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全国各地域における努力は、「持続型社会づくり」
という言葉では十分に表現されるものではないよう
に思われた。それは、まさに「生存」への努力で
あった。
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8. 持続型社会論を生存論として展開
方針
1.基礎事項の整理
システム、構造、メカニズム、自己組織化、自律的産出系
(オートポイエーシス)、情報など
2.生存機械にとっての「情報」の意味
個体レベルの「情報-身体系」が持つ意味、
種のレベルの「遺伝子系-表現系」が持つ意味
生命を生存機械ととらえる立場から、人間に至る進化過程の
情報論的解明
3.「占有、交換・経済、政治、協業、共生」
等々の意味
多体系の中で発生する社会現象を情報ー身体系問題として見る
とどうなるか ℂ Masayuki Horio
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9. 4.情報系としての脳の進化とヒトの成立
文字言語と音声言語、貨幣、政治的権威・
国家、コミュニティの成立、技術と人間の
一体性、人間の自由などを確認
5.技術とはなにか、どう維持され、
どう進化するか
ヒトの身体の延長としての技術を考察
6.地域の生存へのアプローチ
地球環境時代の地域の生存に必要な、
地域の情報-身体系の進化と生存のための実践的な
アプローチを提案
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10. 生存努力の範囲と情報システムの発展
個体・種の生存
・個体間競争
・捕食 •経験からの法則性の抽出
・種族間競争 と共有、
・有性生殖 •技術への適用、分業と協 •環境を含む全体シス
・遺伝子への「記憶」 業 テム設計
・進化 •自然破壊 •総合智
・地球生態系-人間社会システムとしての生存
人間社会
生物 技術、科学 ・地域社会・産業社会システムの生存
システム ・双利共生
時間
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12. H.R. Maturana and F.J. Varela, Autopoiesis and Cognition;
The Realization of the Living, Kluwer, Boston Studies in the
Philosophy of Science, vol. 42 (1980), original publication in
Chile:1972) 12
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13. 考えの道筋 情報
個体 環境 生存
構造 機構、機能 主体
構造的カップリング 多体問題
自律的自己産出系 社会
自己組織化 技術
代謝 社会的技術システム
死 社会的技術システムの
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主体 13
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17. 有限な存在である個体は環境の中でその属性に基づい
て運動し、環境にも影響を及ぼし、また及ぼされる。川は蛇
行して形を変えるし、川によって運ばれてきた水は地下水と
なってまた別の場所を潤したりもする。
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18. 構造的カップリング
わたしたちの身体を構成する原子は入れ替わってもわたしたちは存
在している。これを構造的カップリングという
ある個体がそれを取り巻く環境との間で要素個体
の出し入れや取り込み(カップリング)を行うとき、そ
の個体の個々の構成要素が変化しても元の構
造が基本的に保存されるとき、これを「構造的カッ
プリング」という。(以上、Maturana(1972)の用語を
翻案。)
18
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21. 自律的自己産出系と代謝
構造的カップリングがその個体の固有の機能
のひとつとして「能動的」に行われる場合、その
個体を「自律的自己産出系」(autopoietic
system)とよぶ。
また、その『能動的統括「者」』があればそれを
「主体」と呼ぶ。
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24. 代謝
自律的自己産出系が環境との間で物質やエ
ネルギーのやり取りを行い自己の構造を再
生する過程を「代謝」と呼ぶことにする。
代謝過程において、物質(材料物質、高エ
ネルギー物質、栄養)は「摂取」され、疲
労物質、低エネルギー物質などとして「排
泄」される。
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32. 自己組織化 プリゴジンとスタンジェール(I.
