016.
GRADE systemの導入で変わり始めた診療ガイドライン . 学びなおしEBM. pp.25-28. 2015.
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
古い作成方法による
診療ガイドラインの記載例
2018/1/24 32
現在の診療ガイドライン作成では、
個々の文献に対して研究デザインによる
エビデンスレベルを示すことはしない
現在の診療ガイドライン作成では、
個々の文献に対して研究デザインによる
エビデンスレベルを示すことはしない
現在の診療ガイドライン作成では、
エビデンスレベルの記載は必要ない
(旧版の内容との差異を明確にするなど、
何らかの理由で掲載しているものある)
現在の診療ガイドライン作成では、
エビデンスレベルの記載は必要ない
(旧版の内容との差異を明確にするなど、
何らかの理由で掲載しているものある)
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
作成方法は必ず確認(前半にあることが多い)作成方法は必ず確認(前半にあることが多い)
診療ガイドライン作成の流れ
2018/1/24 33
システマティックレビューシステマティックレビュー
作
成
組
織
編
成
・
利
益
相
反
開
示
ス
コ
ー
プ
(
全
体
方
針
)
作
成
ク
リ
ニ
カ
ル
ク
エ
ス
チ
ョ
ン
作
成
文
献
検
索
文
献
ス
ク
リ
ー
ニ
ン
グ
結
果
の
分
析
・
統
合
推
奨
作
成
外
部
評
価
・
パ
ブ
リ
ッ
ク
コ
メ
ン
ト
公
開
(
改
訂
へ
)
診療ガイドラインならでは診療ガイドラインならでは
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
「診療上の重要度の
高い医療行為」を
基にした検索課題
「診療上の重要度の
高い医療行為」を
基にした検索課題
診療ガイドライン作成における
システマティックレビューでは
2018/1/24 34
• 患者の価値観やとりまく状況も含めて
「推奨」を作成する
公益財団法人日本医療機能評価機構EBM普及推進事業(Minds)患者・市民専門部会.
1.4 診療ガイドラインののぞましい作成プロセス(よくわかるガイドライン第 1部 : 診療ガイドラインとは) .
http://minds4.jcqhc.or.jp/implementation/primer/pdf/CPGBasics_part 1.pdf
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
EBM実践の5step
1.患者の問題点を抽出
2.解決のための情報を探す
3.集めた情報を吟味する
4.患者への適用を考える
5.1~4を評価する
2018/1/24 35
診療ガイドライン
作成の流れ
クリニカル
クエスチョン作成
文献検索
文献スクリーニング
推奨作成
外部評価
パブリックコメント
結果の分析・統合
EBMの実践方法=診療ガイドラインの作成方法EBMの実践方法=診療ガイドラインの作成方法
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
3. 診療ガイドラインと
ライブラリアン
2018/1/24 36
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
- 7. 7
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
作成に参画する
2018/1/24 37
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
EBM実践の5step
1.患者の問題点を抽出
2.解決のための情報を探す
3.集めた情報を吟味する
4.患者への適用を考える
5.1~4を評価する
2018/1/24 38
診療ガイドライン
作成の流れ
クリニカル
クエスチョン作成
文献検索
文献スクリーニング
推奨作成
外部評価
パブリックコメント
結果の分析・統合
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
診療ガイドラインにおける
文献検索担当の位置づけ
2018/1/24 39
• 作成委員会構成の例
–対象疾患の専門家(医療の専門家)
• 関連する領域すべて
–方法論の専門家
–患者(疾患経験、患者目線の専門家)
–外部の評価者(評価の専門家)
–事務局
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
ここ
システマティックレビュー
作成のための文献検索では
2018/1/24 40
• 特定の課題に対する文献を網羅的に収集
できるだけ
もれなく
検索する
できるだけ
もれなく
検索する
作成者と
協力して
何度でも
作成者と
協力して
何度でも
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
「とにかく文献が見つかれば」「いくつかヒット
した中から選んでもらえれば」は通用しない
「とにかく文献が見つかれば」「いくつかヒット
した中から選んでもらえれば」は通用しない
診療ガイドライン作成のための
文献検索作業の流れ
下調べ
検索
リスト作成
清書
2018/1/24 41
• 対象疾患全体の理解
– スコープ作成のための検索をする場合もある
• 担当のクリニカルクエスチョンへの理解
• 下調べや作成委員会提供の資料(キーワー
ド、既知文献、検索条件指定等)を参考に
– このほかクリニカルクエスチョンの作成意図な
どをインタビューで都度確認することも
• 検索結果、検索式、検索日、検索担当者を
明記したリストを作成・提出
– 場合によっては再検索や追加検索を行う
• 文献検索に関連する記載箇所に誤りが無い
か確認
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
文献検索作業も
診療ガイドラインの評価対象
• AGREE II
–診療ガイドラインの世界的評価基準
• Mindsでも採用
–領域3「作成の厳密さ」の7に文献検索
についての項目がある
2018/1/24 42
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
Appraisal of Guidelines for Research & Evaluation. http://www.agreetrust.org /
※Mindsのサイトに日本語版あり https://minds.jcqhc.or.jp/s/related_documents
- 8. 8
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
文献検索担当者が
備えておきたい力
2018/1/24 43
1. 情報検索全般に関する知識・技能
2. 医学とその関連領域に関する基礎知識
3. 医学とその関連領域の二次資料や索引方法・
主題分析に関する知識・技能
4. 医学とその関連領域の研究方法に関する知識
5. 情報サービス専門職としてのコミュニケー
ションスキル
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
利用・提供する
2018/1/24 44
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
診療ガイドラインの位置づけ
2018/1/24 45
患者と医療者が
意思決定を行うための
判断材料のひとつ
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
“Starting Point for Discussion”*
コミュニケーションツールとしての存在意義
主体はあくまでも患者と医療者
*中山 健夫. 診療ガイドラインとの付き合い方 . 日本耳鼻咽喉科学会会報.
https://doi.org/10.3950/jibiinkoka.119.1347
診療ガイドラインの活用例
チーム医療を可視化するツールとして
2018/1/24 46
• クリニカルパスの作成や更新
– クリニカルパス(クリティカルパス)とは
• 疾患別や治療別に作成された標準診療計画
– クリティカルパス・ライブラリー1) などで閲覧できる
– 作成のための情報収集に活用
• 横道にそれますが・・・
「図書司書士*がいる場合には、この職務を依頼すること
で委員会の負担は大幅に軽減される」2) とも *原文ママ
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
1) クリティカルパスライブラリー . http://epath.medis.or.jp /』
2) 第6章 クリニカルパス運用の 工夫. 基礎から学ぶクリニカルパス実践テキスト . p.98. 2012.
他科や異なる立場の医療者同士の他科や異なる立場の医療者同士の
コミュニケーションツールとしての存在意義も
診療ガイドラインに無い力
2018/1/24 47
• 「診療ガイドラインの記載どおりに!」
– 目の前にいる患者のことをまず考える
– 訴訟の材料にはならない
• 「診療ガイドラインなら絶対信頼できる!」
– 古い・適切な作成方法ではないものもある
• 「対象疾患のことならなんでもわかる!」
– 重要度の高い医療行為が対象
– Backgroud Questionの解決には使えない
• 「[超] 最新の知見が得られる!」
– 作成開始から出版までに数年を要するものもある
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
診療ガイドラインを
公共図書館にも置くべきか
2018/1/24 48
• [私個人としての意見ですが]
– 基本は各組織の方針に沿えばよいのでは
• また横道にそれますが、できれば「できないこと」よりも
「できること」を図書館として示してほしい
– 他の棚に “免責事項” はあるのか、なぜ必要なのか、誰のためか
– 置くとしたら
• 内容の質や年次、物理的に置けない・置きづらい
もの(Web版や雑誌論文として発表するなど)が
あることも認識しておく
• 一般向け診療ガイドラインの購入を優先する
• 改訂、学会や海外の最新情報もチェック
– 診療ガイドラインとしてはまとまっていないものもある
• まずライブラリアンが使ってみる
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
- 9. 9
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
それ以前に考えてみても
いいかもしれないと思うこと
2018/1/24 49
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
「場」としての図書館
「人」としてできること
2018/1/24 50
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
考えるためのフックになるかも
しれないことばをいくつか
2018/1/24 51