Prigogine/I.Stengers(1984); 伏見康治ら訳、「混沌からの秩
序」、みすず(1987))の言うように、自然界にはい
ろいろな自己組織化現象があり、その卑近な例は、窓
ガラスにできる霧滴の規則性であり、非生命系のもの
である。おそらく、非生命系の自己組織化現象の延長
で、生命への化学進化も行われた。しかし、いったん
生命が発生するや、生命の生存活動の中で、環境は部
分的に改造され、生命個体に都合のよい形にされて生
命側に取り込まれていく。生命個体同士も組織化され
る場合がある。ミトコンドリアの祖先、葉緑体の祖先
が、真核生物の祖先と共生を始め、真核生物へと進化
したという、共生進化説(Lin Margulies (1967))の描く
進化過程も生命の自己組織化の一種である。さらに、
生物界には自己組織化現象があふれている。アリの社
会、アリの巣などは、ひとつの自己組織化の例といっ
てよい。 32
20050722 ℂ Masayuki Horio
33. 「自己組織化」
自律的自己産出系個体の構造を従来の個体の
境界の外に延長すること
その場合の延長を担う構造要素は、無機的な
ものであってもよいし、他種の自律的自己産出
系個体、あるいは、当該個体と同種の個体で
あってもよい。いずれの場合にも、生成する系
は有機的な構造体となる。
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41. ミラー(David Miller;Political Philosophy, Oxford U. Press(2003)、山岡龍
一・森達也訳、「政治哲学」、岩波(2005))にならえば、そのシ
ステムは、
①「本当の専門家だけが提供できる事実情報を必要とする判断
が多いこと」から、単にみなの意見を聞けばよいということに
はならないこと、
②人びとが現実にもつ‘選好’は広く分布しており、往々にし
て「いい加減な気持ちの多数派が」「熱心な少数派を凌駕する」と
いうことが起こりやすい。また、代議制においては、議員は、
「非常に高い程度の独立性を持ってい」て、有権者からの圧力よ
りもむしろ属する政党のほうからの直接的な圧力に弱い。
③「提起された法案がすべての個人やすべての集団を公正に取
り扱っているかどうか」ということにかかわる「道徳原理」が
貫けるのかがあやうい、という、三つの困難にさらされている
という。 41
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44. 養老孟司氏は「唯脳論」(青土社、1989)
意識を、脳の構造と機能の関係における機能側の現象であ
るとし、意識の発生における生物学的必然性を理解するう
えで、その外的な必然性だけでなく脳構造の進化における
「内的必然性」(p.145)の重要性を主張。
とくに、人間の意識の流れにとって重要な「言語」につ
いて、視覚と聴覚が独立に発生し進化したにもかかわらず、
また文字による視覚言語と音声による聴覚言語が、ある程
度平行して処理することは可能であるにもかかわらず、
「「言語という同じもの」として扱う。これこそがおかし
なこと、すなわち言語の特徴でなくて、何であろうか」、
「聴覚と視覚とは、いわば脳の都合で結合したのであり、
その結合の延長線上に人の言語が成立しているはずであ
る」(p.160-161)と主張する。
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51. 3.3 メカニズムとしての技術
①客観的な存在、②生産力の中にある構
造的なもの、③その構造が発揮するメカ
ニズム(特許等で説明され、科学的にも
記述されうるもの)、という順で考え、
「技術とは生産力のメカニズムである」
(堀尾、'工学の本質と流動層の歴史'、
化学工学会編、化学工学の進歩26「流動
層」(1992)、pp.1‐16参照)
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52. •技術は「技術的活動の積算」としての生産物
設計図、技術情報
技術的活動
構想、設計、試作… dt = 新しい技術
技術的生産物
•参加
実在する技術
どんな個人も
何らかの形で システム
技術的活動に
参加できるはず 性
である。 便 性
•利 険 疎外 実在するシステムは、人々に利便性を
個人 •危 圧/ 畜化 提供するが、同時に、環境破壊や、疎外や、
20050722 •抑 己家 自己家畜化の危険性も提供している。52
•自
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57. 企業:
企業: 企業:
良好な自己組織化
良好な自己組織化 良好な自己組織化
商品
商品 商品
公共的システム 自治体:
地域システム:
なお 技術的 中途半端な自
中途半端な
合理性不十分 己組織化
自己組織化
これまでの公共的システムには、その地域には不要なものやレディーメイドのものが押し付けられて
きた。つまり、公共の技術システムは、自己組織化という視点で見るとき、きわめて不十分なレベル
にある。また、構成要素が、所有権等をもつ意思のある要素であるため、技術的合理性を貫くには、
共通の目標の設定が必要であった。従来は、共通の目標は、近代化であり、国の目標(電源確保、
国際空港、基地等々)であった。 57
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58. 共技
通術
LCA
シ
デのス
ープテ 公共的
/
タラム 技術的・地域的
ベッ計
MFA
に合理的な
ート画 公共システムC
フ
ツスォの 協 働
ー ーた NPO的
NPO
的
ル ムめ 組織 組織
企
の 生徒
家 業
学 校・
専門 自 治 体
自治体
組織 的
N
N
NP 織
O
O的
O的
O的
組
NP
地域内外の人々
による地域のための 専門 NPO的
NPO
人の環 家集 的
団 組織 学
専門家 組織 大
(科学
国
/技術)
整合性・持続性のある公共的共生技術システムへ
の自己組織化へ! (条件は整備されてきた)58
20050722 ℂ Masayuki Horio
67. 生存科学とは
「生命現象から、技術開発、社会再生、
にいたるあらゆる問題について、つねに、
①主体(情報系)、②身体(代謝系)、
③環境、という三つの契機をつないでも
のごとを解明し、生存の立場からアク
ションを設計し実践するという、独自の
方法的スタイルを持つ知のプラット
フォームである」
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