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
金田亜可根氏(ホスピス研究会OKAZAKI主宰)
一般市民の立場から医療情報を発信
2018/1/24 52
• 図書館では複数の新聞に目を通し、料理
などの生活に関するさまざまな情報を得
ることができる
• レファレンスで病気のことを尋ねても、
司書は結局 “本” を出してくる
• ”標準治療” という言葉を司書が知るだけ
でもサービスのあり方が変わるのでは
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
2016年12月4日に愛知県の岡崎市立中央図書館で開催された
『困ったときには図書館 へ:病気(がん)と図書館 』の講演から
講演案内:http://www.libra-sc.jp/project/2016100608252086.html
私の参加記録: https://kojimasatomi.tumblr.com/post/155165597805/
山中伸哉氏 (京都大学iPS細胞研究所所長)
医学者
2018/1/24 53
• 10年前に体細胞から万能細胞を樹立する
という非常にリスクの高い研究に取り組
むことができたのは、SF小説の読書体験
が大きなきっかけであった
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
第15回日本再生医療学会総会 iPS細胞発表10周年特別企画シンポジウム
「再生医療・生命科学研究の未来」ビデオレターでの発言
https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0413503227/
日野原重明氏による
W・オスラー氏のことば
(William Osler, 1849-1919)医学教育の礎を築く
2018/1/24 54
• 医学はサイエンスに基づいたアートである
• 医師が扱う仕事の三分の一は、医学書には
書いていない
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
日野原重明. 今日すべきことを精一杯! . 2017.
- 10. 10
2018/1/24
@大阪大学銀杏会館
小嶋智美
講演:診療ガイドラインとライブラリアン
NPO法人日本医学図書館協会
第3回医療・健康情報サービス研修会
平川裕子氏(元千葉県立衛生短期大学図書館司書)
在職中に急性リンパ性白血病を発症
2018/1/24 55
• 患者が病気について一層勉強して、医師
に的確に質問することができるように
なったら、医者患者関係は変わるだろう。
ひいては医療界全体が、変わるのではな
いだろうか。
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
平川裕子. 図書館員が突然入院して. 医学図書館. 51(4), pp.355-6.
https://doi.org/10.7142/igakutoshokan.51.355
イヴ・ジネスト氏
ロゼット・マレスコッティ氏
(ジネスト-マレスコッティ研究所)
介護における包括的ケアのメソッド「ユマニチュード」開発者
2018/1/24 56
• 中心におくべきものは、相手とのポジティ
ブな関係の「絆」なのです。
• どのような結果がもたらされるかは、ケア
する側が決めることではありません。本人
がどういう状態になるかを決めるのです。
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
イヴ・ジネスト ; ロゼット・マレスコッティ ; 本田美和子.
「ユマニチュード」という革命 . 2016
名郷直樹氏(武蔵国分寺公園クリニック院長)
地域医療におけるEBMの実践を支援
2018/1/24 57
• 「自分の考え方」とか「自分の価値観」
とよくいいますが、それらは世の中の影
響を受けたもので、「自分」のものでは
ない場合がほとんどです。そういうもの
をいったん脇におき、「科学的な考え
方」で突き詰めていけば、他人の影響が
どんどん排除されていき、最後には自分
の考え方が見えてくるでしょう。
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
名郷直樹. 65歳からは検診・薬をやめるに限る! . 2017.
私からは「餅は餅屋」と↓を
2018/1/24 58
• 「協働」とは
– 複数の主体が、何らかの目標を共有し、
ともに力を合わせて活動すること
「図書館」ではなく「人」としてできることはないか
活動を記録という形にすることも協働のひとつである
できれば「館」を飛び出して考え表現してほしい
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
Wikipedia 「協働」. https://ja.wikipedia.org/wiki/協働
ライブラリアンは役に立つのか
2018/1/24 59
第3回医療・健康情報サービス研修会
講演資料(小嶋 智美)
専任の医学系ライブラリアンの利用指導・支援は、
医療者の情報探索行動に長期的な影響を及ぼすのか?
(2017年7月21日開始:現在は予備調査の段階)
専任の医学系ライブラリアンの利用指導・支援は、
医療者の情報探索行動に長期的な影響を及ぼすのか?
(2017年7月21日開始:現在は予備調査の段階)
https://www.crd.york.ac.uk/prospero/display_record.php?RecordID= 72644
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